シンガポールの話


これは1999年11月13日~16日の間にシンガポールへ行ったときの話です。
ほとんど、おのぼりさんの観光旅行してきてしまいました。

クラーク・キーの屋外ライブハウス
シンガポールは、どうもライブハウスのとても多いところのようです。ライブハウスの多くはオーチャード・ロード周辺に集まっているらしいのですが、あいにく私は夜にオーチャード・ロードへは行っていなくて、その代わり毎晩クラーク・キーへ行っていました。

クラーク・キーとボート・キーは、シンガポール川の川岸に沿って屋外レストランが幾つも並ぶ、シンガポールの代表的な夜の遊び場ですが、ここにもライブハウスが多く、通りから店の中を覗くと、ステージで演奏している様子を見ることが出来る店が幾つもありました。しかもここはテーブルを外に並べている屋外レストランが多いので、ライブを屋外でやってしまっている店もあるのでした。

右の一番上の写真は、クラーク・キーの川沿いにある店で、店の前でライブをしていました。たった二人だけのバンドですが、この黒人のボーカルがすごい良くて、結構聴き惚れてしまいます。甘めのブラコンや、ラテン、フュージョン的な曲を多くやっていました。

真中の写真は、クラーク・キーの真中の十字路の、そのど真ん中にロータリーのような円形のステージを構えるユニークな店。この店に週に5日出演している"Heritage"というグループは、マレー系(それともフィリピン系かも?)の女性3人のボーカルがメインですが、これがすごく歌が上手いのです。3人でパワフルに踊るステージも魅力的で、またバラードの曲ではググッと息が止まるほど感動的なのです。
曲は全てカバーのみで、ダンス、バラード系のヒット曲が中心ですが、レパートリーがすごく多くて、私はこのグループのステージ見たさに毎晩クラーク・キーへ通ってましたが、一度も同じ曲はやりませんでした。ステージのある日は夜12:00くらいまで、30分くらいの短いステージを休憩を挟みながら何回もやっていました。


黒人(Key,Vo)と白人の爺さん(Per)が二人でやっているバンド。


GAZEBOという店で、4人グループ"Heritage"のステージ。


重めのロックを聴かせる店。外にいる客のために、店の前にプロジェクターを置いてステージの様子を映している。

ボート・キーとクラーク・キー
ボート・キーとクラーク・キーは、どちらも似たようなところですが、ボート・キーのほうはどちらかと言うと大人向けで、値段もちょっと高い店が多く、例えばビール一杯の値段でも、ジョッキでボート・キーの店は約11ドル、クラーク・キーの店は7ドルとか、そんな感じです。ボート・キーのほうは高いだけあって、どの店の前でも客引きの若いおねーちゃん、おにーちゃんが立っていて、丁寧親切に対応してくれます。一方クラーク・キーのほうは、庶民的な安い店が多く、子供向けの遊園地みたいなのや、お土産屋台なんかも出ています。

でも、どっちでもいいから、適当な店の外のテーブルに座って、川岸で飲むビールはむちゃくちゃ美味いです。シンガポールのビールはタイガービールというのですが、これは割とさっぱりめで、喉が乾いたときに飲むのに向いてます。ビールといえば、香港のビールはサンミゲルビールですが、これも美味しいです。台湾のビールは、ブランドは忘れてしまいましたが、これはあんまり美味しくなかったです。青いスポーツドリンクみたいなデザインの缶のやつで、味は日本のアサヒスーパードライに似てます。もしかして台湾の人はビールの好みが日本人と似ているかもしれない。台湾のコンビにには、日本のキリンとかも結構置いてあったから。

ボート・キーへ行くには、MRTのラッフルズプレイス駅を降りて川岸に出ればすぐです。
クラーク・キーは近くにMRTの駅が無いのですが、今ちょうどMRTの工事をしていて、ドービー・ゴートからクラーク・キーとチャイナタウンを通る新しい線が出来るようです。これが開通すると便利です。
現在はクラーク・キーへはどうやって行くかというと、

