店主の読書日記 JAN2003 タイトルリスト 作家別リスト

2003/1/31

 昔、世界は単純だった。
 世界には正義と悪しかなく、正義は徹底的に正しく、悪はどこまでも悪だった。大人になって正義が必ず勝たないことや、悪人の中に正義があることがわかったとき、世の中はひどく難しいものになってしまった。
 たまにあの頃の、世界が白か黒かにわけられた幼い日々が懐かしくなることがある。
 しかし、今もある種の人には人は常に2種類に分類されことがわかった。
 やおい少女から見た男の人。これは常に2種類に分けられる。そう、「受け」か「攻め」……。

 ……ああ、書いててちょっと泣いちゃったよ。
 はい、続けて『聖霊狩り――夜を這うもの』(瀬川貴次/集英社コバルト文庫)読了。
 最近、私の読書時間は移動時間にくわえて入浴時間となっておりまして、コバルトくらいなら湯船で半分読んでしまうのでした。
 シリーズのダブル・ヒロインは、早紀子と萌という女子高生。そう、もうおわかりでしょう。このうちの1人が煩悩の人なのだ。名前もそれにふさわしく「萌」!

 2作目も失速することなく、笑えました(笑)。今回のあとがきも○。


2003/1/30

「リオハ(仮名)さん、大変です!」
と、仕事中IPが来たので何かと思ったら、
「プリンプリン物語が再放送するんですって」。
 そいつぁ大事です(笑)。

 『聖霊狩り』(瀬川貴次/集英社コバルト文庫)読了。
 何を隠そう、私はこの人のあとがきが大好きである。本文もかなり笑えるのだが、あとがきは5割増。
 さて、これはスーパーファンタジー文庫で出ていた『闇に歌えば』のシリーズのつづき……というか別バージョン。『闇に歌えば』では主人公の青年が脇役となって、脇役の少年が主人公となっている。これから読み始めてもかまわないが、『闇に歌えば』を読んでいると更に楽しいというしくみ。
 ちなみに私は『闇に歌えば』シリーズを全巻そろえたのに、人に貸して返ってきた紙袋のまま廊下に放置しておいたら水濡れで全巻ダメになっていたという……。
 うーん、もいちど揃えようかしら。
 ちなみに出版社からのあらすじを紹介しときましょう。

 御霊──非業の死を遂げた怨霊が神として祀りあげられたもの。御霊が暴走しないように監視する職務を負った集団・御霊部の最年少メンバー柊一は、あやしい伝説を持つ森の調査を命じられるが…。

 あらすじだけみるとホラーのようだけど、実はお笑い。怖いのがキライでも大丈夫です。


2003/1/29

 ティファニーで朝食を。
 エトロでティータイムを。

 土曜日、妹のおつきあいで並木通りを通った私は、ETOROのブティックがあるのに気がついた。
 ETOROはイタリアのファッション・メーカー。繊細なペイズリー柄のショールが有名で、ほとんどのOLは、クローゼットに1枚はETOROのショールを隠し持っているといっても過言ではない。
 イタリアらしく家族経営で、97年に長女が入社してチーフデザイナーに就任した。それ以降はデザインが若くなって注目していたのだ。(←注目しただけ、買ってない)
 せっかくの路面店だから入ってみよう。
 そんな軽い気持ちで妹に声をかけ、店の前に立った。高級店らしく、中の店員さんが、すぐドアを開けてくれる。
 入った私は、ちょっとした違和感を感じた。なんだか商品が少ない。壁につけていっぱい椅子が置いてある。ついでに、ボーイ服を着たお兄さんがたくさんいる。
「プチ・フールはいかがですか?」
 ボーイくんはにこやかに微笑み、持っていた銀のお盆の上の上品なプチフールを差し出した。  ちょっと不思議に思いながらも私は聞いた。
「2個、いただいてもいいですか?」
「もちろんです。よろしければ椅子にお座りになって召し上がってください。お飲み物もお持ちしましょう」
 なんていう歓待。
 椅子に座ると、別の方がシャンパンを持って来てくれた。
 ほとんどVIP待遇である。
 どうやら、この日は上得意向けのファッションショー&春夏物受注会だったらしいのですね。どうりで回りにいたお客さんがみんなお金持ちくさかったはずだ。(あ、もともと金持ちのための店だったか)
 ふと通りがかったビンボくさい私に親切にしていただいて、ありがとうございました。エトロの皆さん。
 お金持ちになったあかつきには、必ずや贔屓にさせていただきます。
 しかし、
「お茶代、助かっちゃったね」
とかいってる私達が金持ちになれる日は遠そう。


2003/1/28

 『FISH!』(スティーヴン・C.ランディン、ハリー・ポール、ジョン・クリステンセン、相原真理子訳/早川書房)読了。
 昨日の『BANANA FISH』とはFISH繋がりで……ということはなく、これは物語の形式を取ったビジネス書でございます。まあ、たまにはこういうのもいいでしょ。

 舞台はアメリカ、シアトル。夫を病気で亡くしたシングル・マザー、メアリ・ジェーンが主人公。彼女は昇進に伴い、社内で『ごみ溜め』と噂される部署に異動になる。夫の死後、リスクをおかすことに脅えていた彼女だったが、このままではいけないと『ごみ溜め』を変えるために立ちあがる……。

