written by カメ山カメ吉
自分で言うのもなんですが、私は小学生の頃から読書が好きでした。 名作から駄作まで、手当たり次第に読みまくっていましたけど、読書はいいです よね。面白い物語を読むと、これがけっこうその後の人生に影響を与えてくれた りする。もちろん悪影響の場合も有るでしょうが、それもまたよし。 最近は、活字は疲れるのでもっぱら漫画に専念していますが、もっと歳をとった らまた活字に戻るのもいいかもしれません。 で、ガキの頃、面白そうなモノを端から読んだのですが、その中で特に印象に残っ たSFがありました。 アメリカのSFで、「火星のジョン・カーター」というタイトルの少年ものです。 南北戦争で死んだカーター将軍だかが、死ぬ間際に空を見上げたら、そこに火星 が光り輝いていたんですね。 星に祈りを……じゃないけど、遥かな宇宙に思いを馳せたとき奇跡が起こり、彼 は火星に招かれて飛んで行きます。 火星にはもちろん大気があり(!)、人型の生きものから化物みたいな生きもの までぞろぞろ生息していました。 彼はそこのお姫さまを助けて英雄になり、お姫さまとズッコンバッコン……かど うかは知りませんが、いい調子こいて結婚し、大元帥だかになります。 火星の方が重力が軽いので、地球から飛んでいった彼はちょいとしたスーパーマ ンなわけです。 驚異的なパワーと跳躍力で化物どもを薙ぎ倒し、槍よりも早く駆け、高い塀でも 一っ跳びだから、お姫さまはもう彼にメロメロなんですけど、あっちの方はどう なんだろう? やはりもの凄いのだろうか? スーパーマンのように目にも止ま らぬ速さで突きまくり? ハメたら最後朝から晩までズッコンバッコン? 凄い んだろうな〜きっと。 火星の美女のあそこも人と同じような造りになっているんだろうか? ハメまくっ て子供まで出来るんだから、そう大差はないんだろうとは思うんだけど……。 それはまあいいのですが、私の印象に残ったのは彼ではなく、火星に存在する緑 色の種族なのですね。 神話に出てくるような逞しい馬人間なのですが、足が6本もある馬みたいな胴体 に、人の身体がのっています。腕も6本だったかな? 目玉も6ケ付いていたの かな? (ブツが手元にないので記憶のみに頼って書いてしまいますから、間違っ てたら御免なさい) 緑色というのがやたらとそそられますね。色彩感覚を揺さ振られるというか、何 だかやたら落ち着かないじゃないですか。 普通たくましい馬人間といえば赤銅色を思い浮べるけど、なぜか緑色。意味があ るのでしょうかね〜? この緑色に。 ともあれ、カーターはこの火星の馬人間の勇者を助け、友達になります。友達と いうより、子分にしたと言ったほうがいいかな。 馬人間達には、いわゆる人の情みたいな物がないんですよ。 家族の情もなければ友情もない。 ただ、助けてもらった恩義に報いるために子分になるのですね。 そして、問題はその情を持たない馬人間たちの家族の在り方なんですよ。 馬人間達にも一応は男と女が居るわけでして、エッチもすれば繁殖もするわけで す。 しかし、どう考えてみても哺乳類と思われる馬人間のくせに、卵で産むんですよ。 生まれた卵は、村のお産のための家に集められます。そしてみんなで管理します。 やがて時期がくると卵は一斉に孵化して、緑色の馬人間の赤ちゃんがゴロゴロと 生まれてくるわけです。 想像すると……、なんだか壮絶な気もしますね。 さて、生まれた馬人間の子供はどうなるかというと、誰それさんの子供とか言う のではなく、みんな平等に村の子供なんですね、これが。 特定の父親や母親は持たず、村で生まれた村人みんなの子供、というわけです。 この考え方が、小学生の私にとってやたら強烈で新鮮に思えました。 誰それと誰それの間に生まれた何々家の子供って、何だかベタベタしてていやな 感じがするけど、村で生まれた村の子供ならばサラりとしていて心地よいかも知 れない。 個々を大事にして、さらに村全体を大事にする。だからねちっこい情がない。 もちろん、村人みんなの子供なのだから、村人みんなで協力して育てるわけです。 