Asian Pops

王菲 Faye Wong

実はフェイ・ウォンのファンなのでした。アルバムを年代を追って並べてみました。


1989年

王靖雯 王靖雯
CINEPOLY CP-5-0034 (1989) 広東語

これがデビューアルバムになります。この頃は王靖雯という名前で、英語名もシャーリー・ウォンと呼んでました。
スローな曲ばかりを集め、癖の無いきれいな歌い方してますが、しかし雰囲気は少し前の香港ポップスで、今聴くとちょっと泥臭い感じもします。


1990年

Everything Everything
CINEPOLY CP-5-0044 (1990) 広東語

前作に比べ洋楽色が強く、少し垢抜けたものになってます。アルバムタイトルにもなっている、ジョディー・ワトリーのカバー"Everything"や、マリリン・マーチンの"Too Much Too Soon"など、選曲が渋いです。オリジナル曲も良く(特に8曲目の「無悔今夜」など)全体的に楽しめるアルバムになっています。

you're the only one you're the only one
CINEPOLY CP-5-0051 (1990) 広東語

これは比較的上質なポップスに仕上がっていて、個人的にはけっこう気に入っています。シャーリー・クワン(關淑怡)などにも曲を提供している唐奕聰・周禮茂コンビの書くポップな曲が心地良いです。
その他、キャリン・ホワイトやEPOのカバーなどもしてます。


1991年

この年、フェイ・ウォンはニューヨークへ渡っていたため、アルバム製作をしていません。


1992年

coming home coming home
CINEPOLY CP-5-0079 (1992) 広東語

アルバムのジャケットとインナーシートに北京の街の写真が使われていますが、それがとてもかっこいいです。北京の街を歩くフェイ・ウォンが様になってます。それまでなら、香港の人にとっては「大陸=ダサい」というものだったと思いますが、この「北京=かっこいい」というイメージに出会ったのは、これが最初でした。

このアルバムから、彼女はイングリッシュネームをシャーリーからフェイに変えています。本名の「菲」から取ったものです。アルバムタイトルもカバーの写真も、北京出身の彼女が、「自分自身に帰る」という意味を持っているのでしょう。このアルバムあたりから、彼女独特の香港ポップス離れした個性がどんどん出てくるようになります。例えば、低い地声から裏にひっくり返る独特の歌い方も顕著になっています。

内容的には洋楽のカバーが多く、まだ大きな変化は見られませんが、セールス的には成功し、中島みゆきのカバー曲「容易受傷的女人」が香港で大ヒットしています。また、最後の曲"Kisses In The Wind"これはオリジナル曲で英語で歌っていますが、私の好きな杜自持が書いた曲で、アコースティックギター中心のシンプルなアレンジですが、聴いていると涙が出るほどのきれいな曲です。


1993年

執迷不悔 執迷不悔
CINEPOLY CP-5-0091 (1993) 広東語

アルバムのカバー写真などがずいぶん大人びたイメージです。カバーのコンセプトを彼女自身がデザインしていて、このアルバム以降、独特なセンスを発揮したジャケットデザインが続くことになります。
内容的には、それまでのスタイルを踏襲した、ブラック系のカバーとオリジナルを織り交ぜたものですが、より洗練され、また「フェイ・ウォンくささ」みたいなものが更に感じられる物に成って来ています。C.Y.Kong、唐奕聰、呉國敬らの書いているオリジナル曲が秀逸。

十萬個為什麼 十萬個為什麼
CINEPOLY CP-5-0099 (1993) 広東語・北京語

これはきてます。
それまで私はフェイ・ウォンといっても、まあけっこういいかな、くらいにしか思っていませんでしたが、これには参りました。

何といっても1曲目の「流非飛」。
これはとにかく、まあ聴いてみて下さい。最初聴いたときには私は思わず「なんじゃこりゃあ!(松田優作風に)」と叫んでしまった。これ、香港の女の子達の間ですごい人気だったみたいです。「フェイ♪フェイ♪」と嬉しそうに自らの名前を連呼して歌ってます。
ちなみに曲書いてるのは、あのC.Y.Kongです。

