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■Lost in Translation: ソフィア・コッポラ作・監督の映画。一言であらわすとこれはどう考えても日本語がわかる人に観てもらうために作られた映画やない。日本語の台詞は全部字幕なし。多分そうすると日本語の全くわからない観客がビル・マリー演じるボブ・ハリスに同情する感覚で映画を体験できるからやろうね。話の筋は全然中身がない。コマーシャルを撮ってる間にうるさく命令する監督役の人もまともに英語も出来ない通訳を演じてる人もなんかギクシャクしたしゃべり方して、まず演技がへたくそなので(これが嫌いで日本に住んでいた時も日本語のドラマが嫌いやったの)シーンが面白いからやなくて、大根芝居が面白くて笑ってしまった。日本人の役で一番ましやったのは病院で日本に何年住んでるかをボブ・ハリスに一生懸命聞いてた待合室のおばあちゃん。(あれ、女性かな?あんまりわからんかってんけど)
この映画借りてくる前に色んなサイトでアメリカ人の見た感想を読んでてんけど、「英語では2,3語で済む表現を日本人はだらだらと説明するなどという文化的な違いを見せてる素晴らしい映画」「芸者イケバナのシーンは素晴らしい」とか全然わかってないアメリカ人達だけがすんごい良い評価を出してて、ガクッとしてしまった。
やっぱりなんか「ハリウッドが頑張って『インディー系』してみたけど、大失敗」っていうのの代表映画になりそう。「変」やからインディーなんやなくて、「変やけどきっちりした話の筋がある、又は登場人物の成長がある」ってのが良いインディー映画なんやと思う。せっかくビル・マレー(今気づいたけど、カタカナではマレーって書くのね→日本の新聞。でも音はマレーちゃうぞ)も抑えたコメディー路線で良かったし、今超売れっ子のスカーレット・ジョハンソンも助演やけどなんか「あっそー」って気合の入らん映画でした。
■American Splendor: これは脚本賞の候補作。DVD借りてきて、プレーヤーにいれて映画が始まってから2分で思ったのが「あー、なんでこの映画買ってこんかってん→自分。」もう超私の好きなコメディーの的のど真ん中をついてる作品。しかし同じ部門に「指輪物語」やミスティック・リバーが入ってるから受賞は難しいかも… この映画の元になってる人、Harvey
Pekarって実は私この映画が去年話題になるまで誰か知らんかってんけど、いかにも私が好きそうな「変な奴」。クリスが映画が半分も終わってない状態で「この映画ってかずはが友達になりたそうな人間がいっぱい出すぎ」と大うけしていた。ハーヴィー自身以外には彼の3番目の嫁さんなんて私が友達になりたい人のいい線いってるかも。
映画はモキュメンタリー(ドキュメンタリー調にして題材をMock(からかう)した物)みたいに見えるとこもあるけど、ちゃうんよね。これはもしかしたら新しい部門の誕生かも??
■Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl:
オスカー候補の発表があった朝、主演男優の部門でジョニー・デップの名前が呼ばれた時は「え?」とちょっと驚いたんやけど、この映画みて、「あー、よく頑張りました!」とニコニコしてしまった。今月号のヴァニティーフェアにでてた記事によるとこの役はキース・リチャーズとアニメのぺぺ・ラピュの中間を取ったそうやねんけど、まさに彼が演じるジャック・スパロウは超Flamboyantな船長。話の筋はもしろんディズニー・ランドの乗り物に基づいてるからたいしたことないし、なんとなくやっぱり子供向けの作りやけど、ジョニー・デップのジャック・スパロウを見てるだけでも楽しめる映画。彼全然見えへんけど、今年で41歳なのねー。オーランド・ブルームと同じ年っていうても納得できるくらい。全然しわもないし、はっきりいって80年代からちっとも容姿は変わってない。ヴァネッサ・パラディは幸せ者よねー。(って彼女自身はなんか子供生んでからググッとおばさんぽくなってる…)今年の主演男優賞は多分ショーン・ペンに行くやろうし、個人的には「ショーン・ペンに勝ってほしい」ので多分ジョニーは候補だけで終わりかなー。しかし「21ジャンプストリート」から人気も劣らずにここまで来れるとはえらいえらい。
■The Whale Rider: ニュージーランドのとてもインディー系な作品。オスカー候補にあがっているのは主役のパイを演じているキーシャ・キャッスル・ヒューズ(カタカナにするとすごい名前やね)。この映画の撮影中は11歳やった彼女は今年13歳でオスカー史最少年の主演女優賞候補。子供が嫌いな人でも「あーこの子養女にもらいたい」と思えちゃうほど、とてもいい子のパイ。ニュージーランドのマオリ族の話で日本の人にはあんまり関係なさそうやけど、女性差別が残る地域では関係大あり。で、このパイの事を女の子やからチーフには成れんと言い切る爺さん演じてる俳優が私の今は亡きおじいさんにそっくりで、パイ役のキーシャは私の親友朱と瓜二つ。というわけで全然違う意味でも親身に感じちゃう。映画の最中はいっぱい涙が出てくる話やけど、話の終わりは本当に心の和む素晴らしい映画。
