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Written by naoko at halmammy@yahoo.com . June-Nov. 1999.
11/16/99 UP
(c)1999 naoko * Lazy Guardian *

 

 

子供番組が面白い

 

 

ケーブルテレビの充実したアメリカでは契約に応じて100ものチャンネルが選べる。
また最近は都市部でも衛星放送システムが急速に普及している感じだ。(日本はケーブルよりも衛星の普及率が高そう?)

私の住む地域のケーブルでは、基本料$30程で40局あまり。(内13が地上波放送局)
これに自分の好みに合わせて有料プログラムの追加料金を払う。
我が家の場合、ゴルフ・チャンネルと映画チャンネル7局他を追加して月々$60程度。
PBS(Public Broadcasting System)と呼ばれる公共放送以外は、どの局もほぼ24時間放映しているので、一日中TVの前にいても見尽せない番組量だ。

これだけのビッグメディアで、各局が特色を競っているため内容の豊富さと質の高さはかなりのもの。(勿論、見事な程くだらない物もあるけど;;)
教育ツールの一環としての番組品質の高さにも眼を見張るものがある。
語学番組や数学その他の番組は、学校でそのまま利用される事も多いようだ。
英語の話せない移民も多く教育水準のばらつきも激しいとか、人種の多さとか、国の広さとか色んな要因があるのだろう。

主な公共放送局と子供向けチャンネルでは、午前中一杯は”PRE-SCHOOLER”と呼ばれる就学前の子供を対象とした幼児〜小児向け番組や教育番組が続く。

日本でもお馴染みの『SESAMI STREET』をはじめとするマペット物(人形が主役の番組)、アニメーション、工作、読書、体操などを主とした番組などが目白押し。 
30分単位でチャンネルを替えながら、つい点けっぱなしにしてしまう。

そんな中から、私と息子のお気に入りは、『BLUE’S CLUES』

主役の青い子犬・BLUEと飼主のSTEVEお兄さんが住むバーチャルワールドの家を、視聴者である子供が訪ねていくところからその日のストーリィが始まる、インタラクティブ番組。

BLUEはじめ、登場するキャラクター達と彼らの住む世界はCGアニメを主体に違和感なく実写の小道具を合成して創られ、STEVE君だけは実写の人物。(この番組のキャラクターはアメリカン・TVアニメでは画期的と思える可愛らしさで(笑)、キャラクター・グッズもお気に入り)

STEVEは番組を見ている子供=FRIENDSの手助けを受けて、BLUEの残す3つの足跡=PAW PRINTの付いたアイテム=CLUEを探し出し、BLUEの意図することを探り出す。
3つのCLUEを探す道すがら出遭う友達と一緒に、その日のテーマに則したゲームや事件をクリアしてはゴールを目指す。 
番組は常に画面前の視聴者視点で進み、子供達はTVから流れるFRIENDSの声に重ねてSTEVEの問いに応えたり助けてあげたりしながら一緒に物語を体験する事が出来る。

また、番組半ばで「Mail Time ! Mail Time !」のテーマソングと供に配達される“FRIENDSからの手紙”が、テーマに合わせた視聴者の子供達の遊ぶ様子を届けてくれるのだが、これがまた息子達には面白いらしく、登場する画面上の子供に重ねて、視聴者自身が番組に入りこむ為の手助け的役割を果たしているようだ。

30分一話の番組だが、5・6分毎にサブ・エピソードが提示されるので、言葉のよく分らないかなり小さい子供でも飽きることなく見られる。
(遥貴はテレビを熱心に見始めた生後10ヶ月頃から、日本製子供番組のお気に入りである『いないいないばぁ』と同じくらいに好きでした。)

