Last Update : 3/1/1999

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住居 2
7/13/1998
住もうとするエリアが大体決まれば、あとは実際に部屋をみてまわることになる。
これが日本だと、駅の近くの不動産屋の軒先に張られた間取りを見て、大まかな部屋の様子が想像できるものだが、アメリカじゃレストランに行ったってサンプルをおいてないし、メニューに写真付きで載せているところが珍しい国なので、そんな親切なものはないのだ。
部屋を探すのは日本と同じように不動産屋 ( real estate ) をまわるほかに、新聞や友人の紹介なんてのが意外によく使われるようだ。 というのは real estate agency を経由すると紹介手数料 ( 通常家賃の一ヶ月分 ) を払わなくてはいけないのだが、これを嫌う人がいることと、貸す側が real estate agency に登録せず直接借り主をさがすこともあるからだ。加えて、現在の借り主が出るときに友人に紹介することもよくある話だ。アメリカ中で見られる話ではないかもしれないが、Long Island は一軒家が多く、その家主が建物を改造した上でその一部をアパートとして貸しているケースが見受けられる。タイプはまちまちで、内部は完全二世帯住宅の様に二重化され、玄関まで別々のものが一般的だ。
real estate agency を使うのならその住もうとするエリアの agency を電話帳で探すと手っ取り早い。日本のように駅の前に不動産屋があるというような感じではないからだ。
新聞から情報を集める場合は、New York であれば、New York Timesnewsday が一般的だ。どちらも紙ベースだけではなくホームページにも物件を載せているので日本からでもある程度あたりをつけることはできるだろう ( トップから Classifieds をクリック )。掲載されている電話番号に電話して、部屋を見せてもらうアポを取る(これをいちいちやるのがめんどくさい。real estate agency はその辺のところを全部アレンジしてくれるのでまとめて見に行くことができる )

今住んでいるアパート
今住んでいるアパートの外観。これで家賃は $1000 切るくらい。

で僕はというと、会社に車で30分以内で、徒歩で行けなくてもかまわないが駅までも車でそれほどかからないようなところを探した。 実際には仕事をしながらだったので、ホテルに仮住まいしながら探さなくてはならず、基本的には週末しか時間がとれなかった。友達の家に滞在しながらゆっくり探せるとかホテルに泊まりながら探さなくてはいけないにしても毎日時間があるのなら、real estate を経由せず地元紙の広告をみながらゆっくり探すことができるだろう。手数料がかかっても時間をかけるわけにいかなかったので僕は最初から real estate をはしごして数件ずつ部屋を見せてもらい、今の部屋に決めた。 敷金礼金のしくみも大体同じで、僕が借りたときは、2 Month Security と 2 Month Deposit を支払った。 それから real estate agency に手数料1ヶ月分の家賃と1ヶ月分の家賃を先に収めた。
基本的には1年や2年毎のリース契約を結ぶことになる。僕の場合は1年毎なのできっと来年は家賃が上がるんだろうな。

契約の時の具体的な話なんかも別のところで紹介の予定。

銀行口座開設
8/13/1998
生活していく上で、銀行口座の開設は必須だろう。短期の留学生の人など、日本の親元から資金 ( や物資 ) の援助があって郵便局の送金などを利用しているなら不要かもしれないが ( 逆に短期滞在だと口座の開設も難しいかも )、たとえ給料などの入ってこない学生でも定期的な支払いが発生するようであれば、必要に迫られるだろう。
特に支払いが無いにしても、やはり自宅にちょっとしたお金を置いておくのは不安だから、保管という意味で銀行に口座を持っている人も日本だったら多いと思う。