緑色の馬人間たちが、みんなで寄ってたかって馬人間の子供を育てるという図を 想像すると、なかなかに来るモノがありました。 現在の、家柄も有れば貧富の差もあるやたらベタベタした家族の関係よりも、こ んなふうにサラリとした協同体みたいな在り方も悪くないな、と思ったんですけ ど、実際には無理がありますかね〜。 世界のどこかでは、ひょっとしたらこんな関係の協同体も存在しているのかどう か……。近い形のモノは有るかもしれませんね。 その時読んだのは少年ものだったのですが、中学になってから、この作品は実は もっと壮大で長い作品だということを知りました。 創元推理文庫で出ていた「火星のプリンセス」という作品がそれです。 本屋さんで見付け、表紙の絵の素晴らしさに唸って、買い漁って読みました。 作者はエドガー・ライス・バローズ(バロウズが一般的か)という人で、後で分 かったんだけどあのターザンを書いた人でした。 少年ものは1冊だけで完結していましたが、本当の火星の物語は思ったより長く、 文庫本でシリーズになっていて全部で11冊もありました。 お話もまあ面白いんだけど、表紙の絵と挿し絵がいいんですよ。 武部本一郎さんという方の絵ですが、女がいいんだよな〜。プリンプリンの美女 がけっこう露出度の高い服着てるから色っぽいったらありゃしない。 バックがちょっと雑だけど、今でも一番好きな挿し絵です。 カーターとプリンセスの間にガキが出来て、そのうちにはそのガキが主人公になっ たりして、やがては色気づいて冒険の旅に出て、出先で美女とニャンニャンした りするわけです。 ガキも地球人の血を半分受け継いでいるので、やはりちょいとしたスーパーマン。 書かれてはいないけど、ズッコンバッコンやり放題は必定? 中学といえば私の方も色気づいた頃で、エッチの正体などを掴み始めていた頃で す。 で、火星シリーズの中でやたら気になった連中がいるんですよ。 「首だけの生きもの」と、「胴体だけの生きもの」です。 首だけの生きものは、でっかい首の下に申し訳程度にクモみたいな手足が付いて います。でかい首に華奢な手足だから、移動もろくに出来ないわけです。 胴体だけの生きものの方は、逆に首がないわけです。本来なら首がある部分は、 首だけの連中がのりやすいように窪みになっていて、身体のあちこちを動かす神 経が剥出しになっています。 つまり、首だけのヤツらが胴体だけのヤツらに乗っかって、合体して一つ生きも のみたいになるわけなんですよ。これは面白い。 首だけの生きものにも男と女が有って、胴体だけの生きものにも男と女があり、 男の首は男の胴体に乗り、女の首は女の胴体に乗るわけですが、ここで気になる のは、言うまでもなく、彼ら達のその恐るべき生殖行為ですよね。 首だけのヤツらは自力ではろくに動けないはずですから、さて、どうやってえっ ちをするのだろう? 乗っかった胴体を操って人間がキスでもするように合体す るのであろうかな〜。これは気持ち悪いぞきっと。 それとも、エッチする時だけは胴体から離れ、首だけ同士でヨタヨタと歩み寄り、 フラフラと合体するので有ろうか? これも気持ち悪そうですね〜。 で、胴体だけの連中は単独ではろくに動けないので(指揮官が乗っていないとき の彼らはただフラフラ彷徨っているだけです)こちらは逆に首だけの連中が操作 して生殖行為をさせてやるのであろうか? う〜ん、これも凄そうだな……。 想像すればするほど、来るぞ来るぞ来るぞ〜! 妄想の鬼と化した私でした。 結局このシリーズは全部読みました。 その他に「金星シリーズ」というのも有るんですけど、こちらは1巻だけ読んで いまいちだったので止めました。 その後いくつか文庫本のSFを読み漁りました。レンズマンとかスカイラークと かですけど、何を読んでも、この首だけ人間と首なし人間のエッチする図が強烈 に頭にこびり付いて離れてくれず、30年近くたった今でも時々私を悩ませてく れます。 あの連中はどうやってエッチするのだろう……気になる。凄く気になる……。 首人間といえば、式貴士さんの「ヘッドワイフ」という作品も結構強烈でした。 