 このメアリ・ジェーンが自分のオフィスの目標にしたのは、魚屋さん。タイトルの『FISH!』は、ここから来ている。
 人情にじーんとするところあり、ロマンスあり、そしてラストはハッピーエンドという、まるで女性向短編小説のよう。でも、これってミドル・マネジメント向けの本なんですわよ。
 ちょっと楽天的すぎる感じはあるけど、働いている人は読んでみると仕事観が変わるかも。

 さてー、マネジメント研修のレポート書かなきゃなあ。


2003/1/27

 そういや、『仮面の男』の正体は実は王様の双子の弟だった! というのがドラマが成り立つ上での重要設定でしたが(デュマの小説を下敷きにしている)、実際はありえません。
 なぜかというと、当時は王妃の出産は公開出産。父親立会いなんて甘い、甘い。興味のある人全員立会い、一般市民参加もオッケーの行楽行事である。
 こんな中で秘密の双子の弟などが存在できようか。いや、ない。(反語表現)
 でも、史実にとらわれて物語を楽しめないのも、またつまんない話。単純に映画を楽しみましょう。

 『BANANA FISH』(吉田秋)読了。
 だいぶ前に完結したマンガなのだけれど、イッキ読みしようと思って連載読まないでおいたのだ。
 イッキ読みで正解! とにかくドライブ感のあるアクションロマンなので、これを月刊連載で読んでたら、かなりキツかったんじゃないかとも思う。
 ストーリーは出版社のものから。(一部変更しました)

 1985年、NYのストリートキッズのボス、アッシュは、胸を射たれて瀕死の男から薬物サンプルを受け取った。男は「バナナフィッシュ」と言い遺して息を引き取る。アッシュの兄はベトナム戦争に出征し麻薬で廃人状態になっていたが、その兄が時々つぶやく言葉もまた「バナナフィッシュ」だった……。

 最初は「バナナ・フィッシュってなんなんだーっ」という謎で読んでしまい、正体がわかった中盤からはハード・アクションで読まされてしまう。そして、後半は人間ドラマである。読んで損なしの19冊。(文庫だと11冊)
 伊部とエイジの出会いは短編として連載より前に描かれ、別の本に収録されている。最初に白泉社の雑誌に掲載された。
 なんでそんなことを知っているかというと、白泉社でマンガ描いてる友達が、
「小学館に持ってかれたーっ」
と、叫んでいから。
「お金がある出版社はいいなあ」
とも(笑)。
 『BANANA FISH』のコミックスに収録のため、小学館が権利を買い取った模様。
 これはまったく別の物語として読めて、いい話なんで、機会があったら読んでみてください。


2003/1/26

 先々週、昇天してしまった権三(デスクトップPC)をちょっと手当て。結局、起動ディスクを使っても何をしても立ちあがらないので、スッパリあきらめる。さようなら、私のデータ……。さようなら、さようならああああああ。(←旅立つ権三を土手から大きく手を振って見送るイメージ)
 すぐに次のマシンが来るわけでもないので、サブのVAIOを当座使えるように色々設定した。
 ビデオのある応接間で、ながら設定。B5ノートはモバイルに便利……って、家庭内モバイラーだけどさ(笑)。
 でも、逆にB5だからCD-ROMも全部外付けなのよね。(今の505は内臓らしいけど) ソフトをいくつか入れたいところだけど、純正のドライブは持っていないのでUSB接続のCDRを使うことに。ふと気がつくとドライバのFDが見つからなかったので、ネットからDL。よし、CDが使えるようになりました。
 今度はスキャナと繋ぐため、スキャナのドライバをDL。よし、スキャナも使えるようになりました。
 ついでにペンタブも使えるようにするか。添付CDは取ってあるけど、探すのがめんどうなので、これまたドライバをDL。
 ……あれ、「タブレットのドライバは既にインストールされています」ぅ?
 えいっ、えいっ……うーん、どうしても認識しないなあ。
 ……こうして貴重な日曜日は暮れていくのであった。

The man in the iron mask  VAIOで作業しながら見ていたのが、これ。『仮面の男』。
 あれだけ「仮面の男のテーマ」の滑りを堪能しておきながら、私はなんとこの映画を見ていなかった。今さらですがビデオで鑑賞。
 今回、自分で借りたので、ちゃんと字幕もあります(笑)。
 あらすじはどこででもチェックできるので書かない。解説もいいや。(←リトル投げやり)
 今回、私が作ったキャッチは以下の通りである。

「オヤジスキー連盟、第1回推薦作品」。

 これだ! これ!
 パッケージに「レオナルド・ディカプリオ主演作品」と書いてあっても信用してはいけない。この作品のディカプリオは、さしみのツマであり人寄せパンダである。
 オヤジ好きは、そんなことに騙されず手に取り、オヤジのかっこよさを満喫して欲しい。そして、オヤジの生き様に涙しよう。(イチオシは、変態でも悪役でもないジェレミー・アイアンズのアラミス)
 1ヶ所だけ内容に触れると、銃士のモットー"One for all, All for one"が「我等は銃士、結束は固い」に訳されてるのはいかがなものか。この映画の内容には合ってるんだけどね。


