01-May-99 ブドウ日記 (99年 その2)
ブドウ山大散歩大会!
3月14日(日) ベルクシュトラーセ地方、ヘッペンハイム
アーモンドの花 前回のブドウ散歩からちょうど1ヶ月、久々にベルクシュトラーセ(Bergstarasse)地方、ヘッペンハイム(Heppenheim)へ向かう。フランクフルトの南、ダルムシュタットを越えてハイデルベルクへ向かう途中にある。 この「Bergstrasse」を直訳すると「山の道」ということになるが、ここの場合は「山の中の道」というよりは「山沿いの街道」の意味であり、かつまた、その街道沿いの地方一帯を指す名前ともなっている。後になってドイツワイン法で原産地呼称が法律で定められた際には、この地方の北半分のヘッセン(Hessen)州に属する部分は「ヘシッシェ=ベルクシュトラーセ(Hessische Bergstrasse)地方」というワイン法上のワイン産地名ともなった。 ちなみにこの街道の南半分はバーデン=ヴュルテンベルク(Baden=Wuertemburg)州に属し、ワイン法上の産地としては「バーデン地方」に属する。更にこの部分を限定して言う場合には「バーディッシェ=ベルクシュトラーセ(Badische Bergstarasse)地区」と称する。....とまあ、これは雑学の一種。 この地方はドイツとしては比較的温暖で、「ドイツで一番最初に春が来るところ」とも言われるそうだ。確かに色々な花が咲き始めるのもフランクフルトやラインガウあたりより早いように思う。今日ここへ来たのもまさにそれが目的、一足早い春の景色を期待してのことである。 上の写真でお分かりの通り、期待通りアーモンドの花が5分咲きである。写真は省略するが、レンギョウの花なんかは満開だ。が、残念ながらこの日のブドウ散歩は少しだけですぐに退散となってしまった。土地勘がいい加減なので適当に車を止めて歩き出したのはいいが、農道の舗装がすぐに途切れ、ベビーカー連れでは苦しい道となってしまったからだ。再度車に戻って、どこか良い所はないかとうろうろしているうちに、息子が空腹で怒り出してしまい、残念ながら諦めて帰途についた。
こちらは、タンポポが満開。 約2ヶ月ぶりに、昨年来「いつものところ」となりつつあるキートリッヒへ。 ブドウの木の新芽はまだごく一部が僅かに膨らんでいるだけである。一応写真に撮ってはみたが、何が写っているのかほとんどわからないような写真しか撮れなかったので、ここでは省略。そんな具合でブドウの木にはまだほとんど変化が見られないが、ブドウ畑はどこもかしこもタンポポが満開で、いかにも春の雰囲気満点である。 が、残念ながら途中で雨が降り出したので早々と退散する。前回のブドウ散歩(3月14日)に続いて、2連敗。
ようやく開き始めたブドウの新芽 前日夜、当地でワインの勉強をしている「熊さん」(私がつけたあだ名ではない)を自宅に招き、3人で5種類4本のワインを空けた。(つまり最後の2種類は半分残し。)普段大抵は夫婦2人で1本止まり、休日前夜で余程調子に乗った時に1本半を空けるのが精々だから、久々の深酒である。翌朝の二日酔いが心配であったが、意外と軽症であった。昼までぐっすり眠ったことも効いているのだろう。 明けてこの日、まずは「シュパ掘り」見物に出かけ(そのうちUPしますね....)、その後「熊さん」を家まで送る途中でキートリッヒのブドウ山へ寄り道。前回から2週間で、ようやくブドウの新芽も明らかに「開いた」と言える状態となった。それ以外には....タンポポは大方咲き終わったくらいで、これと言った変化はない。 この後、腹も減ったし天気も良いので、シュトラウスヴィルトシャフト(造り酒屋が庭先で営業する飲み屋)の屋外テーブルで、早めの夕食。屋外テーブルは去年の秋以来である。またこの季節が来たと思うと、なんとなくうれしい。(但し、エアコン無しの愛車で昼間の高速道路を走るのだけはうれしくない。)
やっと本日分に辿り着いた。 今日は3月14日とほぼ同じ所へ。毎年5月1日(曜日に関係無く祭日)、このベルクシュトラーセ一帯では「ブドウ山大散歩大会」なる催し物が開かれる。といっても、この地方の外まで聞こえてくるようなメジャーなものではない。1昨年、この界隈に住む職場の同僚ドイツ人に誘われて初めて参加するまで、こう言うものがあることも知らなかった。昨年はちょうど「それどころではない」状況だったので、2年ぶり2回目の参加である。 冒頭の写真はその1シーンであるが....これでは、別段普段と変らない。ドイツにはとにかく散歩好きの人達が多く居て、良い季節の週末のブドウ山はどこも散歩客で賑わうことは何度か書いた。では、この日の催し物ならではの風景は何か、ということで、まず1枚。
