「プール開始のお知らせ」等学校から家庭へのパンフレットで水泳禁止と多数通知されています。文部省の怠慢です。多数の学校で扱いに誤りがみられます。少なくとも、私の関係する3小学校はそうです。
京都市より何の連絡もないので,六原小学校を通じて京都市教育委員会に 水いぼについて問い合わせを行いました。
あわてたようで、水いぼが水泳可の根拠の資料を送ってくれという始末です。教頭先生を通じて、京都府医師会「学校医の手びき」追補をファックスで送りました。
時間をおいて検討して回答してきました。
回答は以下のとおりです。
昨年文部省体育保険局学校健康教育課より,「学校において予防すべき伝染病の解説」が出ています。A4で30ページ位の本ですが、そのなかで,水いぼは「多数の発疹のあるものはプールでビート板や浮き輪の共用をさける。」と一行のみ指示されています。これですべてであるということです。よって、医師会の見解は正しいのです。(解説の解説が欲しいぞ!) 重要な疾患でもなく、たいていの学校医や教師は見逃す程度の記載です。
医師会のほうがよほど親切です。医師会には、学校、父兄、生徒に迷惑をかけてはいけないと考える責任感がみられますが、文部省は知らぬ顔です。実効がなくてもよく、自分たちの責任回避さえできればよいのです。
ここからは自分で考えなくてはなりません。東大法学部卒の文部官僚のクイズのようなものです。「共用をさける」とは、「共用を避けさえすればプールに入って良い」ということですから、はじめの部分とつなげると、条件付で「多数の発疹の者もプールにはいって良い」ということです。つまり,多数の発疹のあるものでさえプールに入れるのであるから,水いぼはあってもプールに入って良いという事を読み取れということです。全面許可とは記載しないのです。はっきり解説などはしてはくれません。医師は東大法学部ほどだとは考えていないので、医師会ははっきり解説してくれます。医師への伝達は明確に記載するように訓練を受けています。どこでも学問の世界ではそうです。解説の解説が必要なようでは、医師の世界ではやっていけません。混乱をきたすばかりです。(厚生省の点数改正では、いつも、あとで解説の解説がまわってきて医師が混乱します。介護保険では、福祉関係者が同様に苦労しています。)
法律解釈の専門家の、京都市教育委員会でさえ、このことに気がついておらず、私の問い合わせにより初めて、水いぼはプール可とあわてるぐらいですから、現場の教師で気づいておられない方は多数います。多分全国的にも、混乱していると考えます。 プール学習が始まろうとしているこの時期にこんなことであるのは、文部省の責任です。
みずから作成した法律を、一年たっても、自身の下部組織にさえ伝達できないのが官僚です。一般人に徹底して不親切、非情なのは理解できます。解説というのが非常に読みにくく、解説になっていないのですが、瑣末で判りにくい条文を、虫眼鏡で探すように読まない、馬鹿国民の方が悪いということです。もちろん、法律は自身に責任がかからないように作成するのが目的ですから、実際効果があるかないかは無関係なのでしょう。できるだけ読みにくく、理解しにくいほどよいのでしょう。
伝染病予防法の改正と医学的圧力で、良い法律とパンフレットを作ったのはいいのですが、魂が入っていません。 あるのは、責任回避のみだからです。
今回の介護保険のごたごたで、福祉関係者や調剤薬局から「厚生省とはこんなにでたらめだったのですか?」と質問を受けます。答えは「40年以上医者は苦しんできたのですよ。これくらいましなほうです。」です。マスコミは医者はいつも勝手な言い分と考え、役所の肩を持ってきたのですが、今回だけは福祉関係者の味方です。費用請求の80%位は間違っているようですが、役所が悪いのです。医者の間違いなどほんの軽微です。
2000.06.07 改定 2000.07.01
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河合 尚樹
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