26-Jul-97 掲載 ブドウ日記 (96年分) 96年分へのまえがき(26-July-97 記)
1月 1月は、日本への出張や日本からの出張者の相手に忙しく、「ブドウ見物」はお休み。 2月4日(日) 「いつもの所」へ、「アイスヴァイン用」に残してあったブドウたちがどうなったか確かめに行く。例のビニール覆いは破られている。収穫があったのかどうかは分からない。あったとしてもごく少量だろう。 2月17日(土)〜18日(日) ワインを「飲みに」、プファルツ(Pfalz)地方へ一泊週末旅行。もちろん畑の散歩もするが、この時期はとりたてて記憶に残るような光景もまずない。日曜もやっているブール(Buhl)家の販売所で2箱程買い込んだあと、シュパイヤー(Speyer)の博物館で「現存する世界最古のワイン」を見る。いろいろな書物でよく写真の出ているやつ。 3月9日(土)〜17日(日) 6年ぶり2回目のアメリカ・カリフォルニア出張。出張中の日曜日(10日)のちょっと空いた時間を使って、とにかくナパ(Napa)まで「畑を見るだけ」のために車で出かける。滞在中のサンタクララ(Santa Clara)という街から2時間程の距離。ドイツはまだ完全に冬景色だったが、こちらはもう春の景色。タンポポだか菜の花だかの黄色が眩しい。ブドウの樹の格好がまた、これまでにヨーロッパで見たどことも違っていて面白い。時間も無かったし、また「予習」も全然してこなかったので、とにかく当てずっぽうに道路沿いの一軒のワイナリーに立ち寄って、自宅への土産用の白ワインを3本買って、すぐ戻る。一度は休暇で来て見たいものだ。 ドイツへ戻った翌週末(3月23日)は、「いつもの所」へ散歩。特に変わったことなし。 4月
4月上旬の復活際休暇は、ビールの都、チェコのプルゼーニュとプラハへ旅行。このためブドウ関係はお休み。中旬から下旬にかけては日本出張のため、ブドウ見物はおあずけ。 久々にリューデスハイム(Ruedesheim)へ。ココへは何度か来ているが、「ワイン博物館」には未だ入ったことがなかった。外の天気もいま一つなので博物館へ。回りの畑を見ると、もう新芽が開いて、若葉がわずかに伸びている。この後、「いつもの所」ではなく、 HattenheimのNussbrunnの辺りへ散歩に。Nussbrunnの泉の回りの畑は、丁度この2、3年の間に植え換えたついでに区画整理をした模様。88年に旅行で訪れた際は確か農道のスグ脇に泉があったような記憶がある(とは言っても、イマイチこの記憶には自信が無いが...)が、今は20メートル程引っ込んだ所にある。私の記憶が正しければ、泉を動かすとは思えないので、農道を付け換えたのだろう。 <後日記> 88年の旅行の際の写真を見たら、やっぱり泉のすぐ前が農道だった。 5月19日(日) 今日は「いつもの所」、即ちRauenthalの畑の散歩へ。新芽も5〜10センチ程伸びて、先端には小さいながらツボミが認められる。去年の例だと、ここから開花までまだ一月ほどかかる。昨日Vinotheque(ワインの趣味の月刊誌。もちろん(?)日本語です。)のバックナンバーで「有機農法」の記事を読んだばかりだったので、草の「枯れ具合」が目に付く。いくつかの畑ではブドウの垣根に沿って除草剤の跡も鮮明な「枯れ方」をしているのに対し、別のところではそのような気配がなかったりする。とはいっても、まだ「無農薬」を実践している栽培家はごく一部だと言うから、後者のようなところもおそらくまた別の機会に除草剤を撒くのだろう。あまり嬉しい話ではないが。今後も覚えていれば、観察を続けたい...なんてエラそうな事を書いてしまったが、この直後に隣村のKiedrichの、とあるStrausswirtschaftで一杯(0.2リットル)2.4マルク(約170円)のワインを飲み始めた時にはすっかり忘れていたような気がする。 6月 5月26日(日)から6月28日(金)にかけて、仕事の関係でフランスへほとんど「行きっぱなし」の状態になる。毎週土曜日の最終便で帰ってきては月曜日の始発でフランスへ「出勤」、というような状態だったため、ブドウ観察の足が鈍る。そのかわりというか、フランスでは連日、ご当地ワインを「飲んで」いた。 6月23日(日) I夫妻(今年のはじめに赴任して来た会社の上司とその奥さん)を誘ってラインガウ方面へ夕食に。結局、「勝手知ったる」と言う程ではないが、Kiedrich村はGroenesteinのGutschaenkeへ。今日は「堅気の人達」と一緒だったので、ブドウ畑散歩はパス。 6月30日(日) 久々に「定点観測地」へ。開花を見逃してしまったかな?と思っていたが、幸か不幸か、しばらく寒かったことのあり、丁度開花が始まったばかり。昨年より10日ほど遅いか。
