5月24日(土)
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(ケスクストリ:中央広場)
アパートの北側を走るテーッカリン通りには30番のバス停があり、早朝から深夜まで乗客が乗り降りするが書斎から見える。今日は最初の土曜日、一家でタンペレの中心街へ買い物に出かけることにした。バスは、2台のバスの頭と尻尾を切り取って連結したもので、カーブするときは接続部が回転し折れ曲がって走って行く。料金は、1時間9マルッカ(225円)で名古屋の市バスと同じくらいであるが、回数券は10枚つづりで62マルッカだから、割引率はこちらのほうが良い。
バスは、テーッカリン通りを東に突き当たると左折してヘルバナン街道に入り、ヘルバンタの中心部を抜けて北に走る。ヘルバンタを出てからのバス停は、人気のない場所にあるのだが、乗客の乗り降りは頻繁である。よくみると街道沿いの林の向こうに一戸建の住宅群が見え隠れしている。高層住宅が多いヘルバンタより高級な住宅地であろう。ハイウエイを越えて、リデス湖が左に見えるようになると、バスは街道をはずれ、湖の北側を湖畔に沿って西進し、市街の南端に達する。
鉄道の高架下をくぐると、バスは緩やかに右に回ってハタンパーン通りに入り、左側に総ガラス張りの八角錐が印象的な全天候型ショッピングセンター、コスキケスクスが見えるといよいよ中心部真近である。タンペレ駅前を西側に伸びるハメーン通りへ左折し、タマーン運河にかかる石橋を渡ると、バスターミナルのある中央広場、ケスクストリである。
ケスクストリは、約100m四方の石畳の広場で、その中ほどをハメーン通りが東西に貫通している。バスの停留所は主にハメーン通りの南側に集まっており、4〜5階建てのタンペレではめずらしい古風な建物に、北側を除く三方を囲まれている。建物の1階は商店や飲食店で、赤地が派手なマグドナルドのマークも、少し遠慮がちながら窓の日除けに見える。
ハメーン通りの北側広場は、東から北に向かう車道によって切り取られ、南西側の三角形は、中央に噴水を持つ歩道が島のように残る。北東側の三角形は、北辺を古い教会、バンハキルヒ、東辺をタンペレ劇場に囲まれたオープンスペースである。アレクシス・キバン通りを挟んで西側には、2階建ての市庁舎が建つ。斜めの車道を止めれば、かなり広い空間が確保できそうであり、お祭りのときの会場にはもってこいであろう。
(書店)
中心街に来た最大の目的は、書店に来ることであった。日本で買ったロンリープラネットのガイドブックにも、ハメーン通りの北側、タンペレ駅の近くにアカテーミネン書店とマークがある。アカテーミネン書店は、1階の売り場面積のうち2/3を書籍、残りをコンピュータのハード/ソフトが占め、地下に文房具売り場を持つ。書籍の売り場面積は、豊橋の精文館本店の半分くらいであるが、さすがに、フィンランド語関係の書籍は豊富にある。英語はもちろん、独、仏、西、露語とフィンランド語との辞典や、外国人のためのフィンランド学習書が揃っている。
フィンランド語と絵だけで説明されたフィンランド語の入門書、別売カセットテープのある英語解説の入門書と本格的なフィン英辞典を購入した。辞書は1500頁、収容語彙16万、例文も豊富な卓上版で、お値段も240マルッカと豪華である。タンペレを4か国語(フィンランド語、英語、スエーデン語、独語)で説明した大型の写真集もあわせて全部で800マルッカは結構な金額にて、お酒も飲んでないのによく買えたものだと自分でも感心してしまった。ちなみに、筆者は飲酒後に書店に入ると、予定していなかった本を2、3冊(こういうのを衝動買いと言うのだろうか)買ってしまうことがある。
フィンランドでは、一般にレストランの料理は高く、昼食でも一人2000円近くかかってしまうので、ファーストフードの店を探したが、マグトナルドはコストパフォーマンスが悪そうだし、ピザは智が嫌がるので、困ってしまった。とにかく、ハメーン通りを東に向かって歩くと、駅前近くにケバブ(シシカバブって聞いたことがあるでしょう)の店があった。時刻は午後1時半で、店内の客は少なく、雰囲気は庶民的、店先のメニューを見ると、料理も10(ソーセージ1本)〜30マルッカ(ツルク風?カバブ)と手頃な値段なので、入ることにした。
店員は、イラン人風の丸顔丸体のおじちゃんで、こちらが東洋人と見ると、それぞれの料理の写真を差し示しながら英語で説明してくれた。子供達はソーセージとフレンチフライポテトを、家内と私はハンバーガーとツルク風?カバブを分けあうことにした。牛乳とオレンジジュースを各1杯つけて計80マルッカは予算内である。書籍は衝動買いするのに、外食には渋いのは、誰かの性格か。
この店は、気に入った。羊の肉は柔らかくコショウがよく効いている。ケチャップをかけすぎたフレンチフライは好みではないが、子供達は好きである。何よりも皿に盛られた量が多い。一皿で大人1.5〜2人前と考えてよい。壁に飾ってある写真を見ていて、ツルク(フィンランド南西部の古都)風とは勘違いであることが分かった。たぶん、トルコ風が正解。ふとっちょおじさんはトルコ人なのだろう。それにしても、フィンランド人にはフィンランド語で流暢に話しかけるおじさんはすごいと思った。言葉は体を張って覚えるのが一番だ。
(日本人)
ヘルシンキ/バンター空港を飛び立ってから初めて日本人に会った。フィンエアーのスチュワーデスさんを思い出すなあ。ショッピングセンター、コスキケスクスから中央広場ケスクストリに戻る途中、ちょうどツーリストインフォメーションのレンガ造りの建物から、日本人っぽい眼鏡をかけたおじさんが出てきたのである。めずらしいなあと思いながら近くまで来ると、先方より「こんにちは」と挨拶をされた。
本当に日本人だ。彼は文部省の人で視察旅行中とのこと。明日にはヘルシンキへ旅立つとのことにて、子供達の遊び相手を暗に期待したのは無駄に終わった。「日本人を全く見かけませんでしたから、つい声をかけてしまいました。」とはいえ、我々がヘルバンタから出てくるのに遭遇する頻度も考慮すると、偶然とは何だろうと、考えさせられた。アジア人、より絞って東アジア人は比較的よく見かけるが、日本人に出会ったのは4日間で1人である。
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