不治の病におかされた妻が死ぬ前に、夫はその首だけを切り離して生命維持装置 に繋ぎます。 心から愛していた妻を死なせるわけにはいかなかったのですね。 人類初の首だけの妻「ヘッドワイフ」の誕生! 普通なら気持ち悪いと思うのですが、何しろ彼は妻を心から愛しているので、首 だけの妻と一緒に暮らせて、結構幸せを感じてたりするわけです。 もちろん妻は首だけだから、本格的なエッチは出来ません。口でチュパチュパし てもらうくらいがやっとですけど、彼はそれでも満足なんですよ。なんせ愛して ますから。 しかし、ついにそんな生活も行き詰まる日がやって来ます。不況で仕事が得られ ず、生命維持装置の管理費とか、血液が得られなくなってしまうんですね。 妻は「もういいからこのまま殺してくれ」と言うのですが、彼女を心から愛して いる彼にはそんな事は出来ませんでした。どうしたかというと、自分の肉体を大 金持ちのジジイに売り渡し、自分も首だけ男になることにします。凄いじゃない ですか。 この、首だけになった夫婦のエッチが最高に面白い。 何しろ二人は首だけですから、神経と神経を直接繋いでするわけです。 肉体がないから疲労もない。その上にそのエッチの快感ときたら神経を直接繋い でいるものだから半端じゃない。 それこそ、生身の身体では味わえないくらいのもの凄い快感なんですね。 で、朝から晩まで、それこそサルのセ×ズリのごとくに、やってやってやりまく るのでした、メデタシメデタシ……という壮絶なお話です。 これは角川の文庫になっています。 その次に強烈な印象を与えてくれたのは、筒井康隆さんの「レモンのような二人」 という、ちょっと変わったSFの短篇でした。 フリーセックスというか、スワッピングというか、そんなのを扱った作品なんで すよ。 内容をちょろっと説明しましょう。 主人公はいい感じのお姉ちゃん。 この彼女が、いい感じの連中の一人にナンパされます。 ナンパした彼はとってもいい感じなんですよ。で、さっさとエッチをするわけで すが、いたしているところになんと彼の仲間が乱入してきます。(いたした後の 余韻に浸っている時だったっけか?) 彼女はもちろん取り乱すわけですが、話してみると他の連中もとってもいい感じ の連中なんですね。 で、結局は彼らや彼女等と入り乱れて、やっちゃってしまうのです。 彼らは何者かというと、「いい感じの連中の協同体」みたいなものでした。 大金持ちの一人のマンションにみんなで住んでいて、金ももちろんみんなで好き なように使い、エッチもみんなでやりほうだいのしまくり状態。 「ぼく達は一つなんだからそれでいいんだ」というのが彼らの持論なんですね。 みんな仲間だから、一人が金を持っていたらみんな金持ちなんだ。だからみんな で使えばいい。 みんながみんなを好きなんだから、みんなで好きなようにエッチすればいい。 一人のものはみんなのもの。みんなはみんなのもの。 この発想もなかなかにソソられました。 結局彼女は、その連中(男も女も)みんなを愛するようになります。そして、次 は彼女が「いい感じ」だと思った男に目を付ける訳ですね。 ここが面白いんですけど、彼女がいいと思うということは、みんなもいいと思う ことなんです。 つまり、かれらは個々だけど実は一つの協同体で、アメーバーみたいなものなの ですね。 で、仲間を増やすときには一人が触手をのばすように接触し、協同体に引き入れ るわけです。 引き入れるヤツはもちろんいい感じのヤツですから、みんなに愛されるしみんな を愛します。 こうして彼らは、いい感じの協同体を成長させていきます。 昔流行ったヒッピーとかって、こんな感じだったのかな? ちと違うのか? 筒井さんの作品にしてはちょっと雰囲気が違いますけど、軽妙で面白かったです。 この作品がどれかの作品集に入っているかどうかは分かりませんが、こんな形の エッチのスタイルは、悪くないですね。 実際には、こんなにもいい感じの連中が居るはずはないと思いますけど、もしい たら私も仲間に入れてください。 「いい感じ」じゃないからダメかな〜……。 