1997.10.12.更新

「猿の軍団」について

円谷プロの名作

最近のカラオケは通信カラオケのおかげで実に曲目が多い。
昔のテレビ主題歌もいろいろ入ってるが、中にはどう考えても流行ったとは思えない番組の主題歌もある。「猿の軍団」?だれが歌うねんって笑ってたら、同じ職場に「見てました」というのが一人いたから不思議。

その話の後1ヵ月もしないうちにLDボックスが発売されており、つい購入してしまった。

1974年10月-3月、日曜7:30PMの放映で、宇宙戦艦ヤマトの本放送の裏番組となり苦戦。再放送されたという記憶はない。当時家にテレビが1台しかなく、チャンネル主導権がなかった私はこの番組を2.3回しか見ていない。今回LDでみて、放映時にみた記憶があるのは第1話、第6話と最終話であったことが確認された。

1976年頃、「SF映画友の会」という組織が「モノリス」という同人誌を発行した。
創刊号が「ゴジラ」のシナリオを掲載して評判になった。私も入会して2号をもらったが、3号はついに発刊されずに同会は自然消滅した。

この「モノリス」2号でSF作家の豊田有恒氏が「宇宙戦艦ヤマト」の基本設定をやった話と「猿の軍団」に参加した話を書いていた。
「宇宙戦艦ヤマト」はもともと小惑星を改造したアステロイドシップの企画であったが、あとで「ヤマト」のキャラクターが出てきて、....といった話であった。
一方、「猿の軍団」については小松左京氏、田中光二氏、豊田有恒氏の3大SF作家が原案という凄い企画であるという話以外あまり書かれていなかった。
しかし、SF少年であった私に「凄い」という認識は残り、再放送か何かで是非みたいとおもっていた。

これが20数年を経てようやく実現した。

本放送当時、小松左京氏は「日本沈没」のベストセラー作家で、同作品が映画公開、連続ラジオドラマ放送、テレビドラマ版放映と日の出の勢いであった。
当時日本のSF作家は数が少なかった。 豊田有恒氏はその中心的な一人であった。名作「地球の汚名」は5回以上読んだ。SFマガジンでタイムパトロール物を多く読んだ記憶がある。また、鉄腕アトム以来のアニメライターの草分けであり、「エイトマン」なども書いてたとのことである。
田中光二氏は当時気鋭の若手作家であり、ハードボイルド風のSFアクションものをよく読んだ。ラジオドラマにもなった「エイリアンメモ」のシリーズがすきやったなあ。

さて、「猿の軍団」のストーリーであるが.....
地震を避けてコールドスリープカプセルに入った女性(泉先生)、男の子(次郎君)、女の子(ゆりかちゃん)の3人は、カプセルが作動してしまったため、いつとも知れぬ未来につく。
そこは猿が支配する世界で人間は絶滅していた。
偶然であった生き残りの男ゴード(潮哲也:ライオン丸やってた人)ととともに生き残りの人間をさがしながら、猿の世界になった謎を解明していく。
この4人の敵は、人間にうらみを持ち追跡に執念を燃やす警察署長(名優 故 畠山麦! キレンジャーをやっていて途中で亡くなった人)。
味方は、4人に命を救われ行動を共にする小猿ぺぺ、同じ猿の一種として保護しようとする大臣とその部下、その他行きづりの親切な猿たち。

毎回「猿の軍団」とのドンパチや、次々と深まりまた解明されていく謎、他の人間に会うことができるのか。などと飽きないうまいつくりのドラマであった。

製作当時は、映画「猿の惑星」シリーズ完結直後であり、同テレビ版(凄くつまらなかったが映画版同様ロディー.マクドォールが「おいらたち..」ってやってた)よりは前であり、「サル真似」というイメージがあった。しかし今回見て確認したが、決して真似ではない。テレビ番組なので特撮など技術的には安くできているが、脚本のSF度は負けていないぞ!

猿が人間のことを「裸の猿」と呼んでいるのがおもしろい。当時デズモンド.モリスの「裸のサル」(人間の生態を動物学的に書いた)がベストセラーで本屋に積んであった記憶がある。カバーがゴリラの絵で本の表紙は人間という面白い装幀であった。

出生率の低下による労働者不足を、遺伝子工学による改良された猿でおぎなった未来。人間の高齢化、猿の反乱に加え、地球環境管理コンピュータが人間を地球環境の敵とみなして助けてくれなくなり、未来は猿の世界となる...という設定。
企業が地球環境問題を看板にしはじめたのは10年前位。この番組は20年以上前ですよ!

一方猿の世界では、凶暴なチンパンジー族が、温厚で支配的であったゴリラ族(このサルの性格の違いの考証は正しい。)に反旗を翻し、クーデターを起こす。これはゴリラ大臣の捨て身の調整でおさまる。 ゴリラ要人暗殺のシーンは226のパロディーとなっていて傑作! またゴリラ大臣の秘密部隊が忍者部隊になっているのも面白い。

他に生き残りの人間がいない事を知った主人公達は、(「人間は4人」とコンピュータが云うシーンは放映時にみた記憶がある。)さらに未来をめざして再度コールドカプセルにはいるが、未来の技術で絶対0度以下に冷えたカプセルは超伝導(この言葉がちゃんと出てくる!)状態になり、タイムマシンと化して現代へ戻ってくる。
御都合主義的ハッピーエンドはやむを得ないが、もともと未来人であったゴードが別の時間に流れ着き、他の3人と別れてしまうのが少しクール。

簡単に紹介するつもりがつい気合いが入ってしまった。長いとお叱りの方にはおわびしたい。
それでも大分端折っているので、中身が薄いといわれる方がいたらやっぱりおわび。


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