実はフェイ・ウォンのファンなのでした。アルバムを年代を追って並べてみました。
王靖雯 CINEPOLY CP-5-0034 (1989) 広東語
これがデビューアルバムになります。この頃は王靖雯という名前で、英語名もシャーリー・ウォンと呼んでました。 |
Everything CINEPOLY CP-5-0044 (1990) 広東語 前作に比べ洋楽色が強く、少し垢抜けたものになってます。アルバムタイトルにもなっている、ジョディー・ワトリーのカバー"Everything"や、マリリン・マーチンの"Too Much Too Soon"など、選曲が渋いです。オリジナル曲も良く(特に8曲目の「無悔今夜」など)全体的に楽しめるアルバムになっています。 |
you're the only one CINEPOLY CP-5-0051 (1990) 広東語
これは比較的上質なポップスに仕上がっていて、個人的にはけっこう気に入っています。シャーリー・クワン(關淑怡)などにも曲を提供している唐奕聰・周禮茂コンビの書くポップな曲が心地良いです。 |
coming home CINEPOLY CP-5-0079 (1992) 広東語 アルバムのジャケットとインナーシートに北京の街の写真が使われていますが、それがとてもかっこいいです。北京の街を歩くフェイ・ウォンが様になってます。それまでなら、香港の人にとっては「大陸=ダサい」というものだったと思いますが、この「北京=かっこいい」というイメージに出会ったのは、これが最初でした。 このアルバムから、彼女はイングリッシュネームをシャーリーからフェイに変えています。本名の「菲」から取ったものです。アルバムタイトルもカバーの写真も、北京出身の彼女が、「自分自身に帰る」という意味を持っているのでしょう。このアルバムあたりから、彼女独特の香港ポップス離れした個性がどんどん出てくるようになります。例えば、低い地声から裏にひっくり返る独特の歌い方も顕著になっています。 内容的には洋楽のカバーが多く、まだ大きな変化は見られませんが、セールス的には成功し、中島みゆきのカバー曲「容易受傷的女人」が香港で大ヒットしています。また、最後の曲"Kisses In The Wind"これはオリジナル曲で英語で歌っていますが、私の好きな杜自持が書いた曲で、アコースティックギター中心のシンプルなアレンジですが、聴いていると涙が出るほどのきれいな曲です。 |
執迷不悔 CINEPOLY CP-5-0091 (1993) 広東語
アルバムのカバー写真などがずいぶん大人びたイメージです。カバーのコンセプトを彼女自身がデザインしていて、このアルバム以降、独特なセンスを発揮したジャケットデザインが続くことになります。 |
十萬個為什麼 CINEPOLY CP-5-0099 (1993) 広東語・北京語
これはきてます。
何といっても1曲目の「流非飛」。
3曲目の「如風」
4曲目「冷戦」
5曲目「長大」
6曲目「若你真愛我」
7曲目「動心」
8曲目の「雨天没有你」。
9曲目の「誘惑我」
10曲目「Do Do Da Da」
11曲目「Do We Really Care?」 (と、まあ、全曲解説してしまいたくなるような内容でした)
とにかくこのアルバムは決してオシャレなポップスなどではありませんが、しかしとてもインパクトがあって魅力的なアルバムなのです。 |
如風 Autumn Version CINEPOLY CP-50103-150 (1993) 広東語 アルバム「十萬個為什麼」の中の「如風」と「誘惑我」のアレンジ違いのリテイクに新曲1曲を加えたミニアルバム。「誘惑我」は、映画「誘僧」(93)の主題曲に使われました。 |
最菲 FAYE BEST CINEPOLY CP-50129 (1994) 広東語
この写真、ちょっと見てやって下さい。なんですかねこれは。なんと汚いボール紙をハサミで切って折り曲げて、粘着紙テープ(よく包帯なんかに貼って止めるやつ)でCDを貼り付けてあるという、信じられないパッケージなんです。ハサミの切り方もヨレヨレの手打ちそば風!だし。ほとんど子供のイタズラの世界です。世の中にミュージシャンは星の数ほどいれど、こんなの作るのフェイ・ウォンしかいないでしょうな。 |