2003/1/25

 妹のおつきあいでバーゲンに行きました。
 ……疲れたです。

 『綺羅の柩』(篠田真由美/講談社ノベルス)読了。
 ミステリ的にどうの、というのは飽きたので別の感想をいうと……テーマが面白い。
 今回の建築探偵は、タイのシルク王、ジェフリー・トーマスの謎の失踪にかかわる物語。
 肩書きでピンときた人もいるかもしれない。このジェフリー・トーマスにはモデルがいる。タイのシルク王ジム・トンプソンだ。(イニシャルがJTで同じっすね)
 何を隠そう、うちの一家はジム・トンプソン好きである。
 応接間にはジム・トンプソンのクッションがごろごろと転がっている。母がタイに行くたびに買ってきて、私もおみやげに買ってきたのでつごう6個はあるはず。シルク製品で有名なブランドなのに、コットン製なあたりが貧乏性だ(笑)。(ジム・トンプソンは同じデザインをシルクとコットンで両方出している。ティファニーが同じデザインでプラチナと銀の両バージョンで作っているのに似ている)

 ジム・トンプソンは1906年、アメリカ生まれ。プリンストン大学を卒業後、建築家を志しペンシルバニア大学に入り、1940年までニューヨークで建築家として開業していた。1940年代に陸軍に従事し、第2次世界大戦では、OSS(CIAの前身)の一員として働いている。
 こういう経歴は実は知られていなくて(私も知らなかった)、主に、すたれかけていたタイシルクを復興させ、その価値を高めた人物として有名だ。彼の名前をつけたブティックにはほとんどすべての旅行社が訪れ、生前住んでいた家も今では重要な観光スポットになっている。
 生前、と書いたが、実はジム・トンプソンはその生死が不明のままだ。
 1967年のイースターの週末、マレーシアのカメロン・ハイランドに休暇で友人と出かけ、そこで消息を絶ってしまう。懸命な捜索が行われても何の手がかりも得られず、今日にいたるまで失踪の理由も生死も不明のままだ。
 その経歴から諜報活動のためだとか、政治的暗殺だとか、色々ささやかれたが、21世紀の今でも解決していないところをみると永遠にわからないミステリーになるのかもしれない。

 どうです、このジム・トンプソン伝説。面白そうでしょ?
 事実は小説より奇なり。
 それでいうと小説は若干旗色が悪いと思うのだが、どんなもんだろう。とにかく、私はジム・トンプソンの謎自体を知らなかったので、作中のジェフリー・トーマスを勝手に読み替えて楽しんでおりました。
 ああ、タイに行きたい。


2003/1/24

 最近、イーオンのCMが水野真紀と坂口憲二になって、トレンディ・ドラマみたいだ。
 「セリーヌでイーオン」
でドギモを抜いてくれたオヤジギャグ魂(スピリット)はどこに行ってしまったのだろう。
 しかも、その翌年は
「イーオンではじめなキャメロン」(イメージキャラクターはキャメロン・ディアス)
を打ち出し、私達を気持ちよく脱力させてくれた、あのイーオンはどこに……。


2003/1/23

 BBSでバレエネタが多いので、なんかタイムリーな『Do Da Dancin’!』(槇村さとる/集英社ヤングユー・コミックス)6巻。
 主人公は鯛子(実家は魚屋さん)。才能もありバレリーナとして将来を嘱望されていたが、母の死をきっかけにバレエへの情熱を失ってしまう。それでも踊り続けて18年。

   今回の6巻はバレエへの思い入れがうっとおしいほど。ジャズダンスに行くかと思われた鯛子が、「これからはバレエじゃないと思う」と言いながらもポロポロと泣く。
 あの人とつきあっても絶対しあわせになれない。
 でも好き。
 バレエと鯛子の関係は、そんな感じ。
 バレエはほとんどの人を片思いさせる。ほとんどの人はバレエの世界では報われない。バレエで(踊って)食べていけるのは幸運なひとにぎりだし、注目を浴びるのは更にひとにぎり。
 しかも、そのためには毎日毎日毎日毎日努力しつづけなければいけない。
 こんな大変なのに、なぜ惹かれるんだろう。

 ……んで、この後色々何度も書いてみたのですが、どれもイマイチだったので、全消し。
 この作品、今度から掲載誌が変わるそうで、2ヵ月に1度の連載になる。この掲載誌でこのテーマは結構キツイかなあ、と、思っていたんだけど、どうなんだろう。この読者層にして、この話は、もしかしてアンケート取れないかもしれないなあ、なんて余計な心配をしてしまう。
 個人的には作者が思うところまでキッチリ描いて欲しいのだけど。


2003/1/22

 しまった。
 その格好に騙されて、すっかりワクワク、ハラハラ、ドキドキと読み進んでしまった。作者本人がはじめに

 本格ミステリの意匠を拝借しているが、「本格」でもなければ「ミステリ」でもない。

と、はっきりいっていたのに。
 『ファンタズム』(西澤保彦/講談社ノベルズ)。
 読み終わって、太っ腹だなあ、と、思う。
 ホラーの外見で本格ミステリに仕立てることも出来たはずで、ミステリに仕立てた方が確実に注目されるはずなのに(年間ベスト10なども各所で特集される)、惜しげなくミステリを切り捨てている。ああ、もったいない。
 とはいえ、久しぶりに物語に引きずり込まれて読んだ西澤作品。


2003/1/21

 以前、店主のおすすめで「名画ミステリ」を取り上げて、次に読んだノン・フィクションがモナリザの盗難に関わるものだったので、タイトルを「名画ミステリプラス」にした。
 それから、なぜか名画にかかわるミステリは押さえとかないと、というのが強迫観念になっている。タイトルに「名画」と付くだけで、ロマンス小説だろうが、スパイ小説だろうが、一応はあらすじをチェックしてしまうという……。ノンフィクションでも「盗まれた」とか「略奪」なんて犯罪ぽい枕詞があるやつも危ない(笑)。
 えーい、もう名画にかかわるミステリは、このHPをやってる限りはテーマとして読んでいってやるさっ!