次は、ちょっと番外ですけど、水木しげるさんの漫画で「ゲゲゲの鬼太郎」とい うのがあります。 鬼太郎という妖怪の少年が、世のため人のために悪い妖怪退治をするお話ですが、 その中に「のっぺらぼう」という妖怪の夫婦が出てきます。 漫画ではなく、テレビのアニメで見たのですが、これがなかなかソソられるお話 なんですよ。 のっぺらぼうの夫婦は、他人の顔を取って自分の顔にしてしまいます。 いい男がいたらその顔を盗み、自分がいい男になってしまうのです。そして、飽 きたらまた別のいい男の顔を盗んで別のいい男になる。 奥さんの方も同じように、いい女がいたらその顔を盗んでいい女になる。 これを繰り返せばいいわけですから、この夫婦には倦怠期などないわけです。 アニメでは身体まで美男美女に変身していましたけど、実際には、顔を盗むだけ で身体まで変身するはずはないのですが(そんなこと言い出せば、実際には顔を 盗むなんて出来ないってか? そ、それは……)、その辺は漫画だからいいとし て、アランドロンとブリジットバルドーの夫婦なんてのは凄い楽しい毎日じゃな いかと思ったわけです。 で、飽きたら次はキムタクと山田マリアの夫婦とか、それも飽きたら近所の×× さんの旦那さんと○○さんの奥さんの夫婦とか、まあバリエーションは無限とも 言えるくらいあるわけです。 鬼太郎ののっぺらぼう夫婦は他人の顔を盗むので、最後は鬼太郎に退治されてし まいましたけど、盗るんでなく、変身でも出来れば問題ないわけですよね。 完璧な整形手術が格安で出来たりしたら、けっこう面白いかもしれません。 最近話題になっているクローンの猿とかヒツジとかなどは、ちょっと危ない未来 を予見させているような気もします。 髪の毛が1本有ればクローン人間が造れるような時代が来るとしたら、とんでも ない事が現実になるかもしれない。 金さえ出せば好きな女性のクローンが手にはいるとしたら……考えただけで……。 クローン人間に人権はあるのか? これも大きな問題になってくるでしょう。 たとえば、クローンを人とみないとするならば、飽きたらどう始末しても問題な いわけです。 好きなだけズッコンバッコンしたあと、友人に半値で売ったり、物として処分し ても問題ないとしたら、これは大問題ですよね。 その昔、ロボットが人格を持ち始めたらどうなるか……、みたいなお話が流行り ましたが、クローンとなればそんな生易しいもんじゃないですからね〜。 手っ取りばやいところで、性風俗のお店なんてぇのは様変わりするでしょう。 ルートさえ有れば、本物の女性を雇わなくても、確実に客を呼べる美女がいくら でも揃えられる。 世界の綺麗所をずらりと並べたお店とか、現役女子高生を取り揃えたお店とか、 アイドルから女優まで何でも揃えたお店なんてのが跋扈したら、大変なもんです。 その場合、著作権(?)なんてのはどうなるんだろう? もちろん表立っては規 制されることでしょう。 でも、たとえ法律で厳しく規制しても、髪の毛1本まで管理するなんて事は出来 ないでしょうから、闇で出回る事も考えられますよね。 「裏クローン」なんてのが物凄い値段で売買されるかもしれない。 「人気アイドルの××○○がたったの100万ぽっきり!」なんてぇ広告がネッ トワークを駆け巡る日が来るかも知れない? 闇の業者が出回れば、ひょっとしたら結婚などという事もする人は居なくなるか もしれませんね。 好きな人が出来たとして、さてどうするかと言えば事は簡単、髪の毛1本手に入 れればいいわけです。 それを持って闇の業者のところに出掛ければ手に入るんだから、嬉しくなっちゃ いますよね。 かとうれいことか、高島礼子とか、飯島直子とか〜、雛形あきこもわるくない、 西田ひかるもいいし、それから〜山田まりあも可愛いし〜、管野美穂も可愛いよ な〜……なんてところが手に入るとしたら、いくら出しても惜しくないんじゃな いですか? 金さえ有ればこの辺の綺麗所や可愛子ちゃんを好きなだけ買い込んで、その日の 気分で好きなようにハメてまくって大騒ぎが出来るじゃないですか。嗚呼……。 