1997.11.3.更新

「エビータ」をようやく見ることが出来た。

監督アラン.パーカーには「ダウンタウン物語」、「ザ.コミットメンツ」といった音楽映画の名作があるので、かなり期待していたのであるが、期待した以上にすばらしかった。静かに終わっていく終盤が物足りなく感じるのは、2時間15分のこの映画がやたら短く感じられるからであろう。
落ち着いた色調の絵が綺麗。緊張感の続く前半は編集がみごと。
最初の掴みのところはじつにうまい。(見ていない人のため、この場面については触れない。)ふつうの台詞はここで終わり、以降は「シェルブールの雨傘」と同じく台詞が全て歌になる。どっちかというと前編プロモーションビデオという感じ。しかしいきなり踊り始めるというような不自然なダンスはない。
マドンナの優しい歌声がすばらしい。エヴァ.ペロンが民衆に「聖女」と慕われるイメージをこの歌声と短いカットでうまく表現している。
ペロン大統領は、「未来世紀ブラジル」のジョナサン.プライス。歌える人だとは知らなかった。
狂言回しでアントニオ.バンデラスが随所にいろいろな役柄で出現する。南米が舞台とあって妙に存在感がある。同じく南米ものの「愛と精霊の家」でウィノナ.ライダーちゃんを虐めた野郎なので(もちろん役の上でだが)、けしからんといいたいが、今回はマドンナ様を支えての熱演なので許すとしよう。
諸々の事情で地元アルゼンチンでは撮影前から評判が悪いのは残念。一つにはスキャンダラスな「悪女」イメージのマドンナが「聖女」を演じるのが問題とされたようだ。
マドンナは信心深い女性である。記録映画「イン.ベッド.ウイズ.マドンナ」にコンサート前にスタッフと祈るところが収録されている。これを見ると、少女時代に修道女になろうとしたという伝記は本物だと得心できる。人前で自分の言葉で祈ることができる女性なのだ。神(イエズス)様大好き、教会(特に我らがカトリック教会)嫌いというのは、教会がある種の権威の象徴である欧米にはよくあるケースである。
ひたすら音楽という映画なのに、アルゼンチン軍事政権の陰惨なイメージを良く伝えている。ってことはアルゼンチンのみならず似たり寄ったりの南米各国では上映されてないのでは?

ようやくみた映画について
ウィノナ.ライダーちゃん支援(売上UP!)のため、LDをやむなく衝動買いした3作品。

「ボーイズ」
セクシーショット少々。
全寮制の男子校の男の子が、ドライブ中に助けた「謎のおねーさん」をかくまう。このおねーさんを助けるために、主人公の男の子は当然のごとく友人達を裏切りまくる。すごくつまらない。

「クルーシブル」
中世魔女狩もの。
嫌いな人たちを魔女だと訴えるヒステリー少女の役。悪役なので不可(?)。

「リチャードを探して」
ちょい役なのでウィノナ映画としてはつまらない。
シェイクスピアの意義について街の人々に問い掛けていくというオープニングから、舞台を作り込んでいくというドキュメンタリー風の構成が楽しい。

やっぱり眠かった。

「ドラゴンハート」

中世、騎士と龍の友情の話。龍の心臓を得て蘇った王子は、騎士道を守り良い王となるという誓いを破り、非道な暴君となる。彼に裏切られた騎士と龍は、虐げられた農民を率いて暴君と戦う!
龍の出来はみごと。CGらしいが動きは完璧。ショーン.コネリーの声も良く合っている。騎士のチャンバラも楽しい。騎士物語の定番となるへんな修道士もでてくる。お姫様は出ないが、賢い王妃と、王子を親のかたきと狙う領民の女の子が活躍してくれる。

農民軍布陣!

残念ながら、全体的に前にどっかでみたような新しさに欠ける印象があり、いまいち、燃えてこないドラゴンである。期待しすぎたからかもしれないが。
アホな先王が虐めた農民に殺される場面は、どうみても「七人の侍」からのいただき。
龍は優しいキャラクターなので、「ドラゴンスレイヤー」の龍にくらべて迫力が欠けている。
デニス.クエイドの騎士は、王子の剣の師匠のわりに強くない。王子の凶悪さも我々の正義の血を燃えたぎらせるほどではない。
中世の暴力的な世界は最近の「ブレイブハート」や「ロブ.ロイ」でおなじみなのだから、中途半端に家族向きを意識せずにハードアクションに徹するか、または楽しいコメディに徹していればもっと印象の強い映画になったはずである。

「クレージーの大爆発」
1969年公開のこの映画の設定は、近未来の日本である。経済大国になった日本に世界中の金が集まってきている..という設定が、クレージー一味による大金塊強盗というお話を可能にしている。近未来の雰囲気を出そうとしてか、自動車を上手く使って、スピーディな画面をつくっている。
「黄金の七人」の日本版を目指したようなのだが、全然負けていない。どんどん無茶苦茶になっていくのが楽しい。
秘密結社(ミスターK平田昭彦がNO.2だ!)が3,000億円の金塊強奪の手先として、植木等扮するあの(!)三億円強奪犯人を選ぶ。彼は三億円を元手に新興宗教、地球真円(まんまる)教でさらにがっぽり稼いでいて....とういう始まりから、地中の秘密基地が水爆で吹っ飛んで、富士山が火を噴き、遂には月面でクレージーが「キンキラキン」を歌うという終りまで、ハイテンションで無茶が続く。凄い。(ひどいけど。)

月面で「キンキラキンのキン」

最も気に入ったギャグは、銀行に向かって地下トンネルを掘っていて、(よくあることだが)水道管を壊し、トンネルが水浸しになるシーン。水道管はすぐに繋いだというのだが、繋いだのは電話線(?)で、電話器が水を吹く。

「ぶわっ...」


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