お薦めの本
 
  夫婦そろって本を買いためるのが好きで、特に私は雨が降ると外に出かけないくせがあるので(ただのグータラ)暇なら何でも読みます。因みに両親が悩みに悩んだ末つけてくれた私の名前の由来元である樋口一葉は嫌いであります。

アマゾンで入手可能なものは本の写真リンクがついています。
 
         
         
  Life of Pi      
  Yann Martel

自分の読みたいリストや友達からのお薦めの本なんかを読み終えてしまって、何も読む物がない時は私は常になんかの賞を取った本を買う癖がある。「Man Booker PrizeとかPulitzerを受賞したんやったら読んでも「あー損した」とか思わんやろう」という結構単細胞な発想から。これもそうやって見つけた本で、2002年にBooker Prizeを受賞した作品。

動物園を経営するお父さんを持つインド人の男の子パイの家族がカナダに移住をする際に起こる出来事。この本の表紙の絵を見たら一目瞭然なんやけど、一人ぼっちになっちゃうんですわ、船沈没して。

本の大半はパイのサバイバル記って感じ。その辺りはグロかったりして、結構読むのが辛いかも。しかしインドでのお話は素晴らしい。本の終わりも「尻つぼみ」に終わっちゃうんやなくてちゃんと良い話に回復するのでよろしい。

インドでのお話は宗教等々を考えたい人にはとてもお薦め。私はパイがAtheistの先生に会ってから語る台詞が忘れられない。

"It is not atheists who get stuck in my craw, but agnostics. Doubt is useful for a while. We must all pass through the garden of Gethsemane."

(自分がAgnosticやから「ほな崇高な存在を『おるのかわからん』と迷うのはアカンのかよ!」とふてくされる)

太平洋のサバイバル記はテレビで科学系の番組見るのが好きな人なんかにはお薦め。(動物系・手術系とかさ)全体的には10点満点でいうと8点くらいやけど、展開的にいうと最初の部分が10点、海では6点くらい、最後で9点って感じかな?
     
         
         
  Interpreter of Maladies      
  Jhumpa Lahiri

作者のJhumpa Lahiriは頻繁に雑誌The New Yorkerなんかで短編小説を書いてる若手の作家。この本はそういう短編をいつくか集めた本でたまたま上の本のカテゴリーにもあてはまるピューリッツァー賞の受賞作品でもある。雑誌で読んでる限りはインド人なんかなーと思ってたんやけど、Jhumpa Lahiriはロンドン生まれ、ニューヨークの郊外ロングアイランドで育った言ってみたらアメリカ人。(それに本に載ってるこの写真を見る限りではすごい美人でもある)

彼女の話って結構暗いねんけど、暗い話の中にもホノボノとする瞬間があるのが良い。

「人種的には○○人やけど、住んでる国も文化的にも育った環境もちょっと違う」という作者自身の環境から創られた話やから、私もその部類にはいるけど、「見た目は日本人やけど、日本人とちゃう(しかし100%アメリカ人でもない)」という人なんかは共感がもてて、胸にグッとくる場面が沢山出てくる。多分うちのクリスのように人種や国籍が混じってる日本語でいうと「ハーフ」の人も同じ様な気持ちでこの本を読めると思う。ただクリスは精神的に暗くなる本は嫌いなので、この本は読みたくないんやそうです。
     
         
         
  State of Fear      
  Michael Crichton

このページ下を見てもらったらわかるように私はマイケル・クライトンのファンです。出版された作品を全部買って読んでたら、狭いうちは本で埋もれてしまうし、特にクライトンの本のように出版されたらすぐ読みたい本はハードカバーで余計にデカイので、過去の二、三作は図書館で借りて読んでいる私。だってこういう本って「一回読んでハラハラどきどきさせられて終わり」てのばっかりやし。

しかしクライトンは話の筋+元に関しては読者に考えさせるトピックを与える作家。今回の本も地球の温暖化についてマスコミの報道・取り扱い方を考えさせる要素たっぷり。実際に単なるフィクションやのに色んな科学者なんかが反論してたりして面白い。(ここでそういうのも読めるよ)

なんかどっちかというと色んな人が「これは小説ではなくて政治的プロパガンダや!」って言うてるけど、「ストレス解消様の2日で読めちゃうスリリングな本」と思って読んだ方が面白いと思う。
     
