26-Sep-99 前回更新は8月末ながら内容はまだ6月の話であった。 そうこうしているうちに実際のブドウは立派に実り、所によっては収穫まで始まってしまった。 よってこの際、途中はちょっと飛ばして、最新状況をお知らせしよう。
機械収穫風景 9月某日 プファルツ地方、ノイシュタット市郊外
かくして、向ったのはプファルツ地方。 この知人もワインに少なからず興味があるようなので、収穫風景や出来たてFederweisserを楽しんでもらうにはここがベストと判断した。 我が家のホームグラウンドであるラインガウ地方だと、おそらくまだ収穫が始まっていないと思われるので。 最初の訪問先はノイシュタット市域の北端にある村のブドウ農家協同組合の醸造所。 ブドウの集果風景が見られるのと、中庭で新酒+玉ネギクーヘンが楽しめるので、毎年この時期には訪れている。 その中庭は、平日の昼間だというのに、随分な賑わいである。
見たところ、休暇をとって(もしくはご隠居の身分?)ブドウ観光に来ていると言った感じの、中高年の皆さんが多い。 他に、地元の人達が昼メシ休憩に来ているような雰囲気のグループも結構いて、こう言う人達の中には新酒ではなくブドウジュース(アルコール無し)を飲んでいる人「も」いる。(つまり、多くの人は「新酒」の方を飲んでいる。) 醸造所の建屋の一角に新酒売りのスタンドがある。 醸造所の発酵タンクから発酵中に一部取り出した新酒を、カウンター後方の小さなタンクに移して、そこから手元の蛇口を経て注ぐようになっているらしい。
こちら、その新酒と、玉ねぎクーヘン。
この地方では、何も注釈をつけずに「1杯」といって注文すると、右側のような0.5リットル入りの大きなコップが出てくる。 これがこの地方のワインの基本単位なのだ。 こんなに飲みきれないという場合には、必ず「小さいグラスで」と言って注文しないといけない。 それでも0.25リットルだから、他の地方の「普通グラス」もしくはそれ以上である。 玉ねぎクーヘンとソーセージなんかで軽い昼食の後、収穫風景を求めて車を走らせる。 今回案内した知人は、普通の手摘みの収穫風景は見たことがあるが機械収穫は見たことが無いというので、このプファルツ地方では普及している(なにせブドウ畑の規模がでかいので)収穫機の姿を探す。 普段何気なく走っているとよくみかける収穫機だが、いざ探すとなかなか遭遇しない。 が、ようやく国道のすぐそばで収穫中の所を見つける。 今回の冒頭写真はその風景、その(1)なり。 次の写真は....
そうやって収穫したブドウの実と果汁を、集果の為の専用容器に移すところ。 そしてその次は、機械収穫の跡。
この収穫機、基本的にはブドウの房ごと切り落とすのではなく、ブドウの粒だけを叩き落とすような仕掛けになっているので、機械収穫の跡にはこのようにブドウの房の茎(その筋の用語では「梗」(キョウ)と言うらしい)が残る。 手摘み収穫ではあり得ない姿なので、収穫現場を見なくとも、これを見れば機械収穫をやっていることがすぐ分かる。
以前にも何度か書いたが、この季節のブドウ畑家、天気の良い週末ともなると、とにかくブドウ散歩する人達で一際賑わう。 この4人連れは、ちょっと「ブドウ散歩用衣装」という雰囲気ではない恰好をしているが、おそらく結構式か何かがハネて、ちょっと散歩に来たという雰囲気だ。 予想通り、ここラインガウではまだほとんど収穫は行なわれていない。 プファルツ辺りでは結構な割合いを占める、いわゆる「早熟品種」が、この辺りでは殆ど栽培されていないということだと思う。(もちろん気候も少し違うとは思うけど。) それでも、ドイツでもこの10年ほどの間に「赤ワイン」の比率は随分増えた。 今日は、ここホーホハイムで見られた各種ブドウの実をお目にかけよう。(文書の手抜きのためという説もある。) まずは、緑ブドウの方から。
こんな感じで、実も葉もまだまだ青いものから、ちょっと熟してきて葉が黄ばんでいるもの、葉は青いが実は黄色味と透明度が増してかなり熟した感じのものまで、いろいろである。これら、必ずしも品種が違うとは限らず、同じ品種でも株が違えば、実の熟成や葉の黄葉のタイミングは結構ばらつきがある。実際、ここラインガウ地方で植えられている緑ブドウは、その約9割がリースリング種であると、ものの統計には出ている。 (98年の赤白ひっくるめた資料では、リースリング種が81%、赤ワインになるシュペートブルグンダ種が9%、その他全部ひっくるめて10%、とのこと----これは「ラインガウ地方」についての統計。) お次は、黒ブドウ3態。
最後に、ちょっと面白い風景を2景。
この一角、ブドウの房の周辺の葉を落としてある。 日当たりと風通しを良くしてカビの発生を防ぎ、健康なブドウの生育の為に、このように葉を落とすこともあるとか聞いた。 これが赤ワイン品種の場合、日当たりを確保して色素の発達を良くするという目的も加わる。 面白いのは、優良ワインを産する一流醸造所でも、みんながみんなこのように葉を落とすかというと、そうでもない。 おそらく、それぞれの栽培責任者の思想の違いと、その時その時の気象状態やブドウの状態に応じた判断によるものと思われる。
こちらは、垣根と垣根の間に植えられた菜っ葉(?)の図。 地表面からの水分蒸発量を制御したり地質を制御する目的で垣根の間に草や菜っ葉(?)類を植えたり引き剥がしたりするのはドイツでは普通に行なわれているが、ここの「菜っ葉」があまりに立派で、かつまた収穫間際に播かれたようだったので、写真を撮った。
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