3曲目の「如風」
これはなんとも香港ポップスらしい美しい曲。なんだかキャス・パン(彭羚)あたりが歌いそう。

4曲目「冷戦」
喉の奥から絞り出すような歌い方が魅力。このアルバムではいろいろな歌い方を試みていますが、そのどれもが魅力的です。

5曲目「長大」
これはストレートに突き抜けて歌ってます。ゆったりした気持ちのいい曲です。

6曲目「若你真愛我」
これは、中島みゆきの「悪女」です。アレンジがとてもいいです。

7曲目「動心」
このなんと中国的なメロディーの美しいこと。浮遊感のある導入部とサビの「告訴我告訴我…」ってとこがすごくいいです。これはフェイ・ウォン自身が曲書いてます。

8曲目の「雨天没有你」。
これは黒人女性コーラスグループ The Love Unlimited Orchestra が歌っている "Walkin' In The Rain With The One I Love" のカバーです。曲の最初と途中にフェイ・ウォンの喋りが入っていますが、この胸の詰まったような喋り方がかわいいです。

9曲目の「誘惑我」
この歌い方、なんて言うんだろう、唸り出すというか放り出すというか、そんな歌い方で、すごく面白いです。國語(北京語)で歌っていますが、その語調にも合ってていいです。

10曲目「Do Do Da Da」
これは、スティングのアレです。この曲は某CDショップの人に評判よかったみたいです。

11曲目「Do We Really Care?」
英語で歌ってます。このころがすような歌い方がいいです。

(と、まあ、全曲解説してしまいたくなるような内容でした)

とにかくこのアルバムは決してオシャレなポップスなどではありませんが、しかしとてもインパクトがあって魅力的なアルバムなのです。
それから、カバーとインナーシートのデザインが、かわいいです。

如風 Autumn Version 如風 Autumn Version
CINEPOLY CP-50103-150 (1993) 広東語

アルバム「十萬個為什麼」の中の「如風」と「誘惑我」のアレンジ違いのリテイクに新曲1曲を加えたミニアルバム。「誘惑我」は、映画「誘僧」(93)の主題曲に使われました。


1994年

最菲 FAYE BEST 最菲 FAYE BEST
CINEPOLY CP-50129 (1994) 広東語

この写真、ちょっと見てやって下さい。なんですかねこれは。なんと汚いボール紙をハサミで切って折り曲げて、粘着紙テープ(よく包帯なんかに貼って止めるやつ)でCDを貼り付けてあるという、信じられないパッケージなんです。ハサミの切り方もヨレヨレの手打ちそば風!だし。ほとんど子供のイタズラの世界です。世の中にミュージシャンは星の数ほどいれど、こんなの作るのフェイ・ウォンしかいないでしょうな。
これは17曲入りの初のベストアルバム。インナーシートの、おそらく彼女自身の手によると思われるコラージュがおしゃれです。

迷
CINEPOLY CP-50134, DECCA 70036 (1994) 北京語

全曲國語(北京語)で歌っています。初の北京語アルバムであるだけでなく、このアルバムでは雰囲気を大きく変え、オーケストラをバックに使ったもの、アコースティック楽器のみによるアレンジのもの、などの新しい試みを入れています。他のアルバムの収録曲の北京語版などもあります。

胡思亂想 胡思亂想
CINEPOLY CP-50137 (1994) 広東語

フェイ・ウォン中期の代表作を選ぶとしたら、このアルバムが一番のお薦めです。
彼女独自のスタイルをしっかり備え、なおかつポップスとして魅力的でよくまとまったアルバムになっています。美しく切ない曲が多いのもこのアルバムの特徴です。

3曲目「天與地」
これは、アニタ・ユン(袁詠儀)、ラウ・チンワン(劉青雲)主演の映画「昨夜長風」(94)の主題曲です。

4曲目「夢中人」
クランベリーズのカバーで、ご存知のように、彼女が出演した「恋する惑星(重慶森林)」(94)の挿入曲としても使われました。この曲をクランベリーズのオリジナルと聴き比べてみると、これはオリジナルに非常に忠実に歌っていることがわかります。以前ブラック系のカバーなどをしていた頃は、自分流に歌い方を工夫して変えていたものですが、それとは対照的なことです。それは、彼女がオリジナリティを発揮できなかった頃のもがきと、自然にオリジナリティが出せるようになった余裕、と見ることができるのだろうか。