僕がこちらにきて銀行口座を開設したのは、SSNを取得して、アパートの契約をするかしないかのタイミングだった。ここにアパートを決めようと思ったその近くに CITIBANK の支店があったのでそこで口座開設を依頼した。
実は、車を買う手続きも進めていて、ローンを組むためには口座の開設はすぐにでも必要な時期だった。
銀行口座の開設にあたっては事前に友人から「日本みたいに楽に作れないよ」と聞いていたが実際に僕のケースでもなかなか窓口はうんといわなかった。日本では以前は免許証などの身分証明書を見せる必要無く口座を開設できた ( 今はできないらしい ) が、アメリカでは口座の開設にはいくつか身分証明ができるものが必要で、パスポート、SSN、米国発行のクレジットカード、その他の写真付き身分証明書などが有効だ。が実際に窓口でいろいろ見せたがポイントが足りないと言う。クレジットヒストリーと住所が確定していないことが問題になった。住所に関しては、その当時ホテルに泊まっていて、アパートの契約書もあるにもかかわらず、「まだ住んでいない」と言う理由から確定した住所とは見なされないと言われた。またクレジットヒストリーに関しては、アメリカでローンを組んでいないとか、アメリカで発行したクレジットカードが無いからなどの理由だった。 けれども僕は日本にいたときに日本の CITIBANK の口座を開設していたので、そのキャッシュカードを見せたりもしたのが、クレジットヒストリーの証明がこれではできないと断られた。なんだかとってもナンセンスだ。 たとえクレジットカードをアメリカで作るにしてもそれを支払う小切手を切るための銀行口座が必要だが、銀行はクレジットカードのアカウントが無いと口座を開けないという矛盾を言う。
しばらく窓口の女性と話していたが、埒があかず、結局支店長が事情を聞いた上で、「OK」を出し無事口座を開くことができた。( 住所は SSN を取得しているのでその住所、つまり友人の自宅を口座で使用する住所とし、借りるアパートに住所が FIX したら、住所変更を出す、ということで住所の問題は処理してくれることになった。クレジットヒストリーは支店長判断ということになった )。
会社に行く前に銀行に寄って口座開設を申請したため、これだけで午前中を費やしてしまった。

さてどの銀行に口座を開くか。
基準の一つに近くに支店があって、全国にも支店が多い、という程度の基準で日本にいたときは銀行を決めていたが、どうやら日本の様に「全国どこに行っても見かける都市銀行」というのは通用しないようだ。たとえば New York エリアでは、Chase 銀行、CITIBANK ( 日本では CITIBANK 銀行って言うんだよね!?)、Fleet 銀行などが大手のようだ。そのかわりキャッシュカードにはたいてい「Cirrus」や「NYCE」のマークが印刷されていて、銀行の ATM にこのマークが表示されていればそこでお金の引き出しが可能だ。またスーパーマーケットや Seven Eleven などにも ATM があり、たいていこのマークが表示されている。しかしやっかいなのが ATM 使用料というやつで、無料の場合もあれば、有料の場合もあり、その場合の手数料もいろいろあって使ってみないとわからない。もっとも後から手数料を請求されるのではなく、暗証番号を入力し、いくら引き出すかを入力したあとの最後の確認画面で「手数料を××いただきますが、よろしいですか?」のような画面が現われ、一応そこでキャンセルすることができるが、手元にお金がないから、その銀行の支店以外の ATM に来ているわけで、普通はそこで OK 以外の選択を選ぶ余地は残されていない・・・。
また地元ローカルな銀行をよく見かけるが、銀行は決してつぶれない、と思っていても、アメリカでは銀行が倒産することは決して珍しくないので ( 最近は日本でも!? )、中小の銀行を選ぶときは注意が必要だ。とはいえ FDIC のマークがついている銀行は一定の金額 ( いくらまでか忘れた ) は預金が保護されるらしい。小さな銀行であれば FDIC の保証があるかどうかの確認もしたほうがよいようだ。
銀行のサービスの違いについても紹介する予定。