このあと「たまたま」Schloss Johannisbergへ寄ったところ、94er Trockenbeerenausleseなるシロモノのハーフサイズ瓶が売られていたので、発作的に買ってしまった。(後日修正: 「これだから成金駐在員は!」と言われるのが恐いので、値段はないしょ。) 夕食はWinkelの街中ででも食べてみようかと。これまた「たまたま」入った店で、「Wein des Monates」なるふれこみで提供していたのが、何と70年代(詳しくは覚えていない)のカビネット。いくらなんでも古すぎはしないか、とも思ったが、飲んでみたらなかなか。むしろ、「好み」の部類。アトでもう少しまじめにリストを見てみたら、何と70年代のワインが勢揃い!これは是非とも、またまた来なければ!!! 7月1日(月) 平日ではあるが、先月はメチャクチャ働いたことでもあるので、代休を取る。で、週末やっている「販売所」が無いためこれまで買いそびれていた、Schloss Schoenborn の事務所へ、アポも取らないまま厚かましく乗り込む。MarcobrunnとPfaffenbergの、KabinettとSpaetleseを、94er, 93er, 91erという具合に、随分丁寧に試飲させてもらう。91erの、「少し熟成が進んだ感じ」がやはり何とも好み!
「個人的にはこういうのが好みだが、世間一般では『ドイツワインは3、4年の内に飲むべきもの』などと言う人が多いですよね.....」 結局、89erのAuslese各1本(Marcobrunn とPfaffenberg)を筆頭に、91er以降のSpaetleseを延べ6本とKabinettを延べ9本、買い込む。お金を払おうとしたら、「あとでインボイスを送りますので、振り込んでください。その方がこちらもラクなんで。」との返事。見ず知らずの素人客なのに、なんとも信用しきってくれて感激。 7月6日(土) 午後遅く、まずは「定点観測地」へ。先週満開だった辺りの樹では、だいたい「花」は散って、直径2ミリ位の「ブドウのようなもの」になりかけている。 この後、「フランス飯でも食べようか」という話になってAlsaceへ向かう。が、途中まで行って、パスポートを忘れたことに気が付く。原則として、ドイツとフランスの間ではパスポート提示を要求されることはない(パスコントロール廃止協定が発効したため)とは言うものの、何かあるとやはりマズい。かと言って、これから家まで取りに帰ってはあまりに遅くなる。結局、「外国」は諦めて、Wuerttembergへ行ってMaultaschenでも食おうかと。Heilbronnまでは高速を飛ばして、そこからNecker川沿いに。このあたりは昨年の秋にも一度日帰りで来た。とりわけ、川に面した急斜面の畑が立派。ブドウ地図によると、BesigheimのWarmbergという畑らしい。 結局Besigheimの旧市街の、小さいけどキレイなホテル(140マルクだから、決して安くはない)に泊まり、翌日もたっぷりブドウ畑散歩。午後はLudwigsburgの街見物の後、帰りにちょっと寄り道して、有名なEilfingerbergの畑を、車の窓からチラッと見る。(後日記: なんで「有名」なのかは、ドイツワインに関する読み物には大抵出ています。) 次の週末は、日本出張のため、ブドウ関係は一回休み。 7月17日(木) 平日ではあるが、翌日からの直子さん(妻のこと)の一時帰国の前にブドウチェックをすべく、19時半ころ帰宅して、すぐ「いつものところ」へ。前回チェックから10日経ったが、ブドウの方はさほど目立った変化はなし。他方、ちょうど農薬を撒くシーズンと見えて、国営農場の建物の回りにはいろいろな機具を備えたトラクターが並んでいる。別の所では、もう21時だというのに、まだトラクターのエンジンの音が。 (後日注: この季節、日没が21時〜21時半ころ。完全に暗くなるのは23時くらい。) 7月20日(土)〜21日(日) 15年来の悪友であるY氏(今はDuesseldorfに住む)とその家族といっしょに、TrierおよびLuxenbourgへ。Trierの駅前で落ち合うことにして、その前に僕が独断で宿を決めることに。 