医師や歯科医はおしゃぶりが嫌いです。
有益性が知られておらず、有害性がはっきりしているからです。
最近も、おしゃぶりを3歳以上まで使い、あごの発達に重大な障害をきたし、あごの骨を切り離す手術が必要であった解説を読んだところです。
歯並びも極端に悪くなる例があります。
おしゃぶりの使用は極端な国による偏りが見られ、トルコやモロッコは多く使用します。宗教的影響があるとされています。
ヨーロッパでも国によりまちまちで、36〜71%と大きな差異が見られます。
利点は見られず、有害事象は目に付くのでほとんどの医師や歯科医はおしゃぶりが嫌いです。
他の、有害事象とは
中耳炎が増えるかも?
不潔から酵母感染症がふえる
気道閉塞 直接おしゃぶりによる窒息の可能性
紐による目の外傷 角膜を傷つけることが結構あるようです
歯列不整 ときには大規模手術が必要な例や あごの骨の変形
IQに影響との説があるが 確定されていない。
特に、歯が生えた後もだらだらと使うのは、歯列に問題があるとされています。
ところが、ニュージーランドから乳幼児突然死症候群がおしゃぶりによって減少するとの報告がありました。
兄弟や血縁者に乳幼児突然死症候群があった場合、こんなに簡単なことで予防できればありがたいことです。おしゃぶりで死亡率は半分になるそうです。
しかし、この論文も絶対的確実性を主張するわけではなく、今後も検討が必要だとしています。
毎日テレビから流れてくる、これさえ行えば健康になれる。これを食べれば若返る。など単純な主張はいたしません。
物事には、良い点も悪い点もあります。それらを天秤にかけ、どちらが現時点で有利かと判断するしかないのです。
時代が変われば(新しい論文が出たら)、結論も変わりえます。君子は豹変しなくてはならないのです。
会社経営でも、今までうまくいってきたことに固執していては、変化に乗り遅れ衰退するでしょう。トップたるもの豹変するべきです。
私もよく豹変すると非難を受けますが、非難する方の頭が固いのです。決定的科学的なデータが出れば、変更せざるを得ません。古い考えにとらわれていれば、命は救えません。
時代は動いているのです。
乳幼児突然死症候群が減る原因は、よくわかりません。おしゃぶりは睡眠開始後平均30分で口から外れてしまいます。
理由として可能性があるのは、うつぶせ寝が減少するためと、吸引が続くと胃・食道逆流が減るともいわれています。
また、母乳保育期間が減るのがいいともいいます。
業者やマスコミは
功罪を一方的に叫びますが、現実は利点と欠点を比較検討して、よりましな方向へ進めるだけです。
物事の評価も刻々と変化しています。
簡単なことですので、統計を取って結果を見たいものです。
Should pacifiers be recommended to prevent sudden infant death syndrome?
Mitchell EA, Blair PS, L'Hoir MP.
Department of Paediatrics, University of Auckland, Auckland, New Zealand.
e.mitchell@auckland.ac.nz
OBJECTIVES: Our aim was to review the evidence for a reduction in the risk of sudden infant death syndrome (SIDS) with pacifier ("dummy" or "soother") use, to discuss possible mechanisms for the reduction in SIDS risk, and to review other possible health effects of pacifiers.
RESULTS: There is a remarkably consistent reduction of SIDS with pacifier use. The mechanism by which pacifiers might reduce the risk of SIDS is unknown, but several mechanisms have been postulated. Pacifiers might reduce breastfeeding duration, but the studies are conflicting.
CONCLUSIONS: It seems appropriate to stop discouraging the use of pacifiers. Whether it is appropriate to recommend pacifier use in infants is open to debate.
2006.10.1
http://geocities.datacellar.net/kawaiclinic/
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初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