自動車購入
9/16/1998
車はアパートに引っ越すや否や探し始めた。一部の大都市を除けば車が無いと生活の不便を強いられる。自動車ディーラーだって離れたところにあるので車が無ければ見に行くのも大変な手間だ。( そういえば、僕が日本で車を購入したときはディーラーが送り迎えしてくれた )
アメリカで車を購入するに際して、できたら「日本車で新車」を買いたいと思っていた。仕事でこちらにきてハイウェイを運転しているときに、路肩にエンストした車やタイヤがパンクした車などが止まっていて、牽引サービスを待っているのを良く見ていたので、「知り合いもいないところでそんなことになっては困る」と思い、できるだけ故障しないような車を買おうと固く決意していたのだ ( その期待はもろくもすぐに崩れ去ったが。詳しくは、ここに。 )。
来て早々はレンタカーを借りていたので、これを早く返さないとどんどん料金が加算されていき、車の購入は一日でも早ければ早いほど良い状況だった。僕の買った車のタイプはこの際、あまり重要ではないと思うのでここでは書かないが、普段、車をどう使うか、自分の住んでいる周りの状況、それと自分の嗜好の3つを吟味して買うことになると思う。僕の場合は、「毎日通勤で使う」「車の盗難は少ない ( らしい )」「これまで所有してきたのとは違うタイプがいい」ということで4WDの日本の自動車メーカー ( でも日本製ではない ) の新車にした。
特に来たばかりで大きなサイズの買い物の頻度も多いうえに、まだ友人も少ないアメリカで気軽にしょっちゅう荷物の運搬も頼めないだろうということと、何年か前の大雪なんかを警戒したのも理由の一つだ。

ということで時間もあまりないので、ある程度の車種を決めて、ディーラーも数個所まわるだけにした。結局購入したのは自宅から一番近いところで、値引きはできるだけねばったが、かえって納車までの期間が長くなるとレンタカー代もかさむので、適当なところで購入に踏み切った。
購入の直前に一度だけテストドライブさせてもらったが、驚いたことにテストドライブは「Sold Out」と書かれた新車で行われた。つまり先に来た他の客が「この車を購入します」といってデポジットを払った車で試乗するのだ。まあ確かにデポジットしか払っていない段階ではキャンセルもできるし、ディーラーの持ち物なんだろうけど、何も無ければそのままこの車が納車されるわけで・・・。知らない人にいろいろいじくられるのもあまり良い気持ちがしないと思うんだけど。 ( 僕がテストドライブしたところだけがこの方法をとっているわけでもないらしい ) ところがテストドライブで使用した車だけではなく、屋内の展示車両も実は同じだった。展示してある車を見て、購入を決めると実際に手渡されるまでそのまま展示室に置かれて、次から次へとやってくる客が自由に乗ったり扉を閉めたり、子供たちも嬌声をあげながら車の中で遊んでいたりする。結構細かい傷なんかはそんなところですでに付けられてしまう。僕が買った車は幸いと言うか ( そのせいで納車も遅くなったんだけど ) 色と型番からディーラーに在庫がなく、一週間後に陸送されてくる分に入っていると言うことで、それを待つことになった。そのせいで店頭に並ぶこと無く僕のところに送られてきた。
購入の契約を結ぶと次は代金支払方法だが、僕はローンを組むことにした。ローンの実績をつくりたかったし、まして日本からまとめてお金を換金するとそれだけで為替損が発生すると思ったから。が、やっぱり現実はそんなに甘くない。銀行の口座だってやっとつくれたばかりの外国人のクレジットに信用があるはずもなく、ディーラーが進めてくれた銀行ローンのアプリケーションは却下された。ディーラーも車を売りたい一心からいろいろ手を尽くしてくれて、結局「頭金をもっと増やして」「支払期間を短く、一回の支払い金額の多くする」ことを条件に自動車メーカーのローンが組めることになった。( 実はその他にも条件があるのだがそれは省略 ) ちなみに車の契約をした時点ではまだ NY 州の正規のドライバーズライセンスを持っていなかった。このときは日本で取得した国際運転免許証と NY 州ドライバーズライセンスの Learner's Permit といわれる仮免許みたいなものだった。

ひとたび、購入が可能になると、車はすぐに持ちかえることができる。 中古車はともかく、新車でもそのディーラーの在庫にあれば、最短でその日のうちに乗って帰れる。必要なのは車の登録 ( ライセンスプレート ) と強制の自動車保険くらいなのでそのどちらも一日あれば作業が終わってしまう。( 自動車保険と納車の話は別の機会に紹介 )
ライセンスプレートは近くの DMV ( Department of Motor Vehicles )でディーラーの人が取得してきてくれた。( DMV の話は運転免許を取ったときに紹介 )