そういえば、マリリンモンローの髪の毛なんてのは、どこかに残ってるんじゃな いか? もし有るとしたら、モンローを再生することすら可能かもしれない? 考えただけで物凄い事ですよね。 結婚の形態は間違いなくガラりと変わるでしょう。精神的な結びつき以外に何を 求めて結婚するのか、と、誰だって考えてしまうでしょう。 どんないい相手でもそのうちには飽きるだろうけど、クローンが相手なら処分し てまた新しい相手を手に入れればいい。 あなたならどうします? それでも結婚するかしないか? とはいえ、造る方はまあいいとして、造られる方はたまったもんじゃないですよ ね。 自分の知らない間にクローンを造られていて、何に使われているかわかりゃしな いとしたら……かなり気持ち悪いぞこれは。 もちろん、これにはさまざまな問題が出てくることでしょう。 クローンの反乱とか、本物との入れ代わりとか、また、処分を巡ってのトラブル とか、色々考えられます。いくらでも面白いお話が出来そうですが、恐いのは、 それがまったくのホラ話ではなく、実際に、近い未来に現実の事となるかもしれ ないという事でしょうか。 金さえ出せば好きな相手がいくらでも手に入るなんて事になれば、世の中変わっ ちゃいますからね〜。 ロボットを使ったこの手の話はいくつか読んだ覚えが有りますけど、クローンは どうだろう? 最近活字を読まないので分かりませんが、きっと結構書かれてる んでしょうね。 大原まり子さんの短編だかに、ちらっと出てきたのを読んだ覚えはあるかな? ハードなSM趣味のジジイ共が、高い金を出してクローンの少女を買い、死ぬま で苛めて楽しむ……といった下りがあったような……。 そこまでやらないと満足できない人には、もってこいかもクローン少女。 「だって、殺しても殺人にならないんだも〜〜〜ん!」てとこですか。 そこまで行かないまでも、実際問題として、クローンの使い道の一つに内臓とか 手足が悪くなったりしたときに、そのパーツ取り用に利用される可能性とかは有 るかも知れませんね。 自分の内臓だから拒否反応の心配はない。移植するには最適でしょう。 人道的かどうかとか、またいろんな議論が生まれそうだし、想像も出来ないけど、 物凄い未来が待っているのかも知れません。 もし脳だけの移植が可能ならば、自分のクローンに移植してかなりの年月を生き ることが可能になるかも知れない。これまたどんな議論を呼ぶのか見当もつきま せんが、これからはこの手のお話の種は尽きそうにないですね。 さて、いよいよ「イブの時代」です。これは二十歳くらいの頃に読みました。 作者の多岐川恭さんというのはミステリー畑の作家さんのようです。 この作品はハヤカワの文庫で出てましたけど(今も有るのかな?)、人工冬眠に 殺人事件を絡ませた傑作でした。 ミステリーの作家がなぜSFを書いたのかは分かりませんけど、設定がとっても 素敵なんですよね。 雰囲気的にはハインラインの名作「夏への扉」なんですけど、世界観が最高。 昭和の時代に浮気した奥さんだかと相手を殺したのかな? の刑事が人工冬眠で 永い眠りにつきます。 それから数百年。世界は大きく変わっています。 世界中の人種が交じり合い、ブスとかブ男はいなくなって美男美女ばかりの世界。 科学も進み、気候もコントロールされていて、人は働く必要もなくなっています。 仕事といっても、ちょっとした機械のコントロールをすればいいわけです。 人工受精が当たり前になっていて、SEXなんてのはもうスポーツになっちまっ ているわけです。 適当な相手と、ちょっとその辺で一汗かくようにバコバコ致すのですが、そんな 時代に殺人事件が起きます。 何不自由のない世界になってしまっていますから、本来なら事件など起きないは ずなのです。 欲しいものはいつでも手に入るし、美男美女ばかりだからエッチもし放題。 不平不満など持っている人はいないはずです。 もちろん結婚などという煩わしい制度はとうの昔になくなってます。 当然警察などもなくなっていますから、何百年ぶりだかに起きた殺人事件にどう 対処すればいいのか分からないわけですよ。 