アルバム・旅行記
 
  スペイン旅行記:ビルバオ編
     
  ここ1年半ほど旅に出かけてへんかったし、2000年の夏は数年顔を見ていない友達に会いにロンドン+パリに行こうと計画していた。その事を一緒の建築学部のクリスティーナに話していたら、「カズハ、イギリスなんて誰(有名な建築家)がいるんよ。クリストファー・レンくらいやん。フランスかてカズハもコルビジェとか嫌いやろ? (ちなみに彼の家具は好き。)スペインにしいさ、ゲリーの新しい作品もあるし、なんといってもガウディよ。」と言われた。そんな一言で旅行先を簡単に変更する単純な奴もそういないかも知れんけど、私はそんな単純な細胞でできてる人間なのさ。旅の計画はクリスよりも私の方が得意なのでクリスを説得するのはクリスティーナが私の旅先をかえさせたのより簡単に出来た。クリスティーナと彼女の妹のマギータもスペインを訪れていたので現地であう事に決めた。写真は今回ビルバオとマドリッドを一緒にまわったクリスティーナ(真ん中)とマギータ(右)

イタリアと同じく「建築観光」の旅にするべく、ビルバオとバルセロナに行く事にした矢先に友達のエレノア(彼女はブロンクス出身だけど彼女の両親はマドリッド付近出身のスペイン人)に薦められてマドリッドにも寄る決意をした。

パリ経由のエア・フランスの飛行機でスペイン北部のバスク地方にあるビルバオに着いた。ニューヨークを出た頃にビルバオでETAのテロ事件なんかがあって家族に心配されていたけど、その手の問題はなかった。(なぜならビルバオを含めるバスク地方の都市のETA関係者は観光業の成績を高めて自己の経済力を確立してスペインから独立したいんやから観光客は狙えない)唯一の問題は曇り空。(いつもは結構「晴女」の私やけど今回は着いた瞬間に雷なりだすし...)

フランク・ゲリー(Frank Gehry)が最近(っていっても数年前やけど)建てたグーゲンハイム美術館を見るだけの為に訪れたような小さな街なので、ビルバオには3日間しか滞在する予定はなかった。まず私達の泊まったカールトン・ホテルはこれからビルバオに行かれる方には絶対お薦め!だってほんまに街のど真ん中にたってるの。で、スペインは物価が安いから5つ星ホテルでもニューヨークでは考えられないような値段で泊まれるのです。

バルセロナからビルバオ入りするクリスティーナ&妹を待っている間にビルバオの街をクリスと散歩してみた。まずすぐに気づいたのが街中が清潔な事。何時間かうろうろしていたらすぐ分かったけど、清掃車が「もうええって」ていうくらいゴミの落ちていない道を2、3時間ごとに掃除している。清掃車を運転してるお兄ちゃんが暇やから遊んでいるみたいにしか見えません。(ゴミないところをぐるぐる回ってるようにしか見えないから)それにマドリッド、バルセロナに行ってわかったけど、ビルバオはどっちかというと若者の街ではないみたい。というか住民も観光客(外人+スペイン人)も平均50歳以上に見える方が多い。(写真はそのゴミ一つ落ちてないビルバオに出来たてのこれまた清潔で未来っぽいデザインが美しい地下鉄の駅。)

観光地としての発展が始まったばっかりの小さな街なので当然ホテルを出ると全くと言っていいほど英語が通じません。そこでブロンクスに住んでるし、クリスは一応片言のスペイン語を喋れるからと甘い考えでいたんやけど、ビルバオは国境近いバスクの国なのでバスクを喋る人がいるんやなぁ... (言葉に関してはバルセロナでもっと面白い事を体験する事になる)それでも勿論皆さんスペイン語喋ってくれるので買い物するくらいは平気。しか〜し!アメリカ/南米でスペイン語を習った又は聞いた事がある人はいっぱつで分かってもらえるけど、スペインで喋るスペイン語はカスティリャ語なので発音がちょっとちゃうんです。(アメリカではカスティリアンの文法+南米/カリブのスペイン語の発音でスペイン語を学校で教えるんです。)例えば、どこの国いってもその国の言葉で「ありがとう」くらい言うやないですか。スペイン語ではうちの近所でもしょっちゅう言うGracias。しかしカスティリャ語ではsoft cの音が全部thの発音になるので、わかってるけどなんか耳慣れなくて歯がゆい思いをしながらこっちもthでありがとう。

しかしビルバオの人々はめちゃめちゃ親切な人が多いっす。言葉通じなくても真剣に身振り手振りで対応してくれるし!(街の小さなケーキ屋さんにはいって、指で欲しいものをさしながら「これとあれ下さい」っていう風に注文してたら、お店のおばちゃんはわざわざ「これにはアーモンドのペーストが入ってるけど良いの?」とか聞いてきてくれるねんけど、私達が「アーモンド」が分からなくて困ってると察するとカウンターから出てきてアーモンドのスライスが乗っていた小さなケーキを持ってきて(!)「これのペースト状のが入ってるの」と説明までしてくれた。サービス抜群!!)他のお店に行っても皆ニコニコでなんか天気が悪いのなんて気にならなくなっちゃいました。