クレジットカード
11/15/1998
銀行口座が開けたら、次はクレジットカードだ。クレジットカードが無いと生活できないかというと、日本と同様にアメリカであっても、そうではない。が持っていないと、日本で持っていないときの不便とは全然違って、限りなく不便を強いられる。
第一に大金を持ち歩くのは危険だ ( 日本ではお財布に万札がはいってるのは多すぎはしないと思うけど、こっちに来てから$100も現金を持ち歩くことは珍しくなった )。

アメリカでクレジットカードを持つ方法は何通りかあった。

一つ目は日本で加入しているクレジットカードをそのまま使いつづけること。
この場合、おそらく銀行引き落としになっているその口座に常に円で貯金をしておく必要があることと、$1あたり、為替の手数料がいくばくか取られるため、大きな金額の買い物をしたときなどはそれも馬鹿にならないかもしれない。 それでもアメリカに住んでいて、給与が円で日本の銀行口座に振り込まれる人であれば、さほど不便ではないはずだ。

二つ目はアメリカのクレジットカードを持つこと。
銀行系のクレジットカードやデパートとジョイントしているクレジットカードは年間手数料が無料なので、ぜひ作っておきたいものだが、日本では簡単にできてしまうクレジットカードでも、アメリカではそう簡単にクレジットカードが作れない。というのもまったくクレジット履歴が無いため、審査でひっかかってしまうのだ。日本で VISA や Master 系のクレジットカードを所有していて、支払い実績があっても、なのだ。 で、僕のケースだが、あらかじめ友人から「American Express カードは日本で作っておくと、アメリカに行った時にアメリカ発行の American Express カードとして再発行してくれるよ」と聞いていたので、日本を発つ一ヶ月前くらいに慌てて発行してもらったのだ。 でアメリカで銀行口座が開け、会社の給与がその口座に振込み開始された時期に、アメリカにある日本の AMEX カスタマーサポートに電話して、切り替えを依頼したのだ。新しいカードが郵送されてきて、電話で有効手続きをとった瞬間から日本で発行してもらった AMEX カードは失効するとのことであった。このときのドル立てカードへの切り替えて数量はアメリカでの年間手数料と同額の $60 だった。
その後銀行口座を開いて3ヶ月後くらいだったか、銀行口座が開け、順調に支払いを繰り返しているうちに CITIBANK から「あなたは CITICARD ( CITIBANK のクレジットカード ) の会員資格を pre-approve しました」と手紙が来るようになった。別の友人からは銀行口座を開いてから一年くらいするとその銀行系のクレジットカードは作りやすくなる、と聞いていたので、3ヶ月ではまだだめだろうと半信半疑でアプリケーションに記入して返送すると、何の確認もなく、突然クレジットカードがやってきた。ただし毎月の限度額は $1200 (笑)。仕方ないので、パソコンを買ったり、旅行に行くときなどは AMEX を使わざるを得なかった。半年経った今でも CITICARD の限度額は $1200 のまま。一生懸命あちこちで使っているんだけど。

それからあらかじめ支払った金額分をクレジットカードで使える ( つまりプリペイドクレジットカードだよね ) というのがある。いわゆるセキュアクレジットカードというやつだ。クレジット履歴が無くて作れないようなケースではこの方法が有効だ。一年ほどセキュアクレジットカードを使った後、銀行系の年間手数料無しのクレジットカードに切りかえればよい。

最近は聞いたこともないような銀行からも「あなたはクレジットカード会員になる資格があります」といったダイレクトメールがうるさいくらいによく届く。最初アメリカに来たときはどこも信用して作ってくれなかったのに必要ないときに届くとは皮肉なものだ。