困り果てた政府のお偉いさんがその昔に眠りについた刑事の存在を知り、そいつ を叩き起こして事件を解決させようとするのです。 トリック自体はどうということもないのですが、その世界の素敵さに痺れました。 なんせいい女ばかりがいて、スポーツ代わりにエッチをして一汗かく世界……。 まるで夢のような素晴らしい世界じゃないですか。涎が出ますよね。 永い眠りから覚めた刑事は、初めはそんな世界に驚きますが、やがては慣れます。 そこの連中はみんないい男ばかりで、体格もいいのですが、持久力がないんです よ。それに比べて現代から飛んだ彼は、小柄だけど持久力がある。 喧嘩なんかしても最初は押されても最後は粘って必ず勝つし、エッチするにして も持久力がある上に大昔から来た男ということでやたらとモテるから、それこそ ズッコンバッコンやりまくりはめまくりの極楽浄土をさ迷うわけです。 物語の見所は前半だけ、と言っては言い過ぎかどうか知らんけど、後半にお偉い さんが彼と同じような過去の人間を人工冬眠から目覚めさせてもつれ始めます。 犯罪者一人とお姉ちゃんを一人。 犯罪者の方はこの極楽のような世界にあっという間に馴染んでしまいますが、お 姉ちゃんの方は刺激が強すぎて彼にすがって離れません。しかし、一旦慣れてし まうと箍が外れたように馴染んで行きます。 で、その彼女を犯罪者のヤツが無理矢理やっちゃって、現代の人同士にはモラル が必要だと思った彼が犯罪者を殺し、監獄送りになって終わります。 監獄といっても、南極辺りでちょっと労働をするくらいで、気晴らしにはちょう どいいくらいなもんです。 最初のイブ殺しの犯人も無事にあがり、こっちは嫉妬がもとの殺人でした。 こんなに何不自由ない時代にも、やはり嫉妬はあるんだ、という終わり方でした。 こんな未来が来るのかどうかは分かりませんが、来るとしたら、私も冬眠したい な〜とマジで思ったりしたものです。 好きなときに好きな相手と好きなだけやれれば、嫉妬なんて出てこないと思うん だけど、そうでもないのかな〜。 難しい問題ではありますね。 ともあれ、この作品のこの世界が、私の理想の世界といってもいいと思います。 こんな世界に住んでみたい。切に……。 さてさて、自由と平等というのを念頭において、一つ私が考えていることが有り ますので、最後にそれを書いてみましょう。 いい女って世の中には沢山いるわけですが、言うまでもなく、誰もがやらせても らえるというものではないですよね。 選ばれなければやらせてはもらえない。 すごくいい男だとか、金を沢山持っているとか、まあそれなりにその女を引き付 ける何かがなければいけない。 これは、あればいいけど、私みたいにないヤツにしてみれば結構切ないモノがあ るですよ。ホント。 いい男でもなければ金持ちでもない、口が巧いわけでもなければ……って、まる きりいいとこない訳です。その上赤面症の気があったりして女性相手だとどうも 巧く喋れない。 つまり〜、女性を引き付けるモノが何一つないわけです。 当然、いい女とやらせてもらえる可能性もないわけです。 また、仮に少しくらいいいところがあったとしても、もの凄えいい女とかは高嶺 の華ですから、逆立ちしても手が届かないのは必定。 もの凄えいい女って、テレビなんか見てると毎日腐るほど出てくるけど、あれら とやれるのはどんな男連中なのだろうかと、ふと考える事があります。 一般的な例をみてみますと、その昔山口百恵さんがトモカズ君と結婚しましたが、 トモカズ君は百恵さんを引き付ける何かが有ったのでしょう。それはいいとして、 トモカズ君にだけ百恵さんとやれる権利が生じたわけですね。 これは不公平である、と、多くのファンは感じたのではないでしょうか。 そりゃまあ、トモカズ君はいい男だから、百恵さんがひかれるのは分かる。 しかし、人類はみな平等なのだから、オレにもやれる権利が有ってもいいんじゃ ないか、なんて理不尽な怒りを覚えたヤツはいないか? 人類はみな平等を目ざす私としては、ここはやはり百恵さんはみんなの平等の女 性で有ってもいいのではないか、なんてぇわけの分からん事を考えてみたりする わけです。 