1997.8.4Mon
5日目 L.A.(Venice beach)->L.A.(Universal Studios)->[Interstate5]->San Diego ->[Interstate5]
->L.A.(Universal Studios)
->[U.S.101]->L.A.(Woodland Hills)8時に出発。ユニバーサルスタジオへ。9時ごろ入園。人気はあまり無い。というか、ちょうど良い人口密度だ。幸運は駐車場に車を停めるところから始まっていたような気がする。あの強烈な西海岸の日差しの下で、愛すべき相棒、マスタングを野ざらしにしておくなんて、耐えられない。だが、今日は立体駐車場の1階に停める順番が回ってきたので日陰である。相棒よ、涼んでいてくれタマエ。
美保の持っていたガイドブックの案内によると、超人気のアトラクション、「ジュラシックパーク」(以下[j])、「バックフューチャーライド」(以下[b])を、なによりも先に制覇しておいたほうが良いとある。
さっそく、そのアドバイスにしたがって[j]へむかう。20分待ちの表示。おそらくピーク時にはとんでもなく待たされるであろうウエイティンクエリアには人は疎らで2〜30人、それこそ、あっという間に、ゴムボートを模したいかだに乗ることができた。
これほどまでに気持ちがわくわくして、そして、恐ろしいライドはいまだかつて経験したことはない。わくわくするシーンといえば、木のゲートを潜って、もやのなか(朝霧のなかとも云おうか)からブラキオサウルスなどの草食恐竜がやさしくゆったりとわれわれを迎えてくれるあのストーリーどおりの展開は感動的であった。映画ファンにはこたえられないだろう。徹底的にリアルにこだわり、空想を駆り立てる演出、おもしろかった。途中、きっと、車が壊れて落ちてくるだろう仕掛けが、すでに落ちたままにそうなっているのは、アメリカ的で良い。恐竜が水をブッカケテ来たり、湯気が容赦なく熱かったりするのは日本じゃ考えられない。
さて、上り坂、工場のような建物のなかにいかだは引っ張り上げられる。異様な程の音響効果とともに建物が崩れ、巨大パイプがわれわれの頭上に!!前方には滝が!!!その水の幕がバックリ割れたかと思うと、すごい勢いで実物T/rexが襲いかかってくる!!びっくりする間もなく煥発いれず急降下!!!!!!
これは、本当に、死んでしまうかと思うほどのスピードを出すいかだ。髪の毛が逆立つ。カメラがどこかへ飛んでいってしまわないかと本気で思う。水しぶきが激しく顔に当たる。奈落の底に落ちるような感覚。叫び声。気付くと、全身びしょ濡れ。俺はたいていのジェットコースターは耐えられるけど、これは、本当に、本当に、恐ろしかった。でも、また乗りたい。[b]は30分ほど待ち。でも、スムーズに乗れた。同じところに乗るドイツの女の子がすごく具合悪そうだったので、乗る直前にキャンセルしたのは正解だ。スターツアーズを100倍恐ろしく激しくしたような、シュミレーション。首が痛くなる。美保はあまりの激しさに、額に掛けていたサングラスが背中に落ち、柄を壊して楽しむどころでは無かったようだ。(が、さすがオークレー、無理な力が掛かると自ら分解し、再生可能な構造になっておった:美保も安心したようだ)
この激しさにやや二日酔い気味になって、メキシカンフーズで遅い朝食。コップに酌んでもらった、ビールを派手にこぼしてしまって、「そーりー」と謝り、カウンターに並び直してもう一本買うつもりでいたら、ただでもう一本コップに注ぎ直して下さった。感謝感激のあまり、「そーりー、さんきゅう、さんきゅう」を連発。おいしいコロナビールをいただくに至った。
こぼしてしまったときは非常に恥ずかしい思いをしたが、勇気を出してこういうときは一言でも店員さんに面と向かって誤ることは大事なことだなと、気持ちを新たにした。きっとそのまんま知らんぷりして去っていったら、「ジャップは誤ることも知らないのネ」という悪い印象を持たれ、その後の日本人に対する接客に問題を起こしていたに違いないだろう。国際交流における重大な問題に発展しかねない。
ま、とはいえ、自分の謝意が店員さんに通じ、おいしいビールが飲めたこと自体、気分をすっきりさせてくれるものであった。少し熱くなってきた。この所、西海岸は熱波に見舞われているらしい。が、湿度の高い熱帯性の暑さになれているため、日向はたしかに強烈な日射がつらいけれど、日陰に入ると何とも涼しげな風が肌に心地よい。西海岸での熱さ対策は日陰を作ることと見た。老いも若きもみな帽子をかぶっているのそのためか。ドジャーズ帽子を持ってくるべきであったが、置いてきてしまったことをちょっと後悔。
ややぼんやりした頭でトイレに入ると、冷房が入っていた。大きいほうをもよおしたので、便器に座ると実に快適な涼しげな風がわたしの頭をクールダウンしてくれた。ああ、こんなに快適で、すばらしいトイレは生まれて初めてではないだろうか?これは、快感と云える。いや、快感そのものだ。脱糞の心地よさに付加されたこの快楽は何だ!おお、素晴しきユニバーサルスタジオのトイレよ。病みつきになりそう。