5曲目「知己知彼」
これと1曲目のタイトル曲はコクトー・ツインズのカバーです。フワフワした浮遊感のある幻想的な歌い方が魅力。

6曲目「純情」
ピアノのイントロがたまらない、曲名通り純情な曲。これはC.Y.Kongが作編曲してますが、C.Y.Kongといえば、冗談のようなぶっとんだ変な曲ばかり書く人かと思ったら、こんな綺麗な曲も作るのかとびっくりしてしまいました。

7曲目「遊戯的終點」
これはなんとも切ない曲。間奏とエンディングのバイオリンが良いです。

8曲目「夢遊」
日本で発売されたものは、これがアルバムタイトルになっているらしいです。(確かに「胡思亂想」では、日本人には読めない。)アルバム中で最もフェイ・ウォンらしい、軽く明るい曲です。

10曲目「回憶是紅色天空」
これはデビュー以来彼女の一連のアルバムのプロデューサーであるアルビン・リョン(梁榮駿)が作曲し、C.Y.Kongがアレンジしている美しい曲です。どちらかというと、いかにも香港ポップスらしいウェットな曲ですが、ドライなフェイ・ウォンらしさが自然に噛み合って良い仕上がりになっています。

このアルバムから、彼女は本名の王菲を名乗り始めています。名ばかりでなく、フェイ・ウォンは本当に人が変ったように感じるところが、このアルバムにはありました。

また、洋楽のカバーも、この頃からブラック系から北欧系へと変ってきているのがわかります。

余談ですが、当時は日本のCDショップでフェイ・ウォンのCDを置いているところはほとんど無く、常に入手困難だったので、このアルバムは香港で買ってきたのですが、これだけが妙に値段が高くて、旺角でもHK$100以上したのを覚えています。それだけ人気があったということでしょうか?

討好自己 討好自己
CINEPOLY CP50138 (1994) 広東語・北京語

このアルバムは、ずいぶんアレンジが軽くシンプルになっています。ドゥ・ウェイ(竇唯)がアレンジやドラムで参加していたり、5曲目の「出路」では北京語ラップなどもやっていて面白いです。それまでの香港ポップスのスタイルから明らかに離れ、自分のスタイルを作ろうとしているのがわかりますが、ポップスとしての魅力は今一歩な感じもします。軽めの北欧系ポップスが好きな人にはおすすめ。

天空 天空
CINEPOLY CP 50183, DECCA 70046 (1994) 北京語

アルバム「迷」に続く2枚目の北京語アルバム。アコースティックなアレンジ中心の新しい試みは「迷」ではまだ実験的に感じられたが、ここでは一つの新しい世界が出来上がっている感じがします。タイトル曲「天空」の他、2曲目「棋子」、6曲目「春戀」等の、なんとなく台湾ポップスの香りもする美しく澄み切った曲が印象的です。
フェイ・ウォンのアルバムの中ではこれが一番好きだと言う人も多いようです。

Sound Sample
2. 棋子 (Real Audio 554KB)

Faye DISK Faye DISK
CINEPOLY CP50186 (1994) 広東語・北京語

ある日CDショップへ行くと、CDの棚にピンク色の麻布で出来たずた袋が無造作に置いてありました。「何これ?」と思って見るとフェイ・ウォンのCDでした。しかし店の人もよくこんなの嫌がらずに置いてくれましたね。CDショップのどんなコーナー行ったって、こんなの見たことありません。フェイ・ウォンのおかげでアジアポップスの一角だけ、なんだか妖しい場所になってしまっています。
ちなみに内容は何だか良く解らないものですが、ジャン・ラム(林海峰)とのデュエット曲(これがまた、かわいい)や、「胡思亂想」からの抜粋などの4曲入りのミニアルバム。


1995年

Faye Wong live in concert 王菲最精彩的演唱會 Faye Wong live in concert 王菲最精彩的演唱會
CINEPOLY CP 50207 (1995) 広東語・北京語

94年12月から95年1月にかけて紅館で行われたライブを収録した2枚組。
やはりライブアルバムは楽しくていいです。フェイ・ウォンのぶっきらぼうなお喋りも聴いてみましょう。

