アメリカ的いぬの生活 その十五
「タッカーくん」
今日(7/28/01)は、曇りで、わりと涼しく、お昼過ぎに池無しのドッグパークに
お出かけしました。遊歩道を一周して、戻ってみると、雑種の約1歳半になる
タッカーくんが、遊びに来ていました。なぜか、はなこに寄ってくるので、
いきなり「ガウッ」とはなこ流の挨拶をされてビックリしていました(^^;。
とってもかわいい、うれしくて飛び跳ねるように寄ってくる男の子です。
ポチよりすこし大きく、短めの毛の薄茶色で、やっぱし、はなこお姉ちゃん
に遊んで欲しい・・・(爆)。でも、ポチにも寄っていく、ついでに、わたしにも
寄ってくる(笑)。見るからにハッピーハッピーという感じのワンコです。
ポチ・はなと遊んでもらいたいタッカーくん(^^)。
タッカーくんを連れてきていたのは、ジョンです。ジョンを誘って、もう一周
遊歩道をお散歩することにしました。いろいろ話をしながら、歩きました。
でも、わたしは、ジョンの話を聞いて、とっても驚いた・・・・。
タッカーくんは、本当はジョンの妹さんの飼い犬です。妹さんはタッカーくんを
1月頃、アニマルシェルターから養子にしました。ガンの手術をし、その後、
抗癌剤による化学療法を続ける過程で、体力をつける助けにタッカーくんと
一緒に散歩したり、タッカーくんと過ごすことで生きる支えとしてきたのです。
ジョンも一緒にキャンプに行ったり、釣りにいったり、楽しい思い出を
たくさんつくってきました。
タッカーくんが、アニマルシェルターにくることになったのは、前の飼い主さん
に捨てられたからではありません・・・・。タッカーくんは、
ファイティングドッグ(違法の賭博闘犬)にされるところだったのです。
アニマルコントロール(逮捕権も持つ動物虐待事件などを中心に活動する警官)
が、ある現場に踏み込んだとき、タッカーくんは、ほかの20〜30匹ものイヌとともに
狭いケージに閉じ込められ、体中にウジ虫がわいているような状態で、生活していました。
ファイティングドッグの試合は、イヌ同士をけしかけ、血を流させ、
相手を殺すつもりで闘わせるものです。多額のお金がそれぞれのイヌに賭けられ、
ギャングの資金源とも言われています。試合会場や、組織の全容は
闇の世界のこと、なかなか警察などが摘発するのも困難です。
試合で、イヌが死のうが、重態になろうがそんなことは彼らの知ったことで
はありません。そのためにも、つぎつぎと
イヌが必要となり、盗まれるイヌが多発している地域もあると聞いています。
そんな目にあったイヌは、勝っても負けても、体中におった重傷が後遺症に
なるだけでなく、殺すか殺されるかの恐怖の体験が
トラウマになり、とても悲惨な犬生を歩むことになります。
今とくにシカゴでは、ファイティングドッグを厳しく取り締まるべく、
警察やレスキューグループが活動しているとニュースでも
取り扱っています。特集を組んでいるニュースもあります。
タッカーくんは、とても優しいワンコです。ポチとも、はなことも「お兄ちゃん、
お姉ちゃん遊んでぇ」と寄ってきます。一緒にもう一度遊歩道をお散歩したときも、
途中で生後4ヶ月のゴールデンの子犬と出会い、まるで兄弟のように転げまわって
遊んでいました。タッカーくんをもらったジョンの妹さんが愛情かけて
タッカーくんを悪夢から開放し、育ててきたのです。はなことタッカーくん、ゴールデン
の子犬ジャズくんが疲れて3匹とも体を近づけて(というより、はなこの側にタッカーくんとジャズくんが寄ってくる・・・・笑)横たわっているのを見ていると、飼い主全員の
顔がほころんでしまうほど、かわいいほのぼのとした情景です。(ポチは、ご存知のように
イヌより人間が好き・・・爆。)子犬と別れるとき、タッカーくんはタッタッタとついて
行ってしまいましたが、ジョンとふたりで大声で呼んだら、走って帰ってきました。ジョンは
とってもビックリ。「ぼくは、彼の飼い主でもないのに、こんなに
ちゃんと帰ってくるとは思わなかった(^^;。」わたしは、しゃがんで
タッカーくんを出迎え抱きしめました。
タッカーくんが、救い出されたのは、奇跡でしょう。
こんな優しいワンコが、闘って生き延びて行けるはずもない・・・。
わたしは、おもわず「どうして、いったいそんなこと(闘犬)が出来る人間が存在する
のかわからない」とジョンに言っていました。でも、ジョンは答えました
「奴等は人間じゃないよ。」そうなんだな、ジョンの言うとおりだ・・・心があるはずもない・・・。
話は、ここで終わりません。ジョンの妹さんのガンが再発してしまったのです。
やりきれない気持ちになりました。もうタッカーくんを連れて散歩に行くことも
ままならないので、週末ジョンが、ドッグパークに連れてきているのです。
ジョンはシカゴ市内に住み、イヌを飼える環境にはないのです。
タッカーくんは今、新しいお家を探しています。わたしは、もし、ダンナが
一緒にいたら、きっとダンナに懇願して「連れて帰る」と言っていたと思います。
でも、ジョンは自信をもって言いました。「必ず、すばらしい家を見つけるよ、
心配しないで。」と。「タッカーは、こんなに良い子だもの。」
わたしとポチとはなこは、ジョンとタッカーくんと一緒に公園を出ました。
駐車場でも、お互いに大きく手を振ってバイバイしました。
妹さんのガンが治りますように。
タッカーくんに良いお家が見つかりますように。
一日も早くファイティングドッグ組織が壊滅しますように・・・・・。