「Trier市内もいいけど、たまには田舎に泊まるのもいいか」 ということで、TrierからMosel川沿いに20キロ程下ったところのMehringなる村で宿探しを。川沿いの「いい場所」にあった2件のホテルはどちらも満室。「Gaestezimmer」の看板はいっぱいあるが、いかにも「普通の家」風で、「お子様連れ」(注:Y家には小さな子供が2人)の今回はちょっとどうかと。結局、集落のはずれにあった3軒めのホテル(Weinhausとの肩書きもあり)で空室があったのでここに決める。川こそ見えないが、目の前から延々とブドウ畑。 そのブドウはというと、もう5ミリかそこらに大きくなっていて、3日前に見たRauenthalとはだいぶ違う。実はMoselの主要部はRheingauの主要部よりも南に位置しているという話はごく最近になって活字で読むまで気が付かなかったが、もしかしてその分、少しは暖かいのだろうか??? 17時にY家と合流して、ローマ時代の浴場跡(僕は91年12月に日本から旅行で来たときにも見ている)など見物したのち、DomのスグそばのKesselstatt(注:この地区ではわりと有名な、一流とされる醸造所の一つ。「超一流」ではない。)の玄関先のテーブルで少し飲む。94er Trittenheimer Apoteke Spaetlese Trocken, 95er Scharzhofberger Kabinett Halbtrocken, 90er Scharzhofberger Spaetlese (甘口)などを3人で回し飲みするが、どれもなかなかイケる。個人的には最後のやつがとりわけ好み。でも食事とともに飲むのはちょっと難しいかもしれない。 この後、ホテルに荷物を置いて、近くのStrausswirtschaft風の店の庭で夕食。当然のごとく当家製のワインを飲むが、何とも「水っぽくて味が薄い」感じが否めない。Y氏は一口飲んだだけで、ビールに変える。僕は2盃目はSpaetleseに。確かに1杯めのKabinettよりは味が濃いが、やはり先程のKesselstattにはとても及ばない。ホテルに戻ってからも、やはり自家製の甘口のSpaetleseを一杯。これはマアマア。でも最後はビールで口直し。 8月4日(土)
直子さんはまだ帰省中。先日、職場の同僚が 結局、以前からやっていた「一杯飲みスタンド」のことだったが、それでも89er Spaeteleseなんていうのも置いてあったりして、なかなか悪くない。0.1リットルのグラスで2種類ほど味見(注:有料です。念のため。)ののち、2本ほど買って帰る。ブドウの樹の様子は「いつもの」Rauenthalの畑よりも健康そうな感じ。ブドウの実がどれくらいに成長していたのか、これを書いている今となっては(8月26日)思い出せない。でも写真を撮っておいたと思う。 (後日記: 写真では1cm近くになっているように。最終的な大きさの8割くらいか。) このあと、「いつもの」Rauenthalへ。やはりなんとなく、「いまいち育ちの良くなさそうな樹」がちらほらあるような気が。とりわけ、「国営」の畑とおぼしき所で目立つ。単に「素人の勘違い」で、これはこれで正常なんだと良いのだが... 8月10/11日の週末と、17/18日の週末は、スコットランド旅行のためブドウ見物はお休み。 8月25日(日) 3週間ぶり(直子さんは5週間ぶり)にRauenthalへ。さすがに、ブドウの実もかなり大きくなっている。でもやっぱり、「いまいち育ちのよくない」やつがちらほらいるのが気になる。 この後は、これまたいつものパターンで、KiedrichのStrausswirtschaft(注)へ。バス通りに面した、「これまでいつも満席で入れなかった店」へ。この手のStrausswirtschaftには珍しく、ワインの種類が多い。結局、Spaetleseだとか、赤ワインだとかを飲む。 (注): 造り酒屋が、中庭や醸造作業建物の一角にテーブルを並べ、自家製ワインと簡単な料理を出す店のこと。ほとんど普通の大衆レストランと変わらないところから、いかにも臨時の素人っぽいのまで、いろいろある。 9月7日(土)〜8日(日) 先日、「パスポートを忘れたために中止した」Alsace地方を目指す。途中、せっかくの通り道なのでPfalz地方を経由。やっぱりこの辺りは「ブドウ海」だ。今年は少なくとも雨は少なかったので、ブドウも健康そうである。