マイナスイオンという非科学


  

 

 

 

マイナスイオンを英語に訳すことはできません。英語ではありません。しいて訳すなら、negative ionです。英語に存在しないのは、科学的用語ではないからです。科学的にインチキであり、日本の悪徳金儲け会社の発明品だからです。

そもそも、インチキですから、定義などできはしません。推測するに、2種類あるようです。シャワーや滝・噴水の水滴が生成するときに、水はプラスに帯電し、周りはマイナスになるというレナード効果と、高圧の静電気をかけると、オゾンが発生するということのようです。

滝の近くに住んでいると、長生きしたという論文はありません。(温泉のデータなどはちゃんとあります。)湿気やカビでかえって健康を害するでしょう、噴水など近づかないほうが安全です。レジオネラ菌など有害な菌やカビを吸い込む危険があるからです。加湿器のマイナスイオン効果をうたうものがありますが、加湿器の雑菌で肺炎を起こさないか恐ろしいものです。加湿器による過敏性肺炎などの医学論文はいくつもあります。

レナード効果など微々たるもので、ほんの少し離れればイオン効果などありません。また、発生する イオンもきわめて微量で、人体の60兆の細胞に影響を与えることはできません。血液がさらさらになるなどありえません。

もうひとつは、静電気によるオゾンの発生です。
職場の環境基準にオゾンの量があるのをご存知でしょうか。コピーを20枚くらいとっていると、以前ならオゾン臭がしたものです。コピー機は高圧の静電気でトナーを吸着するのです。このため、職場のオゾンが高値になり、健康に害があるので、規制されているのです。コピー機は改良が進み、発生したオゾンを消去する機構がついているので、最近の機種では安全です。

環境基準が設けられたのは、国も有害性を認めているからなのです。オゾンが健康に良いという医学的論文は見たことがありません。逆に有害性は医学的に確立しています。そもそも、「体がさびる」などという非科学的比喩を持ち出し、活性酸素は老化につながるなどという説が流布している一方で、活性酸素そのもののオゾンをありがたがるアホさ加減にはうんざりです。科学的思考ができない知性のなさが露呈しているのです。

19世紀結核は恐ろしい死に至る病でした。治療法はありません。お金持ちは、転地療法と言って、高原のサナトリウムに隔離半分で療養していました。貧乏人は、都会のベッドで死んでいくのです。保養地で栄養をつけ、休養を取ったのです。たまたま、回復する人も出てきました。ここで生まれた医学迷信は、森林や高原のオゾンが体に良いという迷信です。20世紀になり、オゾンの効用など否定されたのですが、何かオゾンは良いものというイメージだけが論証もされず21世紀まで引きずっているのです。私見ですが。もちろん、業者の金儲けが関与しているのは間違いがありません。

オゾンは活性酸素であり、確かに殺菌効果はあります。実験すれば、カビや細菌は多少減るでしょう。

シャープなど殺菌効果を盛んに宣伝している、おばかな会社です。仮に彼らの言う空気中の殺菌効果がうそでないとしてみましょう。細菌が死ぬくらいの濃度のオゾンがあれば、先ほどの職場環境の規制に引っかかるでしょう。このような濃度なら、気管の粘膜に刺激作用があり、健康に悪いのです。さらに、目の粘膜にも異常をきたすでしょう。逆に、目や気管が刺激されないとすれば、殺菌効果などほとんど期待できないということです。森林でそう快になれるのは事実としても、オゾンの多い地方が長生きであるという科学的データはありません。(インチキデータは除く)

東芝のプラズマイオン付きエアコンも同じです。プラズマイオンという上手なネーミングで、売上はナンバーワンになりました。科学的思考のできない、間抜けな消費者が大量に買ったということです。もちろん、欧米ではこのような概念はありませんし、海外で同じ機構のエアコンなどまったく売ってはいません。非科学的で、売ることなどできません。日本人だけに売れるのは、日本人が非理性的・非科学的であるということです。

松下はまだ良心的です。「たいした効果は期待できないし、オゾン濃度もせいぜい自然界にある程度で、健康に害のあるほどではない。」と認めているからです。

たとえば、一秒間に500万個の「マイナスイオン」を出せたとします。ところが人体の中では、呼吸の代謝過程や食細胞でもっと大量のオゾンが生成し、同時に大量の消去も行われているのです。そのバランスの上に代謝は成立しているのです。500万個といえども、人体にとっては微々たるものです。 もちろん、オゾンが細胞に1個や2個ついたところで、影響はありません。人体60兆の細胞にはきわめて微量で、何らかの作用を及ぼすことは考えもできません。

日本独特の一見科学的な迷信、金儲けの種はたくさんあります。クラスターイオンとか、磁力による活性水など、とても世界で通用などしません。素人には理解できず、検証もできないからだまされるのです。悪徳業者の金儲けの種は尽きないわけです。

磁気で水の分子が小さくなるというのは、古い酒をNMRで調べると、水の集団が小さいかもしれないという、信頼性の低い論文がひとつあるだけで、健康に良い活性水という医学論文はありません。もし、あったとしたら、インチキ論文です。

PS.

馬鹿話を思い出しました。
酒の分子が小さくなると、おいしくなるというのが医者の間でもうわさになりました。医者でも酒に卑しいのは多くいます。安いウイスキーが上等の味になるらしいとの噂です。
強力な磁気で分子を制御すればよいのです。ちょうど人体を輪切り画像にするMRが普及しだしたころだったと思います。ここから「MRの機械で分子クラスターをばらばらにすれば、ウイスキーがうまくなるかもしれないぞ。」と考え付いた医者は多くいました。 終了時間後や、休憩時間の機械を使わないときに、MRの超強力磁石の中にウイスキーをいれて実験した医者は結構いたのです。
RFさえかけて、分子をばらばらにしたものもでる始末です。酒飲みの情熱には勝てません。ストレスの多い仕事です。
結果はご想像のとおり、うまくなりはしませんでした。こんなことをもうする者はいません。院長、すいません。  時効です。           2003.06.12

2003.5.1
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河合 医院

初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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