電気・ガス・水道
1/10/1999
アパートの契約時、忘れてならないのは電気・ガス・水道の契約だ。アパートを借りるときに不動産屋が介在していれば、連絡先リストをくれるので電話を入れるだけで、指定した日から使用できるようになるはずだ。聞かれるのはソーシャルセキュリティナンバーや住所の確認程度だろう。僕が入居の前にアパートを見に行った時点で3つも使用できる状態になっていて、実のところ僕は連絡を入れる必要はなかった。アパートの管理会社がすべて手配をしていてくれて、入居人が決まるまでは管理会社が料金を負担し、入居日以降からは僕に請求が来るようにしておいてくれたのだった。そのせいかどうか日本ではガスの元栓あけに立ち会わなくてはいけなかった記憶があるが、ここでは一度もそんなことを言われなかった。
さらに僕のアパートに関して言えば、ガス代と水道代はアパートの家賃に含まれているため、どれだけ使おうが一定だ。また冬の暖房代もこの中に含まれるため、この中から月々支払うのは電気代だけということになる。ちなみにガスが使えないアパートや家もあるのでその場合、料理も電気を使用することになるため月々の電気代はもう少し高くつくだろう。電気代に関して言えばあまりにほんと代わらないようだ。夏は冷房を使用する分だけ高くなる。暖房は僕が部屋にいようがいまいが、暑かろうが寒かろうがセントラルヒーティングなので勝手に入ってしまう。そのため冬の電気代はほとんどかからない。ちなみに1999年12月の請求代金は$25だった。
使用料金の支払いは、毎月送られてくる明細書を見て、それに同封されている請求書の金額分のチェックを切って、各会社に請求書と共に送り返す。このときの切手はこちら側の負担だ ( 切手だけではなく、小切手も銀行から買わなければならないのでコストがかかる上、郵送でチェックを送るのは時間もかかるので、すぐにインターネットバンキングでの支払いに切り替えた )。
エネルギー供給会社は地域ごとに一社ずつあるようで、選択はできないようだ ( 東京だったら、東京電力、東京ガス、東京都水道局以外の組み合わせが選べないように )。Long Island では LIPA が、Manhattan では Con Edison という会社がエネルギー供給の会社として一手に引き受けている。さすがに金融都市 Manhattan だけあって、Manhattan 内は停電になることはないらしいが、ここ Long Island は夏によく停電する。雷が落ちると一緒に電気も落ちる。信号も落ちて車の事故も誘発している。他州はどうかわからないが、Manhattan が例外なのではないいだろうか。
水に関しては、Manhattan と Long Island も水道水は飲めなくはないという感じだ。レストランなんかで出される水はほぼ水道水だし。水道の水を飲んでも、東京の水ほどカルキ臭い気はしない。それでもスーパーで売っている飲料水は安いので、水をよく飲む夏は冷蔵庫に切らさないようにしていた。冬はコーヒーやお茶を飲むので水道水を沸かして飲んでいるが問題なさそうだ。飲める水道水かどうかはそれぞれの地元の人に聞いた方がよさそうだ。もちろんアメリカでもおいしい水が飲めるところがあるし。