もっとも、気温はかなり低かったので糖度の方は何とも。 途中、ある町の農協醸造所らしきところで、ささやかな祭りが始まらんとするところに出合う。早くも「Neuer」(注)がお目見え。早速、「初物」をいただく。当地の例にもれず、コップは0.5リットル入り。この後、ちょっと酔い覚ましを兼ねてブドウ畑散歩。垣根作りの様子はRheingauとほとんど同じように見えるが、両端の杭の補強のため(?)に、石またはコンクリートの支柱が植え込まれている点はこの辺りの特長か。 (注): 一般には、発酵途中の濁りワインを指す。Federweisserもほぼ同義と思うが、細かい違いがあるのかどうかは知らない。いすれにせよ、決してお上品な飲み物ではない。 散歩ののち、国境を越えてStrasbourgへ向かう.....が、町は観光客で溢れていて、ホテルを見つけるのも難しそう。すぐに諦めて、ブドウ街道の方へ向かう。で、Obernaiの町でホテルを探そうとするも、ここも観光客で溢れていて、空室は全くなさそう。結局、この町の、とあるホテルのフロントで紹介してくれた「山奥」のホテルに電話して部屋をキープ。ちなみに、英語は通じなかったが、ドイツ語は全く問題なく通じた。アトはパンフレットの簡単な地図に従ってホテルへ向かうが.....スゴい山奥であった。小さな集落ではこのホテルの他にメシにありつけるような場所は皆無。よって、ホテルで遅い夕食。Rieslingの普通瓶1本と、Pino Noirのハーフ瓶1本を空ける。そんなに「飲みすぎ」とは思わなかったのだが、翌朝の体調はイマイチ。 翌8日(日) まずはMolsheimの町まで出て、簡単な観光。その後、「ブドウ街道」沿いにObernaiの町まで行き、昼食。「ご当地名物料理」を食す。勿体つけた言い方をしたが、実はザウアークラウトに焼きソーセージ、ベーコン、塩漬け豚肉を茹でたもの等を載せた、なんともドイツ的な食べ物がこの地の名物料理ということになっていて、フランス語をしゃべる観光客ら...パリあたりから来たのがろうか...が、これを珍しそうに食べている。他方、ドイツ人観光客はというと、これまた同じものを食っている。わざわざフランスに来てまで食わなくてもいいのにと思うが。 少々街散歩ののち、更に「ブドウ街道」を南下。途中、適当な所でブドウ畑散歩。とてつもなく立派なブドウの房(1個々々の房が大きい!)が目立つ。品種はわからないが、少なくともRieslingではないだろう。このあと、Bergheimという名の町(それにしても、何と典型的なドイツ語の地名!)を少し散歩ののち、Colmarを素通りして、川向こう(即ち、ドイツ側)のブドウ栽培地、Baden地方Kaiserstuhl地区へ。 結構いい時間だったので、はじめは寄り道しないつもりだったが.....近くまでくるとやっぱり寄ってみたくなる。丁度昨年の9月にも訪れたBurgheimの町を通りかかったら、なんとここでもお祭りの最中!結局、お祭り会場で、やはり「Neuer」を1杯。ここのコップは0.25リットル入りなので無難。昨日といい、今日といい、「Neuer」はとりたてて旨い飲み物ではないかもしれないが、地元の、しかもこの季節ならではのものだと思うと、どうしても飲んでおきたくなる。結局、23時ころ帰宅。 <お詫び> この週末の分は、やたらローカルな地名が出てきてしまいました。興味のある方は、フランスの道路地図でも買って探してみて下さい。 9月15日(日)--- 日本では「敬老の日」 例によって、Rauenthalの散歩コースへ。昨年は8月末から雨が多く、この時分にはブドウ達もだいぶ「腐り気味(?)」に見えたが、今年は今のところ健康そう。山の上の方のLangenstueck畑では赤ブドウもちらほら植えられているが、ちょうどブドウの実が緑から茶色に色付き始めている。 9月29日(日) またまた、いつものRauenthalの散歩コースへ。Rieslingのブドウの房の様子は、2週間前とあまり変化なし。但し、所々、葉が黄色くなり始めている。この前は「緑と茶色のまだら模様」だった赤ブドウも、しっかり黒い色に。 引き続き、久しぶりにSteingerg畑を訪れると、随分な人出。行ってみると、畑の中の「あづまや」みたいな所で、何種類かのワインと、軽い食べ物を出すサービスをやっていた。貼り紙によると、初夏(5月?)から9月末まで、毎日やっていたみたい。この畑も時々訪れてはいたが、知らなかった。