 んで、『贋作工房』(夏季真矢/中央公論新社)読了。
 この本を手に取ったのは、表紙にコラージュされていたフェルメールの絵の存在が大きい。
 前に『盗まれたフェルメール』という本(途中で止まっている)を読んで知ったのだけど、フェルメールって有名な割に現存する絵は30数枚しかないのね。市場に売りに出されることもない希少性から、同じ絵が何度も盗まれたり、政治テロにも使われたり……って、なんだか存在自体がドラマチックじゃないですか!
 これはそんなフェルメールの贋作に関わるコン・ゲームのお話。

 たぶん、出した当初は出版社側もかなり力を入れていたに違いない。だって3部作で、出版が1999年の2月と4月と6月。1作目(これ)に3作目までのタイトルがびしっと予告されているところを見ると、鳴り物入りの発刊という感じだ。
 しかし、そんなに話題にならなかったような記憶がある。
 何が悪いのかったのかと、私、及ばずながら(そして今さらながら)考えてみました。いや、別に私が対策を練る必要は全然ないのだけど、考えたんで言わせて。お願い。

 出版社の方で考えたらしい惹句は「複雑系ミステリの新星登場!」。
 これ! これが悪いのではないだろうか。だって、読んでみたら、そんなに複雑じゃないんだもん。
 天才贋作師、ナチの戦犯、車椅子に乗った残酷な美女、メトの天才キュレーター、少年ハッカーなどの様々な顔ぶれが登場し、複雑に愛憎が絡みあう……というのがウリなわけですが、この人達が結構わかりやすい。愛憎もわかりやすい。
 どっちかというと、ジュディス・クランツとかB.T.ブラッドフォードの出来のいい大河ロマンスの方がよっぽど複雑。彼女らは伊達にタイプ一文字打つごとに2ドル稼いでいるわけじゃないのだ。
 と、いうわけで、この打ち出しがイカンのだったと思う。
 本当に複雑が好きな人にはぬるい、そうでない人には「複雑系」と書かれたことによって敬遠されてしまうという、あちらを立てればこちらが立たず状態だったのではあるまいか? つまりはマーケティングの間違いってヤツでしょう。
 そこで私が考えたのが

「1億ドルを騙し取れ! ジェフリー・アーチャーも真っ青の痛快、大胆、コン・ゲーム!」。

 うんうん。
 なかなかキャッチーじゃないの。(←自画自賛) ジェフリー・アーチャーが何ていうか知らないけどさ(笑)。

*アーチャーには『百万ドルを取り返せ』という作品がある。金額的には勝ってるし……。


2003/1/20

 『フランス革命夜話』(アン・ペリー、大倉貴子訳/ヴィレッジブックスbyソニー・マガジンズ)読了。  まず、作者プロフィールを見て、「今までこんな派手なプロフィールのミステリ作家はいないんじゃあ……」と、私は思った。

 15歳の時、友人と共謀して友人の母親を撲殺。数年間、服役していた。

 ちょっと待ってくださいったら。
 ミステリ作家というのは、殺人や犯罪の物語を考えながらも現実の本人は至って常識的な知的な人、というのがウリだったのではないですかい?
 それが「友人と共謀して撲殺」。うーむ、濃い。濃すぎる。
 この時の話は少し脚色されて映画にもなっている。(『乙女の祈り』) アン・ペリー(映画ではジュリエット)役は、あのケイト・ウィンスレット。映画評を見ると、「二人だけの世界を作り上げた少女達」とか「濃い友情に見えるが、これはレズビアン映画」とか、それも濃い(涙)。
 でも、この作品は案外普通。(よ、よかった……)
 薄い本で、本文のページも上下の開きが広く取っているので、本当にさらっと読めてしまう。読み終わって、「教科書に載ってる話みたいだなあ」と、思ったのは私だけだろうか?

 物語の舞台は革命の風吹く18世紀のパリ。王制や宗教が否定されて不安定な市民生活が続く中、突然死で子供を亡くしたセリー。 セリーの胸を焼く悲しみは、やがて憎しみに変わっていき、復讐の計画を練りはじめる……。
 と、いった話だけど、歴史「ミステリ」と銘打ってしまうのはちょっと重すぎ。ミステリにしては、インパクトが弱い。
 いや、今回は著者のプロフィールが一番衝撃的でした(笑)。


2003/1/19

Billy Elliot  皆さんオススメの『リトル・ダンサー』を見た。
 すごく絶賛されているので、ここで私が誉めなくてもみんなが見てくれそうだし、私はちょっと辛口批評など。

