秘密
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 中禅寺の指先が顎の輪郭に沿ってそっと流れるように動く。関口はそれだけでどきどきして頭の芯がぼうっとなった。
「――眸を閉じて」
 唇が頬を撫でるように掠め、耳許に息と共に言葉が寄せられる。関口はその言葉に従がって眸をぎゅっと閉じた。中禅寺が何をしようとしているのか、関口ははっきりと理解できている訳では無い。期待と不安が胸の中を渦巻いている。
「ん――っ」
 唇を覆われて、関口は息を詰まらせた。舌で唇をゆっくりとなぞられ、その感触に関口は身を硬くする。くすり、と微かな笑みを中禅寺が漏らしたような気がした。
「そんな風にしていたら息ができないだろう。少し口を開いてご覧」
 言われて関口は薄っすらと眸を覗かせると、僅かに震えながら消え入るような声で言った。
「ぼ、僕…こういうの初めてで…よく解らないんだ」
 中禅寺は笑みを浮かべて、指先でそっと関口の唇を押し開いた。
「大丈夫、僕がちゃんと教えてあげるよ。心配しなくていい」
 歯と歯の間に指を入れられて、指から逃れようと小さく首を振ると、中禅寺はますます指を深く関口の口に咥えさせる。関口は口から唾液が溢れそうになるのを感じ、指に吸いつくように唇を閉じた。
「んんっ」
 口内を探られ、関口は指を咥えたまま小さく声を漏らした。口の中に溜まった唾液が、微かに中禅寺の指を伝って流れ出る。訴えるような眸を中禅寺に向けると彼はゆっくりと指を抜き、代わりに唇を寄せて舌を差し入れた。舌を絡めとりながらきつく吸い上げられ、関口は堪らず中禅寺にしがみついた。
 中禅寺は関口の背に腕を廻し、くちづけたまま抱き上げると、机の横にあるベットに関口を横たえた。圧し掛かる中禅寺の重みに関口は身体の奥が痺れるような感覚を覚える。総てが初めての事で、何を予感していいのかも解らなかったが、中禅寺の言葉を信じて総てを彼に任せようと思った。自分が持て余しているこの想いの収拾をつけてくれるのは彼しかいないのだから。何故なら――
「中禅寺…先生…」
 関口は中禅寺の唇が自分のそれを離れ、耳許を擽るように舐めるのに過剰な程に反応する身体をどうする術も無く、掠れた声で言った。
「僕、中禅寺先生が…」
 そこまで言って思わず涙が溢れた。どうしてだか溢れて止まらない。こんな想いは初めてで、自分の想いだというのに訳も解らず混乱した。
「関口君?」
 中禅寺は関口の頬を撫で擦り、涙を吸い取るように眸の縁にくちづける。
「――好きなんです」
 漸く関口がその想いを口にすると、中禅寺は関口がうっとりするような笑みでそれに応えた。
「解っているよ…」
 中禅寺は関口に深くくちづけると、関口の衣服に手をかけてそれをゆっくりと剥ぎ取って行った。
「せんせ…」
 中禅寺の手が関口の裸の胸を滑り落ちる。小さな突起に唇を寄せ、吸いついては舌先で転がすように舐めた。もう片方の手では服の上から関口の形を確かめるように下肢を弄る。
 身を捩り、堪え切れずに声を上げる関口を、中禅寺は愉悦の眼差しで眺めた。

…まだ続くらしい
それも表で…(汗)
しかしここまできて裏に隠すのもねえ…(^^;)

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