  1. タクシーで行く
  2. シティーホール駅から歩く(約15分)
  3. ラッフルズ・プレイス駅からボート・キーを経由して川沿いを歩く(約15分)
  4. リバー・ボート・タクシーで行く
リバー・ボート・タクシーというのは、ラッフルズ・プレイス駅前の川岸に船着場があります。私は乗ってみてないのですが、楽しくていいかもです。川沿いを歩くなんてのも風情があって、喉が乾いてビールも美味しく飲めます。

《リンク》
Clarke Quay (まだ作りかけらしい)


ボート・キー


ボート・キー遠景(対岸より)


クラーク・キー

リバー・クルーズ
リバー・クルーズとは一体何かと言うと、それは要するに隅田川の屋形船のことです。しかし、ここシンガポール川の屋形船は、遥かにスリリングで感動的です。川岸にずらっと並ぶ屋外レストランの脇をぬって走り、目の前に迫る高層ビル群は近未来SF映画の世界で、幾つものライトアップされて光る橋をくぐって、海に出ます。ここで「わーっ、すごかった。」とため息が出るのです。ついでにマーライオンなんかも見ちゃったりしますが。
所要時間は約30分で、一人S$10です。リバー・クルーズは、昼間もやっていますが、絶対夜のほうがいい。出航時刻は特に決まっていないので、チケット売り場で交渉すればすぐにでも船を出してくれます。ボートの発着地点は、ボート・キー前、ラッフルズ卿上陸地点、クラーク・キー前、リバーサイド・ポイント前、など数ヶ所ありますが、一番上流にあるリバーサイド・ポイント前がおすすめ。(一番ルートが長いから。)

リバー・クルーズ発着場。後ろに見えるのはリバーサイド・ポイント。

ブギスの屋台街
多分シンガポールの街中では、最もシンガポールらしくない、と言うか、香港・台湾ぽいところがここブギス。私は密かにシンガポールの旺角と呼んでおります。

MRTブギス駅のある Victoria Street から一本それた通り、Queen Street には、昼過ぎから幾つもの屋台や露店が出ています。この二つの通りを繋ぐ細い Bugis Street は、まるで台北士林の夜市のようで、小さな面白い店がぎっしり並んでます。こういう台湾ぽい雰囲気の場所は、シンガポールでは他にあまり見掛けませんでした。
この Bugis Street の途中に、ちょっとこぎれいなフードコート(屋台街)があります。ここはどうも観光客が主な相手らしく、いつもわりと空いているみたいで、他より少し高いらしいです。私もここで食べてみましたが、結構美味しかったです。店によっては日本語も通じるようです。

で、実は地元の人が行く屋台街は、Queens Street を渡ったその奥にあるのです。ここはすごく大きくて、しかも暗くて相当汚いんですが、しかしいつ行っても超満員で座れません。多分ここのほうが安くて美味しいに違い無いです。

MRTブギス駅を挟んで反対側は、最近出来た西友デパートとパルコが並んでいて、ここは若者向けの明るい街です。この西友の地下に Food Junction という、屋台街をきれいにしたような食堂街があります。とても清潔なので、屋台で食べてみたいけど不潔な感じが苦手、という人には特におすすめです。小さな屋台のような店が幾つも並んでいますが、中華系の他にインド料理やタイ料理の店などもあります。私はこういう所に入ると、「わーっ、何食べようか」とワクワクして、嬉しくてしょうがない状態になってしまうのでした。店を端から一通り見て歩くのですが、どの店でもオバちゃんに声かけられるので、困ってしまいます。実はこれと同じようなのが台湾にも幾つかあって、台北駅前の三越デパートの地下に、全く同じような食堂街(「小吃館」という名前)があります。ここも台湾に行ったときには是非行ってみるといいです。香港にも似たようなのはありますが、こんなに楽しくてワクワクするようなのは、あまり無いと思います。

