宮内流 医療規制緩和を検証する


  

 

 

 

経営者として成功すれば、森羅万象何にでも精通したと考える勘違い人間が増加しているようです。 経済界で成功すると、どんな分野でも経済原則が宇宙最大の原則であると考えるようです。 そして、何でも「会社が経営し、その分野に進出すると活性化される。」「自由化すればすべてうまく行く。規制など撤廃してしまえ。」と主張します。

規制緩和委員会なるものが、世間で大きな顔をしています。
トヨタ出身の経団連会長、元経済企画庁長官堺屋太一氏などです。
医療にも、競争原理・経済原理を持ち込めばすべてうまくいくというのが、彼らの論理です。
最近はオリックスの宮内氏が勢いづいています。

「(開業医は)日本が高度な医療社会になることを決して歓迎しない。」と発言しています。このような粗雑な発言をするのが、経済界のリーダーだとは・・・。小泉流、粗雑・強引・頑固がよく現れています。どのような根拠でこのような発言ができるのでしょう。

宮内氏とは、医療保険で業績を伸ばしている会社です。さらに、医療機器のリースでも儲けています。
そもそも、自身が利害関係のある業界の規制緩和の座長を引き受けることが異常です。
そのようなことを恥じるでもなく、自身の会社にの利益になることを諮問するのですから、ハレンチです。「自由化」すれば、健康保険でカバーされなくなる部分が巨大になり、医療保険は大儲けです。

経済屋どもは現実さえも見据えられないようです。以下の事例をどう説明願えることでしょう。彼らにとってはどうでも良いことでしょうが・・・。
福祉と、経済屋どもとは両立しません。

小児科医療

出生率は低下の一方であり、小児科は経済的には将来性がありません。
大病院でも経営的に成立せず、閉鎖するところが増えています。閉鎖するところが増えるので、残った医師に当直の順番がしわ寄せされます。月に何度も36時間労働をしなくてはいけなくなります。ますます、小児科のなり手が無くなります。 少々賃金を上げても解決にはなりません。若い人も、自身の生活を楽しむ権利があるというものです。 開業しても成立する地域はきわめて限定的です。

経営的に苦しいから撤退すればよいのが、経済至上主義者たちの意見でしょう。経済原則では当然です。

それだけでよいのでしょうか。国全体で考えるならば、地方で少数の子供が死んでも国策には重大な影響はないでしょうが・・・。ましてや、 経済至上主義者どもの経済発展にはほとんど障害とはなりません。子供の命など眼中になく、いかに効率的かだけが重要です。

子供という弱者に対する視点は経済屋どもはどう考えるのでしょうか。 福祉という観点と、経営という観点はまったく両立しません。 経営視点だけ至上の最高原理だと強調されるのが今の日本です。笑うしかありません。

産科医療

これも、出生率の低下から将来性が低く、不採算部門となっていきます。実際、大病院でも閉鎖するところが出てきています。経済屋どもの原則からは、閉鎖は至極当然のことでしょう。
目先の経済効率にとらわれる。小児死亡率が上昇したり、出生率が低下する。経済規模が減少し、国が衰退する。これを、経営者はどのように考えるのでしょうか。

少子化で人が減れば輸入すればよい。経営者にはそれでよいのです。

実際、奥田経団連会長はフィリピンを訪問し、自身の産業・自動車部品の輸入関税撤廃を迫りました。その見返りに承認してきたのは、看護婦の日本での活動の自由化です。自身の利権を最大限に利用するという立派な行為です。
宮内氏とよく似た構図です。財界人には、「李下に冠を正さず。」などという言葉は通じないようです。

アメリカ

アメリカ医療は完全な資本主義、経済至上主義原理です。そして、4000万人が無保険で、病気の脅威にさらされているのです。貧困層は医者にかかれないのがアメリカの常識です。経済至上主義が見事に完結しています。

アメリカの医療が、OECDやWHOで評価が低く、平均寿命も短いのは有名です。このようにしたいのが、財界人どもです。もちろん、会社の利益のためです。
もっと、立派なアメリカ医療の論説があるのでリンクします。前後にも移動できますので、ぜひ、じっくりお読みください。宮内流規制改革がいかに悲惨な状況を現出することか・・・。それに関して、企業がいかに利益をあげるか・・・。


新規抗がん剤の日米比較 混合診療解禁は善か? 癌患者の悲願?

なぜ日本では新規抗がん剤承認が遅れるのだろう?

株式会社が医療経営を行う実例をアメリカに見る  悲惨な死と巨額な宣伝利益

医療訴訟・マスコミ追及が医療過誤を防止するか   科学的検討ができないのが日本マスコミ

どれだけ、アメリカの経済至上主義の医療がすばらしいことであるか・・・・・。
宮内流、粗雑な解禁論がどれほど悲惨な状況になることか・・・・。
経営の神様はたくさんいました。どうして、経営が成功すると他の分野で何でも指導できるのでしょう。
経営の神様、松下幸之助氏は「パソコンなど、おもちゃで一般家庭に浸透しない。」として、一時松下からパソコン事業を一切なくしました。
流通業界の神様の率いたダイエーはご覧の通。世界一の金持ちとされた、堤氏の現状は?。
JR西日本の会長は、阪急電鉄などと対抗し、経営手腕を発揮して関西経済界で重要な役職を担っていました。
事故が起こって解ったのは、安全対策の費用を極端に削って、陰湿な社員教育で財政改善をしていたということです。
経済界で成功したものがすべての領域で決定権を担うのが、最善なのでしょうか? 福祉に経済原則が貫徹できるのでしょうか?
経済界での真実・手腕が、宇宙最大の真理の法則とはとても思えません。政治に大きな影響力はあります。まあ、支援団体ですから。

2005.8.1
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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