菲靡靡之音 菲靡靡之音
CINEPOLY 844558-2, DECCA 70060 (1995) 北京語

アルバムタイトルにある「靡靡之音」というのは、あのテレサ・テンの歌を指している言葉です。テレサ・テンはかつて全中華圏ではスーパースターで、中華人民共和国では、人民に与えるその影響力は鄧小平よりも大きいと言われたものでした。そこで共産党は彼女の歌を禁止し、「靡靡之音」(浪費の音楽)という汚名のレッテルを付けて呼んだのでした。テレサ・テンを尊敬していたフェイ・ウォンはテレサのカバーを集めたこのアルバムを作りましたが、皮肉にも偶然このアルバムを製作中にテレサ・テンが急逝したため、計らずも追悼アルバムを作ったことになってしまいました。

Di-Dar Di-Dar
CINEPOLY 532057-2 (1995) 広東語

タイトル曲「Di-Dar」の独特の節回しは、なんだか昔の矢野顕子みたいとか思ってしまいました。これに代表されるように、フェイ・ウォン自身の声の個性を生かした曲作りをしています。
ほとんどオリジナル曲ですが、7曲目は、鈴木祥子の「あの空に帰ろう」のカバーです。アーティスティックでありながら、全体的にすがすがしく、気持ちのいい雰囲気にまとまっています。

一人分飾兩角 一人分飾兩角
CINEPOLY 852359-2 (1995) 広東語・北京語

これはまた「とんでもないCDケース」シリーズの第3弾です。今回は安っぽい段ボールを折り曲げただけというもの。横から中身のCDが落ちないように一応紙が貼って止めてあります。取り出すときはこれをハサミで切ります。でもこれは前のに比べると箱の形をしているだけでもまだマシというものでしょう。
ちなみに、このケースのデザインは、あのジャン・ラム(林海峰)が担当していますが、あの男なら、さもありなんというデザインです。
内容は、ジャン・ラムが監督した映画「天空小説」(95)の挿入歌であるタイトル曲の他、リミックス曲などの6曲入り。


1996年

浮躁 浮躁
CINEPOLY 532776-2 (1996) 北京語

ジャケットの日焼け顔がおかしい。
このアルバムはドゥ・ウェイ(竇唯)とチャン・ヤートン(張亞東)という大陸のミュージシャンによるプロデュースで、全曲北京語で歌っています。ドゥ・ウェイとは、2年前の「討好自己」で試みていたことが、ここへ来て成功しているようです。ややエキセントリックで、意味の無い言葉を並べた曲とかインストルメンタルとか色々あるのですが、どれも音楽的に質が高く、かっこいいです。
また、コクトー・ツインズがオリジナル曲を2曲提供しているのも注目。
このアルバムはフェイ・ウォンが新しいスタイルを切り開いたとも言える一枚で、ここに香港ポップスらしさを求めると、全くの期待外れになりますが、北欧系の洋楽ファンは気に入るはず。

王菲樂樂精選 王菲樂樂精選
CINEPOLY 534023-2 (1996) 広東語

2枚目のベストアルバムで、92年から95年の間の広東語アルバムから選ばれた16曲入りです。インナーシートの郷愁を誘うような北京の写真がきれい。


1997年

玩具 玩具
CINEPOLY 534664-2 (1997) 広東語

このアルバムは、再びアルビン・リョン(梁榮駿)によるプロデュース。5曲入りのミニアルバムです。
これはちょっと変った雰囲気を持っていて、1960年代のフランス映画のような洒落た感じがします。C.Y.Kongによるタイトル曲はなんとなくカーディガンズ風。また、5曲目のサビ部分の「我信我信…」という繰り返しは、すごく楽しくて癖になりそうです。これはけっこうお薦め。

Sound Samples
4. 玩具 (Real Audio 209KB)
5. 我信 (Real Audio 258KB)

自便 自便
CINEPOLY 574649-2 (1997) 広東語

新曲3曲と、過去の曲のハウス風リミックスを含めた6曲入りのミニアルバム。香港ポップスらしい彼女の94年頃の雰囲気があり、透明感のある明るいものになっています。ビヨンドの黄家強による2曲目がいい。
前のアルバム「玩具」ともに曲数の少ない変則的な構成なのは、これがCINEPOLYレーベルでの最後のオリジナルアルバムで、契約の関係でぎりぎりに作られているためと思われます。

