アルファリポ酸


  

 

 

 


アルファリポ酸は以前はチオクト酸と呼ばれていました。年配の方なら聞いたことのある古い薬です。商品名チオクタンで藤沢薬品から出ています。以前はよくドリンク剤や複合ビタミン剤に配合されていました。
40年前には、肝機能障害時や糖代謝改善・消耗時疲労回復をうたい、医薬品として使われていました。もちろん、現在の科学レベルでの医薬品としての承認は無理でしょう。
それが今ではどうでしょう。
厚生省は効果が出ないとして、医薬品の効能からはずしたものです。現在の効能は

1. チオクト酸の需要が増大した際の補給(はげしい肉体労働時)
2. Leigh症候群(亜急性壊死性脳脊髄炎)
3. 中毒性(ストレプトマイシン、カナマイシンによる)及び騒音性(職業性)の内耳性難聴

となっています。

はげしい肉体疲労時とは、フルマラソン後くらいの事であり、毎日残業が続いているとか日曜出社程度の疲労ではありません。

つまり、厚生労働省は軽度の疲労回復や痩身薬としての効能は否定しているということです。
比較的安全な薬ですが、次のような副作用が知られています。
食欲不振,悪心,下痢

体内で合成できるので、必須栄養素でもなく、ビタミンでもありません。特に摂取する必要はありません。古い名前だと売れなかったと思いますが、名前を変えると軽薄が飛びついてきます。
安全だが効果もはっきりしないので、健康食品として転用されました。本来何らかの医薬品類似の効果をうたってはいけないのです。厚生労働省の通知は

基準の別添3「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成 分本質(原材料)リスト」にその例示として以下のものを追加した: ○植物由来物等 カッパリス・マサイカイ・カンカニクジュヨウ・ターミナリア・ベリリカ・ トウチャ・バアソブ・マンゴージンジャー・ムラサキフトモモ・ザクロ花・ ソバ(茎・葉、 )ダイダイ(花 )、ニガウリ(葉) ○その他(化学物質等) ・チオクト酸、D-chiro-イノシトール、フェルラ酸

例示から解るとおりほとんど効果の認められないものばかりだから、承認・転用されたのです。同時承認ですから、ざるそばやみかんの皮でも食べれば同じような効果が期待できるというものです。承認は2004年3月で金儲けに業者が飛びついたのです。それから宣伝が始まりました。

人に投与して痩せたという論文はありません。

人で糖尿病改善効果があるという論文がひとつありますが、著者自らさらに研究を続けるべきであると述べているくらいで、万人が認めるような画期的効果は望めません。インシュリン感受性改善剤としては、もっと有効な薬はほかにあります。(もちろん厚生労働省認可薬です。)アルファリポ酸の糖尿病への効果は厚生労働省が否定しているとみるべきです。

あるある大事典とは、業者が宣伝する一方的言論を信じ、 科学的??装いで素人をたぶらかす番組だと思います。悪徳業者協賛番組です。

たとえば、「実験」??で、一ヶ月でやせたとしていますが、「適切なカロリー低下がないと痩せない」と言い聞かせ実験するのはとても非科学的なものです。適切な比較対照がありません。視聴者・テレビ局という衆人監視に近い状態で実験をするのも、非科学でありばかばかしいものです。痩せなければ、カロリー摂取を守れなかったダメな人間とレッテルを貼られかねない状況です。努力する理由は存在するのです。

あんな低俗番組は参考になりません。Q10も火をつけたのでしょうが、低俗ネタの集め方はうまいとは思います。よほどディレクターが非科学的知性の持ち主なのでしょう。・・。Q10の検証。

それが、何より証拠には 「血液型性格分類」をなんども取り上げているのです。

歴史的経緯・科学的思考を放棄し、何度も性格と関連付けようとします。
被害が無ければ、バラエティーでしたと笑えばよいのでしょう。それで済ますわけにはいきません。
たとえば、AB型は日本ではきわめて少数派です。少数派が主流であるはずはありません。主流ではないから「風変わり、変人」というラベルが貼られます。そして、就職面接で「血液型性格」に基づいて判断する人事担当者さえ出てきます。結局根拠の無い、少数派に対する非科学的社会差別を広げることになっているのです。少数者排除は子供にも影響し、いじめに関連すると考えます。マスコミにはこの自覚が欠如しています。視聴率が取れればよい、儲かればよいならば悪徳業者の類です。

いくらスタッフが善意?で製作しているとしても、それで済ませられるものではありません。無批判に血液型性格学をひろめるのは、多大な社会的害毒なのです。だから、あるある大事典を軽蔑するのです。

血液型と性格の歴史的・科学的検証。

もちろん、厚生労働省がほとんど否定してしまった効果を売り込み、悪徳業者の協賛を行うのも同様の社会的害毒と考えます。私が追求しているのは、おもしろければ(もうかれば)科学を無視してよいと考える、マスコミの姿勢と倫理感なのです。

50年前の古い基準で認可された薬が、効果が否定されるが、乱用しても安全であるので、医薬品の範疇から食品の範疇へ移行する。業者が跳びつき、金儲けの道具にする。例Q10・チオクト酸。宣伝の為に50年前の理論を持ち出し、科学的を装う。知性無きマスコミが飛びついてそれを信じ、えせ科学実験とやらを放映・記事にする。それを信じるやつが出てくる。業者は笑いが止まらない。これがストーリーです。

これからも、続々とでてくるでしょう。信じてはいけません。

朝日新聞が武富士から5000万円もの金をもらって、記事を書いていたのが暴露されました。
業者とマスコミは癒着しやすいものです。中立などではありません。裏を考えないといけません。マスコミの姿勢と倫理感はこんなものなのでしょう。

2005.4.2
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河合 医院

初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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