睡眠障害 ガイドライン


  

 

 

 

不眠症に悩む人は10%程度とされています。
朝早く目が覚めて、眠れない人の中にはうつ病も多く、薬を飲まないと自殺が増えたりしますから、受診も大事です。

睡眠時間は8時間が理想だという迷信があります。今年アメリカで科学的調査が行われ、7時間がもっとも死亡率が低く、8時間寝ると死亡率が1.1倍になることがはじめて実証されました。

医師でさえ、こんなことも科学的に証明できていなかったのかと驚きます。逆に、マスコミなどの定説・思いつき記事には、科学的根拠のないものがいかに多いかということも、理解できます。

年齢とともに睡眠時間は少なくてもよいのはよく知れれており、70歳以上の平均では約6時間で十分です。逆に子供は多く必要です。

脳の内分泌の研究で、大きく考え方の変わったのは、眠れる時間帯を決めるのが起床時間だということです。逆に眠りにくい時間帯は、寝る2〜4時間前だというのも驚きです。ここに、大きな落とし穴があります。「眠りにくい体質だから、眠りたくなくても早くベッドに入って、できるだけ早く寝よう。」と考えるものですが、これがかえって眠れなくしているのです。少し眠たくなったと感じてから就寝する必要があります。

脳には体内時計があります。これらの研究でも睡眠の迷信がくつがえされています。体内時計は実際の時間とは狂っており、25時間くらいの周期です。これでは生活しにくいので、人間は強い光を浴びることにより、体内時計をリセットしています。視覚的に強い光を浴びることは、人間にとって重要なのです。そして睡眠も、この体内時計に制御されているのは当然です。この研究から、「眠くなるのは、強い光を浴びてから15〜16時間後である。」という原則が見出されました。朝外に出ることは重要です。紫外線を浴びろといっているわけではありません。朝の日陰でもよいから、明るい空を見るなど、明るいところに少しいるとよいのです。

寝たきりに近いとか、昼間はひまな人で、テレビだけつけ薄暗い部屋に一日中いるなども間違っています。午前中はカーテンを開け、電気をつけて明るくするのが人間らしい生活です。

「普段寝不足だから、取り返すために休日は昼まで寝ていよう。」というのは、大きな間違いです。この体内時計のリズムが狂い、不眠症を助長していることになります。休日も、普段どおり起きる必要があります。

健康的であるためには、食事等も含め、規則正しくする必要があります。

規則正しいのも大事ですが、中庸がよいのです。まじめで神経質な人は、8時間寝なければいけないなどと思い込み、努力することがかえって不眠を助長します。人生は難しいものです。

メラトニンは専門家は使いません。理論もはっきりせず、重症の副作用も出ています。中国のやせ薬を馬鹿にするのと同じレベルのものです。専門家が使わないのは効かないからです。逆に専門家が使わないのに効くとすれば、有害物質が含まれている可能性が極めて高いのです。

睡眠薬を常用するとボケるなどというのも否定されています。

アルコールは、睡眠の質をきわめて悪くし、不眠症を助長します。


1.睡眠時間は個人差や年齢差が大きい。昼間眠くなければ十分足りている。
何時間寝る必要があるなど、生真面目さがかえって不眠の原因。

2.眠る前には刺激物は避ける。
コーヒー・緑茶等カフェインは寝る4時間前からは避ける。喫煙は1時間前から避ける。
軽い読書・音楽・落ち着く香り・ぬるめの入浴・軽い体操などがよい。

3.眠たくなってからベッドに行く。
何時に寝なくてはいけない、何時間寝る必要があるという思い込みが、頭を冴えさせ、寝つけなくする。

4.同じ時刻に毎日起床。休日も例外ではない。

5.光の利用でよい睡眠。
朝には外へ出て、体操や散歩で明るいところを利用。夜勤が続いたり、昼夜逆転では眠れない。

6.規則正しい生活・食事・運動
朝食は体の目覚めに重要。夜は軽く。

7.昼寝は15時以前で、30分以内。
30分以上や、夕方の昼寝は睡眠の質を悪くする。

8.眠りが浅く、何度も目覚めるときには、睡眠時間を減らす。
寝られずベッドで長くすごすとかえって悪影響。短時間で良質な睡眠を心がける。

9.睡眠中の激しいいびき・呼吸停止・足のむずむず感は受診を。
これらは医師の治療が必要。

10.十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に相談。

11.睡眠薬代わりの寝酒は不眠症を悪くする。

12.睡眠薬は医師の下で正しく使えば安全。
長年使っても安全で、ボケたりはしない。


2002.09.01
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河合 医院

初級システムアドミニストレーター 河合 尚樹

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