電話
1/21/1999
引越しの際にあらかじめ連絡しておくと便利なのが電話の契約だ。引越し直後かすぐに使えるようになるだろう。
電話はアメリカでは地元電話会社と長距離電話会社とが別れていて、契約は地元電話会社と行う。その際に長距離キャリアをどこにするかと聞かれるのだ。ニューヨークでは地元電話会社が Bell Atlantic になっており、長距離は AT&T、Sprint、MCI など大手の他、無数にある格安長距離電話会社の中から選べる。ただアメリカに渡った直後ではどこが一番自分の生活にあった長距離電話会社がわからないときは、この大手の中から選んでおくのが無難だろう。 現在僕が利用している長距離電話会社は INET というところで、日本まで一分¢22〜25でかけられる。アメリカ他州は¢10/分ぐらいだ。現在はこれよりも安いサービスを提供しているものも現れているが、長距離キャリアーを切り替えるたびにローカル電話会社から selection charge というのが課金されるのでちょくちょく変えるのはあまり得策ではない。がよく自宅に長距離キャリアから電話がかかってきて、「今なら、切り替えにかかる selection charge 分は当社が負担し、最初に○○ドル分の無料利用ができ、使用して不満があるようでしたら無料でもとの長距離キャリアに戻せます」なんて言うセールス攻勢を受ける。自分が切り替えようと思っていたときに運良くこういう電話がかかってくればそれで切り替えるのが得だ。
市内通話に関しても利用する頻度や掛け方によってうまく選ぶ必要がある。一ヶ月いくらかの固定料金を払うことで自宅近辺への電話が回数や時間が無制限になるもの、自宅近辺へ電話を掛けるたびごとに¢10ほど払うが、一度掛けると切らない間は何時間話していても追加が取られないものなどがある。ちなみに市内といっても市外局番ではなく、そのさらにしたの三桁により近辺かどうかが決まる。たとえば僕の場合、516-△△△-□□□□なのだが、516エリアは Long Island 全域なので、この場合△△△から同一電話料金で掛けられる局番が加入時にもらえるガイドに記載されている。インターネットを電話で利用する場合にはこれを知っておく必要がある。
このほか、電話会社が提供するサービスはたくさんあるので、電話を申し込むときにそれぞれのサービスを受けるかどうか聞かれるが、必要に応じて後から申し込むのがよいだろう。代表的なものでは日本でも1998年から始まった番号通知サービス、こちらでは caller ID という。このサービスを受けるには一ヶ月数$の料金が加算される。番号通知に関しては何も言わない限りは「通知する」になっており、電話帳の掲載や番号通知をしたくない場合は有料だった様な気がする ( うろおぼえ )。ただし番号通知をしないと相手先が電話をとらなかったり、場合によっては呼び出し音を鳴らさないようにしている人もいるので、使い分けが難しい ( ちなみに僕は基本的に電話のサービスを欲する以上番号通知は基本だと思っているので「通知する」にしている )。市販されている電話機の多くは call ID 対応になっており、そうでない場合には既存の電話の間にモデムのようにつなぐ caller ID ディスプレイアダプタが安価で売られている。ニューヨークのローカル電話会社 Bell Atlantic もときどきキャンペーンをしていてそのときに caller ID の利用を申し込むと無料でアダプタが送られてくるようだ。
また、月々の料金としては徴収されないが、掛けた相手が話し中だったときに、三桁の番号を入力して受話器を置くと相手の通話が終わると自動的に両者に接続してくれるサービス ( 利用するたび料金徴収。¢50くらいだったかな? ) や、直前にかかってきた相手の電話番号を教えてもらうサービスなどがある。
ちなみに月々の料金だが、先月の請求書を見るとこんな感じだ。

Monthly Charge for Dial Tone ( 基本料金 )$6.60
Bell Atlantic Local Calls ( 近辺への通話料 )$4.25
Surcharges and Taxes ( 手数料とか税金 )$5.91
Basic Wire maintenance Type-1 Wire ( 電話線保守料 )$1.04
Regional Carrier ( 長距離キャリア )$5.91


 

電話線保守料みたいなのはオプションでなにか問題があったときに即座にやってきて直してくれるというサービスだ。
長距離電話代はごらんの通り地元電話会社の請求書に「Regional Carrier」として書かれてくる。だいたいが日本への国際電話だ。
で$4.25にはほぼ毎日つないでいるインターネット接続分も含まれているが、大体こんな程度で収まっている。安いのはそれ以外の通常の通話はたいてい携帯電話を使用しているからだ。携帯電話も利用代金が安いのだが、これはまた別の機会に。