 まず、『センター・ステージ』と『リトル・ダンサー』、どちらをより好きか、というと私は前者だ。もちろん、『リトル・ダンサー』の方が物語の出来は数倍優れている。『センター・ステージ』の物語は2流の少女マンガでしかない。
 だけど、『センター・ステージ』は原題も"Centre Stage"、舞台中央(主役)の位置に立つことを夢見る若いダンサーの、バレエでなければ成立しない物語である。対して『リトル・ダンサー』は"Billy Elliot"、ビリー・エリオットという少年の物語である。物語の構造は必ずしもバレエを必要としない。
 たとえば、少年が愛するのがピアノであっても、物語の大筋を変えずに進めていくことはできるはず。(細かなところは色々変わるだろうが)
 芸術を愛して、愛した世界に行くことでそれまでの閉塞された生活から抜け出していく……という物語は普遍的だからだ。お父さんが泣くのは、ビリーにある「未来」が自分にないからではなく、そうした「魅せられ、心躍らせるもの」が自分にないからではないか。なぜなら、何かを夢中で愛するものは、からっぽではないからだ。
 『センター・ステージ』は、ことバレエの才能に関しては容赦がない。実力が少しでも足りなければ、人柄や思想がどうあれ、厳しく切り捨てられていく。ビリーが、言葉でオーディションを勝ち取ったのとは対照的だ。

 だけど、坂道を息を切らして駆けて行く父親の姿には、やっぱり胸を打たれる。
 その先にあったのが、やはり閉塞的な日常であったことを考えるとなおさらだ。
 バスで旅だっていくビリーを見送る父と兄。兄の心の中に羨ましさとか妬ましさがなかったはずはない。それでも兄は言う。
「I miss you.(寂しくなるよ)」
 残される方、置いていかれる方の悲しみと優しさは、いつでもとても私の胸を打つ。


2003/1/18

 妹の友達から聞いた話。

 その友達の友達は日本に来たフランス人だった。
 TVのニュースを見ていたら、アナウンサーがある単語を頻繁に話しているのに気がついた。その言葉はフランス人の彼の耳にとても美しく響く。まるで音楽のようだった。
 彼はフランスに帰国し、カフェを開くことになった。
 店名を考える。
 そうだ、あの美しい言葉にしよう。遠い東の国で聞いた、あの綺麗な響きの言葉。
 そして彼は日本の言葉をお店につけた。

 その店の名前は、「カローシ(過労死)」。


2003/1/17

 研修でした。
 昨年の研修のフォローアップ研修なんで、あれから6ヶ月も経ったわけだ。その間、特に進歩もなく、ずーっと仕事ばっかりしてたんだよなあ。(遠い目)
 「行動計画の振りかえり」ってやつがツラかったわ(笑)。

 さて、この研修は同期の皆さんが多い。(私は違う) だから、顔を合わせると「お、久しぶり」とか「○○どうしてる?」となる。
 エレベーター前で聞こえた、ここにいない同期の近況をたずねる会話。
「ヒデ、どうしてる?」
「やっぱり日本はいいって」
「ああ、やっぱ銃弾、打ち込まれちゃね〜」
「3台前のバスが炎上しちゃうしさ」
 そこでエレベーターが来た。
 "ヒデ"にいったい何が!?


2003/1/16

 えーと、さて、体の調子が悪いと読書というのは出来なくなるものでして、今の時点で新年から読了本が1冊きりとは、自分でびっくり。
 反対にちょっとくらい体力が落ちててもTVを見るとかマンガを読むのはOK。新年からの療養の日々にも、実はマンガは読んでました(笑)。
 『NATURAL』(成田美名子/白泉社花ゆめコミックス)全11巻。私は、完結してからイッキ読みが好き(笑)。
 いや、元気な年末のうちに購入してたんだよね、実は。まさか療養生活(大げさ)の友となるとは。

 理子(あやこ)は民族学者の父を持ち、ペルーで育った。リマに父を残して日本で母と暮らしていた理子は、ある日、父からペルー人の男の子を養子にして連れて帰るという手紙を受け取る。

   んでまあ、このペルーの男の子・ミゲールの日本ライフが物語りの中心となるのだが、さくっと一口で説明しにくいなあ。弓道、バスケ、東北の風俗、日本人としてのアイデンテティ……と、結構つめ込まれているんだもの。
 更に外伝として11巻に入っているのは能まんが。
 いったい、私はこの作品をどう紹介していいのかわからん(笑)。ものすごく大まかに言えば、青春成長もの、だろうか。
 成田作品の主人公は、容姿だったり才能だったり、いつもどこかで恵まれてる。なかなか完璧には感情移入しにくいキャラクターなのだけれど、読後感はいいので決してイヤな気持ちにはならない。


2003/1/15

 『風の向くまま』(ジル・チャーチル、戸田早紀/創元推理文庫)読了。
 昨年から持ち越しの1冊なので、もしかしたら、本年度お初の読了本だったりして。うわっ、新年15日もたってからか〜。不調だわ。
 あらすじは、出版社提供のものから。

 遺された田舎の屋敷に十年間住み続けること。
 それが大伯父の莫大な遺産を相続する条件だった。この風変わりな条件に従い、ニューヨークの安アパートから引っ越してきた兄妹が聞かされたのは、大伯父は殺されたらしいということ。つまり、自分たちが一番の容疑者だということだった!はたして濡れ衣を晴らすことはできるのか?
 グレイス&フェイヴァー・シリーズ、ここに開幕。

 ジル・チャーチルの新シリーズの舞台は1930年代。リリーとロバートの兄妹は元お金持ちの坊ちゃん嬢ちゃんだったが、父親が1929年の大恐慌で財産を失って自殺。それまでとは180度違う生活に叩き込まれてしまった。全国的に不況で仕事もないし、先行き明るいとはいえない日常。
 そんな設定でも暗くなりすぎないのが、この作者のいいところ。
 はっきりいって、今回はミステリ的に出来がどうかなー、って感じなのだけれど、次回以降に期待しよう。
 ジル・チャーチルは、ライス的なミステリマインドを色濃く持っている。ひいきするさ。ライス・ファンだもの♪


