PGP

1.PGPの概要と歴史

PGPとはPretty Good Privacyというデータの暗号化・復号化や電子署名を可能とする暗号化パッケージの名称である。このソフトウェアはアメリカコロラド州ボルダーに住むPhilip Zimmermann氏によって1991年夏に開発された。このPGPは電子メールのみならず個人的情報の防御策として使われるなど様々な分野で用いられる。PGPの原理は1976年にWhitfield DiffieとMartin E.Hellmanによって発表された公開鍵暗号方式に基づいたものである。PGPはRSA公開鍵暗号と共通鍵暗号を組み合わせて暗号化する。PGPの機能として

が挙げられる。PGPは現在、フリーウェアとして世界各国に配布されており、多くのユーザが利用している。

2.PGPの問題点

PGPは解読が難しいとされている暗号化ソフトウェアの一つであるが多数の問題が山積している。それは技術的なものより、政治的・経済的な問題が多数生じている。先ずは特許問題である。PGPに実装されているRSA公開鍵暗号は米国RSA Data Security社が特許権を所有しており、PGPは特許権を侵害していたのである。従ってライセンス契約を締結しなければシェアウェアとして販売をすることが出来ないのである。そこでZimmermannは米国RSA Data Security社の社長であるJames Bidzosと交渉したが、結果は不調に終わった。ZimmermannはRSA社との交渉を断念し、PGPをフリーウェアとして配布することにした。しかしながらこの判断は逆にPGPを爆発的な普及へとつながったのである。次なる問題はPGPが米国の武器輸出規制に抵触していたことである。米国では暗号は軍事技術として規定され国務省の管理下に置かれていた。国際武器流通規定(International Traffic in Arms Regulation)という法律の輸出規制品目のリストにもはっきりと明記されていた。しかし40ビット以下の鍵を使う暗号に限っては民間が自由に海外へ輸出が認められていた。ところがZimmermannが開発したPGPは128ビットの鍵を使うIDEAという共通鍵暗号を使っており武器とみなされたのである。しかし、インターネットの普及は情報の流出を止める事が出来ず結局は世界中に配布されてしまった。PGPを含めアメリカの暗号ビジネス関連の企業はこれまでも武器輸出規制という高い障壁の中で研究・開発を行ってきており、世界中に活動を分散させてきた。PGPの場合はアメリカで開発した後、ソースコードをプリントアウトし、ノルウェーでプログラムを打ち込みネット上で配布したという経緯(この話は事実かどうか定かではないが)が在る。これらの規制を1996年にようやく撤廃し、商務省への許可申請で輸出が出来るように法改正がされたが、現状では許可が下りにくく、論争が繰り広げられている。

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