台湾東部

台湾東部は台湾を南北に走る中央山脈によって西部と切り離され、長い間陸の孤島であった。孤立していたことで開発が遅れたため、人の手の及んでいない自然が保存されて、今日貴重な観光スポットとして人気を集めている。息を呑む断崖絶壁が続く太魯閣(タロコ)峡谷、東部海岸国定風景特定区の魅惑的な景観など東部の魅力は尽きない。

 

礁渓 ジャオシー

宜蘭県東北角に位置する宜蘭温泉の名は古今東西にとどろいています。400年以上前には、台湾少数民族のひとつカマラン人やタイヤル人が居住していたといわれています。清代嘉慶元年、1796年になって福建人の呉沙という人物が一群の移民を率いてこの地にやってきました。それからしだいにこの地の開発が進み、やがて宜蘭県北部の拠点として発展していったのです。

礁渓の発展と温泉は、切り離して考えることができません。早期からこの地の人々は囲いを造って湯浴みをする習慣があったそうです。日本統治時代になって、日本人が公衆浴場と旅館を設置し、商業温泉としての歴史が始まったのです。近年でも、「温泉観光特定区」としていっそうの整備が進行中です。また、農業、水産業においても栽培や養殖に利用されており、温泉はこの地になくてはならない経済資源にもなっています。

礁渓公園

ここは圓山公園ともいわれ、鉄道の礁渓駅から北に500mの所にあります。園内には緑陰の小道が走り、市民の憩いの場になっています。また、宜蘭県観光インフォメーションセンターが設置され、食事、宿泊、交通に関する旅客の問い合わせに応じます。

温泉

礁渓温泉は炭酸ナトリウム泉に属し、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、炭酸イオンなどの化学成分が豊富で、台湾では数少ない平地の温泉です。無臭透明で、湧き出すさいの水温は約58°C。入浴後は肌がすべすべするので、女性にも歓迎されています。鉱物を豊かに含むので、沐浴にも、一定の処理をすれば飲用にも適し、健康増進にも大きな効果があります。

台湾を訪れる人にとって、礁渓温泉はその旅程から欠かすことのできない、観光スポットのひとつになっています。礁渓駅を中心に半径1.2kmの範囲が温泉地区にあたり、およそ100軒のホテル、レストラン、浴場が密集して、「温泉郷」の名にふさわしい光景を呈しています。

 

宜蘭

宜蘭市は蘭陽平原の中心に位置し、絶好のロケーションを占めています。河川が縦横に走り、平原に豊かな灌漑資源を提供しており、その中央に位置する宜蘭市は肥沃な土地と水源に恵まれ、豊穣なコメ所として発達してきました。この間一貫して、宜蘭市は蘭陽平原の政治、経済、教育の中心地であり、また、南北交通の要衝の地として栄えてきました。

昭應宮

中山路にあって、宜蘭民衆の信仰と交流の中心として愛され、宜蘭県で唯一国家三級史跡に指定されています。

昭應宮は、媽祖をお祭りしています。創建時には、海に生きる者の守り神としての媽祖の精紳に則り、伝統の習俗に従って東の大海に向かって建てられていましたが、道光14年(1834)になって、廟全体を向かい側に移し、西向きにして立て替えたため、山に面した媽祖廟に生まれ変わったのです。

正面から見ると小さく感じますが、中に入ると奥に長く伸びた細長い廟になっています。この間幾たびも補修を繰り返していますが、三川殿と正殿のみが道光年間の風貌をそのまま現代にとどめています。とくに木彫りと石彫りは独特の風格をそなえ、一見の価値があります。正殿に祭られているのが媽祖です。その神像の上に掲げられている「潭覃海宇」の額は道光年間のもので、廟中でもっとも古い額です。

台湾戯劇館

復興路の宜蘭県立文化センター内にあり、歌仔戯(台湾オペラ)を中心にして傀儡戯(操り人形)に関連した事物を収蔵している「台湾伝統演劇センター」です。民間に伝わる芸能や地方音楽の変遷を裏付ける事物を多数収蔵し、その保存や研究、さらにPR、詳細な情報の提供などの業務に従事しています。館内には、透視観察コーナーがあり現代及び古来、ご当地の歌仔戯の舞台の模型が展示されています。そのほか、視聴覚室や音楽鑑賞コーナーなどを備え、台湾伝統歌劇をいろいろな方面から考察できます。