迷 CINEPOLY CP-50134, DECCA 70036 (1994) 北京語 全曲國語(北京語)で歌っています。初の北京語アルバムであるだけでなく、このアルバムでは雰囲気を大きく変え、オーケストラをバックに使ったもの、アコースティック楽器のみによるアレンジのもの、などの新しい試みを入れています。他のアルバムの収録曲の北京語版などもあります。 |
胡思亂想 CINEPOLY CP-50137 (1994) 広東語
フェイ・ウォン中期の代表作を選ぶとしたら、このアルバムが一番のお薦めです。
3曲目「天與地」
4曲目「夢中人」
5曲目「知己知彼」
6曲目「純情」
7曲目「遊戯的終點」
8曲目「夢遊」
10曲目「回憶是紅色天空」 このアルバムから、彼女は本名の王菲を名乗り始めています。名ばかりでなく、フェイ・ウォンは本当に人が変ったように感じるところが、このアルバムにはありました。 また、洋楽のカバーも、この頃からブラック系から北欧系へと変ってきているのがわかります。 余談ですが、当時は日本のCDショップでフェイ・ウォンのCDを置いているところはほとんど無く、常に入手困難だったので、このアルバムは香港で買ってきたのですが、これだけが妙に値段が高くて、旺角でもHK$100以上したのを覚えています。それだけ人気があったということでしょうか? |
討好自己 CINEPOLY CP50138 (1994) 広東語・北京語 このアルバムは、ずいぶんアレンジが軽くシンプルになっています。ドゥ・ウェイ(竇唯)がアレンジやドラムで参加していたり、5曲目の「出路」では北京語ラップなどもやっていて面白いです。それまでの香港ポップスのスタイルから明らかに離れ、自分のスタイルを作ろうとしているのがわかりますが、ポップスとしての魅力は今一歩な感じもします。軽めの北欧系ポップスが好きな人にはおすすめ。 |
天空 CINEPOLY CP 50183, DECCA 70046 (1994) 北京語
アルバム「迷」に続く2枚目の北京語アルバム。アコースティックなアレンジ中心の新しい試みは「迷」ではまだ実験的に感じられたが、ここでは一つの新しい世界が出来上がっている感じがします。タイトル曲「天空」の他、2曲目「棋子」、6曲目「春戀」等の、なんとなく台湾ポップスの香りもする美しく澄み切った曲が印象的です。
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Faye DISK CINEPOLY CP50186 (1994) 広東語・北京語
ある日CDショップへ行くと、CDの棚にピンク色の麻布で出来たずた袋が無造作に置いてありました。「何これ?」と思って見るとフェイ・ウォンのCDでした。しかし店の人もよくこんなの嫌がらずに置いてくれましたね。CDショップのどんなコーナー行ったって、こんなの見たことありません。フェイ・ウォンのおかげでアジアポップスの一角だけ、なんだか妖しい場所になってしまっています。 |
Faye Wong live in concert 王菲最精彩的演唱會 CINEPOLY CP 50207 (1995) 広東語・北京語
94年12月から95年1月にかけて紅館で行われたライブを収録した2枚組。 |
菲靡靡之音 CINEPOLY 844558-2, DECCA 70060 (1995) 北京語 アルバムタイトルにある「靡靡之音」というのは、あのテレサ・テンの歌を指している言葉です。テレサ・テンはかつて全中華圏ではスーパースターで、中華人民共和国では、人民に与えるその影響力は鄧小平よりも大きいと言われたものでした。そこで共産党は彼女の歌を禁止し、「靡靡之音」(浪費の音楽)という汚名のレッテルを付けて呼んだのでした。テレサ・テンを尊敬していたフェイ・ウォンはテレサのカバーを集めたこのアルバムを作りましたが、皮肉にも偶然このアルバムを製作中にテレサ・テンが急逝したため、計らずも追悼アルバムを作ったことになってしまいました。 |
Di-Dar CINEPOLY 532057-2 (1995) 広東語
タイトル曲「Di-Dar」の独特の節回しは、なんだか昔の矢野顕子みたいとか思ってしまいました。これに代表されるように、フェイ・ウォン自身の声の個性を生かした曲作りをしています。 |
一人分飾兩角 CINEPOLY 852359-2 (1995) 広東語・北京語
これはまた「とんでもないCDケース」シリーズの第3弾です。今回は安っぽい段ボールを折り曲げただけというもの。横から中身のCDが落ちないように一応紙が貼って止めてあります。取り出すときはこれをハサミで切ります。でもこれは前のに比べると箱の形をしているだけでもまだマシというものでしょう。 |