もしかしたら、シーズンオフにばかり来ていたのかも知れない。95er Steinberger Kabinettと、もう少し古いSpaetlese(Jahrgangは忘れた)などを買って飲む。 10月11日(金) 平日だが、午後は半休をとって、2泊3日でMosel方面へ。途中、Rheinhessenのブドウ畑地帯を横切って行く。所々で収穫の帰りのトラクターと行き交う。Mosel川までたどり着いたらもう暗くなっていた。結局、Cochemの少し上流のEdigerという村の国道沿いのレストラン兼Pensionに駆け込む。安っぽい作りなのにDM140(ダブル、朝食付き)とは恐れ入った。後日あるガイドブックによると、Cochem周辺は観光客が大勢押し寄せるのでホテルの相場も随分高めだとか。 10月12日(土) 朝はEdiger村の裏山のブドウ畑散歩。村に戻って、車で上流方向へ数分行くと、「絶壁のブドウ畑」で有名なBremmer Calmont畑のあたりへ。ホントにこれはすごい!!! ...でも、この辺のワインが特別いい値段で売れるという話は聞かないし...日本の能登半島の千枚田じゃないが、だんだん「うち捨てられて」ゆくのかなぁ、と心配に。 引き続きどんどん南下して、Wehlen村ではJoh. Jos. Pruemの屋敷を「ちらっ」と。残念ながら「直売所」の類は見当たらない。橋を渡って向かいのZeltingen村で、FederweisserとZwiebelkuchenの軽い昼食。回りの観光客達もほとんど、Federweisserを飲んでいる。 前にも来ているBernkastelは素通りしてどんどん先へ。Trierも素通りしてSaar地区へ。適当な宿があったら泊ろうと思うも、宿の類が非常に少ない。Mosel本流に比べると、観光客の数もはるかに少ないのだろう。2年前にも訪れたScharzhofbergの畑は、今回は車で素通り。Serriger Vogelsangの畑や、かつて日本でよく飲んだAiler Kuppの畑なども車窓から見るが、宿がまだ決まっていないので散歩は諦めて、再度Trierへ戻る。しかるに、Trier市内のホテルも満杯状況。Mosel沿いに下って、"Zimmer"の看板をしらみツブシにあたって見るも、みんな満室!! もう諦めて、Frankfurtへ帰ろうか...と思い始めたころ、Poelichという田舎村の何軒めかのGastzimmerでようやく空室にありつく。改装したばかりのとてもキレイな部屋で、2人でDM65とは感激。昨日の件があったので、最初「一人DM65」と言っているのかと思った。 10月13日(日) 朝飯を食べ終わるころ、宿のおばさんが話しかけてきた。実はこの家もブドウ農家で、しかも自家醸造をやっているとのこと。おかげで、だいぶ話し込む。前から気になっていた95年の作柄について尋ねると、「結構良かった」との話。それまでは「雨が多くて、ブドウが腐ってしまって、悲惨な年」だと勝手に重い込んでいたが、そうでは無かったらしい。おばさん曰く; 「95年の収穫期は確かに多雨で痛みもあったが、それまでの日照が大変良かったので、ブドウの出来としては悪くない。今年(96年)は、確かに雨は少ないが、夏の日照もたいしたことなくて、ブドウの出来はぱっとしない。それで少しでも糖度が上がるように、去年より2週間ほど収穫を遅らせている。Mueller-Turgauはもう収穫したが、Rieslingは今週の水曜日から収穫を始める予定。収穫中はGastzimmerもお休み。」 引き続き、せっかくの機会なので話を続ける。 「ブドウ畑は、何箇所かに分散しているが、合計3haほど。普段の農作業は夫婦2人でやる他、別の仕事を持っている息子も時々手伝う。収穫期はポーランドからの季節アルバイト、それもだいたい毎年同じ人達を雇う。」 「ここに泊まる人? やっぱりほとんどはドイツ人。一週間ほど泊って、Trierをはじめ、この辺りを一通り観光するのかな。毎年来る家族もいる。アメリカ人やカナダ人も時々来る。日本人も外では見掛けるけど、ウチに泊ったのはあんた達が最初じゃないかな.....」 随分くつろいだのち、礼を言って散歩に出かけようとしたら、「ちょっと待って!ブドウ食べるよね?」と言って、裏庭の畑からブドウを2房切ってきて、水で洗ってくれた。で、このブドウを食べながら、この村の裏山のブドウ畑散歩に。 