次世代ガスタービン

歴史

 これまでガスタービンは北アメリカの寒冷地や中東の砂漠地域という過酷な環境下で長期間に使用され、保守が容易という実績を積んできた。

 1960年代にフランス国鉄がRTG系ガスタービン動車に採用したガスタービンTURMOVの燃料消費率は420g/KW.h(313g/PS.h)であったが、現在のEURODYNでは250g/KW.h(187g/PS.h)まで改善している。信頼性の向上、コンピュータ化等による運転コスト削減もすすんでいる。
 環境面ではすでに2008年実施のEURO V排出規制に適合している。

開発中のガスタービン

 現在開発中のTM1800は最大出力時の燃料消費率がディーゼル並みで部分負荷でも同等の効率を目標としている。

再生装置(熱交換器)を設けることで210g/KW.h(157g/PS.h)を実現し、これは同時に消音機としての役割も果たしコンパクト化にも貢献。


 価格面では ターボチャージャー産業の技術を応用し、構造を単純化、遠心圧縮機、1燃焼器、1再生機消音機とすることでディーゼル並みの価格とする。

 

 また、一体交換方式とすることでメインテナンス時間を短縮、-25℃以下の低音環境でも予熱無しで急速始動可能なため暖機運転は不要、他のエンジンより10倍クリーンな排気、1mの距離で75dbという低騒音を実現。

結論

 これらの技術による次世代ガスタービン発電セットを使えば電気および内燃動力に対応したデュアルモード車両を設計可能となり、都市部での電気運転による環境改善、非電化線区でのガスタービン運転による高速列車を実現可能とする。
 このガスタービンを2機搭載すれば4000KW(5360馬力)級機関車をBBの軸配置で実現できる。余裕ある高出力のため少数の機関車で重量貨物列車を牽引可能で、既存線区へ最低限の投資で高速列車を走らせることができる。

 

(管理人注)
 TURBOMECAは以前から鉄道へのガスタービン売込みに積極的で、初期TGVでの敗退以降、高速列車市場へのリバイバルを夢見ていた。 その間、ヘリコプター用ガスタービンの改良、発電用への応用で技術開発を進め、ガスタービンTGV時代とくらべ、燃料消費量を実に40%も低減させている。
 このガスタービンの実現時期は明記されていないが、もし数年で達成された場合、低公害化、高性能化にあえぐ現在のディーゼルの大きな脅威となる可能性がある。部分負荷での効率改善はガスタービンの用途を広げ、高速発電機と1軸式ガスタービンを組み合わせたシンプルな高効率低公害電源は鉄道のみならず、電気推進船、熱電供給複合発電など中規模動力源として強い競争力を得ることになる。
 当サイトで紹介しているガスタービン電源車併結による非電化線区直通電車に似た応用を提案しているのも興味深い。

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