浮躁 CINEPOLY 532776-2 (1996) 北京語
ジャケットの日焼け顔がおかしい。 |
王菲樂樂精選 CINEPOLY 534023-2 (1996) 広東語 2枚目のベストアルバムで、92年から95年の間の広東語アルバムから選ばれた16曲入りです。インナーシートの郷愁を誘うような北京の写真がきれい。 |
玩具 CINEPOLY 534664-2 (1997) 広東語
このアルバムは、再びアルビン・リョン(梁榮駿)によるプロデュース。5曲入りのミニアルバムです。 |
自便 CINEPOLY 574649-2 (1997) 広東語
新曲3曲と、過去の曲のハウス風リミックスを含めた6曲入りのミニアルバム。香港ポップスらしい彼女の94年頃の雰囲気があり、透明感のある明るいものになっています。ビヨンドの黄家強による2曲目がいい。 |
王菲 (快樂.不快樂.一直王菲) EMI 72438 2129929 (1997) 北京語
EMI移籍後の初のアルバム。音楽スタイルからは「浮躁」に続く北京語アルバムと捉えることができますが、前作に比べ、よりポップで、北欧ポップスと香港ポップスをミックスさせようとしている感じがします。 |
王菲唱遊 EMI百代 7243 4 97839[2 8] (1998) 北京語・広東語
このアルバムの頃からフェイ・ウォンは日本でも有名になり、これは日本でもヒットしたようです。 |
王菲只愛陌生人 EMI百代 7243 5 23059 26 (1999) 北京語・広東語
EMIに移籍してから、アルバムの製作数が一年に一枚と少なくなっています。これは香港のミュージシャンにしては珍しいことかもしれません。 アルバムの内容は、ボーカルの音をバリバリに割れさせたエフェクトが妙に魅力的な1曲目、素直にきれいな2,3曲目、とても優しく心地良いタイトル曲の4曲目、アコースティックなピアノのアレンジが美しい7曲目、ペプシのCM主題曲になっている西部劇みたいに(?)バイタルな10曲目、などなど色々盛り沢山です。タイトル曲「只愛陌生人」では、前作に続き、王菲の娘の小靖童の声が入っています。(ちゃんとVoiceとしてクレジットもされている。) 前作ではただアブアブ言っている赤ん坊だったのが、今回はちゃんと言葉を喋っています。さすが成長してますね。次のアルバムでは歌を歌ってんじゃないかな。 ちなみに私が買ったものは、香港で発売されたVCD付きの2枚組みで、王菲の出演するペプシのCMと、その曲のMTVと、そのメイキングが入っています。映像はなかなか魅力的です。水中シーンの撮影でプールに入るときの、彼女の嫌がっている顔が可笑しいです。水、嫌いなのかな。 |
唱遊大世界王菲香港演唱會98-99 Faye HK Scenic Tour 98-99 EMI百代 7243 5 21257 22 (1999) 広東語・北京語
彼女は95年にもライブアルバムを出していますが、この4年前のアルバムと聴き比べてみると、結構面白いです。
歌のほうは、なんだか最初のほうは疲れてるみたいに息切れしていて、ちょっといまいちなんですが、だんだん乗ってくると、もうどんどんやってくださいって感じです。 |
寓言 EMI百代 7243 529852 2 7 (2000) 北京語・広東語
あんまりコメントしたくないんだけど、正直言うと、一年もかけてこんなアルバム作っているようじゃ駄目だよなあ、と思う。もうあんまりやる気無いんでしょうか。お金もあるし、子供もいるし。 |
王菲 EMI百代 0724353643300 (2001) 北京語・広東語
これは、北京語の10曲入りCDと、広東語の5曲入りCDとの、2枚セットです。 |
Separate Ways 東芝EMI TOCT 22151 (2001) 日本語・英語・北京語
日本のフジテレビのドラマ「ウソコイ」の主題歌「セパレイト・ウェイズ」が入った5曲入りミニアルバム(マキシシングルとも言う)です。FF VIIIの「Eyes On Me」と、去年のアルバムから「香奈兒」も入ってます。日本のテレビ・ラジオでよく流れていたので聴いた人は多いと思いますが、日本語で歌ってます。日本語も、なんかちゃんとしてます。でもまあ、日本のテレビドラマに出たりとか、ずいぶん安くなったもんだ、とか思っちゃいましたが、でもギャラは高いんだろうな。いい商売でしたか?
