雨月奇譚〜『起』の章〜



 浩之 「よーし、これで全員かな?」

俺達は『To Heart 』の収録を無事に終えたことを祝って、夏休みを利用して打

ち上げに隆山は雨月山でキャンプをすることになった。

都会を離れようということだったのだか、なぜそこに決まったのかはよく覚えて

いない。しかし温泉はあるし、雨月山には鬼伝説があり、胆試しにピッタリだ。

交通手段は電車を使うので、駅に集合となったのである。

集まったメンバーは『To Heart 』のオールキャスト。

俺、浩之に雅史にあかり。志保、レミィ、委員長、芹香先輩と妹の綾香。

葵ちゃんに琴音ちゃん、マルチにセリオ。それに理緒ちゃん。あと・・・

 浩之 「あれ、これだけ?先輩、セバスチャンがいないけど?」

 芹香 「・・・・・・・」

 綾香 「ああ、長瀬ね。あたしが『来るな』っていったの。
     あいつが来ると暑苦しいんだもん。今頃家で泣いてるんじゃない?」

先輩を通訳しようとした矢先に綾香が教えてくれた。

 浩之 「・・・何か、かわいそうだな。まぁいいや。マルチ、長瀬主任は?」

 マルチ「えっ?ええっと、お父さんですか?(汗)」

 セリオ「長瀬開発主任なら、完成版にむけてのマスターアップの作業に取り
     組まれておられます。」

 マルチ「・・・ですぅ。」

急に話題を振られて慌てるマルチをセリオがサポートした。さすがだな。

 浩之 「大変だなぁ。そうだ、葵ちゃん、坂下は来るって?」

 葵  「それが・・・好恵さん、今日試合だそうです・・・」

しまった。ちゃんと確認しておくんだった。なにせ、急に決まったからな・・・

 浩之 「なら仕方がないな。理緒ちゃん、弟はどうしたの?」

 理緒 「何でも、友達と『バトルッチ』で勝負するらしいの。
     せっかく誘ってくれたのに、ゴメンなさいっ!」

ああ、あの雅史からもらってあげたやつか。まあ、知らない人が大勢いる中にい

るより、友達と遊んでいたほうがいいかもな。
 浩之 「なら、志保。橋本センパ・・・」

 志保 「だーーーれが呼んでやるか!あのセクハラ男!!」

言うより早く怒鳴られた。

うーん、気持ちがわからんでもないが、あれは志保にも問題が・・・

 浩之 「あ、そ、そうだ(汗)。委員長、あの3人は?」

 智子 「なんで、うちがあの3人を呼んだらなあかんの!」

誤魔化そうとした浩之だったが、更に悪化したようだった。

 浩之 「そ、そう言えば!確か女の子の着替えを覗いてた奴もいたなぁ。
     あいつも呼んでやれば・・・」

 レミィ「OH!あのヒロユキが覗く前に覗いてたBoy ネ!
     探したけど、誰なのか分からなかったヨ!」

 浩之 「ばっ、レミィ・・・(泣)」

皆の冷たい視線が浩之に収束している・・・

 雅史 「ああっ、そうだ!浩之、矢島は?」

見かねた雅史が助け船を出す。

 浩之 「矢島?誰があんな奴呼ぶかっ!!!」

>・・・おい、浩之。助けてもらっておいてその言い方はないだろ・・・

あかりだけは何故か嬉しそうにしていた・・・


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


俺達、総勢13人は電車に乗り込んだ。隆山までは結構距離がある。

昼前ぐらいに着く予定なので、それまで皆思い思いのことをしている。

カードゲームに熱中するもの。(俺、雅史、あかり、志保、
                        理緒ちゃん、琴音ちゃん)

話しに華を咲かせるもの。(綾香さん&葵ちゃん)

外の景色を眺めるもの。(マルチ)

妙にはしゃいでいるもの。(レミィ<手に持ってるのはボウガンじゃ・・・?)

本を読んでいるもの。(委員長)

ボーっとしている(?)もの。(先輩、セリオ)

 志保 「やったー、雅史の負け!罰ゲームっ!」

 雅史 「まいったなぁ・・・」

天気は最高にいい。楽しいキャンプになりそうな予感がした。




この時、俺は大事なことを忘れていた。

この手の俺の感は必ずといっていいほど逆に働くということを・・・・・



雨月奇譚〜『承』の章〜


入り口へ戻る



トップへ戻る





This page hosted by Get your own Free Home Page
1