Sound Samples
2. 守護天使 (Real Audio 311KB)
3. 自便 (Real Audio 331KB)

王菲 王菲 (快樂.不快樂.一直王菲)
EMI 72438 2129929 (1997) 北京語

EMI移籍後の初のアルバム。音楽スタイルからは「浮躁」に続く北京語アルバムと捉えることができますが、前作に比べ、よりポップで、北欧ポップスと香港ポップスをミックスさせようとしている感じがします。
初期の頃にあったような癖のある歌い方はせず、とても自然に歌っているので、知らずに聴くとフェイ・ウォンだと気が付かないくらいです。

Sound Samples
3. (Real Audio 222KB)
4. 娯樂場 (Real Audio 376KB)
7. 小題大做 (Real Audio 287KB)


1998年

王菲唱遊 王菲唱遊
EMI百代 7243 4 97839[2 8] (1998) 北京語・広東語

このアルバムの頃からフェイ・ウォンは日本でも有名になり、これは日本でもヒットしたようです。
しかし音楽的には特別新しいものは無く、95年の頃の雰囲気に似ていています。アルバムを出す毎に常に新しい試みを続けていたフェイ・ウォンだけに、ある意味アーティストとして大きくなったというか、守りの段階に入ったというか、そんな気もしました。
安心して聴ける曲が多いですが、中では10曲目、旦那のドゥ・ウェイ(竇唯)と2人で作った曲「童」が面白いです。アレンジをクールに徹しているのは正解。


1999年

王菲只愛陌生人 王菲只愛陌生人
EMI百代 7243 5 23059 26 (1999) 北京語・広東語

EMIに移籍してから、アルバムの製作数が一年に一枚と少なくなっています。これは香港のミュージシャンにしては珍しいことかもしれません。
王菲はCINEPOLYからの移籍前の土壇場で「玩具」という新境地を開きそうなミニアルバムを作っていたのに、移籍後の97年のアルバム「王菲」と、それに続く「唱遊」ともに、どちらもあまりにオーソドックスな作り方をしていて、私はこれらを聴いたとき、これはマンネリに陥ってしまう可能性があると危惧したりもしましたが、そこは一応考えていたようです。決してマンネリにならず、かと言って実験するでもなく、それにはつまり製作本数を減らせばいいんですね。頭いいなあ。

アルバムの内容は、ボーカルの音をバリバリに割れさせたエフェクトが妙に魅力的な1曲目、素直にきれいな2,3曲目、とても優しく心地良いタイトル曲の4曲目、アコースティックなピアノのアレンジが美しい7曲目、ペプシのCM主題曲になっている西部劇みたいに(?)バイタルな10曲目、などなど色々盛り沢山です。タイトル曲「只愛陌生人」では、前作に続き、王菲の娘の小靖童の声が入っています。(ちゃんとVoiceとしてクレジットもされている。) 前作ではただアブアブ言っている赤ん坊だったのが、今回はちゃんと言葉を喋っています。さすが成長してますね。次のアルバムでは歌を歌ってんじゃないかな。

ちなみに私が買ったものは、香港で発売されたVCD付きの2枚組みで、王菲の出演するペプシのCMと、その曲のMTVと、そのメイキングが入っています。映像はなかなか魅力的です。水中シーンの撮影でプールに入るときの、彼女の嫌がっている顔が可笑しいです。水、嫌いなのかな。

Faye HK Scenic Tour 98-99 唱遊大世界王菲香港演唱會98-99 Faye HK Scenic Tour 98-99
EMI百代 7243 5 21257 22 (1999) 広東語・北京語

彼女は95年にもライブアルバムを出していますが、この4年前のアルバムと聴き比べてみると、結構面白いです。
まず客席のノリが全然違うし、ステージの雰囲気も全然違う。今度の客席には変な客がいっぱいいて、変なことやってる客に、フェイ・ウォンがいちいち相手してる様子が、すごい可笑しいです。
昔は気の強いシャイな女の子だったのが、なんだか最近は、話し方とかが、ちょっと気風のいい女将さん風になってきてます。まあ、お母さんだし、離婚もしたしね、人間そうやって味が出てくるんですね。

