Last update: 17-Nov-97 駐在員のひとりごと (97年9月〜 )
はからずも、このコーナーはまた1ヶ月ぶりの更新となってしまった。 前回「投票券」のことを書いたフランクフルト市外国人代表団選挙の投票が、先週の日曜日、11月9日に行われた。結局ついに「選挙公報」の類は目にしなかった。また、日本のような「ポスター指定掲示場」もない。街角で時々それらしい候補者団体のポスターを見かけたくらいで、何の予備知識もなく投票場へ向かった。もっとも、当地の新聞(...Frankfurter Rundschauというやつが当地で最大手のローカル紙であり、有名なFrankfurter Allgemeineは完全に全国紙である...)を読んでいれば選挙広告を目にする機会もあったかもしれないが、我が家の場合は4年半前の引越し時にアパート広告目当てで何度か買った後は、ヒコーキに乗るときにタダでもらって来るやつ以外、ドイツの新聞を目にする機会がない。「地域に根差した生活」をしようという態度に欠けることを後ろめたく感じない訳ではないのだが、いかんせん辞書を引き引きドイツ語新聞を読むだけの時間的余裕がない。(インターネット遊びをちょっと控えればって? それは当たってる!) 投票所は近くの学校である。門柱にもどこかのポスターが一枚貼られていたが、ひっそりしたもんである。もっとも、「外国人代表団」の選挙だけなので一般ドイツ人住人には縁が無いということもあろう。投票所となった教室の中の風景も日本でお馴染みのやつと大差ない。受付で投票券とパスポートを提示して投票用紙を受けとり、目隠しをした記入用の机で記入する。すぐ前に投票箱があり、その前には立会人が3名ほど座っている。 ではどうやって候補者情報を得るかというと....これは投票用紙に印刷されているので、下調べがなくとも何とか投票はできる。もう少し詳しく説明すると....縦長の紙に左から、候補者団体番号、団体名と候補者個人名、団体の略号(アルファベット数文字)、そして右端には投票の印をつけるための大きな○が、一覧表のように印刷されている。言いそびれたが、ここでは候補者個人に投票するのではなく候補者団体に投票する。当選者の決定は比例代表制なのであろう。 折角の機会なので、どんな候補者団体があったか、全27団体を番号順にそれらしく日本語に訳して紹介しよう。(注: 団体名には「.... Liste」と付くものが多く、辞書によると「候補者名簿」との訳語がある。ここでは単に「グループ」とした。)
1. よりよい未来のための共同体 とまあ、こんな具合である。約半数は特定の国・民族を名乗っているので母体国・民族は明らかである。当地での外国人の出身地の比率が反映されていることは容易に想像がつく。残りの抽象的な名称の団体も、見る人が見れば候補者個人名等から出身国・民族の見当がつくのであろう。筆者が団体名および個人名を見た限りでは、東洋人らしき団体・個人は見当たらなかった。これがデュッセルドルフだと、日本人の候補者団体もいるらしい。(その団体の当落結果がどうだったかは忘れた。) なお、この背景として補足説明しておかねばならないことが一つある。ドイツの国籍法は日本と同様の血統主義を取っており、米・英・仏等のような出生地主義ではない。よって、トルコ人を中心に、ドイツ生まれの2世、3世の殆どは「外国人籍」である。但し、ドイツ側は2重国籍を禁止しているが、手続き上の(?)盲点をついたような方法で出身国とドイツの2重国籍を有する人も少なくないと聞く。 さて....このフランクフルト外国人代表団選挙の結果はどうだったか。 はずかしながら、僕はこれを知らない。翌日の地方紙でも買えば出ていたのだろうが、すっかり忘れていたし、そもそも日本人もしくは東洋人の候補者がいなかったこともあり、関心が薄れてしまっていたことを白状せねばならない。今日、Yahoo.deでちょっと探してみたが、それらしい情報には辿り着けなかった。