2003/1/14

 向かい席の後輩が本日からバリ出張。
「(出張中)代わりにやっておくことがある?」
と、聞いたら、
「代わりに出張に行って下さい〜」
と、いわれた。
 相当行きたくないみたいだ。また、宿泊ホテルが1泊ごとに変わるのもイヤさに拍車をかけてる模様。
「でも、ほら、毎日ホテルを変えるって、テロ対策には有効だしさ。万が一のことがあったら、骨は拾いに行ってあげるから」
と、いってあげたら感動の涙を流して(と、信じているぞ、私は。もしくは嬉し泣きとか)、旅立っていった。
 大丈夫。万が一があったら、本当に行ってあげるから。
 荷物の中に水着が入っているかもしれないがなあ。


2003/1/13

 昨日、墓参りで使った体力が、なんとなく戻らない連休最終日。

 録画しておいたフィギュアスケート世界ジュニア選手権を観戦。
 今年はすごいぞ。何しろ女子では中野友加里が2位、安藤美姫が3位。男子ではタカハシダイスケ選手(漢字がわからないっ)、初出場で1位。うおーっ、すげえや。
 やっぱり自分の国の選手がいい成績だとそれだけそのジャンルに注目が集まって人気が上がるので、本当にいいことです。地上波のフィギュア放映も増えるかもしれないし。
 もちろん、同じ国の人として応援もするよ。日本人だものね。

 ペアを見て、女子の録画はなかったので、次に男子を見てたら、横で見ていた母が席を立ってしまった。
「だって、かわいい女の子が出てないんだもん」
 やっぱり私は母の子だった、と、感心するの巻。ニンニン。


2003/1/12

 浮世の義理でお墓参り。
 冬場の墓場は寒い。でも、やぶ蚊がいないし、草むしりもしなくていいので、夏より好きかな。そこの墓所は井戸水を引いているので、お墓洗いもそんなに冷たくないのだ。

Center Stage  今、なぜか『ポネット』が我が家で大ブーム。
 母が
「(私のことは)ポネットちゃんと呼んで」
というような理不尽なブームである。
 ブームに乗り遅れてはいかん、と、妹の借りてきてくれたビデオをさっそく鑑賞。
 ……。
 …………。
 ………………はっ!
 ……途中で寝てしまった……。
 『ポネット』といえば、4歳の天才少女が主役のフランス映画。幼くて母親の死が信じられないポネットが、ママに会いたいと思いつづけいるという、悲しい物語なのに。
 今回、私は今までで最も困難な映画鑑賞をした気がする。何しろフランス映画だ。しみじみとした情緒ではあるが、BGMも控え目、演出も控え目。とどめに字幕はあっても、これが英語である。(半分読む前に消える……)
 最後に奇跡が起こってお母さんが現われてくれるんだけど、これがSFXもなく、音楽もなく、地味に登場する。教えてもらわなければ、ただの通りすがりの変な人かと思ってたくらいだ。
 でも、登場する女の子はどの子もかわいいので美幼女カタログとして……って、そんな邪道は私だけですかそうですか。
 あ、前に見たうちの母も途中で寝たみたいなので(今回も寝ていた)、入眠ビデオとしては効果があるのかも。不眠ぎみの方、いかがっすか?


2003/1/11

Center Stage  今週末は専ら体力を元に戻すことに専念。
「これでも見て、体を動かしてる気になってよ」と、妹が借りてきてくれた『
センター・ステージ』を見る。
 はっきりいって、ストーリーは陳腐。一昔前の少女マンガみたい。バレリーナの卵達の夢と愛と青春の苦悩の物語、といわれてあなたがとっさに思い浮かぶ物語があるとしたら、それだ(笑)。
 それなのに私はこの映画が好きだ。
 ダンスと音楽。それが素晴らしければ他に何が必要なの?
 と、主張しているかのよう。
 登場するダンサー達の踊りは、ホントにもう、それだけで心がふるえるっすよ。(まじ!) 中でも、現在アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパル、イーサン・スティーフェルはすごい。この人リニアモーターカーなんじゃないかしら、と、思うくらいの空中滞在時間。
 彼が映画で演じるクーパーはスターであり優れた振付師という役どころで、お約束で性格は悪い。(ストーリーに関しては、ある意味期待を裏切らない映画だよ、ホント)
 舞台で競演した女性にフラれて、某所で会ったジュディ(ヒロイン)とノリでベッドイン。ジュディは恋人と思って彼の後を追いかけるのに、彼は「知らない子だよ」みたいな……ああ、ほんっとにパターンなキャラクター設定だよなあ(笑)。
 しかし、私は見ていて
「1回寝たくらいで彼女ヅラされてもなあ」
と、すっかり男の気持ちになってしまって、イカンと思いました。
 いや、でも、私だったら冷たくしないなあ。だって、ヒロインの女の子はなかなかの美少女。他の子もみんな細くてかわいくて、美少女カタログとしても価値あり。(←邪道)
 スケートファンには、あのイリヤ・クーリック(リレハンメル金メダリスト。「氷上のディカプリオ」の恥ずかしいキャッチを持つ)の出演も楽しめるだろう。
 邪道な人には、はっきりいって二度も三度もオイシイ映画だ。


2003/1/10

三井文庫名品展  これまた去年の年末に行っていたものなんだけど、書いておかないと絶対忘れるので書いておく。
 三井文庫名品展(2002/12/29〜 2003/1/13・日本橋三越本店7階ギャラリー)。
 