         
         
  Angels & Demons
     
  Dan Brown

これも友達から薦められて借りて読んだ本。類としてはマイケル・クライトンやこのページ一番下のキャサリン・ネヴィルのThe Eightみたいなベストセラー・スリラー系。クライトンがテクノロジー&バイオロジーならこの本の著者ブラウンは科学&宗教。どちらも実際の団体、歴史や事実を使って語るお話。

今巷で話題のブラウンの最新作The Da Vinci Codeはこの本の続編。The Da Vinci Codeがロン・ハワード監督で最近映画化される事になったそうで超盛り上がってるので多分、このAngels & DemonsもPrequelとして製作される可能性大。

話の筋はとっても面白いが、どのベストセラー本にも共通するというか、スリラーだけあって人を表現する場面なんかはクサイというか馬鹿馬鹿しい箇所もかなりある。しかしクリエイティブな話の展開には拍手をしたい。ストレス解消にささっと寝る前の時間を使って2日で読める簡単な本。「テレビつまらんなー」という時にどうぞ。
     
         
         
  Persepolis : The Story of a Childhood      
  Marjane Satrapi

たまたまオンラインの本屋でぶらぶらしてて見つけた本。最近中東の事に興味をもってるんですが、全く知識が無いので日本語でいう漫画、英語でいうGraphic Novelから始めようと買ってみました。著者のSatrapiさんは私よりちょっと年上の同じ世代の女性なので彼女が子供の頃体験した80年代のイランは他の歴史の本を読むより分かりやすいかなと思います。これを読んでて自分が本当に人間って他人(社会・国等々)の事って無知やなーと実感。

絵のほうは深刻な内容とうってかわって可愛いらしいので見てるだけでは「面白そう」な本。読んでみると政治・宗教・内戦等々…日本でなら10歳の子供が毎日遭遇するような体験ではないのは確か。これ読んでて「私が10歳の頃って宿題するのを忘れて怒られるくらいが人生で一番つらい出来事やったなー」と振り返るとまさに「平和ボケ」という言葉が頭に浮かびます。
     
         
         
  The Alchemist: A Fable About Following Your Dream
     
  Paulo Coelho

友達に薦められて読んだみた本。副題のとおりに「夢を追う」というワクワクする子供の時に思った「大人になったら○○をするぞ!」という感覚を起こらせてくれる素晴らしいお話。対象年齢は書いていないけど、寓話だけあって子供でも読めそうな簡単な翻訳。(原書はスペイン語)希望の湧くお話はティーンの子供へのギフトとしても活躍しそう。
     
         
         
  Let a Simile Be Your Umbrella      
  William Safire 著、Crown Publishing Group出版

NYタイムズの政治コラムニストで、日曜版のOn Languageの著者でもあるサファイアーはアメリカで一番人気のある言語学者。ピュリーッツァー賞を受賞した事もある彼の最新作は1979年からずっと続いているその日曜版シリーズから抜粋された英語の分析・分解。

私は言語学を勉強していたのでlexicographyやetymologyに興味があるから本のカテゴリーにそのままのキーワードが書いてあって「面白いかな?」と思って購入してみてんけど、そういうのに興味ない人でも大爆笑間違いなし!この本はさっきも言ったように日曜版のコラム集なので短い半ページ〜長くても5,6ページの話がたくさん寄せ集められたもの。だからA〜Zまでの話が色々あるけどどこから始めてもいい「お茶沸かしている間に読める本」でもあるのです。ギフトにもピッタリやけど、これは自分用とお友達用と買わないと、一度読むと人にあげたくなくなっちゃいます。短いけど面白い抜粋をほんの少し紹介:

(Catalogueseより)
"Famous for innovation and quality, you'll find products that make life easier," says Hammacher Schlemmer. Unless you, the reader, are famous for innovation and quality, which most of us are not, that opening modifier is misplaced. Make it "famous for whatever, Hammacher Schlemmer offers products" etc.

