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フィギュアースケート / エルビス・ストイコ
    カナダに来るまでは、それ程興味を示さなかったフィギュアースケートですが、今ではフィギュアースケート観賞が趣味の一つになり、スケートのテレビ番組があるとかかさず観るようになりました。 日本では未だにフィギュアースケートってあまり人気が無い様ですが、北米では冬になると毎週の様にスケートの番組が上演されます。  話によると、野球の次に視聴率の高いスポーツ番組がフィギュアースケートそうです。
    フィギュアースケートの魅力・・・ 実際自分自身がスケートするわけでは無いので、観賞する側の見方しか言えませんが、 スピードとジャンプ、それからスケーターの表現力とセンスでしょうか。 それに加え音楽かな。 ご存知のようにフィギュアースケートは音楽に合せて滑り、時には踊ります。 フィギュアースケートはスポーツではありますが、選手の表現力も審査されます。 見方によっては一種のショーにも見えますが、華やかに見える根底にはスポーツ選手には欠かせない、地道な長い努力の道のりが存在するとだと思います。 実際フィギュアースケート選手として活躍しているの人は、小学生低学年またはそれ以前からから練習を始め、幾つかの競技に勝ち抜いてきた人たちです。
    現在活躍してるプロ・アマの選手の中で、自分の好きな選手が何人かいます。 その中で現在カナダの男子スケートのトップの座にいるエルビス・ストイコ(Elvis Stojko)がいます。 彼は98年の長野オリンピックやNHK大会、また今年2000年大阪で開催された 四大陸大会 にも出場しているので、日本でも親しみのある選手だと思います。
    彼はオンタリオ州出身、現在トロントから車で45分程東に上ったリッチモンドヒル(RICHMOND HILL) に在住しています。  3歳の時に初めてスケート靴を履いて、その時からスケートの道が始まったそうです。   90年、当時17歳よりカナダ・チャンピョンシップ大会(成人部)に参加して以来、今年2000年迄に計6回同大会の金メダルを手にし、世界大会・オリンピック大会に出場しています。 今迄に、2回のオリンピック銀メダルを、世界大会では3回金メダルを獲得しています。
    自分が彼のスケートの魅力に引かれたのは、94年度ノルウェー・リラハマーで開催された冬季オリンピックでの彼のスケートを観てからでした。 ロング・プログラムでは映画「ドラゴン: ブルースリー・ストーリー」のテーマ曲をバックに、カンフー的な動作を混じらせながら次々と3回転ジャンプを決めた迫力ある内容でした。 その時の彼は、まるで“水を得た魚”の様に、生き生きとした姿が印象的でした。 その印象が今でもエルビス・ストイコを観るたびに蘇ってきます。
    彼はスケートの他にも東洋の武術に興味を持ち、空手では黒帯を持っているいるそうです。 スケート上でも何処かしら武術的な動作を組み合わせ表現をしています。 それが彼のスタイルだそうです。 しかしながら、フィギュアー・スケートは意外にも保守的な面があり、国によっては(特に東ヨーロッパでは)クラッシック音楽をバックにバレー的な動作を好む保守的な審査員が多いそうです。  その為、ヨーロッパの審査員にはあまりエルビス・ストイコの表現力・演技力というのは評価されていないと、指摘する人もいます。  はっきり言って、彼の表現力やセンスについて人によって好き嫌いがあると思います。 しかし、彼の武器はジャンプです。 難しい3回転ジャンプを意図も簡単にこなしています。 また彼は、4回転−2回転ジャンプのコンビネーションを競技中で世界で初めて成功した選手であります。それは1990年の世界大会でした。 それから7年後の97年世界大会で、4回転−3回転のコンビネーションを成功し、新たに記録を塗り変えています。
(*ちなみに、4回転ジャンプを初めて競技中で成功したのは、カナダのカート・ブラウニングです。)
    エルビスは92年のアルバービル大会から、冬季オリンピックに出場しています。 アルバービル大会では7位に終わり、 94年のリラハマー・オリンピックでは完璧なプログラムを披露しながらも、クラッシック音楽を強調したロシアのスケーター、アレキシ・ウルマノフ (Alexie Urmanov)に王座を取られ、惜しくも銀メダリストとして終わりました。  4年後、98年長野オリンピックでは、鼠径部の怪我により思い通りの滑りが出来ず、またしてもロシアのスケーター、イリア・クーリック(Ilia Kulik)に負け、2位銀メダル獲得に終わりました。
    長野オリンピックでのショート・プログラムでは和太鼓グループ『鼓動』が奏でる、日本の伝統的なテンポの早い太鼓の曲をバックに滑っています。  和太鼓と彼の演技は非常にマッチしていて、「他に誰が彼以上に上手く表現し滑れるか・・・」 と思うほど、完璧なプログラムでした。 今でもそのプログラムを観るたびに感動します。
    鼠径部の怪我については、ロング・プログラムが終わるまで彼の関係者以外誰にも知らされておらず、通常ならば入院していても可笑しくない程、重傷だったそうです。 その事実を公に隠しオリンピックに立ち向かう彼の精神力は、本当に人間として尊敬すべきものだと自分は思います。 彼のインタビューを聴いていると、いつも前向きでポジティブです。 「自分のやるべき事を知っている人は、こんなに力強く、前向きなのかな・・・。」っと思わせるほどです。 彼のスケートだけでなく、彼自身の考え方に魅了する人も少なくないと思います。
    長野オリンピックでは金メダルを獲得できなかったものの、それがかえって彼に次回オリンピックへのチャレンジ精神を与えた様です。  長野オリンピック後、プロに転向するのではないかと噂されましたが、彼はアマチュアの選手として残る決意をしたのです。 長年通い続けたオンタリオ州にあるマリポサ・スケートクラブとコーチを離れ、現在は単独でアメリカのスケート・リンクにて練習を行っているとか。 (*日本のスケーター本田武が現在マリポサ・スケートクラブに通っています。)
    現在27歳のエルビス(2000年3月現在)。 アマチュア・スケート会では普通引退する年齢に達していますが、彼は次回のオリンピックに向けて突進中です。 マスコミとのインタビューでも、「身体を労わって練習を続ければ大丈夫。」と積極的な発言。  相変わらずな彼のポジティブな姿勢には頭が下がります。
    97年度の世界大会以後、怪我が元で低迷気味ではありますが、2002年のソルトレイク・シティー冬季オリンピック参加に向けて、若手に負けず頑張って欲しいと思います。 今年2月大阪で開催された四陸大会では、インターナショナルの大会としては約3年ぶりに金メダルを獲得。 この調子で、今年3月26日からフランス・ニースで開催される世界大会でも、是非メダルを狙って最高のプログラムを見せて欲しいと願っています。

追記: 2000年の世界大会で、エルビスは銀メダルを獲得。
         カナダでは今回を機に彼が引退するのではないかと噂されています。
         来年の世界大会はカナダ・バンクーバーで開催されます。  カナダの英雄エルビスが
         引き続き活躍してくれると良いのですが。  引退するか否かは今年6月頃発表される
         予定だそうです。

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