うがいと手洗い

  インフルエンザが流行しています。予防注射がもっとも効果的ですが,予防法のうがいと手洗いについて,書いてみます。

先日,マスコミにたまに出るドクターから伺いました。昼のワイドショーで健康特集をやっています。出演の打ち合わせに注意されたのは,以下のことだそうです。

商品名は一切出さないこと。
お金のかかることは,出さないこと。
日常,まわりに,ありふれたもので代用すること。

もちろん,特定の商品を推薦すると,スポンサーから抗議がきて,営業にさしつかえるからです。ここから,「知らなかった!紅茶で代用できる,うがいの方法」などという,ばかなタイトルが出てくる理由が解りました。 紅茶はフッ素が少しあるので,歯のためには少し良いかもしれません。

利害関係がないので,はっきり推薦します。うがいをするなら,イソジンうがい液がもっとも効果があります。 殺菌作用がはっきりあるのはイソジンとオラドールだけです。ウイルスにも効果があります。

うがいが,効果がないという意見もあります。インフルエンザウイルスは粘膜につくと数分で細胞内にはいってしまいます。帰ってからうがいをしては間に合いません。15分おきにうがいをしていては,かえってのどがあれてしまいます。実用的な方法でありません。そのため,完全にインフルエンザを予防などできません。

しかし,インフルエンザは,ノイラミニダーゼという酵素を産生する菌と一緒だと感染力が増加するという説もありますし,肺炎など合併症を起こす菌を減らす効果があります。小学生に実際にイソジンでうがいをさせると,インフルエンザが減ったという報告もあります。

うがいの方法を示します。

  1. 最初のうがいは,粘液などで効果がうすい。最初は,ぬるま湯だけでよいが,食べかすや粘液をとるために,強くうがいをする。
  2.  2回目のうがいは,口のなかで液が十分回るようにふくんで液を行き渡らせたあと,上を向いてのどの奥のほうまで液が入るようにして,約15秒行う。
  3. もう1回口のなかに液が十分ゆきわたるように,15秒行う。

うがいを指示すると,一日10回以上行い,のどの粘膜がただれている人がいます。こうなると,かえってウイルスが入りやすくなり,逆効果です。一日4〜5回位にしてください。

甲状腺に異常のある人はイソジンにヨードが含まれているので,他のもので行ったほうがよいです。 妊婦が大量に飲んでしまうと,胎児の甲状腺に影響があります。

最近,扁桃腺などに直接スプレーする,のどの消毒剤がいろいろでてきて,コマーシャルが流れていますが,これは,飲み込んでしまうためヨードの影響が強く出ます。実際胎児に異常が出たという報告があります。うすめた液でうがいをするほうが安全です。心配なら,最後に水で洗い流すのも良いでしょう。

飛んだ飛沫のなかにウイルスがいて,物に付着し,手を介して感染します。 手洗いは,O-157のように神経質になる必要はありません。せっけんで簡単に洗えばよいでしょう。

マスクは,粘膜の乾燥をふせぎ,異物排除機構のせんもう運動を維持しますから,有効です。

人ごみは避けましょう。

ウイルスは低温と乾燥で長生きするから,冬に流行するのです。部屋の温度は22度以上,湿度は60%にしましょう。



1998.03.01
http://geocities.datacellar.net/HotSprings/4347/
〒6050842 京都市東山区六波羅三盛町170 河合 医院

Home

1