「カタロギーズ」と名付けられてしまったカタログで使われている間違った英語の話。上のは別に爆笑でもなんでもないけど、これはネイティブでも外国人でも犯す間違いトップ5にはいるdangling modifier。 高級デパート、ハマカーシュラマーでもこんなアホな間違いをしているのね。このコーナーでビクトリアズ・シークレットのカタログを語ってるんやけど、笑えます。
     
         
         
  Harry Potter(1〜5巻)      
  J. K. Rowling著、Scholastic出版

旅行に出かける時は大抵雑誌を買って飛行機に乗り込むんですが、面白そうな雑誌がなかった事から「なぜこんなに大勢の人が絶賛してるか」という理由が知りたくて第1巻を買ったのがキッカケで読みはじめたシリーズ。

第1巻の「Harry Potter and the Sorcerer's Stone」は原書のイギリス版と題名も異なるし、内容(言葉等)がアメリカ語に書きかえられてるが、それ以降はアメリカのファンの批判を反映してかイギリス語のままにとどまっている。(例:Mom=Mum、two weeks=fortnight等)

9歳〜12歳を対象に書かれてるはずの本なんやけど、続きが不思議と読みたくなる興味深いお話。クリスの職場やうちの大学でも密かに大人のファンが増えています。子供の本だからさっさと読めてしまうのも魅力。(語彙自体はとても簡単なので、それが文学界のHarry Potterシリーズに対する批判→でも今どきの活字に慣れてない子供が本にのめり込む現象を築いただけでもすごいと思うけど...)

第4巻なんて734ページの分厚い本やけど、週末の暇な日なら6時間くらいで読めちゃいます。私も旅行から帰ってきてAmazonですぐ残りの3冊を注文して届いたらそく2日間で読んじゃいました。

7巻で物語が完結するので次の巻の出版を楽しみにしている私です。(子供かって?)日本語版は原書が発売されてからかなりの期間がたたないと書店に並ばないようでずが、待ちきれない方はアメリカ版をお薦めします。(表紙の絵もMary Grandpreさんのアメリカ版が一番好き。)

全巻読んでしまった方はここでHarry Potterに潜むJKローリングのダジャレを探ってみましょう。
     
         
         
  The Death and Life of Great American Cities
     
  Jane Jacobs著、Vintage Books出版

この本実は都市計画の授業で必須だった読み物。でも他の不必要にもったいぶった表現を用いる本と異なってこの本は簡単+面白い!特に治安についてJacobs女史の見方は日本人や「治安の良い地域」に住む読者の「目からうろこ」体験をうむ力があるでしょう。NYCに限らず、シカゴ、フィラデルフィア、DC、ボルチモア等アメリカでも数少ない古い都市に興味のある方にはお薦めです。
     
         
         
  The Encyclopedia of New York City      
  Kenneth T. Jackson編集、イェール大学出版

全1350ページの身の詰った辞典。我コロンビア大学の著名な歴史・文化学者、ジャクソン博士がニューヨーク市に関する4300件の事項を詳しくまとめたコーヒーテーブル本の王者の様な本!下に紹介している「まめ知識本」の類をNYCに絞って、もっと詳しく追跡したもの。例えばブロードウェイが何故斜めに走る路か(元はアメリカン・インディアンが利用した尾根)、NYCの日本人移民の簡単な歴史、ニューヨークの裏話で私も書いているBronx Science HSが何故アメリカ一の公立高校か等々興味深い事項が簡潔に説明してある。自分とこの教授が書いてる本やのに、大学の本屋でも約70ドルの定価から4%しか引いてくれへんけど、Amazon.comだと30%引きなので送料込みでも$45.50。ニューヨークが大好きな方には必読本、そうでない方にも楽しめる本だと思います。
     
         
         
  「パズルランドのアリス:80歳以下の子どもたちのためのキャロル的おはなし」      
  Raymond M. Smullyan著 市場泰男訳

英語、日本語で手に入る。英語の題名は Alice in Puzzle-Land: A Carrollian Tale for Children Under Eighty です。面白い言葉のパズル形式になっているが実は「数学の本」である。主に論理(logic)、離散数学(discrete mathematics)を解いていくのに「数学」であると感じさせないのがミソ。以前大学でこの鬱陶しい離散数学とやらを取った私は「スマリアン教授に教わってたら...」と授業のたびに思っていました。スマリアン教授はプリンストン、ダートマスなどで教えた後、この本を出版した頃はなんとここブロンクスにあるリーマン大で理数論を教えていたそうな。まだリーマンに籍を置いてはるかもと思って連絡したら今はどっか中西部の州立大学で教えてはるそう。とにかく年齢に関係無く(私が初めてこれを読んだのが小学生の時)誰でも楽しめるパズル。多数でもゲームの様に遊べます。他にもシャーロック・ホームズがテーマの本とか同じ系統の物を出してはります。ピクショナリーに飽きたらどうぞ。
     
