ADHDは精神年齢に比して不適当な注意力障害、衝動性、多動性を示す行動障害であると定義されます。親のしつけの問題や子どもの性格が原因ではありません。頻度は3%程度と考えられ、大人になると軽快することも多いです。効果のある薬も存在します。
遺伝性も知られており、4分の1の父親に共通因子が認められるという報告もあります。
しかし、世界的には妊娠中の喫煙との関係が報告されています。最近日本での調査でも同様の結果が報告されました。ADHDの発生頻度は喫煙により約2倍になるのが世界的に共通認識とされてきています。
Smoking during pregnancy and the risk for hyperkinetic disorder in offspring.
Linnet KM, Dalsgaard S, Obel C, Wisborg K, Henriksen TB, Rodriguez A, Kotimaa A, Moilanen I, Thomsen PH, Olsen J, Jarvelin MR.
Perinatal Epidemiological Research Unit, Department of Obstetrics and Gynecology, the Psychiatric Hospital for Children and Adolescent, Skejby, Denmark. kml@perinatal.dk
この論文では、ADHDと妊娠中のアルコールとカフェイン(コーヒー)についても調べていますが、ADHDとは関係なさそうです。妊娠中の喫煙と関係があります。コーヒーなら過剰摂取さえ避ければ良いようです。
Psychiatric disorders, familial factors, and cigarette smoking: II. Associations with progression to daily smoking.Rohde P, Kahler CW, Lewinsohn PM, Brown RA.
Oregon Research Institute, Eugene, OR, USA. paulr@ori.org
逆にADHDの人は将来喫煙者になりやすいそうです。
Relationship between antisocial behaviour, attention-deficit hyperactivity disorder and maternal prenatal smoking.
Button TM, Thapar A, McGuffin P.
犯罪等の反社会的行動にも妊娠中の喫煙が関係するとされていますが、それを追認する論文です。
High antenatal maternal anxiety is related to ADHD symptoms, externalizing problems, and anxiety in 8- and 9-year-olds.Van den Bergh BR, Marcoen A.
Department of Psychology, Catholic University of Leuven, Belgium. Bea.Vandenbergh@psy.kuleuven.ac.be
12週から22週までの強い精神的ストレスもADHDと少しは関係ありそうですが、32週以降のストレスは関係なさそうです。
これは、BBCで放送された双子の写真です。右は約20年前に禁煙しました。45歳くらいです。左は歯肉炎(歯槽膿漏)、肌の老化、皺の増加が著明です。タバコは女性自身に対しても大きな脅威ですが、その子供に対しても大きな脅威となるということです。
パートナーの喫煙は女性の乳癌を増加させますが、ADHDとの関連の報告はありませんでした。
遺伝的素因のある子が、胎内でタバコの有害物質にさらされ発症するのが最大要因です。
2007.5.1
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