有料専門チャンネルのなせる技ともいえるだろうが、この番組はウィークデイの朝昼2回放送で、其々が同じ話を1週間続けて放映する。 
最初不思議に思ったこの手法は、気に入ったものを繰返し見返す子供にとっては自然で、話の内容を理解する上でも有効なのだ。
更には、その週の放送テーマとリンクしたゲームやクイズがWebサイト上で展開されており、まさしくマルチメディアを活用した現代の番組と言える。

この番組を放送しているNICKELODEONは、ユニバーサル・スタジオ系キャラを擁した子供向けチャンネルで、その中でもお昼過ぎまでは”Nick Jr.”と称した幼児向け放送時間帯になっている。 ちなみに、この局で放送されている視聴者参加型バラエティは、フロリダ州オーランドのユニバーサル・スタジオ等で観光客をギャラリーにして収録されているので、旅行で訪れた事のある人も多いかも。

同じく”Nick Jr.”で今年に入って始まったアニメ新番組『Maisy』『Kipper』も楽しい。

『Maisy』はディック・ブルーナの絵本風の(ミッフィーって昔からの本ではうさこちゃんって言ったんですよ)太い黒の輪郭線とベタ塗りの色がくっきりした可愛い絵柄で、白ねずみの女の子・メイジィとその友達が遊ぶ世界。
Maisyの仲よし友達は、ワニのCharley、ひよこのTalllulah、リスのCyril、象のEddy… と中々の顔ぶれ。
自分よりも小さいウサギや犬(ねずみより小さい訳;;)を可愛がって世話したりもするから、なかなかシュールな世界なのかも。(笑)
こうしたキャラクター・アニメ番組にしては珍しく、Maisyもその友達も話毎に様々な洋服に着替えているのがまたお洒落で可愛くて楽しい。
台詞は幼児語のみで、語りかけるような分り易いナレーションが入る。 30分四話構成で、日常の遊びや工夫・数などテーマは色々で秀逸。
プルタブ&リフトアップ付で動かして遊べるタイプの絵本が良い出来で、私がいたく気に入ってしまった(笑)。もちろん息子にも大好評である。
(c) PolyGram Visual Programming 1999. Created by Lucy Cousins.
Maisy -published by Candlewick Press.

『Kipper』は対照的に、細い描線と淡くぼかした色彩で背景も白ベースに必要な物体だけ描いたような、空間が広く抜けた画面構成。 犬のキッパーの渋い(?笑)日常の話。
ところで、私はKipperの年齢が常々気になっていた。(笑)
子供っぽい遊びをするけれど、一人暮しで声はハスキーでとぼけたオジサン声だし、友達の豚・PigはいつもArnoldという子供を連れてるし結構歳なの??とか思っていたら、
Webサイトでは、PigとArnoldは従兄弟同志で、Kipperはあくまで子犬なのだと登場動物紹介されている。(笑)
こちらはキャラクターの会話形式で30分三話。 英国アクセントのやわらかい英語だ。
絵本も良いけど、この話はアニメが面白いんじゃないかと思う程に、キャラクターの特徴有る声や柔らかい動きが一種ノスタルジックで不思議な雰囲気を醸している。

日本帰国の折、NHK子供番組の中でちょっとだけ放送されているのを知ってびっくり。吹き替えの声質は全く別だった。惜しい(笑)。
(c) 1998 HIT Entertainment PLC & Mick Inkpen. Based on the books written by cMick Inkpen.
Produced for HIT Entertainment PLC by Grand Slamm Children's Films.

 

絵本の世界のやさしいアニメーションは『LITTLE BEAR』

人間にしたら4歳児くらい?の二足歩行の熊(笑)・LittleBearを主役にMotherBearはじめその家族、仲良しのCat(猫)、Duck(あひる)、Hen(めんどり)、Owl(フクロウ)等そのものずばりの動物仲間&人間の女の子・Emilyが織り成すカントリーライフは ピーターラビットの世界に通じる雰囲気。 
少し時代を遡ったクラッシックな話は、原作本自体が高名なアメリカ人絵本作家の作品.。
四季折々の森の風景に楽しいイベント。想像力豊かなLittleBearは空を飛んだり、人魚に出遭ったり、漁師のFatherBearと海へ出て鯨と話したり…とスケールの大きな話も沢山。  30分三話形式。