歌仔戯

福建省南部に伝わる民謡をベースにその他の舞台劇の音楽、身振り、服装を吸収しつつ形成された台湾伝統の歌劇で、民衆に広く根強い人気があります。

傀儡戯

人形を操ることによって演じられる舞台劇のひとつです。人形劇は中国では古代より民衆の間に伝えられてきたもので、いろいろな種類がありますが、台湾に伝えられたのは上方からの糸で操る傀儡戯のみです。

電話:03−932−2014/932-2440 所在地:宜蘭市復興路二段101号

羅東運動公園

羅東市西北にあって、羅東駅からおよそ2kmの距離にあります。敷地は47ha、緑いっぱいの広々とした公園で、スポーツだけでなく自然観察にも利用できます。各種スポーツ施設、地形の景観、水流の景観、森林植林の四つの分野があり、様々な行楽が楽しめます。

電話:03-954-1217 所在地:羅東鎮公正路行き止まり

冬山親水公園

宜蘭五大河川の一つ冬山河は宜蘭を代表する名勝で、多数の行楽客を魅了しています。なかでももっとも人気があるのが中流にある親水公園です。ここには露天野外劇場や浅瀬を利用した水遊びプール、水深のあるボートエリアなどが用意されています。陶器の破片が埋め込まれた黄龍・青龍護岸、さらに小学生が自分で設計したジグゾーパズルの図案もあります。遊泳プールの多彩な工夫が施されており、夏季には水が欠かせません。

開園時間:8:00-18:00 電話:03-950-2097 03-960-2473

所在地:宜蘭県五結郷協和路20-36号

 

蘇澳

宜蘭県の南端にあたり、山を背負い海に面して南北に細長く伸びた地形です。天然の良港に恵まれ、漁港として発達してきた。1974年に十大建設の一つとして蘇澳港の増築がはかられ、台湾五大港のひとつとなり、国際商業港として新たなスタートを切りました。そのほか、珍しい冷泉や蒸気が充満した南方澳港も蘇澳の魅力のひとつとして見逃せません。

冷泉

蘇澳冷泉は22°C以下の低温鉱泉で、無色無臭、水質は透明です。炭酸泉で、浴用、飲用に適しています。世界中をみまわしても、こうした冷泉はイタリーに一例ある限りです。

蘇澳鎮の北方、蘇澳駅からまっすぐ前方に300m行った、中原路と冷泉路付近一帯に位置しています。体温よりかなり低いので風呂に入った瞬間は少々冷たく感じますが、5分ほど浸かっていると、だんだん芯から暖まってくるのを感じます。

冷泉は、その他食品や飲料に利用されています。蘇澳名物の「羊羹」や昔の「ラムネ」はいずれも冷泉を食材にしていました。ラムネは今はありませんが、羊羹は今でも蘇澳の代表的特産になっています。

 

特産

温泉野菜

主に空心菜、糸瓜、マコモなどの栽培に温泉を利用しています。温泉の含む鉱物が野菜の成長を助けるのです。温泉野菜として礁渓の特産物となっています。

鴨賞

家鴨の毛と内臓を取り除いたあと、一羽丸ごと塩漬けにして、偏平に引き伸ばして、日陰に干します。そして砂糖黍の煙で薫製にしたもので、宜蘭の名産の一つになっています。

胆肝

新鮮なブタのキモを漢方薬、香料、醤油で作ったタレに浸し、薄く延ばして天日に干します。約十日間で固くて平べったい宜蘭名物「胆肝」の出来上がりです。

蜜銭

宜蘭は昔から多数の果物を産しています。それらを加工精製したのが「蜜銭」です。なかでも、金棗がもっとも有名です。金棗は金橘とも呼ばれ、宜蘭では大半が、密と煮詰めて「蜜銭」になります。甘いものや、少々しょっぱいものといろいろあり、咳止めや、喉の渇きを癒す効果があります。

牛舌餅

形状が牛の舌に似ていることからこの名があります。鹿港に比べて宜蘭のは厚さが薄めです。お店によっていろいろな味わいがあり、おやつに最適です。康楽町の「老元香餅行」が発祥のお店といわれています。

羊羹

蘇澳羊羹は冷泉を利用して造られています。健胃整腸の効果があり、普通の羊羹とはちょっと違います。冷やして召し上がればいっそう風味があります。中山路上にはいくつかお店が並んでいます。なかでも「鳳鳴」がもっとも古く、90年以上の歴史があります。

 

