彼らはどこからか持ってきたような古木をいつのまにか釘で打ちつけていき見る見る間に家を作ってしまいます。またレンガにしてもまるで積み木でもやるように積み上げていきいつのまにか建ってしまうのです。暇な時私はいつも横で見ているのですが彼らのやり方はまず天井まで積み上げておいて、それから窓になるべき場所を叩き壊し窓枠を入れ配線や水道管が通る場所も同じように後でこれも同じように壊してから管を入れていくのです。それで尋ねて分かったことは設計図など必要がなく建てながら部屋の間取りを考えていく実に簡単明瞭な男らしい建築方法だったわけです。それでいつもそれまで疑問に思っていた居間の真ん中に柱がたってたり、風呂のシャワーを浴びるために体を斜めに入れないといけない造りやトイレットペーパーのある場所が便器から1m以上離れていたりする使う人に優しくない設計であったことが理解できました、多分間取りが完成した後に障害物があることに気づいたという具合なのでしょう。
つい近所にある7階建てのビルですが、そのビルのエレベーターを使って2階に行こうとすると隣にいた男性が私に「あんたは2階にいくんなら3階を押しなさい」というので何か変なことを言う妙な奴だなと無視して2階で降りようとするとそこは本当に1階なのです。エレベーターが故障しているのかと思いその2階に住む住人に聞くと「ああそのことね、このビルは建って4年くらいだけど沈んじゃってんのよ。最初は今の半分くらいだったんだけど現在の高さで落ち着いたようね。よかったわ地上の店舗買わなくて今は地下だもの」と全く沈むビルにいても平気なもんです。
隣のブラジルでも同じようなケースですが、ある都市で20階建てのアパートが建築されておりすごいスピードで進んでいたのですが、ある日より全く工事が進まなくなってしまいました。私はてっきり{ああ請け負い業者が倒産したんだなあ}と考えてましてそれから一年たってからその町に行くとあのビルの隣に全く同じ形のビルが完成しているのです。それで建てかけだったビルをよく並べてみてますとどうも片方が傾いているように思え地元のブラジル人に尋ねると彼は大喜びで「前のビルは8階建てたあたりで傾いているのが分かったから工事を止めてその隣にまた新しく建てたんだよ。いつも俺は言ってたんだあのビルは傾いているって。誰も信じないんだからバカだよアイツら」と答えてくれ{しかし8階建てなきゃ傾いてるのが分からないってすごいなあ}と壊さずにその又横に新しく建築するパワーに感動してしまいました。
他の話では市内にワンブロックがありそれが6個の正方形で土地が分譲されていたところでしたが「コ」の字型の部分が全部売れてしまい後に残った土地だけが異常に高い価格がついているので私が不思議に思い{横も後ろも全部建物が建ち土地一杯に違法建築されているため三方塞がり最低な土地なのにどうしてあんなに高いんだろう」と考えてましたがやがて他の5個分譲地がすべて建ち終わるころ買手が現れ約倍の相場で買いすぐに5階たてのビルを建てました。すごく早い完成だったなあとは思ってましたところやがて角地のビルを取り壊したときに私は内容が分かりびっくりしたのです。角の古いビルが壊され横を歩いてますと何と横の壁がない5階たてのビルの中身がみんな見えタイプをうつ人やコップを洗っているところまで道路から丸見えなのです。ということはこの5階建てのビルを建てた人は後ろも両横も壁がなく横の建物を利用しているという事で非常に建築費を節約しているわけです。呆れると同時にこの土地価格を高く設定した地主のしたたかさを評価させてもらいました。
やはりパラグアイは地震がないのと建ててしまえば法律なんか知らなかったですむのでこういうことができる訳で、日本では絶対不可能なことだとは分かりますが何事も恐れずというか疑問をもたず「何とかなるさ」行き当たりばったり的な行動をとれるラテンの方達の勇気には敬服します。日本では消去法でまずデータや法律を考えた上で結論をだしていきますが彼らは行動を起こしやり終えてから考える、ダメになったらとか決して考えたりしないポッシティブな人達なのでしょう。ただもし地震が来たら多分震度3くらいで町は崩壊するなと考えている自分は彼らに言わせれば悲観的だ、ここには地震なんて来ないんだと笑われるのでしょう。でもやはり自分が家を一人で建てれたらやはり平屋が安全だなとは思ってます。