落ち着いて優しくユーモアがある理想的なMotherBearの姿に、始終怒ってばかりで息子の話をおざなりにしがちな自分を反省する事もしばしば(苦笑)。 
ここで使われる英会話は丁寧でとても参考になるので、英語を勉強するママにもお勧め。
Little Bear Series (c) 1999 Nelvana Limited.
Maurice Sendak's Little Bear (TM) Wild Things Productions, Inc.
Based on the series of books written by Else Holmelund Minarik and illustrated by Maurice Sendak. All Rights Reserved.

 

近年の大ヒット番組がPBSで放映中の『Teletubbies』

イギリスBBC制作の幼児番組。こちらではイギリス本国より遅れて98年4月より放映され、関連グッズと供に大ヒットし一種の社会現象を起こした。

お腹にTV画面のついた4人の宇宙人ぽいテレタビーズ ― Teletubbies ― 紫色のTinky-Winky, 黄緑のDipsy, 橙色のLaa-Laa, 赤のPo ― が、不思議な花が咲き乱れる緑の丘陵地・“TubbyLand” に住んでいて、いたずらしたり遊んだりしている。
ぱっと見、不気味な感じがした宇宙人的なキャラクター(実写着ぐるみ)は、人種を超えて とてもリアルな赤ちゃんぽい顔なので、子供は好きだろうなと思っていたらその通りだった。

キャラクターと供に印象的なのが、番組のオープニングで青空に昇る赤ちゃんの顔が付いたぴかぴかのお日様“Baby Face Sun”。 テレタビィ達の行動に可愛らしい笑顔と笑い声を振り撒き、番組終了時Tubby-Bye-Byeの後、沈んでいく。
彼らの話す言葉や動きは、まさに1〜3歳児のもの。心理学・幼児教育的にも深い考察がなされていると感じる、『Maisy』と並んで一番小さい子向けの番組。

ベテラン幼稚園教諭であった私の母曰く、
「幼稚園の基本教育要綱そのものと言える内容を実に分りやすく取り上げている」 とか。
“表と裏、飛び跳ねる、片付ける、真似る”等など… 
子供にとっては新鮮な驚きであり、大人にとっては、いざ説明するとき結構大変な事柄を一目瞭然に表現していると思う。

先述の『BLUE’S CLUES』同様、この番組でも毎回、TubbyLandの丘の上にある風車(?)が回転する時放つパワーを受けて、誰かのお腹のTVに子供達のリポートが届く。
こちらでも、子供の習性をを踏まえた手法が取られており、リポートビデオはTeletubbiesの「Again!Again!」のおねだりで、立て続けに2度流される。
英国制作の為、遊びの内容や服装がアメリカのそれと一味違っているのも興味深い。

TV東京で吹き替え入りの放送が始まっていて、オリジナルの会話との微妙な差異やキャラクターの声の違いが、内容とは別の意味で面白かった。
多重音声放送されているので、英語で見ることをお勧めしたい。

 

以前はBGVと言えばMTVやVH1、HeadlineNewsが主流だった私も、何時の間にやらすっかりKids−TVフリーク(笑)になってしまった。
子供と一緒に観ていると彼らの発想の飛躍ぶりとか笑いのツボ(?)が分って面白い。
いずれの子供番組も文句無しのクオリティと普遍性があるので是非お試し有れ。

 

 

 

 

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〜Extra Talk〜

ところで、米国放映のスタジオ収録形式の子供番組と日本の番組を比較して思うことに、登場人物の年齢の違いがある。
日本の子供番組は、何故かキンキン高い声の若い人ばかりが出ている。実写の場合ほぼ90%メインキャストは若いオネエさん。(私が知る限りですが)

