1.序
自分は卒業論文において暗号技術について取り上げようと思う。インターネットブームを契機に電子ネットワーク社会が訪れようとしている。また、インターネットの爆発的な普及は、社会・経済活動の基盤をも変えようとする勢いさえ感じる。しかし、インターネットはその簡便さの反面、ネットワーク網に流れる情報に対して、セキュリティーの確保がなされていないというのが現状である。世界中の様々な情報にアクセス出来るというインターネットは、その反面どこの誰がどのような内容を誰に送っているのかという情報が、むき出しのまま世界中に発信されてしまうという欠点を持ち合わせているのである。インターネットは差し障りの無い電子メールやネットサーフィンなどの「遊び」には使えるがクレジットカード番号や企業の機密情報、個人のプライバシーの送信には不向きである。こうした問題を解決するにはこれらの情報を保護する「暗号」が必要不可欠である。自分は今後の論文作成に当たって暗号技術が現在、どのような水準に位置し将来的にはどのように発展するのか調査していきたい。
2.論文作成にあたって
論文を作成する過程で、以下の4点は調査していくつもりである。
1については暗号とはいかなるものなのか、特にポストモダン暗号理論を取り上げる。特に暗号技術が進歩していくに連れて数学の理論が多く含まれてくるので(EX.オイラー関数)、これらも勉強していく必要がある。2のセキュリティーの確保についてはRSAやDESなどの鍵暗号方式やPGPなどの暗号化ソフト、SETやSECEなどの電子商取引決済システム、更には電子署名や電子認証に至るまで、ネットワーク上で使用されている暗号技術の現状を調査していく。3の暗号戦争の経緯についてはアメリカで現在争われている暗号技術の輸出規制の問題である。アメリカではこれまで暗号は武器として規定(国際武器流通規定:International Traffic in Arms Regulation)されて、国務省の管理下に置かれていた。しかし、1996年末に暗号は武器の指定から外され、商務省の管轄になった。このような経緯には様々な暗号学者やシリコンバレーのコンピュータ企業とアメリカ政府との駆け引きがあった。この暗号戦争の経緯を更に詳しく調べていきたいと思う。最後に4の暗号技術のビジネス化であるが、これは、今までの総括として暗号技術がビジネスにおいてどのような役割を担っているのか、現在と将来について考えていく。
3. 調査方法
まずは文献による調査方法である。しかし、暗号技術に関する書籍はアメリカのものがかなり多い。従って、国内で入手が可能なものについては、なるべく入手していくつもりである。 次に、インターネットによる資料の入手である。インターネットに関しては国内外共に情報量は豊富にあり、また、コンピュータ産業やクレジットカード産業などのサイトでも暗号についての記述が結構あるので、大いに活用していきたい。特に、今回の発表の際に参考にしたものが日本RSA社のページであり、このような暗号技術に関するウェブがほかにも日立や三菱、松下のページ、更にアメリカにも多数存在するので(RSA社、PGP社等)十分に活用していくつもりである。
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