6月25日(水)

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(パルモネン一家来訪)

 昨日の夕方、何故か早く帰らなければならない気がして、7時前に帰宅した。夕飯のおいしそうなにおいがする。「おおっ、今日はお好み焼か」と一瞬声が出た。ちなみに、私はお好み焼が大好物である。おたふくソースだって、ちゃんと日本から送ってある。「早く食べよう」と言うと、家内はどこで食べようかと変なことを心配している。「居間のテーブルは狭いし、やっぱりキッチンじゃないの」と答えると、椅子が足りないという。
 「何故、急に椅子が足らなくなったのだろう。壊れたのかな?」などと思っていると、「忘れたの?今日はパルモネンさんをご招待しているのよ」と家内の声、さくらちゃん、みどりさん、ユハさん一家である。正直言って、すっかり忘れていた。よかった、早く帰ってきて。
 ユハさんと間近で話をするのは初めてだが、話は家内から聞いているので、初めて会った気がしない。フィンランド人の知識人一般に言えることだが、英語がとても上手で、しかもゆっくりと話してくれるのでよく分かる。無念なのは、会うフィンランド人が次から次に英語を上手に話すこと。これまで、ずいぶんと努力をして来たつもりなのに、何故自分は彼等ほど上手に話せないのだろうと考えたが、日常的に英語を使う習慣がついていないことが原因ではないかと思い当たる。たぶん、この日記も英文で書くべきなのだろう。
 ユハさんと話していて面白かったのは、日本とフィンランドの意外なつながりである。ユハさんが言うには、「日本人とフィンランド人の遺伝子は良く似ていて、不思議なことに日本人と中国人の類似度より日本人とフィンランド人の類似度の方が高い」そうだ(間違っていたら、私の聞き違いです。ご免なさい)。フィンランド語が他のヨーロッパ言語とは異なり、孤立したフィン・ウゴル語族に属するということは、フィンランド大使館発行の「フィンランド」という日本語の書籍で読んで知っていたし、昨年10月からフィンランド語のカセットテープを聞いていて、語尾が母音で終わる、比較的発音のしやすい(英語、フランス語、中国語と比較して)言葉だとは思っていたが、文法や単語(の音)の類似性には気がつかなかった。まあ、両国の間にあるロシアをどければ、フィンランドと日本は隣国にて、いろいろな類似性があっても、おかしくはないなどとは、無理な理屈である。

(ボート)

 土曜日の午前、念願のボートを漕いだ。地図で見る限り、ボートはナシ湖の真ん中へも進出でき、大きな島を一周して周りの景色を楽しめるはずだ。場合によっては、ナシ湖をヴィラットからタンペレに向けて走る観光船にも会えるかもしれないと、父ちゃんはワクワクしながらボートに向かった。ヘルバンタからわざわざ持参したビニールボートは無駄になるが、木製のボートは頑丈で家族4人が乗っても余裕があり、風の無い湖上を遠くまで安心して進むことができる。ミリイ湾の南岸、西側のサウナ小屋から更に西に20mの所に、幅10mくらいのビーチ(ファームのプライベートビーチである)がある。家内と子供達には備え付けの救命胴衣を着せ、砂浜に上げてあるボートを進水させる。
  
 直径1km強の円形をしているミリイ湾は、敢えて分ければ西方の小島でナシ湖の中央部と分けられる。湾の奥近くには岩礁があり、海鳥(海ではないから水鳥というべきかもしれないが、カモメに良く似た大型の鳥である)の巣があるらしい。ボートが岩礁に近づくと、親鳥達は一斉に空に舞い上がり、上空からの爆弾(まあ、うんちですな)攻撃が始まった。あわてて岩礁を離れ、鳥達の警戒水域を避けるように、湾の奥をぐるりと北側に回り込み、西の小島を目指す。素子は、父親の漕艇能力を信頼しておらず、「こわい、早く降りよう」の連続である。
 たしかにボートは真っ直ぐ進まず、右に左に蛇行するので、真っ直ぐ進むのに比べて2倍以上の距離を進まなければならないが、細かいことではない。智は、しきりに櫂を持ちたいと言うが、湾の真ん中で場所を変わるのは危険なので、小島の近くに着くまで我慢させた。結局、湾内と小島を一周しただけでビーチに戻る。1時間半の船旅を、素子は石のように堅くなって過ごした。

(湖畔のサウナ II)

 午後は昨日より早く夕食前の一時(3時〜5時)を、西側のサウナ小屋で過ごした。金曜日に使った東側のサウナより湖畔の桟橋が大きく、桟橋の上で日光浴をする余裕さえある。西側の小屋には更衣室がなく、お日様の下で服を脱ぐことになるが、幸い近所には民家はおろか人気は全く無く、近くに来る可能性があるのはファームの関係者のみ、ミリイ湾を挟んで対岸の別荘も直線距離で1.5km離れており、気にする必要は全くない。人工密度の低い国ならではである。智も素子もフリチンで桟橋の上をはしゃいで走り回り、智は、何度も湖に飛び込みを試みる。午後の太陽はまだ高く、わずかなそよ風が肌に心地よい。素晴しい開放感である。サウナを愛するフィンランド人の気持ちが、少し分かったような気がする。
  
 金曜日と異なり、午後まだ早い時間のサウナは、時間の経つのも惜しいほど素敵だった。約1時間でサウナの燃料が切れ、サウナ室の温度が徐々に下がってくるのを惜しむように、夕食ぎりぎりまでここに居た。湖畔のサウナに来るためだけにでも、もう一度ここを訪れたいという思いが残る。フィンランドの短い夏は、駆け足で過ぎて行く。

(虹)

 夕食後、西の空には青空が広がっているのに、雨が降ってきた。日本で言うところの狐の嫁入りである。雨は結構強く降ったが短時間でやんだ。しばらくすると、期待した通り、東の空に虹がかかった。家内がパルモネンさんに電話すると、すでにご存じの様子。どこで見ても虹はきれいなものだ。虹を見ると子供たちは、「おかあさんといっしょ」のテーマソングを歌い始めた。
 虹が幸いしたわけではないが、画像取り込みを再開できた。何もディジタルカメラ付属のソフトを使わなくても、研究室のMacintoshはAV(Audio Visual のことです念のため)対応なので、取り込み間隔を工夫すればかなり効率的に静止画を取り込める。機械の清水さん(豊田高専機械工学科の先生)とのメール交換で、この方法に気付いたのだが、試してみると画質もホームページ用には十分。さっそく、中断していた画像取り込みを再開することにした。古い方のぺーじからぼちぼち絵を付けていきますので、また、見てやってください。


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