歌のほうは、なんだか最初のほうは疲れてるみたいに息切れしていて、ちょっといまいちなんですが、だんだん乗ってくると、もうどんどんやってくださいって感じです。
途中で年越しのカウントダウンなんかしていて、どうも大晦日にやったライブを収録したもののようです。
曲としての聴き物は、クィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」をコーラス付きで歌っているのがなかなか良いです。


2000年

寓言 寓言
EMI百代 7243 529852 2 7 (2000) 北京語・広東語

あんまりコメントしたくないんだけど、正直言うと、一年もかけてこんなアルバム作っているようじゃ駄目だよなあ、と思う。もうあんまりやる気無いんでしょうか。お金もあるし、子供もいるし。
アルバムのプロデュースは、いつものアルビン・リョンです。音楽の傾向もいつもと同じです。もちろん今更何か新しい事を始めようなんてのは無理だろうけど、でもせめて「いいな」と思えるようなものを作ってもらわないと困るのです。
ちなみに、アルバムとセットになっているVCDは、CFの撮影風景などが入っていて、これは結構面白いです。


2001年

王菲 王菲
EMI百代 0724353643300 (2001) 北京語・広東語

これは、北京語の10曲入りCDと、広東語の5曲入りCDとの、2枚セットです。
しかし、アルバムタイトルに自分の名前なんか持ってきちゃってますが、大丈夫なんだろか。
ところで、アルバム中の2曲は、なんと私の大好きタニヤ・チュア(蔡健雅)が書き、2曲をウーバイ(伍佰)が書いていて、これが結構面白いです。特にタニヤ・チュアの3曲目「打錯了」が最高です。この人、ほんとにこういう60年代フレンチポップスみたいな曲書くんだよな。若いのに。あと、広東語CDには、なんとニコラス・ツェー(謝霆鋒)の書いた曲が入っていたりして、なんじゃらほい。結構面白いです。

Separate Ways Separate Ways
東芝EMI TOCT 22151 (2001) 日本語・英語・北京語

日本のフジテレビのドラマ「ウソコイ」の主題歌「セパレイト・ウェイズ」が入った5曲入りミニアルバム(マキシシングルとも言う)です。FF VIIIの「Eyes On Me」と、去年のアルバムから「香奈兒」も入ってます。日本のテレビ・ラジオでよく流れていたので聴いた人は多いと思いますが、日本語で歌ってます。日本語も、なんかちゃんとしてます。でもまあ、日本のテレビドラマに出たりとか、ずいぶん安くなったもんだ、とか思っちゃいましたが、でもギャラは高いんだろうな。いい商売でしたか?


2002年

この年はアルバム製作をしていません。


2003年

將愛 將愛
Sony Music IND0333 (2003) 北京語・広東語

2年ぶりのアルバムです。アルバムのプロデュースは王菲自身と、「浮躁」とその後のアルバムで何曲かプロデュースに加わっているチャン・ヤートン(張亞東)です。張亞東は大陸の人だからか、作る曲はポップというより、むしろ芸術的。良し悪しは別として、私の認識としては王菲というのは「歌のおもちゃ」だと思っているので、もっと冗談に徹してくれてもいいんですが、もうそんな歳でもないのですかね。アルバムの構成は、北京語の新曲10曲と、そのうち2曲の広東語版と、それとまたなぜか謝霆鋒の作った広東語の1曲。ジャケットデザインはなんとなく和風で、紙の箱&紙袋入り。


2004年

菲比尋常 Faye Wong Live 演唱會 菲比尋常 Faye Wong Live 演唱會
新力哥倫比亞 (2004) 広東語・北京語

2003年12月紅館で行われたライブを収録した2枚組。


2005年

王菲珍藏集 王菲珍藏集
飛東 ZCD-1002 (2005) 北京語

何故今頃こんなものが。王菲が16歳の時にレコーディングした曲の復刻版。ある意味デビューアルバム。なかなか凄いです。


その他ベストアルバム等

フェイ・ウォンはベストアルバムが非常に沢山出ていますが、ファンになったばかりで何を買ったら良いか判らない人にはいいかもしれません。
下に挙げたものは、いずれも私が持っていない物なので、内容に関しては多少違っているかもしれないです。

