黒潮列伝インタビュー記事抜粋

Q.SGの決勝で一人後方で単独ハンデを背負うことについて

 この世界に入った当時から一人だけ後ろから走っていくというのは目標だったんです。普通の開催であれ、SGであれ。今まで、一般開催は後ろから走ってもSGの優勝戦は同ハン(というのが不文律)でずーっとやってきたわけですけど、それを、SGでも後ろから走らしたって言うことは今までの人たちよりも評価が高いと言うことだと思うので、、やっぱりうれしかったですよね。勝ててなおさらですけどね。ただ、それが10m後ろからだから妥当かなと思いましたが、例えば20後ろとか離れたらちょっと…とか感じたかもしれませんね。

Q.97年のスーパースター王座決定戦での優勝のことについて

 レースに勝ってうれしいときとほっとするときとがあるんです。勝てないんじゃないかと思っていたのに勝てたときは絶叫とともにゴールに飛び込むような、すごい歓びがあるんですよ。そうではなくて、走る前に勝てそうなとき、自分の方が仕上がりが良くて取れそうなときは、うれしいよりもああ取れて良かったな、となる。チャンスはなかなかめぐってくるものじゃないし、今回チャンスと思うと、勝たなきゃいけないと言うプレッシャーがかかって、それでほっとするんでしょうね。スーパースター戦はマシンの仕上がりも良かったし。体調にしても長年のレース経験で、7度台の熱まで下げればいける、と思っていましたから。

Q.高橋貢クラスの選手が何人か出てきてほしいと発言した件について

 32歳になってやっと自分の性格がわかりだしたんですけど、なんかね、ものを考えるとき、自分のことでも何でも客観的に見ちゃうんですよ。で、自分がオートレース界でがんばってて、自分が評価されることも大事だけれど、オートレースというものが評価される事も期待してしまうんです。そのためにも来た人におもしろいレースを見せてあげたいという気持ちが強くて、それにはやっぱりトップレベルの選手が何人もいた方がおもしろいと思うんですよ。そういう意味で高橋貢選手の名前を挙げたんです。やっぱりベテランの選手よりも若手の選手の方が可能性があるわけでしょ。だから、どんどん若い選手に成長してほしいそれが自分の励みにもなりますからね。違う言い方をすれば、活気のある職場にしたいということかな。活気のないところに人は集まんないと思うんですよ。それって、自分の考える事じゃないと思うんですけど、そういうことを考えがちなんです(笑)

Q.高橋貢選手について

 まず、走りが他の若手にないスピード感があるじゃないですか、グリップの開けもいいし−。開けようとしている人はいっぱいいるんだけど、あいつは開けて、車を前に進めるのがうまい、と思うんですよ。見てて気持ちがいいし、あと精神的にもかなり強い面を持っているし、全体的に見ていて、いさぎいいですよね。

Q.雨について

 雨はね、やっぱりまだ全然競争レベルまで達していないんですよ。苦手意識も持っているし、克服できないんですよ、いまだに。自分で分析すると、デビュー前から雨の日にやるオートバイレースって見るのもやるのもすきじゃなかったんです。雨で速く走りたいと思ってなかったんですよね、ずっと。で、若手の頃からあまり、晴と同じようには取り組んでこなかった。で、後になって、必死に練習したりし始めるんですけど、なかなかそれまでさぼっていた分が取り返せないって感じですかね。さぼって期間?うん、8年ぐらいか…(笑)
 雨を克服するのは、まず意識の問題ですよね。苦手意識を克服すること。それと結局、なぜ走れないかというとタイヤが滑ってグリップしないからで、そのへん雨の日にどうエンジンやフレームをセッティングしたらいいか、きっかけがまだつかめていないんです。晴でさえセッティング覚えるのに7年とか8年とかかかっていますからね。ましてや雨は年間10レースとか15レースでしょう。だからなかなか前に進まないんです。なんか覚えたかなぁと思うと3,4ヶ月雨が1滴も降らないとかで、たまには水まいて練習させてくれよと(笑)、今は個人的に思うんですけど。後5年ぐらいで乗れるようになればいいかなと思います。ま、気持ちとしては明日にでも乗りたいんですけど、なかなか現実は厳しいですから。

Q.日本選手権について

 選手権は自分がこのオートレース界に入ったきっかけでもあるし、1年で一番がんばりたいレースなんです。昔の話ですけど、高校中退してアルバイトしてて、お金もないし、その時に1分何10秒で一千四百万円もらえるレースがあるんだって聞いて、この世界に入ったんです。(笑)ねぇ、普通何年仕事したら一千四百万円になるのか。とんでもない仕事だなと思って。そのレースが日本選手権だったんです。ただ、最近思いが強すぎて、逆にプレッシャーになっているかなと言う気もするんです。それをもう少し楽しめるようにしたい。日本選手権に参加できること、レースをできることに歓びを持ちたいと考えています

Q.どうしても譲れないものは何ですか?

 単純ですけど、一番速く走りたいということです。タイトルを獲ったとか獲らないとかじゃなくて、あいつが一番速いと思われたい。お客さんが自分の目で見て一番速く見えるっていう−。レースには運・不運が必ずある。例えば勝てなくても、一番速かったと思われたいんです

※ がんばってください。巧さん。

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