着いた日の夜にクリスティーナ&マギータ姉妹と待ち合わせて夕食をすまして次の日に美術館へのりこむ約束をした。朝おきると空は前日に続いて暗く昼前には雨も降り出してしまった。しかし美術館に行くとものすごい列!しょうがないから4人で1時間カサをさしてベラベラしょうもない事を話しながら待つ。(余談:その間に後に並んでいたヨーロッパの家族が「フランス語(を喋るか)?」と聞いてきたから全員で「Ingles!(英語)」って言ったら、急にえらい丁寧な英語で「20人以上人数が集まったら団体割引がもらえるし、団体の入り口から入ってこの列に並ばなくて良いから一緒に行かないか?」と誘われた。了解したらさっそくその家族のお父さんが私達の前に並んでいたフランス人のカップルなんかも含めて20人以上の人を誘って窓口まで行かはったんやけど、残念そうに列に戻ってきて「団体は前もって予約せなアカン」って言われたとまたまた丁寧に4カ国語くらいで誘った人全員に説明してた。)

やっと中に入って内容のわりにはめちゃめちゃ高いチケット(一人1200ペセタ=約7ドル)を買った。もうこの一文ナこの美術館の展示の要約になってるねんけど、ほんとうに展示自体はつまらんというか、ローカル度が薄くて「こんなんニューヨークのグーゲンハイムの残りちゃうん?」と思うような作品ばっかり。それに私達が行った時期はバイク展をやってて一番広い展示室を無駄な使い方してたので本当につまらなかった。写真は美術館正面玄関前にある植木でできた犬の彫刻のおしり側。作者は私の大・大・大嫌いなアメリカ人のジェフ・クーンズ。(このページの一番上の写真の私の頭の右上にこの犬の顔がちらっと見えます。なんか色々な色の花が植えてあって病気持ちみたいでしょ?季節ごとにかわるらしいけど。)

やっぱりこの美術館の見所はこの建築自体。外壁はなんとチタン(Titanium)で出来ている。川沿いにたっているので橋から眺めると水面に映った美術館とで未来の船を見ている感がする。真っ青な空の日にはもっと紺色のようなくっきりとした青い建物になるんやろうけど、こんな天気の悪い日に撮った写真でさえもなかなか良い雰囲気に出来上がってビックリしている。個人的にいってイス(家具)フリークの私は不細工なイス/家具を作るゲリーの他の作品は大嫌いやけど、この美術館(特に写真の北正面)は超カッコええ(なんて幼稚な感想!!)と思う。4人ともその壮大なスケールの建物がごっつ気に入ったので美術館自体が閉まった後も川辺で日が暮れるまで(夏のスペインの日暮れはだいたい9時以降)ぼ〜っと眺めていた。

次の日には朝のうちにフリー・マーケットらしきものに出かけて昔のビルバオ駅と劇場(写真の背景)の大きな写真(複製やけど)を購入(2つで2ドル程払った)この日は天気がすこぶるよくてアイスクリームを買いまくる。3日目になるとクリスもスペイン語をだんだんおもい出してきてなんでもスムーズに行くようになってきた。シエスタに入る前のアイスクリーム屋のお姉ちゃんが売り口の窓を閉めかけていたので「もう閉店?」って聞いたらすぐに「うん。」って言われたんやけど「(他の時間のかかるもんじゃなくて)アイスクリームなら売ってあげるよ」とまたまた親切なお店に救われました。お昼にクリスティーナ&マギータ姉妹とまたまた合流して次のマドリッドへのチケット(電車)を買いに駅へ行きました。

イタリアに行った時の快速電車での移動がスムーズだったので勝手に「スペインも速い電車に乗って行こう!」と考えていたけど、今回の条件はかなり違う事が窓口までいってわかった→@ 今回は観光のピーク時(夏)に旅をしている A ビルバオはローマの様な大都市ではない Bスペインはイタリアより広い! という事で「3時間くらいで行けるやろ」なんて勘違いしてた私は「その日に出るマドリッド行きの電車は夕方に出る6時間半かかるんしか無いよ」とチケット売りのおばちゃんにピシャリと言われて「あ〜、じゃ飛行機で行こうさぁ〜」とだだをコネたが4人でマドリッドまで旅する約束をしていたのと姉妹の予算では飛行機は無理ということで電車の長旅をする破目に...(しかし私とクリスはどうしても禁煙席でないと嫌なので1等車に格上げしてもらう。)

早朝に出かける予定が変更したのでマドリッドに出かけた日の朝は買い物へ。普段旅行をしても服を買いあさる事は決してない私も狂ったように買い物をしてしまった...スペインの服はデザインが良くて信じられないほど値段が安い!私が一番気に入ったスペインのお店Mangoは世界中(日本にも東京と京都に支店があるらしい)にチェーン店があるのにアメリカだけには一店も支店がないの!それをお店の人に言ったら「そう。アメリカの人は皆同じ事言ってる」と笑っていた。多分Gap系がヨーロッパの同系のチェーンの輸入を阻止しようとしてるんやろね。残念。身長172cmの私はヨーロッパでは平均的な体型なので何を買いあさってもサイズが合うんやけど、155cmのクリスティーナはそうはいかず、買いたいズボンも足が長すぎる。そこでマギータ、クリス、私が「クリスティーナに女の子らしい装いを!」キャンペーン(スカートの試着をさせる)を店の試着室で2、3時間にわたって行ったんですな。結局彼女は殆どのものを買わずに店を出ました。やっぱりどの国でも平均身長にあわせて服って作られてるのね...(ちなみにアメリカ女性の平均身長は163cmくらいだそうです。)

新しい服をスーツケースに詰めて駅に向ってマドリッド行きの電車に乗り込もう!という時になってマギータが「パスポートがない!」と出発15分前に彼女達が泊まっていたホステルに戻るという問題が現れましたが、なんとかぎりぎり出発に間に合ってマドリッドへと旅立ちました。(結局パスポートはバックパックの中にあったらしい)

 
 
 
 
最後にこのページをいじったのは2004年 1月1日。
 
1