テレビ
2/14/1999
テレビを見る ( 受信する ) ための方法は日本と同じで、電波 ( 衛星含む ) かケーブルテレビだ。このうちケーブルテレビに関しては最近では日本でも利用者が増えているようなので、すでに利用している人にとっては違和感無いかもしれない。しかし大きく違うのはアパートによっては地上波のアンテナが設置されていなくて、ケーブルテレビのみがテレビを受信する唯一の手段になっているところがあるということだ。僕のアパートもケーブルテレビを引かずには ABC、NBC、CBSなどの地上波放送は映らない。 もちろん地上波用のアンテナを設置すれば、CBSなどのネットワークを見ることはできるようになるが、既設でない場合はアパートの管理会社や大家と相談して設置しなくてはならないだろう。またケーブルの他に衛星放送があり ( こちらはアンテナの形状からか「Dish」と呼ばれることもある ) 一軒家などでパラボラアンテナがインストールされているところを見るとそれなりに普及しているのだろう。逆にアパートなどではまだ普及していないようだ ( 日本ではケーブルより衛星放送のほうが普及しているよね? )。引越しした先でどのようにしてテレビを見るかについては不動産会社か大家が教えてくれるはずだ。
僕がここで加入しているケーブルテレビサービスは CABLEVISION という会社のもので、上にも書いたようにここと契約せずにはテレビが映らないのだ。しかもこの地域ではこことしか契約できないので選択の余地はない。同じニューヨークでも地域によってケーブルテレビ会社がことなる。たとえ同じケーブル会社でも住んでいる地域によって見ることの出来る番組も違うのだ。僕の住んでいるところでは日本語の番組を見ることは出来ないが、Manhattan や Queens、それとここを飛び越してとなりの郡では見られる。
ケーブルテレビの月極基本料もいくつかあって、ネットワークだけ見られる最もベースのもの、主要な放送が見られる中級のもの、それに HBO など映画チャンネルが含まれる一番高いものと3つある。僕が契約しているのは中級のもので、月におよそ$40かかる。きちんと数えたことはないがこれで40〜50チャンネル見られるのではないかと思う。代表的なチャンネルでは MTV、CNN、Nickel Odeon、Disney、Discovery、MSNBC ( ご存知マイクロソフトのニュースチャンネル )、VH1が含まれる。中には一風変わったチャンネルもあって、たとえば FOOD チャンネルは一日中料理番組を放送している ( がスタジオでの実況など結構面白い ) し、スペイン語を話す人たちが多いためかスパニッシュチャンネルも複数ある。スパニッシュチャンネルではテレビコマーシャルもスペイン語で流れ、このコマーシャルが英語版の吹き替えではなくオリジナルなのが面白い。バーガーキングやマクドナルド、自動車メーカーなどはどれも英語版と違う雰囲気で見ていて面白い。その他パソコンや貴金属、運動器具の通信販売を一日中放送しているチャンネルも複数ある。
こういったチャンネルとは別に Pay per View という形式のチャンネルもあり、あらかじめアナウンスされている番組を時間単位で料金を支払ってみるもので、たいてい新作の映画だったり、最近ではマイク・タイソンの試合が$50くらいでアナウンスされていた。PLAYBOY のチャンネルもあるがこれも Pay per View の形式を取っている。Pay per View 番組にチャンネルを合わせると「後何分で番組がはじまります。ここでケーブルボックスのリモコンの Enter ボタンを押すと見られます」と言うようなメッセージが画面に現れ、そこで Enter を押すと自動的に月極基本料に課金されて請求される仕組みになっている。
話は変わってテレビのブラウン管の縦横比だが、日本の様なワイドテレビを売っているのを見たことが無い。ハイビジョンの衛星放送も始まったが受像機の値段が高いこともあってアメリカでは普及していないようだ。その代わり家庭用のテレビはホームシアターと関連付けられているのでリビング用のテレビは大きなものが多い。

ちなみに CABLEVISION という会社は野心的に買収を進めていて、電化製品小売チェーンの Wiz を始め、Madison Square Garden を傘下におさめ、最近では New York Yankees ( New Yorker に一番人気の野球チーム ) を買収したばかりだ。 なお CABLEVISION が提供するケーブルインターネットについても次回以降紹介の予定。

インターネット
3/1/1999
数年経ってこれを読んで一番事情が変わっていそうなのはこのインターネットの項目かもしれない。 ましてインターネットプロバイダ事情に関する話となると地域性に依存するので、ここでは全国区の話だけ取り扱うことにするが、なにせインターネット事情は現在もまだ日々変わりつつあるので、以下自然と時系列な紹介になりがちだ。

僕はインターネットを毎日使っている口だが、まだ電話やテレビの接続よりインターネットの方が重要、と言う人も少ないと思う。けれどもあと何年かすればこの優先度は逆転するかもしれない、そもそも電話もテレビもインターネットも区別する必要が無くなるかもしれない。実は米国に来て、最近つくづくそう感じている。

