[えっち小説]


 現在、完成しているのは以下の十作品です。
 それぞれ、HTML形式LHA形式PDF形式(縦版)PDF形式(横版)で公開しています。

★簡単ナビ★
★6/4new!!
薄亜麻色の月の雫
JUNEものでも平気(むしろ好き)なあなたに。
デヴィルズ・フード 悪魔のケーキで胸焼けしたいあなたに。
傷痕の塩味 愛憎ドロドロした兄妹ものが好きなあなたに。
真夏の夜の、夢のまた夢 横森健一(笑)がどーゆー人間か知りたいあなたに。
魔淫すいーぱー 気が強い女の子と伝奇ものが好きなあなたに。
GE・N・JI
GE・N・JI II - oneday -
乳幼児〜女子高生と守備範囲が広いあなたに。
俊也の秘密とあたしのひみつ お姉ちゃんの秘密を知りたいあなたに。
天国への方程式 実は隠れSFファンのあなたに。
未沙ちゃんの初めての夜 らぶらぶOLものが好きなあなたに。

★6/4new!!
薄亜麻色の月の雫
初稿 01/5
原稿用紙 81枚
 頚を絞めてみようか……。

 自分の腕の中で、無防備に寝顔を晒している智里を見下ろしながら、香月夜はふと、そんな事を思い浮かべていた。
 深い藍色に染め上げられた寝室。空気も凍るような静寂の闇。
 そんな中で、たった一つ。
 窓から漏れいずる月の明かりに照らされて、この智里の咽喉だけが、白々と、その暗闇の中に映えていた。
 薄いチャイナボーンのような、頑なに冷たい磁器の色合い。
 片手で簡単に縊れそうなほどに、それはきゃしゃで儚く脆い。

デヴィルズ・フード
初稿 00/2
原稿用紙 67枚
「……何だ、これは?」
 テーブルの中央にでんと置かれたその物体を見て、俺は思わず、そう呟いていた。はっきりと自分でも、呆れ声だと分かる。
「えと、今日の夕ごはんだよ? 健一、あたしそう言わなかったっけ?」
 すかさずルーシアが、きっぱりと答えた。
 一点の曇りも迷いもない、むしろちょっと意外そうな声である。俺が何を問題にしてるかさえ、ひょっとしたらまだ、気付いてないって感じだ。ひょこんと不思議そうに、小首を傾げている。
「お、お前なあぁ……」
 ルーシアのその邪気のなさそうな表情に、俺は思わず頭を抱えた。

傷痕の塩味
初稿 99/11
原稿用紙 164枚
 僕は、妹の下僕だ。
 あの日から僕は――僕の身体は、すべてが紅葉のためだけのものになった。
 今夜もまた僕の部屋で、紅葉に求められるがままに、紅葉の身体に奉仕をしている。
 紅葉は今日も身じろぎ一つせずに、ただ黙って僕のベッドに横たわっている。僕は紅葉の上に跨ると、ひとつひとつ丁寧に、紅葉の寝間着のボタンを外していく。両手で紅葉の前をはだけさせていく。双の胸が、明らかになる。
 暴力的なほどの圧迫感とともに、それが目に飛び込んでくる。
 目が離せない。自分自身、目を背ける事を決して許してはいない。その。

 傷痕。

 薄明かりの下でもそれは、はっきりと自己を主張してやまなかった。

真夏の夜の、夢のまた夢
初稿 99/9
原稿用紙 129枚
 ぴんぽーん。
 五年前から住んでいる、そろそろ築ふたケタ年に達しようかとしている、仕事場兼住居であるところの賃貸マンションの一室に、あるクソ暑い夏の夜、お気楽な玄関のチャイムの音が鳴り響いた。
「……?」
 俺、横森健一――いちおーえっちマンガ家なんつーものをやっている――は、その音に思わず(思わずだ!!)、〆切間際の原稿に対する集中力を切らされてしまった。かほどさよーに、クリエイターとゆー人種の神経はしごく繊細で細やかなのである。わはは。

魔淫すいーぱー
初稿 99/7
原稿用紙 186枚
 はっきり言ってザコキャラである波多野忠雄(二十七歳、独身)は、オノレのヨコシマなもーそーに股間を膨らませながら、一人、シャワーを浴びていた。
 場所は、駅前からちょっと離れたラブホテルの一室。バスルーム。
 思わず、ふんふんなんて鼻歌なんかも出ちゃったりしてる。それも年甲斐もなく、RASH!!の『愛ってマジ!?』だ。
 何せ、女子高生なのだ。ぢょしこーせー。
 その甘美な響きを口の中で転がすだけで、忠雄は次第に頬が緩んでくるのが分かった。

GE・N・JI II - oneday -
初稿 99/5
原稿用紙 135枚
「いってきまあすっ!!」
 今はもう誰もいない部屋に向かって大声でそう言うと、螢はバタンと勢いよくドアを閉めた。
 パパはもう、三十分も前に家を出ていった。
 土曜日なのに、今日も朝早くからの出勤なのだった。
 一人っきりの朝が、何となく、螢の心に淋しかった。
 螢は、無意識の内にそっと唇を尖らせていた。
「……ほんっと忙しいんだから」

GE・N・JI
初稿 91/4
原稿用紙 111枚
 毎度のごとく、乗車率百二十パーセントの殺人電車であった。
 今年でかれこれ十数年間は乗り続けている訳だが、それでも身体の方は、一向にこの混雑に慣れようとはしてくれない。
 実際、すし詰めという表現がこれほど適切に使えるところも、他にないと思う。
 押される身体。そのつもりはないのに、押す、身体。
 ひょっとしたら毎日、顔を合わせているのかもしれないが、私の中ではすでに記号化されている、見も知らぬ他人。
 男も、女も。子供も、壮年も、老人も。
 私にとって、それらは、まったく世界を構築するだに値しない、『他人』というモノ、それ以上でも、それ以下でもなかった。その通り、文字通りの意味で。

俊也の秘密とあたしのひみつ
初稿 99/2
原稿用紙 69枚
 俊也の部屋でそれを見つけた瞬間、あたしは思わず『げっ!!』と叫んだ。

 俊也はあたしの弟だ。現在、中学二年生。十四歳。野々原家の長男。色白の細面の童顔で、姉のあたしから見てもなかなかレベルの高い美少年である。
 ひいき目、なしに。
 実際、声変わりだってまだしてないし、栗色っぽい髪(もちろん天然!!)もふんわりさらさらキューティクル。背もまだあたしよりちょっと低いし、そのくせ最近、生意気にも結構ワルぶった口調でしゃべっちゃったりしてる。そのトンがった口調と美少年顔とのギャップが、ホントにもう、思わずほおずりしたくなっちゃうくらいかあいいのだ。

天国への方程式
初稿 91/6
原稿用紙 53枚
 俺は、一人ではなかった。
 目の前のコンソールが、無慈悲にもそれを告げていた。
 そいつはこう言っていた。
 この船に、俺以外に、もう一人の人間が、乗っている、と。
 ……密・航・者、だ。

未沙ちゃんの初めての夜
初稿 91/1
原稿用紙 33枚
 あたし、はじめてのことだった。
 あこがれの一条先輩に、こんな事言われたのだ。
「未沙ちゃん、今晩、一緒に食事でもどう?」
 信じらんなかった。あんまり嬉しくって、すぐに、『はいっ!』って、大声で返事してしまった。
 先輩の方が、鳩が豆デッポ食らったような顔してた。

 少ない? 少ないよねぇ。これでもがんばってんだけどさ()。


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