桃香は童謡と詩の大好きな人間!あなたもだな?
では、桃香の作ったステキな童謡をとことんエンジョイしてね♪
草原地帯
どこまでも つづく
草原地帯
いちめんの草が 手をふって
風は
もう帰らない人になる
声も とどかない
はるかな 草原地帯
いちめんの草が
みんな むこうになびいて
渡っていってしまうようだ
人間でなくっても
虫や小鳥たちでさえも
淋しくなってしまうのだろう
だから あんなに群れて……
だから あんなに鳴きあって……
灰色の 季節が 訪れる
枯れはてた草原に
雪の乱舞
風の絶叫
草の指先は
ひびわれ 凍てつき
しなびた その手で
むなしく 空を
つかもうとする
手さぐりで求め
春をつかんだ
いちめんの 草たち
つつましい 若草の
よろこびの ざわめき
風が わたってくる
草の波にのって
風が波を 波が風を
つれてくる 草原地帯
おんなじおんなじ あたたかさ
あいつと すもうを とったんだ
草の波を さわがせて
どーんと ぶつかりあったんだ
だっこした かたちのままで
でんぐりかえって かさねもち
おんなじ
おんなじ
あたたかさだった
まけるもんかとやったんだ
草の波に しずむよに
へたーっと どっちも のびたんだ
やさしい まばたきで あいつ
つかんだ 手と手は そのままさ
おんなじ
おんなじ
あたたかさだった
ひとつの朝
キャンプの 夜明けです
早すぎる 夜明けです
小鳥たちは
夢の中の ぼくらに
電話を かけてきます
ピノキオの鼻のような
テントから出て
「おはよう」と さけぶと
声が 白い湯気になります
ゆうべは いつまでも
話し声が きこえるので
月の光が
のぞいて のぞいてばかりいました
キャンプの 夜明けです
早すぎる 夜明けです
川の水は
夏をどこかへ 忘れてきて
ぶるるんと つめたく
まつ毛が ちぢれます
大勢のきみと
ひとつの朝です
おなべもひとつ
おいしさも ひとつです
夕ぐれは どこからうまれる
夕ぐれは どこからうまれる
夏菊の 咲きこぼれてる
白い ひとむら
そのまわりから
夕ぐれは うまれる
夕ぐれは どこからうまれる
たま笹の ひとむらぬらし
過ぎた 夕立ち
その風にふれ
夕ぐれは うまれる
尾根に立つ
尾根に立つと
山は みどりの馬になる
わたしは 馬にまたがって
空をかける
白い雲の つばさをつけて
ペガサスのように
指の むこうに
まっすぐな 銀の道のり
太陽の
遠い 遠い 銀の道のり
旅のはじめの 思いにも似て
はげしく 光る
尾根に立つと
空は 泉の水になる
わたしは 泉の深みまで
水を くみにいく
空の 空の 深みまで
友への讃歌
もとめずに うけた
ほほえみの 深さよ
数えずに 与えた
こころの みのりよ
からっぽの てのひらに
頬をささえて
ひそかに
心の豊かさを掬う
あるときの わたし
はてもなくつづけ
この思いよ
空と海のように
綴じあって
どこまでも
どこまでも どこまでも
通り雨
やまぶきに ふるときは
黄色にそまる 通り雨
やまぶきに おじぎさせて
もう過ぎてった
通り雨
桐の葉に ふるときは
みどりにそまる 通り雨
桐の葉を さわがせて
もう過ぎてった
通り雨