民俗行事

頭城搶孤

「搶孤」は当地では、中元節、すなわちお盆の大切な行事のひとつです。数百年前、大陸からこの地に渡ってきた漢人の開拓者たちは、疫病や天災、抗争によって、大きな犠牲を強いられました。そうした霊を慰めるためにこうした行事が始まったといいます。「搶孤」はその前に行われるお盆最後の行事でもあるのです。会場の中央には十本の「孤柱」と呼ばれる柱が立っています。それらには、油が塗られ、つるつるしています。その柱を元気な若者が命綱をつけてのぼり、そのスピードを競います。柱の上には、棚が設けられ、そこにはいろいろな飾り物や食べ物が祭られています。その頂点には旗と金牌がかけられています。この戦いは深夜まで続きます。今では、世界中から観客が集まる宜蘭を代表するお祭りになっています。

牽罟

旧暦の3月から9月にかけて大福の海岸では地引き網をひく活動があります。早期開拓者たちは漁業を生業としていました。近海に魚群が訪れたときには、船がいっせいに出てそれを包囲し、村の人が総出で岸から網を引くのです。まるで、綱引きのように大きな声をあげて網を引き、獲物を一網打尽にします。そして、獲物は参加者に均等に分けられ持ち帰るのです。

蘇澳鞦韆大賽(ブランコ大会)

旧暦の8月15日、中秋の日に行われる「鞦韆」の催しは、蘇澳特有の民俗行事です。まず六本の杉の巨木で高さ21尺の櫓を組み立てます。ロープとしてそこから18尺の竹竿を二本たらし、一種のブランコをセットします。櫓の前には男子19尺、女子17尺の細長い竹竿がたてられ、その先に鈴がついています。ブランコを揺すって足で鈴を鳴らし、その音の大きさを競うのです。

礁渓二龍河ボートレース

二龍村で行われるボートレースですが、その競技の方法はちょっと変わっています。タイムを計測する人も、合図をする人も、審判もいないのです。双方が銅鑼を鳴らして出発の合図とします。片方しか銅鑼を鳴らさなかったら、またスタートからやり直しです。ボートをこぐ人は全員立って、交代でオールを握ります。勝敗は観客と選手が決めますから、ときには何回往復しても決着がつかないこともあります。「龍船」とも呼ばれていますが、端午節のドラゴンボートのような龍頭が船に見あたりません。

 

東部海岸国定風景特定区

この風景特定区は何キロも続く黒っぽい砂浜と小石できた海岸が特に目を楽しませてくれる。この海沿いの道のチェックポイントは雄大でなだらかなカーブを描く海岸線であり、また山に掘られた深い洞窟のにある祠からの海の眺めであり、また道の直ぐわきにそそり立つ大きな一枚岩であり、珊瑚礁でもある。そしてまたうっそうと繁るバンヤン樹、先住民の集落、賑やかな漁村、そして秀姑巒渓の河口にかかる長虹橋など枚挙にいとまがない。

詳しくは東部海岸国定風景特定区管理処へ TEL: (089) 841-520 FAX: (089) 841-567

 

蘇花公路

1875年、太平洋に垂直に切り立った崖に、人がやっと通れるだけの狭い道を張りつけるように造る工事が始まった。現在では全長88kmの蘇花公路は、台湾北部と東部を結ぶ幹線道路として活躍している。ときおり急な谷底へ下ったりしながら伸びる公路沿いには、ひなびた海岸沿いの町並みや、活気あふれる漁村、冷泉、砂浜が続いてドライブも飽きがこない。

そして白波を間近に感じる海抜800mあたりまでおりてくると、そこはもうこの道路の終点にあたる太魯閣峡谷への入口である。そこから先は東西横貫公路の始まりとなる。

 

南部横断道路ルート

南部台湾の西海岸の町から東海岸の台東までを結ぶ南部横断道路は、天池で西地区と東地区に分けられる。西地区には、山地集落や自然の温泉、美しい渓谷が点在している。東地区は、断崖と峡谷が続き、雲海や滝が多く見られる。

 

蘭嶼

台湾の南東の太平洋上にぽつんと浮かぶ島、蘭嶼は珊瑚でできた島で、熱帯雨林の中には800種を越す動植物が存在する。その中でも25種類ほどは、世界的に見て非常に珍しい物である。蘭嶼に住んでいる先住民族はヤミ人と呼ばれ人口約2000人、都会と離れた別世界で何世代にも渡って原始的な農漁業を営んできた。ヤミ人は髪踊り、飾り物、織物などに独特の文化を持っている。

 

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