百恵さんはほんの一例ですが、またまた出てくるかとうれいことか、高島礼子と かあたりはいい女だな〜と思います。でも、思ったとしても、現状では私にはまっ たく権利も無いわけですね。 これをだ、完璧な平等にするのはどうしたらいいだろう、と、真面目に考えてみ ましょう。 セクハラ呼ばわりされるのを覚悟で、エッチにおける究極の平等を目ざすわけで す。 世の中、なんてったってみんなが平等でなければなりませんから、エッチにおい ても人類はみな平等でなければなりませぬ。 何かいい方法は無いものかと、もう20年もあれこれ考え続けているのですが、 エッチの予約制なんてぇ制度はいかがなもんか? ちょっと説明しましょう。 ここに一人の美女がいるとしましょう。 みんなその美女とやりたいわけです。 ころが、やらせてもらえるのは美女が気に入った相手のみということになります。 これは、一見平等そうにみえますが、実はとっても平等ではないではないか(!) と思うのですよ。 だって、選ばれないたくさんの男は、こんなにも彼女とやりたいのに手すら握ら せてもらえないじゃないか(!) エッチも平等でなければ私は納得できないぞ〜! で、断固予約制にするべきだと思うのです。 まず、やりたいと思う相手に予約を入れます。で、順番でやらせてもらう、と。 世界的な美女ならものすごい数の予約が殺到するだろうから、実際にやらせても らえるのは何百年先になるか分からない。 そんな先の話は当てにならないから、もう少しランクを落として、それでも国内 の女優とかアイドルだったら数十年待ち。 それでも待つか、もっとランクを落とすか、これは考えてしまうでしょう。 ランクを落としてもいいから月に1回とか1週間に1回くらいやりたいと思った ら、その辺のちょいと綺麗な奥さんとかお姉ちゃんに予約を入れる。 もっと頻繁に、毎日やりたいと思ったら取り合えず高望みはせずに誰でもいいこ とにして予約を入れる、と。 予約を入れられた女性は、自分が好きな男とエッチを一回するごとに指名を一つ こなさなければいけません。 その代わり、こなした数だけ自分も気に入った男を予約することが出来ます。 これだったらかなり平等だと思いませんか? もちろん男の側も、自分が指名されたらしなくてはいけません。 どこのどんなブスやおババから予約を入れられるか分からないけど、一旦予約さ れたら義務だから果たさなくてはいけない。 ここで問題になるのがこの義務でしょうね。それと結婚制度。 配偶者がいると嫉妬とかいろいろと問題が出てくるかも知れない。 この辺の問題をどう処理するかが、この予約制度のキーポイントになると思われ ます。 いい男とか金持ちだけがいい女とやれるという、現代のこのエッチのあり方はまっ たくもって納得できない部分が有るのですが、自分がもしとんでもないババアか ら指名されてしまったら、これはかなり嫌だぞよな〜。 しかし、それをこなさなければ自分にも指名する権利がない。 さて、どうまとめればこの辺の問題を解決できるだろうか? もう一つ、いっその事全人類を登録制にするなんてのもいいかも知れませんね。 で、美男美女、年寄からガキまですべてをクジ引きでの組合せでカップルを作る。 当たった相手とは一ヵ月とか半年とか、1年とか3年とか一緒に暮らすなんての も面白いかも。 次はどんなん相手に当たるだろう……なんてハラハラドキドキするのも想像した だけで面白そう。 ピチピチギャルとか絶世の美女に当たるかもしれないし、どうしようもないブス とかババアに当たるかもしれない。それもまたいいかも? う〜ん……。 ともあれ、みんなが平等にエッチの出来るような世の中にするというのはとても 難しく、面白く、妄想に浸るには最高の題材ではあります。 もう少し、あと20年ほど考えてみようかい?
Copyright (C) 1997 by カメ山カメ吉FCA18598@biglobe.ne.jp
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