引越ししてきてすぐは日本からノートパソコンを持ってきていたので、電話がつながるようになるとすぐに日本のAT&Tの海外ローミング接続サービスを使ってメールの送受信をすることができた ( web は会社で見ていた )。AT&T WorldNet接続サービスは海外にローミングのアクセスポイントを持っているが基本的に分あたりいくらかの利用料金がかかる。が米国に限ってはこのローミング料金がかからなかったので、このときは重宝した。日本に在住していて短期で米国に出張があるような人には向いていると思う。
最近はどうか分からないが、このローミングアクセスポイントではモデム接続速度は56Kや ISDN をサポートしていないと言うことでアメリカに来てからデスクトップ PC を買い直して本格的に使用するようになると不満が出てきた。そこで再びインターネット接続について調べてみることにした。まずは日本にいたときにも使っていた ISDN。地元の電話会社 Bell Atlantic には ISDN のサービスがあったが、果たして ISP もサポートしているか調べてみると代表的な AT&T WorldNet ( こちらは米国本家の方 ) ではまだ未サポートだった。 地元の ISP の中には ISDN をサポートしているところもあったが、「上流と高速でつながっているのかどうか不明」「 ISPの料金が56Kモデム接続より高い料金の設定になっている」「Bell Atlantic の ISDN 料金も高い」 などの理由で ISDN は却下することにした。この時点では CATV インターネット接続も ADSL も選択できなかったので、56Kモデムを購入し、米国の AT&T WorldNet に加入することにした。加入した当時は月$19.95で接続時間制限なし、だったが、昨年ポリシーを変えて、月150時間までが$19.95で利用できる時間になった ( これは AT&T WorldNet が同時に同一アカウントを使用してアクセスできることを利用して、一つのアカウントを何人かでシェアしている人たちがいたことに対する対処策のようだ )。
加入はオンラインで可能で、AT&T のサイトから WorldNet サービスに進み、Windows95/98/NT 用の Wizard ソフトをダウンロードし ( この時点でインターネットに接続できない人は電話して CD-ROM を送ってもらう必要がある )、これを実行し、必要な情報に答えていくとインターネット接続アイコンもモデム設定もユーザアカウントもパスワードもすべて設定してくれる。オンラインサインアップの場合はクレジットカード決済しか選べないので、クレジットカードを手元に持って途中クレジットカード番号の入力が必要になる。登録が完了するとその場でインターネット接続が可能になり、途中入力したメールアドレスでの送受信もすぐさま使用可能になる。
このほか ISP 大手として AOLIBM.netNetcom などがあげられるが、オンラインサインアップ、全国各地のアクセスポイント、web補スティングサービスなど、大体似たり寄ったりだ。

その後、電話とモデムという組み合わせで AT&T Worldnet を使い始めて1年もたたないうちに、事情が変わった ( 1999年の12月 )。普段テレビを見るために契約しているケーブルテレビ会社が僕の住んでいるエリアを CATV インターネットでカバーしはじめたのだった。各家庭までの物理的なサービスをケーブルテレビの会社が行い、その先のコンテンツサービスなどは CATV インターネット会社大手の @Home の提供によるもので、ニュース、ライフスタイル、教育、趣味などのコンテンツがまとまっているのだが、その多くに動画が用いられていて、ISDN 接続でもこれほど滑らかな動画と高音質の音声を体験したことが無かったので驚きだった。
スピードもさる事ながら、常時接続、スタティックIPアドレスの割り当てなど、これからのインターネットの使い方を変えていくものがこの CATV インターネットにはあるような気がする。
また最近では xDSL 接続のインターネットをサービスしている州もあり、ニューヨークでも限られた地域で、Bell Atlantic が開始したようだ。こちらも、電話での通話を可能にしながら、24時間365日常時接続をサポートしているので、CATV インターネットともに高速インターネットの入り口としてますます普及していくのではないかと思う。各家庭が高速インターネットになったときには、インターネットも今とは違う使い方をしているのではないだろうか。

ISP に関してだけでもこれほど長文になってしまうので、インターネットについてはどこかのタイミングで追加、改正をしたいと思う。


 

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