22-Feb-98 更新分 くるくる --- その2 --- 遠乗り (22-Feb-98) 「ヨーロッパ諸国は地続きなので、いろんな所まで車で行けて、便利だね」とは良く言われる話だ。ぼくも遠乗りは嫌いではないが、なが〜い休暇にはあまり縁がないので、自分の車で行ったことがあるのは近隣諸国に限られる。それより遠い所へは、「へこへこ+貸くるくる」(注:ヒコーキ+レンタカーのこと)となる。時間を金で買うわけだ。 それでも、愛車は結構いろんな所まで行っている。どこまで行ったか、簡単に紹介しよう。(要は、自慢話がしたいのよ。)
最北端: デンマーク、ユトランド(本土側)の北端の岬 ....っとまあ、こんな具合である。イタリアも、フィレンツェのちょっと先までは行ったが、ローマまでは行っていないので、最南端は南仏マルセイユに譲ることになる。なお、念のため付言するが、ぼくはこれらのところまで1日で一気に走っていくような無茶はしない。一日の最長ドライブは、ブリターニュの「サン=マロ」という所までの、約1000キロ止まりである。(これでも、十分無茶か。) 同僚日本人達には遠乗りがあまり好きではない(なんてったって疲れますからね..)人が多いが、中にはスペインまで行った人や、北欧まで行った人もいることはいる。対象を更に世間一般のドイツ人達にまで広げると、およそ考えられそうなところはどこでも車で出かけてしまうようだ。この目で確かめた範囲で例を挙げると、
最北端: ノルウェー、ノールカップ(北岬) ---- 欧州大陸北端の地 の各地で、ドイツのナンバーを付けた車を見た。しかも、まばらにではなく、大量に。話はそれるが、このリストを見ると、ぼくが「端っこ」に行きたがる習性があるらしいことがばれる。 ローマでくるくる (22-Feb-98) ドイツに住む日本人達の間ではもとより、ドイツ人達の間でも「ラテン諸国の運転は荒っぽい」という神話(?)がある。だから、ぼくが初めてイタリアへ出かけた時には、少なからぬ同僚が「本気か?」といぶかったが、いざ行ってみると、幹線高速道路(大都市周辺を除く)や田舎の一般道を走るぶんには、そんなにたまげるほどのものではなかった。フランスやスペインも似たような感じ。20年前の大阪の方がはるかに荒っぽいかもしれない。 但し、パリ、ミラノ、ローマといった大都会は別だ。以前から仕事でパリ近郊にはよく行くこともあり、パリ市内もタクシーや友人の運転する車では度々走ったが、自分で走ろうとは思わなかった。 どんな風に凄いって....一例をあげてみよう。 パリの街並みは絶対王政の権力下で再開発されたためか、広々とした通りが多い。ここで、例えば片側4車線「分」の大通りがあったとしよう。なぜ「分」と書いたかというと、パリの街中の大通ではしばしば「レーン」を示す白線が無いから。かくして、信号待ちになれば4車線「分」の広さの所に7列「分」くらいの車が並ぶ。正確に言えば、「並ぶ」のではなく「雑然と停まる」。それでも、止っているぶんにはまだ良い。これが動き出しても、その密度はほとんど変わらないし、右の方にいる車が左折しようとぐいぐい来るかと思えば、その逆もしかり。その割に、そんなに頻繁には接触事故風景を見かけないのが、むしろ不思議である。葛西臨海水族館のマグロの群れが、結構な密度とすごい勢いでぐるぐる回っているにもかかわらず、ぶつからないのと同じ感覚か(???)。 「これが、話に聞くパリの運転か」というわけで、その後もずっと、ラテン諸国の大都会の街中の運転は避けてきた。....が、つい最近、その禁断の実をかじってしまった。パリを通り越して、いきなりローマ。 きっかけは仕事の帰り道。郊外での仕事が早くおわり、ヒコーキまでまだ相当時間があるので、「街中で遅い昼メシ食って行こうか」となったわけ。この時は大人数だったので車3台に分乗で、ぼくがそのうちの一台を運転していた。とにかく先頭車についていくのに精一杯だったが、まあ何とかなった。それに、乗っているのはレンタカーで、保険もちゃんと入っていると思うと、なんとなく大胆になってしまったと言う次第。所詮低速の市内走行なので、車同士ぶつかっても人的被害にはまず至らないしね。