ドリアン
ブギスの屋台通り、Queens Street には、南国の果物の代表であるドリアンが山のように積まれています。日本ではまず食べられないから、是非買ってみるといいです。ここで売っているドリアンは、1個2ドル(約130円)と非常に安い。私など、これをさらに1個1ドルにまけさせて買ったという極悪人である。
ドリアンを買ったら、その場で店のオジさんにナタで切れ目を入れてもらって半分に割り、道端に座り込んで食べましょう。ホテルに持って帰ったりすると、多分部屋が臭くなると思う。
ドリアンの露店の前には、会社帰りみたいなオッサン達が何人も立ち止まって、1個1個のドリアンを手に取って匂いを嗅ぎ、どれがいいかな、と品定めをしてます。オッサン達の目付きは、もう真剣そのものでした。

ドリアンの品定めをするオッサン達

リトルインディア
ブギスから北に向かって歩き、ロコール運河(Rochor Canal)を越えると、そこはインド人ばかりが住むリトルインディアです。橋を渡った途端、突然世界はインドになってしまう。いや、本当にインドなのである。周囲を歩いているのは全部インド人ばかりで、そこへ一人迷い込んだ日本人の私は妙に浮いてるって感じ。ここへは中華系の人もめったに来ないみたいです。

通りには、インド料理の店や、細かいアクセサリーや、カラフルな布地を売る店などが沢山並んでいます。その中に、インドのCDやVCDを売る店も何軒かありました。実は私がシンガポールで見た中で、最も品揃えが豊富だったVCDショップは、なんとここリトルインディアのインド映画専門のVCDショップなのでした。いかにも濃そうなインド映画のVCDがものすごく沢山並んでいたから、最近インド映画にハマッた人にはたまらないかもしれない。


インド映画専門VCDショップ

チャイナタウン
シンガポールのチャイナタウンは非常に地味です。一部、観光名所のスリ・マリアマン寺院近辺にお土産店が並んでいる他は、取り立てて特徴の無い普通の街です。右の写真はチャイナタウンの居住区で、この通りの裏から子供達が獅子舞を練習する音が聞こえていました。

ただ、チャイナタウンに並んでいる建物は、そのデザインがちょっと変わっていて、中華というよりも、アラブやインドが混ざったような装飾や、パステルカラーを使った色使いが多くて、なんとも不思議な雰囲気です。なんというか、三蔵法師が天竺へ向かう途中で立ち寄った砂漠の中の街みたい、とか思ってしまった。


チャイナタウンのKeong Salk Rd.付近

ナイトサファリ
シンガポールへ行ったことのある複数の人から、ここは面白いから是非行ったほうがいい、と言われたのがこのナイトサファリ。市販のガイドブックなどを見ても、あまり載っていないのですが、日本からのパックツアーなどには組み込まれていることがあるようです。

ナイトサファリとは一体何かと言うと、要するに富士サファリパークみたいに、動物が放し飼いになっている動物園を、専用トラムなどで見て回るというものです。それだけなら何処にでもありそうですが、ここが違うのは、それを夜にやるということ。熱帯の動物というのは、基本的に夜行性が多いから、昼間に見ても大抵ぐだらーっと寝ているだけで、これは日本の動物園でもそうすが、面白くないのです。しかし夜になると、みんな起きだして、飯食ったり、喧嘩したり、じゃれ合ったり、いろいろしていて面白いのです。しかもただでさえ、赤道直下にある熱帯雨林のジャングルを、夜の真っ暗闇の中に潜って歩くという、それだけで十分スリリングな行動なのですが、その周囲を怪しげな動物達が沢山、モソモソしているのは何ともエキサイティングなのです。

ナイトサファリの開園時間は日没から夜の24:00まで。トラムで回ると大体45分くらいで、歩いて回るコースもあります。トラム付きの入場料はS$18,45(約1200円)。
私はチケット売り場で下手くそな英語を喋っていたら日本人だとバレてしまい、売り場のおねーさんはニッコリ笑って日本語で書かれたパンフレットを渡してくれました。(右の写真)

ナイトサファリへの行き方:
近くにMRTの駅が無く、バス路線も複雑なので、タクシーで行くのがいい。市の中心部から約10分、大体S$15くらいで行かれる。帰りもタクシーが入り口に並んで待っている。

The Singapore Zoological Garden (ナイトサファリのページがあります。)


ナイトサファリ日本語パンフレット


1999/12/4

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