1997.8.3Sun

4日目 Palm Springs ->[Interstate10]
->L.A.(Venice Beach)

 朝は早くに目が覚める。意外と快調だ。疲れが残っていない。こんな余裕のある旅は今回初めてだ。

 日が昇るまで日記の整理。部屋の間取りなど。今回はアルデータが有るので、手書きのものは少ない。クオリティー重視で行こう。

 日が昇った。美保に出掛けることを伝え、車を出す。朝のパームスプリングスはまったく静かだ。なにか、早朝の温泉街を連想させる。整備された道路をひたすら80マイルで飛ばす。何の障害も無いからだ。しばらくして町中を抜け、昨日は通ったことの無い、まったくなにもない真っ平らな、真っすぐな、いかにもアメリカ的な風景の中を通る道になった。80マイルで走ってもなかなか真っすぐは終わらない。すると左手にはあの風車の林が。右手には瓦礫の平原が。もし、これが夜だったら。どんなに恐ろしい気分に苛まれたろう。朝で良かった。そして、今来て良かった。美しい、何の無駄のない風景。殺風景のなかにある、無駄の削がれた緊張感のある美。
 昨日であった風景から予想していたものとはまるで違う風景に出会って、少々戸惑いを感じたけれど、昨日よりも風車に近付くことができた。10号線につながる手前で車をとめ、産業廃棄物処理場(ただの土砂捨て場?)らしき瓦礫捨て場の天辺に登り、写真を撮りまくる。真っ平らの中の人工物。異様なようでいて、実はそれがなければただの砂漠、なんの魅力も無い平原となってしまったであろう、この場所を、「Wind Farm」として意図的にか、イヤむしろ非意図的(つまり、結果的)に作り上げてしまうそのアメリカの力強さを感じた。きっとここに人類が踏み入れなければ自然の植生などの変化は無かっただろうが、しかし、その自然環境を壊すものなどなにもないとも思えるほど荒涼とした自然。人間の役に立っているから、よしとするか。そうだ、原子力発電よりははるかに良い。
 1時間半ほど撮影。10号線の脇のだれも通っていないような道を走る。アスファルトが風化し、粗いヤスリのようになっている。こんな道を80マイルもスピードを出して走ればパンクするはずだ。フリーウエイにはよくタイヤの無残にも砕け散った残骸がたくさん落ちているのはこのせいなのだろう。タイヤを飛び散らすほどアメリカ人は酷使するのだ。そして、それだけ走りまくっている。

9時近くホテルに戻り、出発準備する。

 ここから西の10号線脇にアウトレットの巨大モールが在るのだ。アウトレットはやはり商品としては価値が落ちるので、あんまり表立って売れないものなんだそうだが、廉さが引き金となって、ずいぶんこっちでは人気あって、売れに売れているらしい。しかし、ちゃんとした品よりもあまりに売れてしまって、きっと顰蹙を買ったのだろう。パームスプリングスのようなまるで田舎の辺境地に忽然とあらわれる巨大ショッピングモール。こんな所に作るわけだ。
 日本では考えられないほど巨大、そして店舗の多さ、そして駐車場の広さ。でかいことはい本当、気持ちいい。そして、品揃えも豊富。なかなか良い買物ができた。日本語のアナウンスはもとより、中国語と思われるアナウンスがあるのには感心した。事実、日本人よりも彼らの数は多かった。それだけ、ここをツアーに組んでいる旅行社が多いことも物語っている。
 アウトレットが繁盛するのは良いことだ。何でも新しいものがよい、少しでも傷物だと見向きもしない、そんな、非効率的な消費生活からの脱皮がここでは進んでいる。日本も早くそうならないモンかな。
 惜しむラクハ、コンピュータ関係のアウトレットが見当たらないことだ。まあ、コンピュータ関係の品物で傷物でもオッケーと言うのは少ないから、仕方無し、か。

 ロスに戻り、ベニスビーチ近くの(むしろ地名はマリナ・デル・レイだった)モーテルに今夜のベッドを確保した。日曜日という事もあって、ビーチ近くのパーキングはほぼ満車、頼みの路上パーキングも完全に埋まっている。と、学校の校庭をパーキングに提供しているところがあり、何時間でも5ドルという廉さに惹かれ、停めることにした。
 ビーチに面した通りは恐ろしいほどの人の波。黒人、白人、メキシカン、チャイニーズ、何でも在りの人種のルツボ。これが世界の若者の流行の発信地か。その勢い、迫力、ギラギラした欲望むき出しの熱気にややむせて、ビーチへ逃げた。広大なビーチは時間も遅かったこともあって、それほど人はいないが、日中はきっとすごく賑わっていたであろうと、想像する。美しい夕日、一時の安らぎ。

 夕食は美保が楽しみにしていたドイツ料理の店へ。ガイドにあった通りにはなく、その近くの1本離れた所にあった。金持ちがたくさん訪れそうな店であった。そこで、プレラートのハーフ(14ドル)を飲む。
 この値段でハーフボトルが飲めるのは驚異的だ。日本ジャ軽く4〜5000円は行くであろう、この銘柄、たまらん、アメリカまで来てこんなにおいしい目に逢うとは。ラッキーだ。
 周りを見回すと、それなりの資産を持っていそうな人々が家族サービスであろうか、大オバサン見たいな人を連れてもてなしていたり、ウエイターと話を楽しんでいたり。
 こちらのお子様は家族の一員として大人の会話に参加できる。ちゃんと一個人として認められ、ウエイターにも相手にされている。日本のように、「子供は大人のはなしに首を突っ込むんじゃありません!!」などと、子供を爪弾きにするようなことはしない。だから、彼等は自分の考え方というのを小さいうちから持つように訓練されているのだ。むむむ、去年、カナダのともさんに教えてもらったことを、このレストランの場で実証できるとは、面白いぞ。日本もそうならないかな。

 高級料理をいただいたあと、一晩75ドル程度の宿で体を休める。明日はなにしよう。この部屋のシャワーのカーテンが短くて外に飛沫があふれるのには参ったけど。

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