11月3日(日) 日本では「文化の日」 いかにもドイツの晩秋らしい快「曇」の空のもと、Rauenthalの「いつもの散歩コース」の後、Johannisbergへ。 先週はBaiken畑の下のほうでEiswein用のビニール覆いの作業中であったが、今週は作業中の人影はなし。他方、いつものことながら散歩する人影は多数。国営農場建物の下側の畑(Baiken畑の一部)では、ビニール覆いこそ施されていないものの、キレイに葉を落としてある。明日からビニール覆いの作業を続けるのだろうか。でもブドウ達は随分黒ずんでしまっていて、「大丈夫かな?」と心配。とはいうものの、昨年も似たような光景で「こりゃダメだ」と思ったのは素人考えであって、実は昨年は結構良かったみたい。(この後のJohannisbergの直売所で確信を持つ。)引き続き「いつものコース」を辿る。同じBaiken畑でも、国営農場建物の奥側、上側の部分はおおむね収穫済み。更に奥のほうのW*lfen畑、Gehrn畑、Langenst*ck畑などはほぼ100%収穫が終わっている。先週は半分程残っていたので、この一週間で全部収穫してしまったことになる。 MarcobrunnのあたりはJohannisbergへ向かう車窓からのみのチェック。中程一部、ビニール覆い済みの部分も。大雑把に言って、Marcobrunn畑は半分ほど収穫済みか。 Johannisberg畑は、今日は下の集落から登ってゆく。こちらはほとんど収穫済みの様子。Schloss Johannisbergのカフェの真下のあたりのごく一部のみブドウが残っている。去年までは気が付かなかったが、少なからぬ部分で明らかに「機械収穫」をしたと見られる跡も。こういう一流畑ではすべて手収穫するものとばかり思い込んでいたが現実はそうではないらしい。もっとも、ここSchloss Johannisbergでは、独自の考えでもって、何とEisweinを機械収穫するとの話は最近Vinotequeで読んだ。しかしながら、別の部分では明らかに手収穫だろうと思われる跡も。畑の場所の善し悪し、あるいは目指すワインの等級の違い(QbAかKabinett, Spaetleseか)によって使い分けているのだろうか。(単なる推測) この後、Schlossの直売所へ。目的は、「素人目には一見悲惨に見えた」去年(95年)のワインが、どんな具合に売られているのかを確かめるため。で、行ってみてびっくり。95erは、Spaetleseばかりか、何とAusleseまで売られている。ということは、95年は「むしろ、良いJahrgangの部類」だったということか。するとあの、一見、カビたり、腐ったりして「ダメか?」と思ったブドウ達が、実はSpaetleseやAusleseの元となる「よく熟したブドウ」だったと言うことか。やっぱり無学な素人には解らん..... で、結局、95erのKabinettからAusleseまで、とりあえず1本ずつ買って帰る。ところで、今日もらって帰った「96年版の価格表」を家で「95年版」と比べて、もう一つビックリ。Spaetlese以下の値付けは殆ど変化ないが、Auslese以上は随分値下げされている。例えば、昨年の価格表では1本DM95だった93er Ausleseが、今年はDM67になっている。どうして??? ところで、もう一つおまけにビックリしたことには、95erからラベルのデザインがまた少し変わっていた。以前の「風景画では無い方のラベル」(Kabinettだと白地、等)は、少なくとも50年以上は変わらなかったのに、去年までのラベルは10年足らずで変えてしまったことになる。Reinhartshausenなんかも数年前から下地の色が変わった(WeissburgunderやChardonnayのものだけは以前の白地ものを使ってはいるが...)かと思っていたら、去年はデザインも少し変わっていた。Schloss Schoenbornも94erからデザインが少し変わって単調になった。国営醸造所みたいに「亀の甲文字」を「普通の書体」に変えるのは世の中の大勢ゆえ仕方ないとは思うが、どうしてラベルのデザインそのものまで変えてしまうのかなァ。 このあと..... この後年末まで、ブドウ散歩はお休み。といっても、寒くてお休みした訳ではない。11月の最終週の土・日以降、「クリスマス市」見物に忙しかったから。これについては、また別の所で。
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