何と、このページは1ヶ月以上更新していなかった。なにぶん季節柄「ブドウ日記」の取材(?)と更新に忙しかったもので。 さて、昨日帰宅したら「フランクフルト市選挙管理委員会」から郵便物が来ていた。何と「投票券」である。ヨーロッパでは外国籍の居住者にも地方議会等の選挙権を与えている国がいくつかあるらしいが、ドイツもそんな最先端(?)の国の一つだったっけ、と思うのは早計。配られた投票券は「市(議会)における外国人代表団」の選挙のものである。 同時に配布された「選挙の情報」と題された小冊子は、独語、英語、仏語、ギリシャ語、伊語、2つのスラブ系言語(チェコ語とポーランド語かな?)、スペイン語、および全く見覚えのない言語、の9言語で印刷されている。(順序も上記の通り。) 当市周辺一帯には約2000人の日本人居住者がいると言われ、半分が市内居住者だとすれば1000人で、全人口60万人の約0.1%強である。また、韓国人は日本人の数倍いるようなことをちらっと聞いたような気がするが、この小冊子には日本語、韓国語、中国語等の記述は無い。 この小冊子には、当市での「代表団」は37人からなること、当市に6ヶ月以上居住しているすべての外国籍の人に選挙権と被選挙権があること、ドイツ人と非ドイツ人との間の相互理解を深め、生活水準の改善を図ることがこの「代表団」の主な目的であること、および投票にまつわる注意事項等が書いてあるが、この「代表団」の具体的活動や権限等についての記述はない。以前ある日本人ミニコミ紙に書かれていた記事のあやふやな記憶によると、「議会でも発言権を有するが、議決権は持たない」ような存在であったように思う。議会「でも」と言ったのは、議会の外での活動に対してもそれなりの特権が与えられていたように記憶するからである。 「そんな中途半端な存在は、外国人差別を隠すゼスチャーであり、まやかしである」との批判も聞かれ、事実いくつかの国では外国人に対して地方選挙での完全な選挙権・非選挙権を与えているらしいと聞くから、ドイツはまだまだ保守的な方だ。それでも日本における実態や意識からは、相当進んでいると言ってよいと思う。あるいは、「いや、一般ドイツ人大衆における反外国人感情、差別意識は根強いものがある」との意見も少なくないし、実際僕も時々そういうものを感じるが、「だからこそ、少なくとも制度として規定できるところから改善して行こう」との態度は、評価したい。なんとなれば、日本ではそういった「制度」や「お上」の部分が最も「反外国人志向」に固まっているように思えてならないので。 そんなこんなで、この思わぬプレゼントにすくなからず嬉々としているのだ。でも、候補者情報はいったいどうやって供給されるのか、まだ分からない。 この機会に参考まで....当市の人口は約60万人で、うち約1/3即ち約20万人が外国人である。ドイツ全土の外国人比率は約1割なので、フランクフルトは極めて外国人比率が高いところである。その中での約1000人(?)の日本人は、ごくごく少数派である。
ついさっき、遅い朝食をとった。「うまい!」 何が? 白いご飯に、椎茸とワカメの味噌汁、チリメン雑魚入りスクランブルド・エッグ。我が家での典型的朝食メニューである。昨夜遅くに5日間の出張から帰ってきたばかりなので一段とありがたく感じるのに違いないが、それにしても自分の「日本食志向」を再確認した。 当地の駐在員以外の人達からは、「家では何を食べていますか?」との質問を数え切れないくらい聞かれた。僕の答えは、ずっと前から決まっている。
じゃあ、なんでそういう風ポジティブに言わないかというと......駐在員社会の暗黙のルールというか......こちらでの生活というのは「不便で、辛い」ものであって、そんなものを「楽しんでいる」そぶりを見せようものなら、変人扱いされるのは別に構わないが、「外国かぶれ! お高くとまっちゃって」などど悪口の対象にされかねない。でも幸い、最近はそんな「外国かぶれ」もぼちぼち増えつつあるので、以前ほど気を遣わなくなった。