番組数の差は勿論あるだろうけれど、米国ではメインキャストに中年〜老年の方も多い。
有名なロングラン番組『Mr.Rogers'Neibogherhood』のお話おじいさんMr.Rogersをはじめ、お絵描きのおじいさんとか賑やかなおばあちゃん、体操のおじさん、等など… 
「ンむむ…」と思う時もあるけれど(笑)、社会の構成からいくと至極妥当な話で自然なことだと思える。

前述した『Maisy』と『Teletubbies』の二番組もナレーションは男性だ。
そして、ナレーション等で聴く限り、ある程度歳のいった男性の良い声というのは、落ち着いたトーンで安心感があり、とても聞き取り易いのだ。 (私は大河ドラマやドキュメンタリー番組での石坂浩二さんの語りが大好きでした。)

日本は何かにつけて、“可愛さ”で大衆にアピールする傾向が強い。
おそらくTV番組にもこれが反映されていて、子供と同じレベルで話したり行動したりする“子供っぽい大人”が出演者なのだろう。
これは一般生活での子供に対する接し方にも言える事で、相手に合わせて自分の位置と語調を変化させられる日本語文体のバリエーションの豊かさにも拠るから、 一概に悪いとは思わない。
ただこうした番組が構築する場の特殊性に疑問を抱かないでいるとしたら怖い気がする。
こういう処からやたらと歳をとる事を悪とするような風潮が育つのではないかと思ったりもするのだけれど…。

私の住む東部アメリカ地域でも一般的に子供が普段から老人と一緒の大家族で住むことは稀だ。 
特に都市部で中流以上の家庭は仕事や学校に合わせて家を住み替える傾向が強いので、一箇所で家族や親戚と供にずっと生まれ育つことは難しいし、社会に出てからも親と暮らす人は滅多にいないようだ。(近所に住んでいても親子同居は少ないよう)
核家族化が進み、おじいちゃんやおばあちゃんに昔話をしてもらったり遊んでもらったりする機会が減った昨今、せめてTVの中でそうした伝統(?)に接する時間を…との意図もあるのではないかしら?と、賛同を込めて思う。

現実には離婚や未婚の母が多い現代アメリカには、一方では殊更に“Family”を大事にする伝統がある。
習慣によるスキンシップの多さも手伝ってか、関係が上手くいっている家族間の親密さと親愛表現は、気恥ずかしいほど。
母親にやっと背丈が並んだ小学生の息子が、母親の肩を組み話しかけ、慰める様に背を撫でるなんて日本では見られない光景だ。それでも、親子双方がその接触を必要な事と認識して求めているように思われる。
文化も慣習も違うけれどアメリカで起こった社会現象は10年遅れて日本にやってくるともいう。
家庭崩壊が報じられる親子間でも、現状と反比例して互いにこれまで以上の親密さを希求しているのではないだろうか…。

先週末から全米公開された『Pokemon the 1st Movie』(日本では去年公開された『ミュウツーの逆襲』&『ぴかちゅうの夏休み』ですね?)は、日本映画としては初の全米大ヒットとなりかなりの騒ぎだ。 
夫の会社のアメリカ人達も待ちわびた子供にせがまれ こぞって公開初日に出掛けたらしい。(笑)
数年前に暴力的だとの批判も含めてブームを興した『PowerRanger』(日本では『獣レンジャー』の筈?←不確か;;)、女の子層を惹き付けた『SailorMoon』を経て登場した『Pokemon』は、概ね親にも好評なようだ。
全米公開された訳ではないが「となりのトトロ」を筆頭にした宮崎アニメもアメリカの子供達に支持されている。
世界的に認知される文化に育ちつつある日本のアニメやコミック、ゲームソフト。 
長く心に残り、親子コミュニケーションにもさりげなく効果があるような秀作がどんどん創られる事を期待したい。

 

 

関連Website →→ NickJr.    
  PBS online

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