財政監査官汚職事件
これはバブラシュカ大陸経済局財政監査課の課ぐるみによる
汚職の調査報告書である。
まず財政監査課についてであるが、これはセプターの依頼に
より、対象セプターの所持魔力についてへの監査を行い、不正
が発覚すればその所持魔力の80%を没収するものであるが、
不正がなかった場合、依頼者の所持魔力の80%を没収すると
いう絶大なる権力を持つもので、この監査を行う監査官は一般
にジャッジメントとよばれている。
さて今回このジャッジメントによる財政監査課ぐるみの大規
模な汚職が行われているという情報にもとづき調査を開始した。
その結果まことに遺憾であるが財政監査課の汚職が発覚する事
となった。以下はその調査内容である。
財政監査課はバブラシュカ大陸の高度成長期にあたる土星期
に発足したもので、このときいちじるしい成長を見せたセプタ
ーの競争の緩和とそれによる経済のバブル化を抑止するという
目的のために経済局が設立した調査機関であった。しかしこの
課の汚職は土星期の発足時期よあったものだということが明ら
かになった。それはジャッジメントの絶対的な権限がそうさせ
たもので、この80%没収という行為が敵対セプターへ絶対的
威力を発揮するという理由より、敵対セプターの無力化をねら
ったセプターがこのジャッジメントを利用しはじめたことから
汚職がはじまったとされる。
さて汚職の実体であるがジャッジメントはその調査内容より
各セプター均等に、そして平等に監査を行わなければならない。
しかしジャッジメントたちは依頼セプターに80Gという報酬
をもらうことにより、平等に行われるべき監査を対象セプター
のみに限定し、さらに確実に80%没収するということを行っ
てきた。そしてこの没収した魔力はこの財政監査課に直接入り、
そしてジャッジメントたちに平等にわけられてきたためこの汚
職はとめどなく行われてきた。
しかしこの事態をおもく見たセプターたちはジャッジメント
の自粛を自らすすめることとなった。これは各セプターが足の
引っ張り合いによる衰退を危惧した結果にあると思われる。
そして現在の発展期をむかえ新たな動きが現れ始めた。それ
は新財政監査課長の就任しジャッジメントの意識改革が行われ
たことによる新たな汚職のはじまりである。これはセプター自
らの自粛によりなくなった汚職が、この意識改革で依頼セプタ
ーにもリスクがともなうこととなり、各セプターがそのリスク
を負うことを理由として自粛を撤回しはじめたことが原因であ
る。この結果また80Gの報酬という制度が復活し一時打ち出
した平等という制度が崩壊し、現在では3:1という比率まで
進行してしまった。
以上がこれまで行われてきた財政監査課による汚職の全貌で
ある。この汚職は土星期のようにセプター自ら自粛しないと、
無くならないもので我々がこのジャッジメントを取り締まると
土星期以前の混沌とした時代が、バブラシュカ大陸を襲う懸念
があるため調査だけで手を出すことができない。これによる被
害者はどれだけあるかわからないが、この汚職は必要悪として
認識せざるを得ないのが現状である。
(バブラシュカ大陸検察局内政調査課..X捜査官報告書)
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