こんなことを考えているなんて、どうやら私も熱波にやられてしまったのだろうか。「ウォーターワールド」(以下[w])を見るつもりであったが、開演までに時間があったし、もっと見たかったものがあったので、後回しにした。それは、トロリーツアーである。
ラッキーなことに、トロリーツアーもほとんど待ちなし。ガイドブックにあるように3両目の右側に乗る(キングコングやジョーズに襲われたければその位置がベストとのこと)。映画の製作現場を巡りながら、大地震の地下鉄で髪の毛を焦がされそうになったり、水攻めにあったり、キングコングの鼻息を嗅いだり、ジョーズに襲われたりしながら、太秦映画村とはまったくスケールの違う感動のある楽しいライドであった。
戻ってきたら、すんごく人が待っていて、1時間待ちになっていた。ああ、良かった良かった。さて、園内自体もすごく人が混んでいたので、どうするか、ということになり、どうせ夜中の11時迄やっているんだから、一昨日スカシを食らったサンディエゴの大学まで行ってもいいか、ということになって、リ・エンタースタンプを押してもらって、12時ごろ出る。すぐにフリーウエイを爆走、本当に大学まで往復してしまった。
7時ごろユニバーサルスタジオに戻り、その近辺でホテルの確保に走るが、なかなか良いホテルななく、まあ、サンタバーバラへ行く途中のホテルを見つけましょうということになり、(ヒルトンとか、シェラトンも試したけど当然ソールドアウト。)ま、とりあえずまた中に入ってしまえ、と、リエンターした。
夜は夜で人が多かったが、ウォーターワールドを見ることとした。さすがに人気アトラクション。大勢の人が集まっていた。
それにしても、どのアトラクションを見ても、待たせる人を飽きさせない工夫を良く考えていると感心する。代表的なものはディズニーランドだろう。スターツアーズ然り、ビッグサンダーマウンテン然りだ。[w]もそうであった。中に入ると映画で使われていそうな大道具、小道具、で飾り立てている。そして、観客席に向かってひとりの男が、悪戯を仕掛ける。彼の前を通りすぎた人にホースで水をかける。アメリカンは反応がいい。日本人は?うう、日本人も反応に困ってしまうほどの「さむい」リアクションに、会場はシーンとなってしまう。当然ブーイング、ああ、こういう場面で弱い日本人、あなかなし。
ショウは迫力。水を掛ける、爆弾は破裂する、炎が吹き出す。大声を出して見てしまった。途中、飛行機が壁を突き破って飛び込んでくるシーンは、圧巻であった。
さて、だいぶ日が暮れた。園内、人はやや減っている。これは、再度超人気アトラクションに行くしかない。E.T.ライドに乗ったが、私の隣に乗り各場面を食い入るように見つめていた黒人の少年が、 最後の場面で
「(E.T.が)ぼくの名前を言っている!!」と妙に興奮していた。そう、E.T.が我々にそれそれの名前で呼びかけてくれる仕掛けがあったのだ。ちなみに私は「タカー」と呼ばれた。係員め、手抜きしやがったな?とにかくファンタジーの世界であった。昼間も乗ったが、再び[j]に乗りに行く。まったく人気(ひとけ)が無い。入ってすぐに乗ることができる。ゲートが開くと靄の中からブラキオサウルスが出迎える。今度は、「夜霧」だから、朝とは違う雰囲気。夜乗ったほうが、もしかしたらリアルに感じるかもしれない。その後の仕掛けはまあ、昼間の方がおもしろいかもしれない。が、やはり、T/rexが襲ってくるあの場面は昼間も夜変わらない。あの激しさ、恐ろしさ、スピード、振動、音、水しぶき。
が、隣に乗った巨体のメキシカン?(プエルトリカン?)のお兄さんは、私の感動をよそに表情ひとつも変えずむしろ、「こんなかったるいのに、のっていられっかよ」とでも云わんばかりの表情で私の隣にでんと構えていたが、あの急降下の場面になると一転して急に歓喜の声を揚げ、両手を放し、ばっちり一番堂々としたポーズで写真に写っていたのが印象的であった。そして、その写真を満足そうに眺めては、「これは俺だゼ」と、ニヒルな笑みを浮かべ、去っていった。その横で、小さくかたをまるめ、カメラが濡れることだけ気にして、本当に彼の数分の1ぐらいにしか写っていなかった自分が妙に情けなく、小さく見えたことよ。この雪辱いつか果たすまじ、と固く誓った私であった。さて、お次は、昼間ではおそらく物凄い人で埋め尽くされるであろう「バック・ドラフト」。
閉園まじかのこの時間は、私たち夫婦ともう一家族という超少人数で回った。 この映画の製作風景や、ほのおのこわさを効果的な演出方法に依って、表現しているのがすばらしかった。やはり、ただ恐がらせたり、喜んだりするだけでない、教育的な一面もあるのが、このアトラクションのすばらしさであった。
ジュラシックパークでびしょぬれになった分、この炎ですべて乾いてしまった迫力はさすがであった。11時をすぎ、ハードロックカフェで夕食。その後、バカボンインに泊まる。結構気に入ったぞ。
ラッフルズは夜中の2時迄やっていた。巨大マーケットにひとりぽつんと買物するのはスリル有るぞ。