たまには正直に怒りを爆発させてしまおうではないか! と言いたくなりそうな カナダ在住きつねセンセイのエッセイ。虎の威をかるきつねのページより転載です。
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ちょっと怒っていいですか。
「国際化」だいすきすきすき日本国の姥捨現象、なんとかしてもらえませんか。
研究員だのなんだのって派遣するのは自由ですけどね、やるならきちんとやってくんないと、姥捨って言われてもしょうがないでしょ。そう言われたくなかったら、住むところとか、子どもの学校のこととか、事情の説明くらい事前にしておいても罰はあたらないと思いますよ。手元に資料がないってんなら、ここに問い合わせて調べるように、って一言そえるだけでもずいぶん違うでしょうに。
十カ月の滞在だ、って一家そろってこっちに来て、いざと思ったら就労ビザは旦那にしかおりていないもんだから、奥さんは仕事もしちゃいけない語学学校に通ってもいけないで家んなかでノイローゼになる、子どもを学校に入れようと思ってもどうすればいいんだかわからない。地元の学校に飛びこんだら、もうすぐ夏休みですから新学期に来てくださいなって言われて、これも九月まですることがない。そういうときに、電話帳繰って教育委員会にちょっと聞いてみれば、夏期プログラムの可能性だとか、留学生を受け入れている学校のリストだとか、なんたってあちらさんはプロですもんね、いくらだって教えてくれるはずですよ。でもこっちに来るのは海外生活のプロなんかじゃない一般民間人なんだからね、そんなこと、言われなけりゃわからないのはあたりまえでしょ、だったらいままで何十人も何百人も海外に研究員を派遣している方々が率先して説明会のひとつもやってもいいんじゃないの。マニュアル作れとは言わんが、カナダ滞在にあたっての注意事項をチェックリストにするくらい、やってもいいんじゃないの。そうでなきゃ、せめて、ほんとに役に立つ海外生活マニュアル本の一冊も買ってやんなよ。金出したくないんなら、題名と出版社くらい教えてやんなよ。旦那は毎日仕事していても、奥さんはどうするの、地元のおしゃべり仲間は、日本食はどこで買えるの、電話やテレビをつなぐのはどこに問い合わせるの、病気になったときのために日本語の通じるドクターにかかっておきたいし保険のことなんかも聞いておきたいし、困ったときは領事館が時間外には開いていないかもしれないけれど、日本語の通じる民間の機関に助けをもとめられれば、とかそういうことなんだけどね。
家族のことまで面倒みていられるか、って言うんなら、単身赴任以外は認めない、とでも言い切ってごらんなさい。それくらいできるでしょう。海外邦人はみんな棄民だから面倒なんて見る必要ないって言い切ったことだってあるんだから。
あんたのことだよ、文部省。
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詩あり、小説あり、読書日記あり・・・迷路になりそうなほど盛りだくさんの内容です。