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テ レ ビ で 映 画

映画館に行かなくたって!ビデオ屋さんで借りなくたって!
とっておきの名作が、テレビで放映されているんです

「人間の証明」 11月3日深夜2時15分・日本テレビ
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 Mama Do You Remember?
 歌、泣かせるよ。Mamaひどいよ。麦わら帽子、真っ黒だよ。松田優作かっこいいよ。

 映画を観終わる頃、僕のまわりは鼻をかんだティッシュの塊でいっぱいになってた。眠りについて、次の日に目がさめてもまだ胸のあたりがズキズキしていた。
「ママ、僕のこと嫌い?」
「ママ、なんで僕を生んだの?」
彼にとってこの世は、苦界でしかなかったのだろうか。苦しくても生きていくこと、それをささえたのが麦わら帽子だったのに―――ママ、その人だったのに。思い出の麦わら帽子を片手に、ニューヨークのハーレムを飛び出し日本でママと再会する。そんな夢がやっと叶うとき、彼はママに殺されてしまう。

 人間が人間でいられるのは人間それぞれの心に「麦わら帽子」があるからだ。でも、生きるために「麦わら帽子」を失ってしまうこともある、いや、きっとそれが大部分の人間だろう。真っ黒になっても「麦わら帽子」は「麦わら帽子」で、人間が人間でいられる最後のプライド。生きること、プライドを持つこと、二つは相容れない。それなのに、その二つを持って生まれるのが人間。この世の人間がみんな人間になれる日は来るのだろうか。

 初期の角川映画はいい。森村誠一が原作ってところがいい(チョイ役で出演してたし)。そしてキャスト! 松田優作はもちろんのことハナ肇も好演、しかもセリフひとことのチョイ役で大滝秀治や鈴木ヒロミツが出演するところが心憎い。また、英語のセリフが自然に聞こえてよかった、厳密に作り混んでる感じ。まあ、松田優作が流暢に話すこと、話すこと。
 やっぱりかっこいいわ、松田優作。自分で考えて演出したのだろうけれど、肩幅の少し狭く作られた服がお気に入りだったみたいだね。Tシャツなんかはピチピチのやつを着るし(この映画では着てなかったけれど)、スーツは、今で言えばGLAYのスーツみたいな形してて。ハナ肇のダサ系の背広のとなりでその格好だから二人で並ぶと引き立て合って、スクリーンがいい感じになる。

 しかし・・・こういう重い映画、最近ではあまり見かけなくなったな。重くて胸が痛んでどうしようもなくなるような映画、やっぱり原作は森村誠一で、奇をてらうこともない映画、僕は心待ちにしている。

ぼうし
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