これに味をしめて、次の出張では積極的にドライバーを申し出たのはいいが.... 市内の道路は、パリと違って、だいたいは車線を示す白線が引かれている。但し、走る車はこれを全く無視。片側2車線の道路で信号待ちになると、大抵3列の車が並ぶ。道路の中央寄りには時々「左折専用レーン」(注:イタリアは右側通行)があり、ここにも当然のごとく車が並ぶが、これらがみな左折するわけではない。直進車も全く気にしないでこのレーン(直進レーンよりは空いている)に並ぶのだ。このレーンの正面は、対向車線の左折専用レーンになっていることが多いから、ここに並んだ車は正確には「直進」は出来ない。どうするかというと、先頭車なんかは、本来の直進レーンに並んだ車より先に(信号がちゃんと変る前に)発進するというわけ。後の方はそうは行かないから、徐々に本来の直進車線に割り込むことで、一件落着。 これでも十分驚いたが、まだまだ序の口みたい。今度は「左折専用レーン」の無い交差点の話。やはり信号待ちしていたら、左側の対向車線をまっしぐらに走って行く車あり。正面信号が赤のうちに左折するのかな?(それだって十分違法だが、まだうなずける)と思いきや、信号ではまっすぐ正面向いて停っている。そして、交差する交通が途絶えるかどうかのうちに、本来の車線に割り込んで直進して行ったという次第。これにはちょっとたまげたね。なお、これをやる4輪車は多くはないが、スクーター(ローマはこれがまた多い)族は「これがあたりまえ」という顔して、対向車線で信号待ちをする。もっと言ってしまえば、連中は「信号」を待っているのではなく、「交差交通が途絶える」のを待っているだけのようだ。 お次は、駐車の話。 ドイツの都会では、街の中心部には大抵大きな有料駐車場があり、土曜日の午前中(=買い物客集中タイム)以外は、お金を払うのを覚悟すれば駐車に苦労することは少ない。かえって、ちょっと中心から外れた住宅地なんかの方が、そのような有料駐車場がなくて苦労することがある。パリでも、よくラーメンを食べに行く(!)オペラ座界隈には大きな有料地下駐車場があり、これまた苦労しない。 ローマではこうはいかない。街中の「有料地下駐車場」の類が皆無に近い。よって、有料/無料を問わず、駐車は専ら路上となる。かくして、「どこか停め場所はないか」ときょろきょろしながら走っていると、結構停められそうな場所は目に付くのだが、いざ停めようとすると実は周囲一帯が駐車禁止であることが少なくない。こちらはイタリア語の通じないヨソ者だし、万一レッカー移動なんかにあっては大変だと思い、「駐車可」の場所を捜すが、これがなかなか見つからない。結局、「駐禁」地区の路上で周囲の車に混じって停めてしまったことも何度か。幸い、引っかかったことはまだない。どうやら、イタリアにおける「駐禁」というのは、道路のレーンの白線同様、いまひとつ厳格なものではないらしい。 ....などと、この章では、ぼくがいかにローマの運転事情にたまげたを書いたが、活気溢れる東アジア諸国の交通事情を知る人からみたら、まったく整然とした何でもない世界に映ることだろう。残念ながらぼくはまだそれらの国々へは行ったことがない。 ドイツで車を運転してみようという方へ (22-Feb-98) ちょっとは「実用情報もどき」も載せなくては....と思い、この章をUPすることにした。という言い方で勘の良い方はお気付きの通り、以下は書き下ろしのものではない。昨年夏、インターネット趣味にハマりかけのころ、某MLで「今度ドイツへ旅行して、車にも乗ってみたいです。何なりとアドヴァイスを!」との投稿を見かけ、ぼくが付けたたレスである。文体がちょっと違うが、そのまま載せよう。