■The Lord of the Rings: The Return of the King:私は原作を読んだことがないから話の展開がどうなるか分からないので単に感動する映画やなくて、ハラハラ・ドキドキもするのでめちゃめちゃ長い3時間半の映画なんですが、あっという間に終わったような気がしました。しかしこれほど大人の男性が泣いていた映画っていうのは珍しい。それもThe
Green Mileみたいになんか「お涙頂戴物」的な映画でないからいい。
前作のThe Two Towersで一番私の目頭が熱くなったのはハルディア率いるエルフ軍がヘルムズ・ディープに助けに来る所。(An
alliance once existed between elves and men. Long ago we fought
and died together. We come to honor that allegiance. We are proud
to fight alongside men once more. と映画の中で一番カッコいい台詞を言っちゃうハルディアは戦闘で死んじゃう。)
今回の映画でも一番印象に残ってて涙が出てきたのはゴンドーでギャンダルフ(日本語訳知らないのでカタカナ変やったらゴメン)からの使命でピピンが勝手につけた烽火がゴンドーからローハンまで届くシーン。でいかにも自分から戦う王っていうのが滲み出てるローハンの王セオドン。彼が最後の火がついたBeaconを見たアラゴーンが外からダッシュしてきて「ゴンドーが助けを求めてる!」というのを聞いて、前回作でゴンドーから何も援助なかったのにも関わらず、一息おいてAnd
Rohan will answer! という場面。あまりの威厳とカッコ良さに映画館で一瞬「おぉぉ…」と皆さんうなってました。
他にも色々「うぅっ」と涙が出てくるシーンが沢山あるんけど、ちょっと笑える場面もちらほら。馬に乗って一緒に戦おうとするメリーをかばうイオウィンに「勇気やなくて手が届かんから」(I
do not doubt his heart - only the reach of his arm. )とイオマーが返す所。それから前回からやっつけた敵の数を数えてるレゴラスとギムリ。
で、3作終わって私が一番好きなキャラクターは誰か…といいますと、サムです。一番「強い」のは彼やと一作目からずっと思っていたけど、2作目、3作目で絶対的に「サムなしでは世界は救われない」っていう事実確立。彼こそが本物の正義の味方。誰もが欲しい親友とは彼の事なんでしょう。サムが火山の入り口で倒れてしまったフロドにI
can't carry it for you, but I can carry you! と台詞をはいて山を登っていくのを見て子供連れで来ていた私の隣に座ってたお父さんは思いっきり泣いてはりました。ロード・オブ・ザ・リングス賞なんてのがあったらサムワイズ・ギャムジーに贈りたいっす。
10ドルでこれ以上感動・楽しめる娯楽って少ないでしょう。この映画みたら他の映画はもう映画館で観る価値無いとか思っちゃいました。観てない人は早く観に行って!!!(でも先に1作目・2作目のExtended
Versionのチェックをお忘れなく。それでないと何でファラミアとデネソーの葛藤があるんかわからんよん。)
絶対に作品賞・監督賞が今度こそはあたる!!!!と個人的に祈ってる作品。
■Mystic River
ずっとオスカー候補で私が一番「勝って欲しい」とここ2、3年応援してたショーン・ペン主演の映画。もちろんこれでやっとこさオスカーをもらえた作品やから、すごい期待して借りてきたのに、結構しょうもなくてビックリ。よくもまぁ、単に演技派の俳優をずら〜っとそろえただけで、自作をLOTRと比べて偉そうに「この映画の特殊効果は演技だけ」とほざいてた監督、クリント・イーストウッド。本当にこの映画を最後まで見れたのはそれはそれは素晴らしい俳優が山ほどでて皆さん(元から良い性格俳優ばっかりやから当たり前やけど)良い演技をしてはるから。脚本が悪いんか元から単にプロットが悪いのか…これやったらショーン・ペン、Sweet
and Lowdownのほうが絶対オスカーもらえる価値ありやったと思う。これって最近続いてる「ここ数年ずっとよく頑張ったで賞」みたいなオスカー獲得やと思う。これなら絶対ジョニー・デップにあげたいところ。
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