香港在住3年目の二人が、忘れないように「印象的な出来事」を日々綴った Everydaylife in HongKong
あなたも読んでいるうちに自分が香港に住んでいる錯覚を起こすかも。今日はその中から2つのエッセイをご紹介します。

花事情 by Y.H.センセイ
食べ物所有権 by K.N.センセイ


1998-1-6

-< 花事情 >-

 会社帰り通りがかった家の近くの不動産屋の前がざわざわしている。見ると、店先に数個の大きな花篭が設置してあり、大ぶりなバラ、カーネーション、ユリなどが美しく生けて飾ってあった。いや、美しく生けてあったはずだ。花はすでに半量になっていた。数人の女性達がニコニコしながらめぼしい花をガンガン抜き取っている。花の元気度からして、生けられてからまだ1〜2日程度であろう、用済みとは思えない。一体なんなのだろうか。不動産屋さんのご厚意で「御自由にお持ち帰りください」状態なのだろうか。

 しかしそんなことはどこにも書いてないし、不動産屋は明かりはついているが閉店していて中に人はいないようだ。もしかして、外に出してある花は自由にゲットしていいというルールが香港にはあるのだろうか。それともこれは、窃盗!?

 そうこうしているうちに通りがかりの人がどんどん参加し、花はみるみるなくなっていく。花好きな私は気が動転してしまい、「どうしよう!どうしよう!」と焦っているうちに、気がついたら窃盗団の一味と化し、数本いただいてしまっていた。ゴメンナサイ….。

 次の朝とおりがかると、空っぽになった籠と葉っぱが散乱していた。その様子からして「御自由に」ではなかった確率が高い。あぁ本当にごめんなさい。

 香港人に聞いてみると「閉店後に外に出しておいた時点で持っていかれることは確実だから、何も防衛してなかったってことは持って帰っていいものだったんじゃないの」という。何事においても自己防衛、自己責任の国だ。


 香港は花が比較的安い。数百円も出せば、小ぶりな花瓶が充分にぎわう量が手に入る。3000円も出せば立派なフラワーバスケットが出来上がる。

 花屋さんはあちこちにあるが、太子(プリンスエドワード)駅から数分のところにはフラワーストリートと呼ばれる花屋街があり、小売店が20軒ほど1列に並んで花を売っている。全部花屋さんだ。香港は談合がないから、店によって値段は自由に設定され、必然的にとても安い。一般向け小売店で同業者がこれだけ並んでいたら共倒れするのではないかと心配してしまうが、買いに来る人も多くなるので販売効率はいいのだろう。花飾りのスタイルは、オアシスを利用した盛り花か、花瓶の投げ入れが主流のようで、剣山は使わない。

 私は以前、剣山を探したのだがなかなか見つからず、フラワーストリートの「Japanese なんとか」という店でやっと購入できた。 そういえばその時、剣山を何て言ったらいいのかわからず、メモに絵を書いて

「ケンザン」
「ケンシャン」
「シェンザン」
「シェンサン」・・・

などと、片っ端から変化させて言ってみたところ、そのうちのひとつがヒットしたみたいで、お店の人が

「Oh! ○×▲☆」

と言って持ってきてくれた。全然関係ないものが現れたらどうしようかドキドキだったが、剣山だった 。(こんなにうまくいくことはめったにない)

 最近は日本の生け花が人気で、いくつか分校もあり、テレビでもたまにやっている。とくに斬新な生け方が好まれているようだ。また、香港でも、男性が花束を持って女性を待っているというシーンに出くわす。ただ、持っている花束がなんだかデカイ。レコード大賞をとった時に贈呈されるみたいな、ワッサワッサしている花束だ。大きすぎて、かえって女性に迷惑ではないか?

 でも大丈夫。香港の女性は重い荷物も重たくない荷物も持たない主義なので、結局花束は彼氏が抱えて歩くのだ。



bar

1997-10-19

-< 食べ物所有権 >-

 自分の生まれ育った環境と異なる文化のなかで暮らしていると、「あ、このやり方、僕の知ってるやり方と違う!」と思うことがよくある。

 香港人の習慣に関しては、いままで以下のような発見があった。


 以上、これまでの発見の紹介だった。

 私は、香港の街中にある日本食屋に行くと、「ざるそば」をよく注文するが、時々つい変なことを考えてしまう。

 店の客には香港人が多いのだが、香港人は「ざるそば」をあまり食べない。「寿司」「ラーメン」「カレー」「温かいそば」「温かいうどん」などは食べても、冷麺である「ざるそば」を食べる香港人は極めて少ないのだ。

 でも、そこで私が食べる。すると、周りの香港人が注目する。「一体なんだ、あの食べ物は!」とでも言っているかのように......。

 そこで私は、変なことを考えるのであった。

「もし、僕がここで、まずいきなり『ざるそば』のそばつゆをザル上のソバに一気にぶちまけ、それから麺をほぐすようにして食べたら、奴らはいつか真似するだろうか......」

 変に注目されると、「ここでウソ教えたら面白いかも!」などと、よからぬことを考えてしまうのデシタ。




両センセイのエッセイをもっともっと読みたい人は、Everydaylife in HongKongへ行ってみよう。
おもしろい香港体験談がたくさんあるよ!

1