石立鉄男さんの名言「うすぎたねぇシンデレラ」キョンキョン「指が沈まないっ!」
大映テレビ制作のドラマ作品群は一部の異常なマニアックゾーンを作っていたようだ。どんなにリアリティを増そうとも一切のリアリティを受け付けさせない異常な世界。それが大映テレビ。山口百恵の「赤いシリーズ」から「スクール・ウォーズ」「スチュワーデス物語」「不良少女と呼ばれて」「少女に何が起ったか」「ヤヌスの鏡」「アリエスの乙女たち」…キリがないけど、クサい演技、クサい演出、クサい事実、クサい…クサい…あああぁ〜また見ちゃう。熱演すればするほど演技がヘタに見える。“大映マジック”なのだ。もうそのヘタさ見たさに毎回見ちゃう。
少女に何が起ったか 1985
小泉今日子、辰巳 琢郎、長門 裕之、賀来千香子、辺見 マリ、石立 鉄男、宇津井 健、松村 達雄、市毛 良枝、柳沢 慎吾
母の死によって、自分が東京音楽大学の学長の孫であることを知った雪(小泉今日子)は、それを認めてもらうため、東家にやって来る。雪の出現に東家は仰天し、財産目当てのにせものだといって追い出そうとする(あのTVドラマをもう一度)。小泉今日子の台詞のシーンは台詞ごとにカットを変えていて落ち着きのなさがやたら気になった記憶がある。小泉今日子を追い出すために石立鉄男が小泉今日子の顔中の分解写真を撮るシーンの陰湿さが話題に。演出家が「あえいで、あえいで」とやたら過剰な演技を小泉今日子に要求したという。 東京JAP「摩天楼ブルース」
●放送年月日・・・S60年1月〜3月 全12回
●放送時間・・・火曜夜8時〜8時54分 TBS系列
(1)北海道に住む一少女が、さまざまないじめ、苦難を乗り越えてピアニストとして
成長する姿と、有名音楽大学の学長の孫で天才ピアニストの血を受け継いているという事実が解き明かされるまでを描いたドラマ。
ヒロイン・野川 雪を演じたのは、これが連ドラ初主演という 小泉今日子。相手役は辰巳琢郎。雪が苦境に立たされると、どこからともなく現われる謎の男(実は検事)に宇津井健、夜中の12時になると「薄汚ないシンデレラ、いなかに帰る時間だ〜」といって現われる刑事に、この頃すっかり悪役が板についてきた石立鉄男が出演。
雪をいじめるピアノ科主任教授の娘に賀来千香子が、そのとりまき、クラスメイトに高橋ひとみ、高木美保がいた。おいおい、そんな色っぽいクラスメートばっかりいたのかい?手下の筆頭だったのが高木美保!
(2)おなじみの石立鉄男の名ゼリフ「うすぎたねぇシンデレラ…」敵の東家のお嬢様を演じていた賀来千香子が、本当にお嬢様で良い。お父さんとおかあさん(風間壮夫、市毛良江)の写真を机に飾って紙のピアノで練習する小泉今日子の姿が印象的でした。宇津井建が何者かは最後までわからなくてミステリアスだった。異常なまでにおびえる宇津井健はお笑いの対象になり、シリアス番組に出ていてもおかしくてしょうがなかった。結局ピアノコンクールでは優勝し、東家の娘の雪であることも証明でき、こわい悪役と思っていた石立鉄男も、不正を暴くためのいい刑事さんであることが判明して、なにもかもうまくいくシンデレラストーリーだった。
(3)全体ストーリー:平和だった名門音楽学校の理事長宅に一人の少女(小泉)が現れた。彼女はこの家を飛びだした天才ピアニストの長男の娘であると名乗る。既に居ない長男の替わりに遺産相続する予定だった校長(長門)などにとっては厄介な人物である。しかも彼女が長男の娘であるという証拠は無く、取り敢えず少女は使用人という形で家に入り、音楽学校に通いながら誰が正しい相続人かを決めることになる。あこがれの男(辰巳)や色男(京本)などの男性陣や、いじめ役として高木などが登場。また、悪徳刑事(石立)が校長と結託して少女を追い出そうと日々攻めたてる。少女の本当の父親と思われる謎の男(宇津井)とあこがれの男だけが頼りである。少女は本当に天才ピアニストの娘なのか?そして謎の男の正体は?相続問題でゆれる名門家庭に嵐が吹き荒れる。
(4)赤いシリーズの極致は、能勢慶子と柴田恭兵のコンビものとこの小泉今日子ものあたりに実は異常な盛り上がりを見せる。ピアノをひく小泉今日子が鮮明に思い出されます。紙のピアノ。もちろんピアノひく前には「お父さん、みてて!」という言葉も。ショックでダーンと、ピアノに突っ伏したりとかな、あああ、なつかしい!「よう、うすぎたねえシンデレラ」の石立鉄男とか、肝心なことは何も言わない宇津井健の謎っぷりとか。賀来千香子のお嬢ぶりは、今見るとなかなか素敵。最後のキャストんとこでルビ振られてるし。あの時は憎たらしくてしょうがなかったけど。辰巳琢郎の熱血ピアノ助教授ぶりも、(青い)今となんら変わらぬ柳沢慎吾お調子者ぶりも見逃せません。小泉今日子の演技など、見ていて胸にこみあげるものがあります。笑いとか。主題歌は東京JAPの「摩天楼ブルース」!!!うひゃーーーー。赤坂泰彦もいましたか。当時の最新のファッションは、ハートのイヤリングやら、ビラビラのフリルスカート(水玉)やら真っ赤なジャンパーやらターバンやらでしたか。髪はパーマネント。ヤバイ、やばすぎだって。天才ピアニストである父と、本当の親子なのか?ということをめぐって小泉今日子扮する東雪(ただし今はまだ野川雪)を法医学的に鑑定。目・鼻・口・眉・耳・生え際・爪・など、顔のパーツ36カ所を比べて「鑑定結果が出た。36カ所のうち、お前は6カ所しか似ていない…偽物の証拠だ!」と石立鉄男扮する刑事は言い放ち、「これから指紋と血液の鑑定をして、お前を偽物だと断定してやる!」そして小泉今日子は絶望の底に…。ええー、もう、そんな鑑定なんて。涙ぐましいです。つうか爆笑でした。あと、父親が誰なのかわからないお前は「…」と、音声が消されていましたが。毎回テレビを見ている段階では周りの真剣さにあわせてみていたが、はっきり言って宇津井健のシーンはかなり高度なギャグとしてとらえていた。