結構少なくないのが、「どこでも和食・中華・イタリアン」主義。まあ、フランクフルトの日本メシ屋は結構高めであまり行かない/行けないので、パリやロンドンみたいに日本メシ屋がいっぱいあるところへ行けば、ついつい和食に向かう気持ちはわからなくはないけど。でも、これといった「イギリス飯」のないロンドンならともかく、花のパリへ家族連れで行ったときまで「和食」じゃなくてもいいのに、と思うのだが。フランス語メニューは確かに辛いかもしれないが、店によっては英語は結構ある。時には日本語だってあるし。 他方、「困った時の中華とイタリアン」は、ある程度うなずける。相当の田舎でも中華とイタリアンは結構見つかるし、そこの言葉がわからない時のメニューの選択も比較的苦労とリスクが少ない。 僕がとりわけ親しくしていた同僚(すでに帰国済)に、「究極の和食党」がいた。彼の場合、ロンドン・パリはもとより、およそ日本メシ屋のありそうな街は必ずチェックしていて、とっても詳しい。ある時など、「えーっ、ササイさん、折角マドリードに行ったのに日本食を食べなかったんですか? あそこのナントカなんて、旨い刺身がとっても安く食べられるのに!!!」という具合。ここまで徹すると逆に関心してしまう。余談になるが、彼の名誉にかけて一言付しておくと、欧人と日本人がいまいち融合しない僕の会社において、彼は欧人達ともっともよく付き合っていたうちの一人である。
そんな訳だから、フランスへ行くと、ひたすらフランス飯を食べ漁る。実際、それがフランスへ旅行する重要な目的の一つでもあるし。おかげで、今でもフランス語の普通の会話は全然できないが、メニューだけはある程度わかるようになった。フランスという国とその国民性、いろいろ好きになれない面も少なくないが、外食の食べ物は悔しいくらいに美味しいことが多い。(比較の対象がドイツのせいもあるか。)とは言うものの、いまだかって、ナントカの★がつくようなレストランに入ったことがない。ずっと前から「たまにはそういうところで」との気持ちはあるのだが、いつも観光優先で、薄汚い格好をしていることが多いのと、ホテルの確保がついつい遅い時間になってしまうので。 なおフランスへは仕事でも頻繁に行くが、だいたいは数人の日本人同僚と一緒のことが多く、その場合は全く様相が異なる。仕事先はパリの近郊で、普通に(?)遅くまで仕事をした後は地元の中華かイタリアン、たまに仕事が早く終わった時は、パリまで出かけてラーメン屋や焼き鳥屋へ向かう。まあ、20代・30代の男ばかり数人で「おフランス料理」って感じでもないしね。
昼はほとんどパブ飯。食べ物は、ハンバーガー(アメリカ風とは、ちょっと雰囲気が違う。上手く言えないけど。)、フィッシュ・アンド・チップスあたりが定番。カレーライスも結構見かける。ぬるいビター(上面発酵タイプの、やや色が濃い目のビール。ギネスみたいに濃い色ではない。これはイギリスが本場)を飲みながらこれらを食べるのだから、これは「正しいイギリス飯」してるといっていいだろう。 夜は、中華かカレー屋が多くなる。そもそも夕食での「イギリス飯」ってどんな物を言うのか、いまだによくわかっていない。多分、普通の肉やサーモンのステーキなんかを食べさせるレストランが典型的「イギリス飯のレストラン」なんだろうと思うし、そういう店へもよく行く。中華とカレーは元は外国から来たものだが、長い歴史背景を考えると今となっては「イギリスの風物」の一つと考えて良いのではなかろうか。そんな訳で、一応夕食も、「正しいイギリス飯」しているつもりである。 なお、食べ物の旨い・不味いは全く主観の問題ではあるし、一軒一軒の違いも大きいが、それでもあえて言おう。イギリスの中華はドイツの中華よりずっと旨い、と僕は思う。(あくまで、平均値としての比較。)
ここの地元メシは、魚好きの人にとっては天国だ! まるで七輪(僕だって、実際に使ったことは無い)みたいなので焼いたイワシの塩焼き、塩とオリーブオイルだけ付けてグリルで焼くスズキやタイに、イカや伊勢海老(残念ながら、これは食べ損なった)。これまで経験した中では、日本に次いで、魚の美味しいところだった。
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