新型インフルエンザは前に書いたとおり、制圧への道程は見えていますが、SARSは治療法も今は全く無く、隔離のみという状態で、新型インフルエンザよりも怖いという専門家も多いものです。
正確な情報は素人には伝わらないのが世の常ですが、情報が今は最大のワクチンということもあります。昨年の情報が整理され、解ってきたものも多いのです。
飛まつ感染も重要だが、下痢便の処理も重要。
SARSは肺炎という固定観念がありますが、67%下痢のほうが先行します。熱・下痢・肺炎・呼吸不全の順番で出現します。便には大量のウイルスが排出されます。アモイガーデンの大発生はトイレ換気の道線の悪さが原因と考えられます。
夏に半ズボンで小用をすると、流すときに足によく流水の飛沫がかかるのを感じます。トイレの汚れは男のせいだと便器の会社が宣伝していますが、冤罪の部分も多いのです。壁の高いところから尿素が検出されるのは流すときの飛沫処理の愚かさだと考えています。責任転嫁です。
女性が流すときに比較的汚しにくいのは、便座が防波堤になっているからです。SARS関係者は、下痢便を流すときには蓋をすることを強く勧めます。これにより、拡大が防げるからです。後で述べますが、0.5%中性洗剤で洗えば完璧です。
隠さないで早く入院する
当然といえますが、入院の時期が遅くなるほど周囲への感染は急激に拡大します。統計でもはっきりしています。数日で隔離すれば拡がらず、7日以上たつと指数関数的に急激に感染が拡大します。
死亡率は9.6% 子供は死なない
可能性例8098人、死亡者774人とWHOの統計です。
55〜64歳で死亡率13.2%、
65〜74歳で43.7%、
75歳以上は61.7%の死亡率です。
子供は発症しにくく、発症しても軽症です。重症化は子供は少なく、肺炎を発症していても10日くらいで治癒した例もあります。軽い肺炎はCTでしか見つかりません。免疫系が未熟で反応の遅い幼児ほど軽症のようです。幼児の死亡はきわめて例外と考えられます。
感染性は低い
R0という指標があります。統計的に何人に感染が拡がるかという指標で、詳細は私もよく理解していませんが、はしか・百日咳等に比べると一桁低いようです。天然痘・ジフテリア・風疹よりも低くそれほどでもありません。しかし、有名なように「スーパースプレッダー」という現象があります。遺伝?突然変異?免疫状態?等により周囲に急速に感染を広げる人物?現象があるのは問題ですが、全体の統計を取ると感染性は低いものです。
飛沫感染であり、1mも離れれば感染はまず無いそうです。不十分な医療施設ではベッドを1m以上離し、換気を考えるようにとのWHO指針があります。同じ指針では1m以内ではマスクをするとあります。咳があるときです。すれ違っただけで多人数が感染するということではありません。また、患者が通行しただけの所を厳重に消毒するなどは本当は不要のようです。空気感染ではありません。
医療関係者は、喉と目の粘膜を厳重に保護する必要があります。マスク・手袋・ガウン・手洗いが予防に有効なのは証明済みです。医療関係者は目も保護します。N95でなく手術用マスクでもかなりの効果がありました。(香港の統計)うがいが有効というデータは見たことがありません。
咳や呼吸器症状の無い間は感染性はかなり低く、WHOも行動制限の必要は無いとしています。つまり、前駆症状の筋痛・頭痛・発熱時の感染性は低いのです。この時期に隔離入院できれば、拡大はきわめて限定的でした。
インフルエンザ同時感染例があった
当然重症化しました。予防接種は鑑別と軽症化に重要ということです。SARSに特徴的な症状はありません。インフルエンザとSARSは症状的には区別できません。予防接種をしてもインフルエンザ発病を100%防げませんが、高熱の発熱はきわめて少なくなります。ワクチンをしていても疑い例で高熱が出るときは、警戒・隔離すべきです。
中性洗剤の消毒効果
ハイターなどの塩素系消毒剤はきわめて強力で、素人が手に入れることのできる消毒薬としては万能といえます。(危険性も欠点ももちろんあります。)
ところが、SARSでは驚くべき例外事項として、中性洗剤の方が強力です。脂質に富んだエンベロープがあるためでしょう。
効果が確認されているのは、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム又は、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを16%以上含むものです。
商品名では、
11日を過ぎて無症状なら安心
WHOは潜伏期は10日としています。疑わしい日から、それ以降で11日目から無症状なら安心です。
今年の自然感染SARSの伝染力は低かった
これは推測ですが、去年の大流行は突然変異による特別な型かもしれません。ハクビシンから感染したとしても、過去何百年も感染してきたのではないでしょうか。あくまでも推測です。
共同通信社【4月26日】
中国で23日確認された新型肺炎(SARS)は研究所で感染が起きており、実験中のミスが原因とみられる。最初の感染者とみられる女子大学院生は発症後、列車で長距離を移動しており、感染拡大の懸念が出てきた。
国立感染症研究所の田代真人(たしろ・まさと)部長によると、SARSは症状が出始めてからほかの人に感染するようになる。同部長は「列車に乗り合わせた多くの人が接触者だ。しかし全員の調査は困難ではないか」と懸念を示している。
実験室での感染は、昨年9月にシンガポールでも起きた。しかし、感染した男子大学院生の隔離措置が早かったため、感染は拡大しなかった。今回は、問題の女子大学院生は、北京市の国疾病予防センターで実験した後、SARSの症状が出た状態で、列車に乗って安徽省に向かったとされる。
2004.5.1
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