蟯虫検査は3年間に渡って行われると思います。これは検出率が低いためです。つまり、蟯虫を持っている子の35%程度しか検出できません。あまりに低いと本当の感染者の割合も不明で、検出率の算定さえ困難です。
学校や保育園から、蟯虫がいない証明を求めてくることがよくあります。担当の学校ではこのような記載を削除させましたが、いまだに他から求められ困っています。出所はわかりませんが、たぶん役人根性の官僚からの指導でしょう。責任逃れが最大の目標だからです。
検査法の感度は低い一方、現在の駆虫薬は進歩しており、一度服薬すれば治癒率は98%程度以上といわれています。残りの1%強も落ちた卵からの再感染も疑われます。安全性も十分です。世界的に見ればいまだに大問題で、欧米の会社は良い薬を次々開発しています。
検査で「蟯虫のいない証明」を科学的に行うなら、最低5日間以上毎日セロハンテープ法を行う必要があり、費用も馬鹿になりません。
結論として、きっちり服薬すれば「蟯虫のいない証明」などまったく不要のものです。こんなものを求めるのは、官僚や学校の責任逃れのためだけであり、非科学的なばかげたことです。当院では行っておりません。
むしろ、寝具をともにしている兄弟などには、検査を省略して服薬させたほうが良いでしょう。寝具に卵が落ちるからです。検査も信頼できないからです。一緒に寝ている親も怪しいものです。安全な薬なので、家族全員いっせいに駆除するのが理想かと思います。
寝具カバーやシーツを連続3日くらい洗い、布団を干して掃除機をあて、床やたたみに落ちた卵を掃除機で丁寧に吸い取るように指導しています。
2000.07.01
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六原小学校校医
河合 医院
河合 尚樹