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將愛 Sony Music IND0333 (2003) 北京語・広東語
2年ぶりのアルバムです。アルバムのプロデュースは王菲自身と、「浮躁」とその後のアルバムで何曲かプロデュースに加わっているチャン・ヤートン(張亞東)です。張亞東は大陸の人だからか、作る曲はポップというより、むしろ芸術的。良し悪しは別として、私の認識としては王菲というのは「歌のおもちゃ」だと思っているので、もっと冗談に徹してくれてもいいんですが、もうそんな歳でもないのですかね。アルバムの構成は、北京語の新曲10曲と、そのうち2曲の広東語版と、それとまたなぜか謝霆鋒の作った広東語の1曲。ジャケットデザインはなんとなく和風で、紙の箱&紙袋入り。
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菲比尋常 Faye Wong Live 演唱會 新力哥倫比亞 (2004) 広東語・北京語
2003年12月紅館で行われたライブを収録した2枚組。
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王菲珍藏集 飛東 ZCD-1002 (2005) 北京語
何故今頃こんなものが。王菲が16歳の時にレコーディングした曲の復刻版。ある意味デビューアルバム。なかなか凄いです。
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フェイ・ウォンはベストアルバムが非常に沢山出ていますが、ファンになったばかりで何を買ったら良いか判らない人にはいいかもしれません。 下に挙げたものは、いずれも私が持っていない物なので、内容に関しては多少違っているかもしれないです。 |
Complete Shirley 新藝寶(1992) デビュー当時89年から90年の曲を集めたもので28曲入り2枚組。 |
Faye Best 最菲 新藝寶(1994) 1994年に紙のケースで出したベストアルバムのリパッケージ版。 |
王菲89-97精選套装 新藝寶(1997) 2枚組32曲入り。初期の曲から最近の曲までまんべんなく集めたベストアルバム。 |
菲主打 新藝寶(1997) 12曲入りベストアルバム。 |
王菲精選 '菲'賣品 新藝寶(1997) 16曲入りベストアルバム。アルバムタイトルは「非売品」のシャレ。 |
菲舊夢 新藝寶(1998) 「菲靡靡之音」、「玩具」とライブのVCDを集めた3枚組と思われます。 |
Faye Wong Party Mix 新藝寶(1998) 29曲入り。リミックス集と思われます。 |
唱遊幻境卡拉OK (1999) 「唱遊」のカラオケと思われます。同じ内容でLD、VCD、DVDがある。 |
Eyes On Me 東芝EMI (1999) 日本で発売されたシングル。「ファイナルファンタジーVIII」のエンディングテーマ。 |
菲感情生活 新藝寶(1999) これは「とんでもないCDケース」シリーズ第4弾。今回はなんと缶入り。でも今までのうちで一番まともかも。これは20曲入り2枚組の企画物ベストアルバム。 |
但願人長久 新藝寶(1999) 32曲入りの2枚組みベストアルバム。 |
王菲好精選 + Music Box 新藝寶(2001) 16曲入りベストアルバム+Music Box CD付き。 |
我的王菲時代 上華(台湾)(2001) 中期の頃の北京語16曲入りベストアルバム。 |
Faye Best 新藝寶(2002) 30曲入り2枚組。まんべんなく入っている。 |
夢中人 東芝EMI(2001) 日本から発売された18曲入りベストアルバム。まんべんなく入っている。 |
光の翼 東芝EMI(2001) 日本から発売されたもので、2001年の「王菲」の2枚組を1枚にまとめたものに、「Separate Ways」を加えたもの。 |
失物招領-王菲精選 福茂唱片(2002) 20曲入り2枚組。まんべんなく入っている。 |
你王菲所以我王菲 EMI百代(2002) 後期の曲を集めた24曲入り2枚組ベストアルバム。 |
王菲最新精選專輯 新藝寶(2003) 初期の曲からまんべんなく入った28曲のCD2枚、および5曲入りDVDのセット。 |
王菲 Best Of The Best Super Audio CD 新藝寶(2003) 主に1990~1994年頃の曲を集めた13曲入り。Stereo Hybrid SACD 仕様。 |
環球影音啟示錄 - 王菲 環球唱片(2004) 初期の曲を集めた30曲入りCD2枚と、MV10曲入りのDVDのセット。 |
國語真經典-王菲 環球影音(2005) 16曲入り北京語アルバム |
王菲的故事 正東唱片(2005) 書籍+CD2枚(30曲) |
情・菲・得意 正東唱片(2005) CD3枚(48曲)+カラオケDVD(15曲)入り。 |
これら以外にも、大陸向け、シンガポール版などのアルバムや、ライブのVCD、カラオケCDなどの商品の数が多く、完全に把握することは出来ませんでした。 |
こうやって年代順に並べてみると、フェイ・ウォンがどのように変化してきたのかがよくわかるようです。私は個人的にはブラック系の洋楽が好きでフェイ・ウォンを聴き始めたところがあるので、初期の頃のダサいと言われているアルバムも、いまだに結構好きで聴いていたりします。 フェイ・ウォン写真館(おまけ)
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