てんぷら油は繰り返して使ってもほとんど酸化しません。しかも,酸化したあぶらは腸で還元され,そのまま吸収されません。この点から,NHKなどマスコミが天ぷら油は繰り返し使っても安全とキャンペーンしだしています。「油脂専門家」が「医師も誤解している」と言っていると,マスコミが宣伝しています。それ程安全でしょうか? 古い油で揚げたものが胃にもたれた経験はだれにもあるはずです。どうしてでしょうか?
家庭で天ぷらを繰り返しても,油は酸化しにくいことは以前から解っていました。しかも,料理専門家は何回か使った油の方が美味しいといいます。本当においしいようです。
油の専門家は油だけしか考えていません。ここから,上のようなおかしな結論が出てくるのです。それを批判的に理解できず,「専門家」の意見をうのみにして報道するマスコミは困ったものです。小麦粉の17%はグルテンなどの蛋白質が含まれています。天ぷらを繰り返すと,衣や肉類から蛋白質が溶け出てきます。蛋白質を,天ぷらを繰り返して,170度位で熱し続けると発癌物質ができてきます。古い時代の,初期の発癌性の実験そのものです。この発癌性物質は吸収される危険が十分あります。過酸化脂質を体内で作る可能性も十分あります。黒くなった油は,重合炭化した発癌物質が大量に含まれていると考えられます。活性炭ろ過や漉したところで,生成した油性の発癌物質は大量に溶け込みます。私の意見で,長時間連続運転の外食産業の揚げ物や,スナック菓子の揚げ物,揚げたインスタントラーメンを避けるべきなのはこれらの理由です。
決して,過酸化脂質の議論からだけではありません。もちろんカロリーが増え,肥満から動脈硬化も増えます。
繰り返し使った油の方が美味しいのは,アミノ酸が溶け出しているのも原因の一つです。アミノ酸を長時間加熱すれば重合した発癌物質が生成されます。ビタミンCや緑黄色野菜などを一緒に摂取すれば,多少発癌性物質が還元分解される可能性はあります。しかし,若い人や独り暮らしでは,揚げものだけや,インスタントラーメンだけで済ます場合も多いはずです。
どこの国でも喫煙率の高い男性が,女性よりも肺癌死亡率が高いものです。例外がありました。中国です。最近原因が解りました。中国の油は精製度が低く,炒め物などで油から出た煙を吸い込むためと解りました。油の中で発癌物質ができる実例です。
「蛋白質の焦げたものを食べない」 という原則は世界的に認められており,癌予防の指針には必ず出てきます。この原則に大きく逸脱しているのです。油脂専門家やマスコミにはこの事が理解されていません。(ただし,還元物質のビタミンなどを含む新鮮な野菜を一緒にとれば,ほとんど害はないともいわれています。これとて,水溶性のものはすぐに還元されるでしょうが,油性のものは疑わしいと個人的には思っています。)
油の酸化の問題だけではないのです。おろかなマスコミや「専門家」を過信してはいけません。最も信頼できないのは,視野の狭い素人の集まりのマスコミの思い込みです。
やはり天ぷら類は少しの油で行い,油はさっさと捨てたほうが安全と考えます。