Complete Shirley Complete Shirley
新藝寶(1992)

デビュー当時89年から90年の曲を集めたもので28曲入り2枚組。

Faye Best 最菲 Faye Best 最菲
新藝寶(1994)

1994年に紙のケースで出したベストアルバムのリパッケージ版。

王菲89-97精選套装 王菲89-97精選套装
新藝寶(1997)

2枚組32曲入り。初期の曲から最近の曲までまんべんなく集めたベストアルバム。

菲主打 菲主打
新藝寶(1997)

12曲入りベストアルバム。

王菲精選 '菲'賣品 王菲精選 '菲'賣品
新藝寶(1997)

16曲入りベストアルバム。アルバムタイトルは「非売品」のシャレ。

菲舊夢 菲舊夢
新藝寶(1998)

「菲靡靡之音」、「玩具」とライブのVCDを集めた3枚組と思われます。

Faye Wong Party Mix Faye Wong Party Mix
新藝寶(1998)

29曲入り。リミックス集と思われます。

唱遊幻境卡拉OK 唱遊幻境卡拉OK
(1999)

「唱遊」のカラオケと思われます。同じ内容でLD、VCD、DVDがある。

Eyes On Me Eyes On Me
東芝EMI (1999)

日本で発売されたシングル。「ファイナルファンタジーVIII」のエンディングテーマ。

菲感情生活 菲感情生活
新藝寶(1999)

これは「とんでもないCDケース」シリーズ第4弾。今回はなんと缶入り。でも今までのうちで一番まともかも。これは20曲入り2枚組の企画物ベストアルバム。

但願人長久 但願人長久
新藝寶(1999)

32曲入りの2枚組みベストアルバム。

王菲好精選 + Music Box 王菲好精選 + Music Box
新藝寶(2001)

16曲入りベストアルバム+Music Box CD付き。

我的王菲時代 我的王菲時代
上華(台湾)(2001)

中期の頃の北京語16曲入りベストアルバム。

Faye Best Faye Best
新藝寶(2002)

30曲入り2枚組。まんべんなく入っている。

夢中人 夢中人
東芝EMI(2001)

日本から発売された18曲入りベストアルバム。まんべんなく入っている。

光の翼 光の翼
東芝EMI(2001)

日本から発売されたもので、2001年の「王菲」の2枚組を1枚にまとめたものに、「Separate Ways」を加えたもの。

失物招領-王菲精選 失物招領-王菲精選
福茂唱片(2002)

20曲入り2枚組。まんべんなく入っている。

你王菲所以我王菲 王菲所以我王菲
EMI百代(2002)

後期の曲を集めた24曲入り2枚組ベストアルバム。

王菲最新精選專輯 王菲最新精選專輯
新藝寶(2003)

初期の曲からまんべんなく入った28曲のCD2枚、および5曲入りDVDのセット。

王菲 Best Of The Best Super Audio CD 王菲 Best Of The Best Super Audio CD
新藝寶(2003)

主に1990~1994年頃の曲を集めた13曲入り。Stereo Hybrid SACD 仕様。

王菲 Best Of The Best Super Audio CD 環球影音啟示錄 - 王菲
環球唱片(2004)

初期の曲を集めた30曲入りCD2枚と、MV10曲入りのDVDのセット。

國語真經典-王菲 國語真經典-王菲
環球影音(2005)

16曲入り北京語アルバム

王菲的故事 王菲的故事
正東唱片(2005)

書籍+CD2枚(30曲)

情・菲・得意 情・菲・得意
正東唱片(2005)

CD3枚(48曲)+カラオケDVD(15曲)入り。

これら以外にも、大陸向け、シンガポール版などのアルバムや、ライブのVCD、カラオケCDなどの商品の数が多く、完全に把握することは出来ませんでした。


こうやって年代順に並べてみると、フェイ・ウォンがどのように変化してきたのかがよくわかるようです。私は個人的にはブラック系の洋楽が好きでフェイ・ウォンを聴き始めたところがあるので、初期の頃のダサいと言われているアルバムも、いまだに結構好きで聴いていたりします。

フェイ・ウォン写真館(おまけ)

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