三井文庫100周年記念だそうだ。三井文庫自体は三井財閥になってから発足したが、三井の歴史はもっと古い。展覧会の説明によると「300年におよぶ三井家の歴史の中で代々の当主が収集した、国宝・重要文化財を含む日本および東洋の古美術品の数々はいずれも名品ばかり」とな。
 300年かあ。
 確かに、江戸時代の浮世絵を見ても、もう今の場所に三越(当時は越後屋)と三井銀行(当時は両替商)があるもんな。
 会場内のビデオ上映も面白い。三井銀行が日本初の個人銀行だなんて初めて知ったよ。
 お江戸日本橋偏愛者(私のこと)には行って損なしの展覧会でしょう。


2003/1/9

 これも昨年のどこかで読んだ、『エロティシズム12幻想』(津原泰水監修/講談社文庫)。
 エロティシズムをキイワードにした短編のアンソロジー。作家の顔ぶれは有栖川有栖、我孫子武丸、京極夏彦など。
 ……うーん。こういうものは評価が難しいなあ。
 エロティシズムという感覚が極めて個人的なせいか。誰かにとってはたまらなくエロティックなものが、他の人間にとっては何も感じないということはありがちだ。これだけ多様化した現代で、エロティックに対する感覚ばかりがノーマルで一本化されているわけもない。性的ファンタジーの数だけエロティックも存在する。
 そのくせ割と普遍的なパターンをも内包するのは、エロティシズムは性欲に根ざした感覚で、性欲は動物の本能だからだろう。
 個人的に一番上手いと思ったのは菅浩江の作品。極めて和的なボンテージに対する解答……というのは考えすぎか。

 ……いかん。
 ちょっと気を抜いてだらだら書いてたら、カタイ文章になっちゃったぜ。評価、評論は簡単な言葉を使って書く方が難しいのよ、実は。
 でも、マジメに評論しているようで、実はお目当ては森奈津子の短編だったり。
 しょせんお笑い好きさっ。


2003/1/8

 昨日は、新年も7日目にして、初めて家から外に出た。なにしろ調子が悪くて郵便ポストに年賀状を取りにも行ってなかったのだ。深窓のご令嬢と呼んでもらっても、まんざら間違いではないと思う。(反論は聞く耳ナッシング ←私は河村ファン)

 新年となってはいるけれど、年末の片付けがまだ終わってないくらいなので、日記も年末のフォローを今ごろ。
 昨日の『死体の嘘』と同じで12月のどこかで読んだ本、『空想刑事(デカ)読本』(斉藤直隆/ぶんか社)。
 実は、一昨年にCreator's Synopsisで『奇跡の人』(だったと思う。たぶん……)というショート・ショートを書いたことがありまして、そこで警察官を出したのですね。
 Creator'sは、現在は残念ながらサイト休止。そして、なんと私はこの作品(に限ったことではないが)、自分のHDDにも残していない。誰かがコピペしていない限り(←そんな物好きいないと思うが。いないでいてくれ、頼む)、「幻の名作」と言い切っていい作品になってしまった。
 他の作品はともかくとして、これに関しては「なかったこと」にしちゃいたい。ロクに下調べもしないで書いて出しちゃったからだ。
 遺失物や交通事故でお世話になったくせに、私は全然警察組織のことを知らない。知らないくせに書いてしまった。ごめんね、警察。
 と、いうわけで、ずーっと心残りだったので、今さらながら調べることにしてみたのだった。

 カタイ本もあったが、これが一番わかりやすそうなので「労力は少なく、効果は大きく」を旨とする私はこの本を採用。組織図なんかも載っていて、わかりやすい。
 私は、変な利用方法だったけれど、本来の使い方も可。
 『太陽にほえろ!』、『踊る大捜査線』、『ルパン3世』なんかにツッコミを入れてます。
 ICPOが捜査組織を持ってないって知ってた? 銭形警部って、いったい……?(笑)


2003/1/7

 昨年のどっかで読み終わった『死体の嘘』(上野正彦/アスキー)。
 今回の上野先生の本は第2部で映画やマンガの死体のウソを取りあげている。若手編集者の企画のようなのだけれど、上野先生としては「死体というものを面白半分に語っていいいのだろうか」「でも命の大切さを知ってもらえるならより多くの人に読んでもらうのは望ましい」……みたいなことを書いてあった。
 でも、この本を読んで命の大切さは感じないなあ。入ってきたのは「こうすれば確実に死ぬんだな」という知識(笑)。(いいのよ。私は別途イノチの大切さを学んでるから)

 昨年、猫宮さんに清水玲子の『秘密』の雑誌切りぬきをいただいた。本編でなくて、メイキングというか、エッセイっぽいマンガである。
 このときに取り上げていたのが、ジョン・ウェイン・ゲーシー。
 同性愛者の連続殺人犯で、生涯殺害人数は33人以上。(以上、というのは、遺体が見つかってない殺人が存在する可能性があるから) 家の床下から若い男の遺体ばっかりザクザクと見つかったという、アメリカ犯罪史上でも有名な犯罪者だ。
 猫宮さんは、
「リオハさんなら、きっと詳しく説明してくれると思ったんだ〜♪」
と、言った。
 ええ、しましたともさ。
 でも、名前を見ただけで立て板に水で連続猟奇殺人犯の説明ができる女って、ちょっと……というより激しくヤな感じだなー(涙)。
 昨年一年で猟奇殺人の知識とか死体の知識は飛躍的に増えたけど……今年はどうせなら、もっと穏やかでピースフルなものに詳しくなりたい。
 しかし、そんな一年の計もまたヤな感じ。ふっ。


