7月4日(金)

                         タンペレ通信に戻る

(欧州人の英語)

 会議の各セッションの間には、結構時間が設けられている。その代わり、最終セッションの終了時間が深夜の0時なんてこともあるが。これらの時間や、エクスカーション(観光旅行)は、他の参加者と接触する良い機会である。この会議は規模が小さく、参加者も少ないの(地元の学生を除けば、200人はいないのではないか)で、比較的簡単に顔を覚えてもらえる(名前は、お互いに難しい)。このようなとき、英語を母国語としない欧州人との会話は、比較的気が楽である。お互いに外国語を使っているので、言葉が原因で一方的に不利になることが余りない。
 その点、英語を母国語とする英国人や米国人を相手に話をするときは、一方的にこちらの言語能力が低くなってしまうので、消極的になり易い。今回の会議は、会場がラップランドだったせいか、両国人の比率は比較的低く、国際会議入門者としては、良い選択ではなかったかと思う。

(ラップランドの蚊の逆襲)

 火曜日の夕刻(といっても太陽はまだ、西北の空高く、午後の雰囲気ではある)、ボートに乗って川を遡り、上流にあるトナカイ牧場を訪ねた。ホテルすぐ横の船着き場からロウソク橋をくぐって、アークティクム(北極圏博物館)を左手に見ながら川面を走る木製ボートは快適であった。曇天ながら西の空は明るく、ウインドブレーカーのおかげで水しぶきも気にならず、風は心地よい。30分ほどの船旅で、我々は、牧場近くの船着き場に着いた。

  

 我々を出迎えてくれたのは、トナカイではなく(トナカイのうんちは、牧場への道で数多く見つけたが)、ラップランドの蚊、しかも大群である。フィンランドのみならず、日本でも見たことのない大群。す、すごい。ファームステイや日曜日の野外博物館など比べものにならない数。早速、用意の防虫液を顔、手、首と露出部全てに塗込んだ。が、群がる蚊の群れは去る様子を見せない。
 船着き場から、牧場に一歩足を踏み入れたとき、大群の発生理由が分かった気がする。放牧場は一面の湿地帯、建物のある小さな丘の麓まで、木製の歩道が続いている。尾瀬の湿原(の写真)のようである。これでは、トナカイの放牧場というよりは、蚊の飼育場でないか?牧場内では、トナカイに餌をやっておとなしくさせ、近くに行って触らせてくれたり、モンゴルのパオを木造で作ったような小屋の中でトナカイの肉を煮込んだスープをごちそうになったり(このスープは、おいしかった。月曜日の動物園見物でもトナカイの肉料理が出たそうであるが、においがきつくて食べれなかったと聞いていたが、さずがにスープにすれば、においも、肉の硬さも、逆に長所に転ずるのであろう。)したが、立っていても座っても蚊の群れから逃れる術はなく、歩いても立ち止まっても同じである。トナカイのスープと共にいただいたホームメードのビールが拍車をかけたのだろう、おでこを中心にブクブクに刺された。
  
 トナカイ牧場を去って船がスピードを上げるまで、蚊の群れから逃れることはできなかった。室内に多少、蚊がまぎれ込んでいるとはいえ、ホテルに戻ってほっとした。帰りのボートで減りつつある蚊がウインドウブレーカーの上で休息するのを観察したが、ヤブ蚊に近い縞々模様の胴体を持ち、サイズはヤブ蚊の1.2倍か、聞いていたように、ラップランドの蚊は、やや大きい。蚊に弱い人は、よくよく慎重に考え、覚悟を決めた上でトナカイ牧場を訪ねるべきである。


前日目次翌日
This page hosted by Get your own Free Homepage
1