ぼくという現実


                      written by 山口良文

     ぼくは空洞、ぼくは矛盾      それでぼくはしゃべり続ける      空洞は増殖、矛盾は循環      ぼくはまた、しゃべり続ける      ぼくには止められない      誰も止められない      ぼくという矛盾      ぼくという現実      ぼくの中で暴れる衝動      あっちへ行ったり、こっちへ来たり      ぼくを引きずりまわす      ぼくの邪魔をする      ぼくを叩きのめす      ぼくという現実      ぼくは逃げられない      ぼくという現実      通り過ぎる電車に      突然の午後の晴天に      混乱の中に見据えよう      何も見抜けないぼくだけど      暗闇も逆光も晴れの日なら雨の日なら      ぼくはここで見続けよう      騒音の中に見据えよう      ぼくという現実      正しいことなど一つも      美しい言葉の一つも      ばくはしゃべらないだろうけど      それでもぼくはしゃべり続ける      二律背反の自家撞着      ジレンマが踏む地団太      それでもぼくはしゃべり続ける      ぼくという現実

Copyright (C) 1996 by 山口良文

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