2003/1/6

アンの青春・完全版  年末に借りた『アンの青春・完全版』を見る。
 1989年のカナダ映画。劇場公開時の分になんと55分を追加して、合計229分。なかなか見ごたえがございました。劇場公開の時は、ちゃんと映画館で見たんだよねえ。懐かしい。
 あの頃は気がつかなかったけれど、室内のしつらえとか、衣装のレースとか、本当に細かくきちんと作ってある。女性が外出する時には必ず帽子を着用して、その帽子もひとりひとりデザインが違うという芸の細かさ。
 何回か下着姿も拝めます。慎み深い時代だけあって、下着といっても今の外出着より露出が少ないデザイン。胸元や裾なんかのコットンの手編み(であろう)レースがかわいくって♪ ヴィクトリア調の下着ってかわいいねえ。

 私の愛しのマシュウは残念なことに前作で亡くなって出て来ない。代わりに今回は、マリラが大活躍している。
 マシュウの名セリフ、
「1ダースの男の子よりお前がいいよ」
なんかも代わりに喋っている。
 このセリフは読むたび、聞くたびに泣いてしまう私の弱点。
「……エイヴリー奨学金を取ったのは男の子じゃなく、女の子じゃないか。わしの自慢の娘じゃないか」
と続くセリフで、見ないで書けるあたり(細部は違ってるかも)私の入れ込み具合がおわかりいただけるだろうか?(笑)
 好きな人の役に立てなかったり、迷惑をかけている切ない気持ち。そんな気持ちを一瞬でひっくり返してしまう。『天空の城ラピュタ』のパズーが、私の最も愛するヒーローであるあたりも同じ理由だったりする。マシュウもパズーも、人によっては実直だけなのがとりえの人間といわれるかもしれない。それでもまっすぐに人を愛し、その正直さで人を救える(自分ではまったくそんなことを意識せずに)人が私は大好きだ。


2003/1/5

 昨日はTVで『ホワイト・アウト』をやっていた。
 これは、私が日本映画にしては珍しく劇場で見た映画だったのよーん。
 原作は未読だけど、映画はすっごく面白かった。
 批判もたしか聞いた気がする。するけど、こういう、とことんエンターテイメントな作品を提供することを最近の日本映画は忘れていて、それが映画館離れを助長してる気もするんだわ。
 若い層に日本映画を映画館で見てもらいたかったら、きちんとエンターテイメントに向かい合う努力を忘れちゃなんねえ、と、私は思ったりする。だって、この作品なんか大スクリーンで見たほうが絶対面白いからさ。
 別にハリウッド超大作じゃなくても、面白ければ劇場に行くよ?


2003/1/4

 NHKのBS1をたまたまつけたらスケーターズ・チャンピオンシップなるものをやっていた。
 昨年の世界選手権以来のヤグディンを見る。なんでも先シーズン終わった後、お尻の筋肉を痛めていたらしい。
「完全復活!」
と、アナウンスは興奮してたけど、そもそも故障を知らなかったよ、私は(笑)。
 相変わらずの美しいジャンプと、すっごい細かいステップ。もちろん今も昔もジャンプ好きな私だけど、ヤグディンのステップは既に職人つー感じがするなあ。
 衣装は、先シーズンとは打って変わっって普段着のよう。ボーリング場で買ってきた上っ張り……に見えるのは私だけか?
 大会の趣旨がわからんがプロも多数出場している。
 カート・ブラウニングが久しぶりに見れた。この人は見るたびに着実にハゲている。(きっぱり) でも、スケートはキレイ。(←決してフォローでは……(笑))
 イリヤ・クーリックも出てました。相変わらずの少年ぽい外観だけど、既ににゴルデーワさんとの間の子供が生まれてるはずだから1児のパパだよね? 元金メダリストの美しき未亡人との間の恋愛ってすっごくワイドショーが好きそうな気がする。でも、日本の報道を見たことがないなー。それくらいマイナーなスポーツなんだろうなー、スケートって(涙)。


2003/1/3

 一応、1/1付けの日付でご挨拶しましたが、私、この日は機能しておりません……。つーか、ほぼ3日は寝てただけっす。
 3が日に口にしたものは、お雑煮と、焼いてお醤油をつけて海苔を巻いた餅一個という、具合が悪くても正月らしさを大事にしたというかなんちゅーか非常にネタ的にはおいしくて満足なんだが、そんなことも実際は気にしてられなかったという……。
 ああ、2日に抱擁術……じゃなくて放鷹術を見に連れていてもらうつもりだったのになあ。(←いわゆる、鷹匠のワザですね。毎年、浜離宮恩寵公園でお正月に実演販売……じゃなくて公開実演。メトロガイドなんかでも紹介されてるから知ってる人も多いかも)
 年末年始の予定狂いまくり。くっそう。
 年末の忙しい時は
「死んでも風邪を引かない」
と、思っていたから無事で、気を抜くとこの通り。古い言葉だけど精神力で生きてるのかもな、私。


2003/1/1

 みなさま、あけましておめでとうございます。
 昨年は、たくさん読みに来てくださってありがとうございました。本年もよろしくおねがいします。



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