         
         
  The City in Slang: New York Life and Popular Speech      
  Irving Lewis Allen

「スラング」と言うても英語をまともに喋れない日本人が変に好んで使う「卑語」ではなく現在は通常語となったNYが発端の地である単語の由来を探る「カクテル・パーティー用」知識本みたいな物。NYのページにも書いているホットドッグや他にはラッシュアワー、 Red-light districts(赤線地区)の由来など「知らんかった!」という話がいっぱい。作者のアラン氏はコネチカット大の社会学の教授をしてはるそうです。
     
         
         
  Travels      
  Michael Crichton

ここで説明せんでもどこかでこの人の作品は紹介されているのですが、私はマイケル・クライトンの大ファンです。

フィクションもいいけどやっぱり真実に近い、またはこの「トラベルズ」の様にほとんど暴露話に近い話が一番好きです。なんせフィクションでも生物、医学系の事実に基づいたジュラシックパークの様な本の方が面白いし納得いくと私は思う。(彼のSphereみたいな話が一番嫌い。)

Congoは実話、 The Eaters of the Deadは半実話。で超実話のTravelsは3分の1位がクライトン自身の大学、大学院生時代の話。この人は大学、院ともどもハーバード大に行かはったんやけど、英語専攻で失敗する話とかはとっても皮肉!(でも面白い...) 医学生になって初めて死体解剖をした話など生々しく書かれている。ボストン付近の病院の暴露話も登場する。

後半の章は「色々な」彼女達と出かけた世界旅行記プラス彼の趣味(?)である超自然的体験の話が後半たくさん載っている。(私はここから本がつまらなくなったと思っている。)

はっきりいってこの本、しまりが「強烈に」悪い!しかし前半の医学院と旅の話が面白いのでお勧め!(日本語で発売されてるんかどうかはよく知りません...)

関係無いけどこの人のベストセラーが映画化したやつって全部「死ぬほど」悲惨じゃない?(「コンゴ」なんて最悪!本はめっちゃ面白いのに... 映画みた時、私は「こんなん本とぜんぜんちゃーう!」と叫んだで...)
     
         
         
  The Whole Enchilada: A Spicy Collection of Sylvia's Best      
  Nicole Hollander

これは見てのように漫画!かなり前にビレッジをうろうろしてたら変な本屋でドギツイ色の表紙を目にして思わず買ってしまいました。(捨て値で売ってたし...)めちゃくちゃ面白い!猫の話題が多いから猫を飼っている人にもいいかも!彼女の最新作2冊 Everything Here is MineとMy Cat's Not Fat, He's Just Big-Bonedが今1冊になって登場。その名もCats with Attitude。猫人間にはぴったりのクリスマスギフト。会社の同僚で猫大好きの子がいるのであげたらすんごい喜んでその場でず〜っと読んでました。(仕事せぇって?)
     
         
         
  The Eight      
  Katherine Neville

小説だけれども実在の人物がちらほら出てくる(ナポレオンとか)お話。1700年代後半のフランスとロシアそして1970年代のニューヨークが舞台。2世紀も時代が離れた変った設定だがその結びつきが微妙に納得がいく様に書かれている。共通点は2つの時代の主人公が巻き込まれるきっかけ:モントグレイン・チェスサービス(セット)。どちらの時代も女性が主人公でワシントンポストが本の裏表紙に述べているようにフェミニスト版の「レイダース」:冒険記であります。英語は単行本1冊、日本語版も出ています。(でも上下巻でお値段も高い!)ネヴィル女史はIBMやNYSE、アメリカ政府をクライアントとするコンサルタント(主にコンピューター)としての経験があるので1970年代の主役であるキャサリンの仕事にそれが反映されていて面白い。
     
 
 
 
最後にこのページをいじったのは2005年 5月24日。
 

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