ブドウ山の仮設飲み屋で、ちょっと一杯(いっぱい?) 普段はそれこそ何の変哲もないただのブドウ山であるが、この日だけは特別に、所々にワインや軽い食べ物を売るスタンドが出る。この写真で言うと、向かって右側の木で出来た小屋がワインスタンドで、丁度そのスタンドの周囲の畑のワインを中心に、のべ10種類ほどのワインを売っている。ついでに言うと、この小屋、おそらく別の機会にはワイン祭りの会場やクリマル会場なんかで活躍するのだろう。 グループで来る人達なんかはビン(0.75〜1.0リットル)単位で買うが、もちろんグラス売りもある。普通の飲み屋でグラス売りするワインは大抵0.2もしくは0.25リットル単位(プファルツ地方では0.5リットルのやつもある....これも以前どこかで書いたっけ)であるが、この「ブドウ山大散歩大会」のそれはすべて0.1リットル単位である。グラスの方も、いわゆるワイングラスではなく普通のコップを小型にしたようなもので、日本の「ぐいのみ」に近い。ついでに言うと、この「ぐいのみ」の保証金(プファント)は1マルクである。 向かって左側の緑色のテントの下では、パンとソーセージ等の簡単な食べ物を売っている。一昨年来たときは冷たいまま食べるソーセージの類しかなかったような気もしたが、今日見たところでは、ドイツで一番スタンダードな屋台フードとでもいうべき「焼きソーセージ」も売っている。もっとも地元の人達の場合、食べ物の類は持参で、ワインだけ買ってピクニック気分の人達も多いようだ。 さてブドウ畑の方であるが.... 3週間前のラインガウではタンポポが満開であったが、今日この辺りでは花は完全に散って、白い冠毛の塊が一面に残るのみである。
ブドウの木の方も、新芽はとっくに開いて、葉もかなり伸びている。
新芽の先には、早くも「花芽」らしきものも見える。
....が、昨年までの経験からいうと、ここから花が咲くまでは結構長くて、まだ1ヶ月以上先のことだろうと思われる。さて次の写真もまた、この地方の典型的なブドウ畑の景色である。
畑のあちこちに、点々と小さな作業小屋が建っているのが見えるだろうか。実は我が家のホームグラウンドであるラインガウ地方や、これまた時々出かけるワイン産地であるプファルツ地方なんかでは、こういうものはあまり見かけない。他方、ヴュルテンブルク地方では似たようなのを良く見かける。 畑の所有形態(ラインガウやプファルツでは大手農場が大規模に畑を所有している割合が多いのに対して、ベルクシュトラーセやヴュルテンベルクでは小規模農家が少しずつ畑を所有している割合が多い)とも関係しているのではないかとも思うが、もしかしたらさしたる理由はなく、単に「地方の習慣」なのかもしれない。 そうこうするうちに、次のワインスタンド(ドイツ語でもそのものずばり「Weinstand」と書いてある)に着いた。
本日の我が家にとってはまだ2つ目のワインスタンドであるが、コースのどこを歩いていても、だいたい30分から1時間ごとにこういうのに出くわすようになっている。まさに、散歩しながら「ハシゴ酒」するようになっているというわけだ。グラス売りのグラスに0.1リットルの小さいやつを使っているのも、もしかしたらあちこちハシゴ酒できるように、小さめにしているのかも知れない。 なお先ほど書いた通り、それぞれのワインスタンドで売っているワインは主にその場所周辺の畑のものであるから、散歩道に沿って歩いているといろいろ違うワインをハシゴすることになる。が、見たところ、そんな畑ごとのワインの違いがどーたらこーたら薀蓄たれているような人はあまり見かけない。ここではうるさいことは言わずに、とにかく楽しくハシゴ酒しながら散歩するという、いたって健康的(?)な1日を楽しむのである。 では最後に、本日もまた大人の勝手な遊びに付き合わされて退屈の極みで怒っていた人の顔を。
そんなに退屈がイヤだったら、早く自分で歩いてくれ!
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