「地球に優しい生活」を心がけている人達にはしかられそうですが.... ドイツの車環境というか道路環境は最高です。私見では、ダントツの世界一かと。(ガソリン代ほか出費も、十分ハイレベルですけど。)さて、ドイツで車を運転する上で「注意する点」として、これまた私見を述べますと...... 【右側通行】 当たり前のことで分かっていても、ときどき「逆走行」をやりそうになりがちです。私も最初の頃2回ばかし逆車線への進入をやってしまいました。でも、これはまず大事に至る心配はないでしょう。回りに車が一杯いたら、絶対間違わないし、回りに誰もいなかったら、ぶつからない。 たまに「泥酔者、アウトバーンを数十キロ逆走」なんて新聞記事をみることはありますが、不思議と、こんなことやるのは地元ドイツ人ばかりみたいです。そもそも「泥酔」して乗るなんて論外な点は日本もドイツも同じ。 【優先関係】 こちらのほうが恐いです。標識等で明示があれば問題なし。そうで無いとき(具体的には、街中の住宅街の路地とか)は、「何があっても右側優先」です。日本だと「直進車優先」ですよね? こちらでは、直進・右左折に関係なく、「何があっても右側優先」です。結局、日本の感覚から言うと、「とても優先とは思えない側」が優先であることは多いです。(T字路など。) 非・優先側を走っていて、下手にぶつかったら完全に「負け」です。ドイツの修理代は高いですよ〜。 優先側は結構本気で突っ込んできます。(私は優先側でも突っ込みませんが。)まあ、レンタカーならフル保険にするのが無難でしょうね。 【高速道路での速度差】 追い越しでは、くれぐれも後方に注意。150キロで追い越そうとした時、後から250キロで来る車の速度差は半端じゃないです。バックミラーで、「まだまだ遠いな」との判断は危険。「どのくらいの速度で近づいて来るか」に常に注意が必要です。バックミラーに小さく写るポルシェは、あっと言う間にすぐ横に来ていたりします。もっと普通の車でも、200キロで走る気違い(私を含め)はゴマンといます。なんせ、「合法」なんで。 【高速道路で、後を見ないで追い越し車線に飛び出す車】 前項と全く相反するのですが、まったく無頓着に後をみないでいきなり「フラッ」と出てくるおじさん・おばさん・おねえさんは多いです。これまた、動きの怪しい車は近づかないにこしたことはありません。 【一般道でのすれ違いと、追い越し】 ドイツの郊外の一般道は、対面通行でも制限100キロです。すなわち、100+100=200キロの相対速度で、センターラインを挟んで、どうかすると数10センチの間隔ですれ違います。私なんか、最初のころ、百ウン十キロで走る高速より、こちらの方がずっと恐かった。 その上、日本に比べると「追い越し」も結構やります。(もちろん、特に禁止されて無い限り合法。)結構ちょくちょく見かけるのは、昼間でも普通にライトをつけること。これで、対向車の無理な追い越しの牽制にはなる。(と、信じている。) 【踏み切り】 日本よりずっと少ないですが、もしこれに出会ったら、特別な信号等による指定が無い限り、一時停止してはいけません。当地では、信号もしくは遮断機に万全の信頼を預けるみたいです。 ちなみに、止まらなくてよいところで急に止まって、後の車に追突されたりしたら、「止まった方が悪い」とされるらしいです。
なんて、ちょっと脅かし気味に書いてしまいましたが、でもやっぱしドイツでのドライブは最高に快適です。私が一番好きなのは、田舎の広々とした丘陵地帯の畑の中をまっすぐに走る、両側に立派な並木のある一般道です。高速道路は、速くて便利(フランクフルト〜ミュンヘン間なんて、待ち時間とかを考えるとヒコーキより速い)ですが、風情はだいぶ劣ります。でも、そこをかっ飛ぶのもこれまた大好きですけど。 なお、最後になりましたが、「ドイツには渋滞なんて無い」との噂は大ウソです。休暇の季節なんて、事故でもないのに「ぴたっ」と止まってしまって1時間ほど動かない、なんてことはちょくちょくあります。
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